火災保険料の仕組み
火災保険料は一律ではなく、建物の構造や所在地、補償内容、保険期間など複数の要素をもとに決まります。そのため、同じ火災保険でも契約条件によって保険料に差が生じます。
ここでは、火災保険料がどのような仕組みで算出されるのか、保険料に影響する主な要素や考え方について解説します。
火災保険料はどうやって決まる?
火災保険料は一律ではなく、建物の所在地や構造、補償内容、契約期間など、複数の条件をもとに決まります。
仕組みを理解するためには、まず保険料が「純保険料」と「付加保険料」の2つで構成されていることを知っておくことが大切です。
「純保険料」とは、火災や自然災害などの事故が発生した際に保険金を支払うための原資となる部分です。
一方、「付加保険料」とは、保険会社の事業運営に必要な経費や利益、契約管理費用、保険代理店への手数料などに充てられる部分を指します。
純保険料は、過去の事故データや災害発生状況などをもとに算出される「参考純率」を参考に、各保険会社が設定しています。
保険は、多くの契約者が保険料を出し合い、事故に遭った人を支える「相互扶助」の仕組みで成り立っています。
そのため、純保険料は、集めた保険料総額と将来支払う保険金総額との均衡が保たれるよう設計されています。
一方で、保険会社は保険金支払いだけでなく、契約管理や事故対応などの運営も行う必要があります。
そのため、純保険料に付加保険料を上乗せし、最終的な保険料が決まります。
付加保険料の設定は保険会社ごとに異なるため、同じ補償内容でも保険料に差が生じる要因の一つとなっています。
また近年は、自然災害の増加や修理費上昇なども保険料水準に影響を与えています。
火災保険料は何で左右される?
火災保険料は、建物ごとの災害リスクや補償内容に応じて決まります。
そのため、同じ火災保険でも建物の条件や契約内容によって保険料は大きく異なります。主に以下の要素が保険料に影響します。・建物の種類(共同住宅/戸建て)
・建物の構造(マンション構造/耐火構造/その他の構造)
・建物の所在地
・築年数
・専有面積/延べ床面積
・補償内容
・保険の期間、支払い方法
それぞれについて解説します。
建物の種類(共同住宅/戸建て)
共同住宅(マンション)と戸建てでは、補償対象となる範囲が異なります。マンションの場合、専有部分のみを対象とする契約が一般的です。一方、戸建ては建物全体が補償対象となるため、補償範囲が広くなり、保険料も高くなる傾向があります。
建物の構造(マンション構造/耐火構造/その他の構造)
火災保険では、建物の燃えにくさが保険料に影響します。一般的に、耐火性能が高い建物ほど火災リスクが低いと考えられ、保険料は抑えられます。
主な構造区分は以下のとおりです。
・マンション構造(M構造) コンクリート造や耐火建築物などのマンション
・耐火構造(T構造) 「M構造にあてはまらない」コンクリート造、鉄骨造、耐火建築物などの戸建てなど‘
・その他の構造(H構造) 木造の戸建てなど
一般的には、M構造が最も保険料が低く、H構造が高くなる傾向があります。ただし、実際の区分は建築確認書類や保険会社の基準によって判定されます。
建物の所在地
建物の所在地も重要な要素です。地域によって台風・洪水・雪害などの自然災害リスクが異なるためです。近年は自然災害の増加を背景に、水災や風災リスクも保険料に影響します。
例えば、水害リスクが高い地域や、強風・豪雪などの被害が想定される地域では、保険料が高くなる場合があります。
築年数
築年数が保険料に影響する場合もあります。建物の老朽化によって設備トラブルや損傷リスクが高まる可能性があるためです。
ただし、火災保険では建物構造や所在地、補償内容の影響が大きく、築年数の扱いは保険会社や商品によって異なります。
専有面積、延べ床面積
建物の広さも保険料に関係します。マンションでは専有面積、戸建てでは各階の床面積を合計した延べ床面積をもとに保険料が算定されます。
一般的に、建物が広いほど修復費用や補償額が大きくなるため、保険料も高くなる傾向があります。
補償内容
補償範囲をどこまで広げるかによっても保険料は変わります。火災保険では火災に加えて、風災・水災・盗難・破損汚損などを補償対象に追加できる商品があります。
補償を手厚くするほど保険料は上がりますが、不要な補償まで付けると保険料負担が増えるため、住環境や災害リスクに応じた選択が重要です。なお、地震による損害は火災保険だけでは補償されず、別途地震保険への加入が必要です。
保険の期間・支払い方法
保険期間や保険料の支払い方法も保険料に影響します。一般的に、短期契約を繰り返すよりも、長期契約や一括払いを選択した方が保険料総額を抑えられる場合があります。
以前は長期契約が可能でしたが、自然災害リスクの変化などを背景に制度が見直され、現在の火災保険の保険期間は最長5年となっています。
火災保険の相場はいくら?
