バイク保険(任意保険)の補償内容を徹底解説!

バイク保険(任意保険)の補償内容を徹底解説!

バイクに乗るなら、入っておきたいバイク保険(任意保険)。ですが補償の内容が複雑で、どんなバイク保険に入ればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。また、そもそもバイク保険の必要性を感じていない人もいるかもしれません。

ここでは、バイク保険の主な補償内容に加え、バイク保険の必要性と、バイク保険の選び方について解説します。

バイク保険とは?

バイク 人身傷害保険

バイク保険とは、強制保険である自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の補償ではまかない切れない部分をカバーするために任意で入る保険です。

すべての自動車やバイクは、必ず自賠責保険に加入しなければなりません。自賠責保険は、運転によって他人に何らかの損害を与えてしまった場合、その損害を賠償する責任を果たすための保険です。ですが、自賠責保険は対人、つまり相手をケガさせたり死亡させたりしたことに対する損害しか補償されず、その補償額も傷害の場合で最高120万円、死亡の場合で最高3,000万円、後遺障害の場合で最高4,000万円が限度です。これは決して十分な補償とはいえません。

「運転を誤って他人の自動車にバイクをぶつけた結果、ケガはなかったけれど、自動車に傷をつけてしまった」という場合は対物補償となるので、自賠責保険では補償されないということになります。また、事故によって自分がケガを負っても、自賠責保険の補償対象にはなりません。そこで必要になるのがバイク保険というわけです。

バイク保険の普及率

損害保険料率算出機構による2022年度の「自動車保険の概況」によると、2022年3月末での二輪車の任意保険、つまりバイク保険の普及率は、対人賠償保険で45.9%、対物賠償保険で46.9%、搭乗者傷害保険で26.6%、人身傷害保険で16.4%、車両保険で2.1%です。自家用普通乗用車の普及率(対人賠償保険83.3%、対物賠償保険83.2%、搭乗者傷害保険29.5%、人身傷害保険82.3%、車両保険63.2%)と比べると、低い数字にとどまっています。

バイク保険の普及率が自動車保険に比べて低い理由として、「(春から秋にかけてなど)特定の時期にしかバイクには乗らない」「自動車に比べて使用頻度が低い」「少額の損害なら自分で払える」と考えている人が多いことが挙げられます。

バイク保険の主な補償

バイク保険の主な補償

バイク保険には、さまざまなリスクをカバーする保険があります。こうした補償の内容を正確に、しかも詳しく理解している人は、あまり多くはないかもしれません。そこで、バイク保険の主な補償についてご説明します。

対人賠償保険

対人賠償保険とは、保険を契約しているバイクに乗って事故を起こして、他人にケガを負わせてしまった、もしくは死亡させてしまった場合に保険金が支払われる保険です。あくまでも他人の人身傷害に対する保険なので、加害者側である運転者自身に対しては補償されません。
また、損害を与えた相手が自分の親や配偶者、同居している子供など、「他人ではない」場合にも適用されません。

<対人賠償保険で補償されない人の例>

  • 記名被保険者
  • 契約車両(バイク)の運転者、その父母・配偶者・子供
  • 被保険者の父母・配偶者・子供
  • 被保険者の業務に従事中の使用人
対人事故を起こした場合、まず自賠責保険の範囲内で保険金が支払われますが、対人事故の賠償額は、場合によっては非常に高額になります。治療費や入院費だけでなく、仕事を休んだことによる損害や、精神的損害による慰謝料も加算されますし、死亡したり後遺障害が残ったりした場合、事故に遭わなければ得られるはずだった将来的な利益である「逸失利益」も加算されます。
そのため、被害者が若年者だったり高額所得者だったりすると、その額は数億円に達することも珍しくありません。

