2012年06月12日 10時00分
<『みんなの家庭の医学』おさらいニュース>都道府県別の“健康のひみつ”
今回のおさらいニュースは、都道府県別の“健康のひみつ”を探る!
朝日放送『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(毎週火曜午後8時放送)とORICON STYLEがコラボレートしてお送りする“おさらいニュース”。今回は、都道府県別の“健康のひみつ”がテーマ。大腸がんの死亡率が低い、骨粗しょう症が少ない、腰痛に悩まされる人が少ない都道府県を調べ、1位に輝いた都道府県を細かく検証。その地域で頻繁に食べられている食材や日常に隠された“ひみつ”に迫っていく。
■郷土料理が大腸がんを予防?―大分県
女性の死亡率が最も高いがんと言われ、1年で約4万人が亡くなっている大腸がん。その原因は食の欧米化による動物性脂肪の多い食事や肥満、運動不足などがあると言われている。しかし、大分県は肥満者の割合が全国で11番目に多いにもかかわらず、大腸がんでの死亡率が全国で1番少ない。その矛盾を解明するヒントとして、同県が購入数量全国最多を誇る食材「里芋」が浮かび上がった。
国内の大腸がん研究によると、大腸がんになるリスクは食物繊維の摂取量が少ないと高くなるという。里芋には水溶性食物繊維が豊富に含まれているため、一緒に食べた他の食材・栄養素を消化吸収させやすくする働きや排便をスムーズにする手助けをする働きがあると言われ、大腸がん予防の食材として効果が期待できるのだ。大分県には、里芋をはじめ、しいたけや鶏肉などを煮込んだ郷土料理「だんご汁」があり、こうした食文化の影響により、里芋の摂取量が多く、大腸がんの死亡率の低下へ影響していると考えられる。
■古代から根付いていた骨粗しょう症予防食材―奈良県
奈良県は骨粗しょう症の患者が最も少ない県であると同時に、カルシウムが豊富な牛乳の一世帯あたりの購入数量も全国1位を誇る。また、一世帯あたりの「じゃこ(しらす干し)」の購入数量も全国でトップクラス。じゃこなどに含まれるビタミンDは、カルシウムの腸からの吸収や腎臓での再吸収を手助けする作用があり、効率的にカルシウムを摂取できる優秀食材として知られる。
海がない奈良県は、古くから干物が保存食として流通しており、じゃこは手に入りやすい食材だったため、庶民に広がっていった。また、牛乳は平城京に住む皇族や貴族が滋養強壮の薬として飲んでいたとされ、約1300年前から奈良の地に根付いていた。奈良県にははるか昔から、骨粗しょう症を予防する食材が存在していたのだ。
■腰痛が少ないのは長い通勤時間のおかげ!?―神奈川県
運動不足や筋肉の衰えが原因となる腰痛。約1000万人が悩まされている国民病だが、全国で最も腰痛が少ないのは神奈川県だという。埼玉県立大学の伊藤俊一教授はその理由として、全国2位の多さとなる通勤・通学時間が関係していると指摘。「通勤中に、姿勢を保つ筋肉・多裂筋(たれつきん)が鍛えられているからでは」と分析する。
背筋の内側にあるインナーマッスル・多裂筋は、他の筋肉に比べて薄く、意識して鍛えることが難しいが、神奈川県民は「バスや電車に立って乗車している場合、車体の揺れで多裂筋が動き、自然に鍛えられている」(伊藤教授)。県民114万3167人が県外通勤・通学者という神奈川県。長時間の乗車で、知らず知らずの内に腰痛を予防しているのかもしれない。
日常生活の中に潜んでいた都道府県別の“健康のひみつ”。他県の情報を参考にして自分の生活にも取り入れてみよう。