火災保険料の最新相場をまとめるため、3社から様々な条件での見積もりを入手しました。
この見積もりを元に、火災保険料の相場をみていきます。※保険期間を5年間として見積もりを取り、一括払いを選択した場合の保険料を表示しています。ここに掲載した保険料はあくまで目安です。保険料は条件によって異なるため、実際に加入を検討されるときは、ご自身に合った条件で見積もりを取るようにしてください。
条件別に火災保険料の相場をチェック
まず、火災保険料に大きな影響があるのは「地震保険」の有無です。
地震保険は、地震や噴火、津波、それらを原因とする火災などによって生じた建物と家財の損害を補償するものです。
意外と知られていないのですが、地震を原因とする火災は、火災保険だけでは補償されません。
契約時に地震保険を追加で契約する必要があります。
地震保険の補償金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定できます(建物は5000万円、家財は1000万円が上限)。
地震保険は単体では加入できず、常に火災保険に付帯する形で加入することになっています。
地震保険を付けると、保険料はぐっと高額になります。
たとえば、A社で[戸建て]、[最低限の補償]、[地震保険なし]なら、年間の保険料は2万7000円です。
ところが、[地震保険あり]にすると12万4000円と、約4.6倍に跳ね上がります。
他の保険会社でも、[地震保険あり]と[地震保険なし]の間には、それなりに大きな額の差が生じています。
実は、地震保険の保険料はどの保険会社でも同じです。
なぜなら、地震保険は、国が政策的に設けた保険制度で、加入条件が同じならどの保険会社でも同じ保険料になるように決まっているからです。
地震保険の保険料は、建物の所在地、構造、免震・耐震性能などによって異なります。
また、地震保険料は地震保険料控除の対象です(火災保険料は対象外です)。
確定申告や年末調整のときに、その年に支払った地震保険料を、所得税は5万円、住民税は2万5000円を上限に控除できます。
さて、[地震保険あり]の場合の、1年あたりの保険料相場をみていきましょう。[戸建て]で[最低限の補償]だと12万4000〜20万7000円、[水災への補償あり]だと17万5000〜28万4000円、[さまざまなリスクに備える]だと18万3000〜33万円になります。
[マンション]では、[最低限の補償]が5万6000円〜6万1000円、[水災への補償あり]が7万〜7万6000円、[さまざまなリスクに備える]が7万5000〜9万6000円です。
[地震保険あり]は[地震保険なし]に比べて高額になりますが、火災保険だけでは地震による火災が補償されないことを考えると、地震保険への加入は検討に値するのではないでしょうか。
[戸建て]で[最低限の補償]だと、2万7000〜6万1000円と、2.2倍近い幅があります。
[水災への補償あり]では7万8000〜13万9000円と、やはり幅は大きくなっています。
[さまざまなリスクに備える]では8万6000〜18万4000円となり、最安値のA社と最高値のB社で約2.1倍も違っています。
やはり、複数の保険会社から見積もりを取ることは重要だとわかります。
ただし、保険料だけでなく、いざというときの補償内容を把握することも、見積もりを比較するときには忘れないようにしてください。
[マンション]をみてみると、[最低限の補償]で9,000〜1万3000円、[水災への補償あり]では2万2000円〜2万8000円、[さまざまなリスクに備える]では2万7000〜4万7000円です。
建物全体が保険の対象である[戸建て]に比べると、[マンション]は専有部分のみが対象なので、保険料は一般に低くなります。
保険会社による保険料の違いも[戸建て]に比べると小さく、3社の保険料の違いはそれほど大きくありません。
【独自調査】ユーザーの保険料相場は?
ここからは、オリコン顧客満足度(R)調査で得られた、実際のユーザーのアンケート結果で保険料の目安を確認してみましょう。
まずは地震保険の有無についてユーザーの傾向をみていきます。
【戸建て、マンション居住者の回答結果(地震保険ありなし)】※1
上記グラフを見ると、地震保険ありと回答している人が戸建て居住者、マンション居住者共に全体の8割以上となっています。
あくまでオリコン顧客満足度(R)調査で得られた回答の傾向となりますが、それだけ地震保険に加入している人が多いといえるのではないでしょうか。
※1 過去3年以内に火災保険に加入し(賃貸居住者は対象外)、かつ火災保険へ加入する際に選定に関与した25〜84歳のサービス利用者が対象。ここでは、保険料の設問に対して回答のあった計2,656人のデータを掲載。なお、調査期間は2025年8月29日〜9月17日。
上記の結果から、多くの人が地震保険に加入している傾向があるようですので、地震保険ありを前提として、条件別に傾向をみていきます。戸建て居住者で、地震保険に加入し、支払い方法が5年一括払いの場合、保険料の支払い額で最も回答が多かったのは【25万〜30万円未満】の13.5%でした。
戸建ては木造のことが多く、マンションに比べると燃えやすい上、補償対象となる面積も広いため、保険料は高くなる傾向があります。
この相場観は、あくまで本調査での結果であり、補償内容や築年数、建物の所在地などの条件によって金額は変わってきます。
※2 過去3年以内に火災保険に加入し(賃貸居住者は対象外)、かつ火災保険へ加入する際に選定に関与した25〜84歳のサービス利用者が対象。ここでは、保険料の設問に対して回答のあった計782人のデータを掲載。なお、調査期間は2025年8月29日〜9月17日。
【地震保険あり・マンション・5年一括払いの場合】※3
マンション居住者で、地震保険に加入し、支払い方法が5年一括払いである人の保険料の支払い額で最も回答が多かったのは【5万〜10万円未満】で40.7%。次いで、【10万〜15万円未満】の21.6%が続く結果となりました。
戸建てに比べると傾向がはっきり出ており、全体の約4割に当たる人が5万円〜10万円未満の保険料を支払っていることがわかります。
この相場観は、あくまで本調査での結果であり、補償内容や築年数、建物の所在地などの条件によって金額は変わってきます。
※3 過去3年以内に火災保険に加入し(賃貸居住者は対象外)、かつ火災保険へ加入する際に選定に関与した25〜84歳のサービス利用者が対象。ここでは、保険料の設問に対して回答のあった計314人のデータを掲載。なお、調査期間は2025年8月29日〜9月17日。