■死亡・後遺障害の高額賠償額の例

賠償額

損害

被害者

5億2,853万円

死亡

41歳男性、眼科開業医

4億5,381万円

後遺障害

30歳男性、公務員

4億5,375万円

後遺障害

50歳男性、コンサルタント

4億5,063万円

後遺障害

19歳男性、大学生

4億3,961万円

後遺障害

58歳女性、専門学校教諭

※損害保険料率算出機構「2022年度 自動車保険の概況

こうした事態に備えるために多くの保険会社では、対人賠償保険の保険金額が「無制限」となっているケースが多くなっています。

対物賠償保険

対物賠償保険は、契約車両(バイク)に乗った際に起こした、モノに対する損害を補償する保険です。対物損害への補償は自賠責保険にはついていないので、いざというときのために必要であるといえるでしょう。
対人賠償保険と同様に、対物賠償保険は加害者側である運転者自身の場合や、損害を与えた相手が自分の親や配偶者、同居している子供など「他人ではない」場合には適用されません。

対物賠償保険が適用されるケースには、他人のバイクに接触して転倒させ、傷をつけたり、単独事故で車体が道路沿いに店舗に突っ込み、店舗が休業を余儀なくされたりしたということが考えられます。また、バイクで転倒して散歩中のペットにケガをさせてしまったという場合にも、対物賠償保険が適用されます。

搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険は、契約車両(バイク)の搭乗者、つまり運転者と二人乗りしている場合はその同乗者が、事故によってケガを負ってしまった、もしくは死亡してしまった際に補償される保険です。相手のある事故でも自損事故でも保険金が支払われます。

搭乗者傷害保険は人身傷害保険とは異なり、ケガの部位や程度などによって、支払われる保険金額があらかじめ決められていますそのため、治療にかかったりした費用がそのまま補償されるというわけではありません。また、後述する人身傷害保険といっしょに契約していた場合には、これら2つの保険から保険金が支払われます。

人身傷害保険

人身傷害保険は、搭乗者傷害保険と同じく、契約車両(バイク)の搭乗者が事故によって死傷した場合に補償される保険です。人身傷害保険では過失割合にかかわらず、設定した保険金額の範囲で実際にかかった治療費などの損害額が補償される点が、搭乗者傷害保険との違いです。

人身傷害保険には、記名被保険者とその家族が、契約車両(バイク)の搭乗中以外の交通事故によってケガを負ってしまった、もしくは死亡してしまった際にも補償されるタイプもあります。このタイプの人身傷害保険に入っていれば、バイク保険に契約していないバイクに乗っていたときや、歩行中に事故に巻き込まれてケガをした場合にも、人身傷害保険は適用されます。

自損事故保険

自損事故保険は、単独事故によるケガや死亡に対する損害を補償する保険です。運転者と搭乗者に適用されます。例えば、交差点やカーブを曲がりきれずに転倒したというようなケースでは、賠償請求する相手がいませんから、治療費は自腹になってしまいます。そこを補償するのが自損事故保険というわけです。

なお、自損事故保険も搭乗者傷害保険と同じく、ケガの部位や程度などによって保険金の額が決められています。人身傷害保険に加入している場合には、補償内容が重複するため、自損事故保険に加入する必要はありません。

無保険車傷害保険

無保険車傷害保険は、相手のある事故で、自分自身が後遺障害を負ってしまった、もしくは死亡してしまった際、相手側に賠償責任があるにもかかわらず、相手が任意保険に加入していなかったなどの理由のため、十分な補償が行われないという場合に適用される保険です。

無保険車傷害保険では、相手の自賠責保険で支払われる分を差し引いた金額が支払われます。また、人身傷害保険にも加入している場合、人身傷害保険の保険料が優先的に支払われます。

車両保険

車両保険は、事故や災害、いたずらなどによって自分のバイクが受けた損害を補償する保険です。あらかじめ設定した金額を上限として、その範囲内でバイクの修理費用が支払われます。
バイクの車両保険は、保険会社によって取り扱いがなかったり、どこまで補償するかが異なったり、「◯万円までは保険で補償しない」と免責金額が設定されたりしています。ですから、車両保険に加入する場合には、どのような補償内容なのかを十分にチェックし、比較検討することが大切です。

