バイク事故を起こしたら保険の補償でどこまでカバーできる?
ここでは、バイク事故を起こした際の保険の使い道のほか、事故後に保険の等級がどうなるのかについても解説します。
バイク事故を起こした場合、まずは自賠責保険で補償される
「バイクで事故を起こし、相手にケガを負わせてしまった、もしくは死亡させてしまった」という場合、まず自賠責保険が適用され、保険金が支払われます。
自賠責保険は、事故を起こした相手への損害に対する補償を行うための保険で、補償限度額が定められています。
自賠責保険の不足分をカバーしてくれるのが、バイク保険です。バイク保険に加入していれば、相手への損害額が自賠責保険の補償限度額を超えた場合に、バイク保険から保険金が補償限度額の範囲内で支払われます。最初に自賠責保険で補償し、それで不足する部分をバイク保険でカバーするという順序に決められています。また、バイク保険は自賠責保険では補償されない、自分や家族が負った損害の補償を行うこともできます。
バイク保険は自賠責保険に比べて補償の種類が多く、幅広い範囲の損害を補償することが可能です。補償限度額も設定できますから、自分のバイクの使い方などに応じて、補償の内容を調整することができます。ただし、補償内容を厚くすれば、その分、保険料は高額になります。
ですから、補償と保険料のバランスを見ながら、自分に合った契約内容に整えることが大切です。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険の補償限度額は、相手の損害の程度によって次のように決められています。
<自賠責保険の補償限度額>
- 傷害の場合:最高120万円
- 死亡の場合:最高3,000万円
- 後遺障害の場合:最高4,000万円
ですが実際には、この金額では決して十分とはいえません。交通事故による賠償金は、時に億単位にも達します。参考までに、交通事故による死亡・後遺障害の人に対する高額賠償額の例を紹介します。
■死亡・後遺障害の高額賠償額の例
賠償額 | 損害 | 被害者 |
5億2,853万円 | 死亡 | 41歳男性、眼科開業医 |
4億5,381万円 | 後遺障害 | 30歳男性、公務員 |
4億5,375万円 | 後遺障害 | 50歳男性、コンサルタント |
4億5,063万円 | 後遺障害 | 19歳男性、大学生 |
4億3,961万円 | 後遺障害 | 58歳女性、専門学校教諭 |
また、「運転を誤って他人の自動車にバイクをぶつけた結果、ケガはなかったけれど、自動車に傷をつけてしまった」という場合は対物補償となるので、自賠責保険では補償されません。さらに、事故によって自分がケガを負っても、自賠責保険の補償対象にはなりません。
バイク保険の補償内容
補償の種類によっては、保険金の支払い条件が設定されていたり、実際の損害額ではなく、あらかじめ決められた定額が支払われたりと、細かな規定があります。
■バイク保険の主な補償と特約
名称 | 補償内容 |
対人賠償保険 | 他人に人的損害を与えた場合に使われる保険。運転者と同乗者には適用されない。損害を与えた相手が家族の場合も適用外。 |
対物賠償保険 | 他人のモノに損害を与えた場合に適用される保険。運転者と同乗者には適用されない。損害を与えた相手が家族の場合も適用外。 |
搭乗者傷害保険 | 運転者と同乗者の人的損害を補償する保険。ケガの部位や程度などによって、支払われる保険金が規定されている。 |
人身傷害保険 | 運転者(記名被保険者)とその家族が受けた人的損害を補償する保険。過失割合に影響されずに補償される。 |
自損事故保険 | 相手のいない自損事故による人的損害を補償する保険。傷害の部位と程度によって、支払われる保険金が規定されている。 |
無保険車傷害保険 | 事故の相手がバイク保険未加入だったりバイク保険が使えなかったりした場合、本来なら相手が支払うべき賠償金額を補償する保険。 |
車両保険 | 自分のバイクの損害を補償する保険。事故だけでなく、災害やいたずらによる損害も含まれるが、例外規定もある。 |
対物超過修理費用特約 | 相手の車の修理費が時価額を超えた場合、その超過分を補填する特約。年式の古い車や希少車などに損害を与えた場合などに有効。 |
弁護士費用等補償特約 | 事故相手との示談交渉を弁護士に依頼した場合、その関連費用を補償する特約。 |
他車運転特約 | 他人から借りたバイクで事故を起こした場合、その損害(対人・対物)を補償する特約。ただし日常的に借りているバイクは適用外。 |
被害者救済費用補償特約 | 運転者の過失ではなく、バイクの欠陥などによって事故を起こし、他人に損害を与えた場合、被害者救済のために保険金が支払われる特約。 |
バイク事故を起こすと保険の等級はどうなる?
バイク保険の等級は1等級から20等級まで分かれていて、等級の数字が大きいほど保険料の割引率が大きくなります。新規契約の際には6等級からスタートし、1年後の更新時までに保険を使うことがなければ、次の更新では7等級に上がり、適用される割引率も大きくなるという仕組みです。ですから、無事故の期間が長ければ長いほど、保険料が安くなるということになります。
等級に関する情報は、各保険会社で共有されているため、別の保険会社に乗り換えても、それ以前の等級が引き継がれます。ただし、6等級以上の等級を引き継げるのは、原則、前契約の満期日の翌日から起算して7日以内の契約に限ります。それ以上の日数が空いてしまうと、これまでの等級を引き継ぐことができず、また新規契約として、6等級からスタートとなりますから注意してください。
ちなみに、一時的にバイク保険を中断したいという場合には、保険会社に申請を行います。一定の条件を満たせば保険会社は中断証明書を発行します。この証明書があれば、それまでの等級を最長で10年間維持することが可能です。中断証明書の発行の条件は、各保険会社に確認するようにしましょう。
海外転勤や子育てで、当分はバイクには乗れないけど、身の回りが落ち着いたら、またバイクで走りたいと考えている場合は、中断の手続きをおすすめします。
事故でバイク保険を使うと等級が下がる
等級が下がるケースは、事故の内容によって「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故」の2種類があります。
・3等級ダウン事故
3等級ダウン事故を起こして保険を使った場合、等級は3つ下がります。対人事故、対物事故、車両事故を起こし、対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険などを利用した場合に適用されます(保険金未払い・未請求を含む)。
・1等級ダウン事故
車両の盗難や台風・地震などの災害による損害を補填するため、車両保険を使った場合は、1等級ダウン事故とみなされ、等級は1つ下がります。
一般的に、相手のある事故を起こしてバイク保険を利用する場合は、そのほとんどが3等級ダウン事故に該当します。3等級ダウンしてしまうと、それを元に戻すのに3年かかることになるので注意しましょう。
また、7等級以上の人は、前年以前の契約の事故歴に応じて「事故有係数」が適用されます。事故有係数の適用期間中は、同じ等級であっても適用されてないときに比べ、保険料が割増になります。事故有係数適用期間は、下がった等級と同じ年数が加算される仕組みです。
例えば、等級が3つ下がったら、事故有係数適用期間が3年加算されます。この期間に事故を起こして保険を使った場合、さらに事故有係数適用期間は加算されますが、事故有係数適用期間は最大6年です。
事故を起こしても等級が下がらない場合もある
ノーカウント事故の例は次のとおりです。
<ノーカウント事故の例>
- 人身傷害保険に入っており、自分がケガをしたため、人身傷害保険金だけを受け取った
- 弁護士費用等補償特約による、弁護士費用にかかった保険金だけを受け取った
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