2010年01月12日 13時00分

奉仕活動をスポーツに 「スポーツゴミ拾い」競技人口増加中

普通のゴミ拾いに見えて、実は「スポーツゴミ拾い」競技中  [拡大する]

普通のゴミ拾いに見えて、実は「スポーツゴミ拾い」競技中 

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 雪と自然を守るための活動を行う『I LOVE SNOW エコ・アクション イベント』が、11日に東京都・代々木公園で開催された。同イベントの目玉となったのが、拾ったゴミの“重量”や“質”でポイントを競う「スポーツゴミ拾い」。“奉仕精神ありき”のエコ活動とは違い、“楽しみながらエコ活動ができる”という点が人気で、この日は過去最高の約200人・全32チームが参加。大学生や家族連れ、社会人などがゴミ袋とトングを手に、ゴミ拾いの腕を競い合った。

■重量とポイントで競い合う厳密なルールが面白さを喚起

 「ゴミ拾いをスポーツにしたら楽しみながらやれるんじゃないか」という発想から始まった「スポーツゴミ拾い」は2008年に誕生。5〜10名程度のチームに分かれ、制限時間内にエリア内のゴミを拾ってポイントを稼ぎ、総重量とポイント数で勝敗を決めるゲームだ。ルールには“ペットボトルのキャップやタバコの吸い殻はポイント増”、“走らない”、“分別を行う”などのこまかな決まりがあり、競技中は1チームに1人審判員が付いて厳しいチェックを行う。ルール違反があった場合はホイッスルを鳴らされたり、イエローカードが出される場合もあるというから本格的だ。

 この日は代々木公園周辺で競技を開始。それぞれのチームがポリ袋とトングを手に、ゴミが多そうな場所に散らばっていった。試合時間は45分で、終了時にはゴミを手にした参加者が計測エリアに再集合。学校の有志と一緒に初めて参加したという大学一年生の男性は「植え込みにはゴミが多いのでそこを狙った。ペットボトルのキャップを見つけた時はテンションが上がりました」とニッコリ顔。また、参加2回目の男性は「事前の作戦会議は有効でした。優勝狙っています!」と爽やかな笑顔を見せた。

 タバコの吸い殻やペットボトルのほか、段ボール、壊れた傘、何かの部品のような金属片など、この日集まったゴミの総重量は314kgだった。また、競技終了後には、歌手・The New Classicsによるライブや人文字の記念撮影なども行われ会場を盛り上げた。


■奉仕精神に頼るのではなく、楽しさを伝えていく

 同競技の普及活動を行っている“日本スポーツごみ拾い連盟”によると、スポーツゴミ拾いは体力よりも洞察力・分析力がものをいうため、子供たちも大人と対等に戦える点も特徴のひとつなのだという。実際に過去の大会では小学生チームが圧倒的勝利をおさめたこともあり、同連盟副理事長の服部進さんは「子供の目は厳しいです。彼らは大人たちがどこにゴミを捨てているか、ちゃんと知っている」と、その洞察力に舌を巻く。

 同連盟は全国の大学や企業の協力を得て、東京都以外でもこれまでに大分県別府市や愛知県名古屋市などでスポーツゴミ拾いを実施してきたが、理事長・馬見塚健一さんは、「街によってゴミの質が違うので、データを集めていけば美化運動などで何かの役に立つと思います」と、この競技の副次的な可能性も示唆している。

 地球温暖化や環境破壊などで注目されている自然環境保護運動。この新しいスポーツは、奉仕精神に頼るエコ活動ではなく、“楽しみながら行うスポーツ”という立ち位置を目指す。

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