また、多くの場合、自動車と違ってバイクの車両保険は盗難による損害を補償しません。バイクは自動車に比べて盗難率が高いためです。盗難に対する補償をつけたい場合には、盗難保険への加入をおすすめします。

バイク保険の主な特約

バイク保険の主な特約

バイク保険には、基本となる各種保険と並んで、オプション商品ともいえる「特約」があります。ここからは、バイク保険に付帯できる主な特約をご紹介します。

対物超過修理費用特約

対物超過修理費用特約(対物全損時修理差額費用)とは、バイク事故によって相手の自動車の修理費用が時価額を上回り、対物補償保険から出る金額を超えてしまった場合に、その超過分を補償してくれる特約です。法律上では、時価額以上の修理費用を支払う必要はないのですが、相手とトラブルになるケースもあるため、このような特約があります。

例えば、市場において高値で取引されている希少車と呼ばれる自動車に事故によって損害を与えた場合を考えてみましょう。対物補償保険で支払われる保険金は、対象となるモノの時価額が限度になります。しかし、こうした希少車は、販売から数十年が過ぎている場合、時価額が市場価格よりもはるかに低く見積もられてしまいます。
そのため、こうしたケースでは、対物補償保険では修理代をまかなえないということが起こりうるのです。その超過分をカバーしてくれるのが、対物超過修理費用特約となります。

弁護士費用等補償特約

相手があるバイク事故の場合、交渉を弁護士に依頼せざるをえないケースもあります。その弁護士費用を補償するのが、弁護士費用等補償特約です。
自分に責任がない事故では、弁護士法の定めにより保険会社が示談の代行を行うことができません。示談交渉は個人でもできますが、交渉相手は保険会社や弁護士といった法律のプロとなるので、弁護士に委任したほうが、安心して交渉を行うことができます。

他車運転特約

他車運転特約とは、他人から借りたバイクで事故を起こしたときの損害を補償してくれる特約です。自動車の「ドライバー保険」と似たものといえます。借りたバイクで事故を起こしたときには、自身が加入している他車運転特約から保険金が支払われます。

なお、ここでいう「借りたバイク」とは、一時的に借りている状態のバイクのことです。日常的に借りているバイクや、レンタルバイクの場合、保険会社によっては適用対象外となる場合もあるので、加入前には適用条件を確認するようにしましょう。

被害者救済費用補償特約

被害者救済費用補償特約は、契約しているバイクの欠陥などによって人身・物損事故が起こった場合、被害者を救済するための費用が支払われる特約です。

交通事故は運転者の操作ミスばかりでなく、バイクの欠陥によって起こる場合もあります。こうしたケースでは相手に損害を与えたとしても、運転者には法律上の賠償責任はありません。ですがそれでは、損害を受けた相手はどこからも補償を受けられないということになりかねません。そうした事態を避けるための特約です。

原付の場合はファミリーバイク特約もひとつの選択肢に

原付の場合はファミリーバイク特約もひとつの選択肢に

自動車を所有していて、さらに125cc以下のバイクを持っている人は、自動車保険の「ファミリーバイク特約」に入ることでバイクに補償をつけることができます。

ファミリーバイク特約とは、バイクの保険ではなく、自動車保険につけられる特約です。自動車保険にこの特約をつけると、契約者が所有する125cc以下のバイクに、対人補償、対物補償、人身傷害補償をつけることが可能です。
1つの家庭で2台以上の125cc以下のバイクを所有している場合でも、すべてのバイクが補償対象となります。

バイク保険が必要な理由

前述したとおり、バイク保険の普及率は自動車と比べて低く、対人補償、対物賠償で半数以下にとどまっていますが、万一の事態に備えるためにバイク保険に入ることをおすすめします。ここでは、バイク保険が必要な主な理由を紹介していきます。

バイクはケガや死亡のリスクが高い乗り物である

バイク保険が必要な理由として最初に挙げられるのは、バイクは運転者や同乗者のケガや死亡のリスクがとても高い乗り物だということです。走行中は常にバランスをとっていないと安全に走れませんし、強い横風などの外力によって、車体がふらつくこともあります。

自動車のようにボディで守られておらず、シートベルトもないバイクでは、搭乗者を守るものはヘルメットくらいしかありません。そのため、転倒してしまうと体が投げ出され、骨折などの大きなケガにつながりやすく、状況によっては命の危険も伴います。
運転操作を誤って転倒してしまった場合でも、治療費をまかなえるだけの保険をつけておけば安心です。

自賠責保険だけでは補償が不十分な可能性がある

「自賠責保険があるから、これ以上の保険はいらない」と考えている人は、意外と多いかもしれません。ですが、自賠責保険は「他人に与えた対人損害」しか補償されず、その金額も傷害で120万円、死亡で3,000万円、後遺障害で4,000万円が限度です。これでは、事故への備えとしては十分ではありません。

しかも、自賠責保険では、運転者や同乗者のケガは補償されません。また、物的損害も補償対象外です。こうしたことを考えると、自賠責保険に加えて、さらに補償の厚いバイク保険を用意しておく必要があるといえます。

損害賠償金が高額になる可能性がある

人身事故を起こすと、予想外の高額な賠償金を請求されることがあります。1億円、2億円という賠償金となった場合、多くの人は、そのお金を用意するのは難しいのではないでしょうか。それでも、賠償責任は果たさなくてはなりません。
そのような事態になったときのことを考えると、バイク保険に入ったほうが安心といえるでしょう。

事故相手に賠償能力がない可能性がある

事故は、起こしたくて起こす人はいません。ですが、どんなに自分が気をつけていても、事故に巻き込まれてしまうことはあります。いわゆる「もらい事故」です。
こちら側に過失がなければ、受けた損害は相手がすべて賠償することになりますが、もしも相手が自賠責保険以外の保険に加入していなかったら、十分な補償を受けられない可能性があります。自衛の意味でもバイク保険への加入は必要だといえます。

バイク保険の選び方

バイク保険の選び方

バイク保険に加入したいと思っても、「どの保険会社を選べばいいの」「どんな保険に入ればいいの」と悩む人も多いのではないでしょうか。最後に、バイク保険の選び方について解説していきます。

自分に合った補償内容かどうか考える

まずは、バイク保険の補償内容をよくチェックして、自分に合ったものか検討しましょう。
対人賠償保険、対物賠償保険は、事故による補償額が高額になる可能性があることを想定して、できれば両方とも無制限に設定するのがおすすめです。バイクが中古車であれば、時価額はさして高くないでしょうから、車両保険に入らないというのもひとつの手です。

充実したロードサービスを受けられるかどうか考える

バイクは事故を起こしてしまうと、ハンドルやフロントフォークが曲がったり、ステップやヘッドライト、ウィンカーが破損したりして、走行不能になることが多くなります。そんな場合に備えるために、充実したロードサービスが受けられるかどうかも、バイク保険を選ぶ際に重要なポイントです。

ロードサービスの内容は、保険会社によって違います。ですからバイクの搬送だけでなく、バッテリー上がりやガス欠などにも対応しているかどうか、確認しておきましょう。特に、ツーリング好きの人であれば、全国をカバーするロードサービスを持つ保険会社がおすすめです。

代理店型とダイレクト型のどちらが良いか

バイク保険は契約の仕方によって、担当者と対面して契約する「代理店型」と、電話やネットで契約する「ダイレクト型」(「通販型」とも呼ばれる)の2種類に分けられます。
代理店型は、保険のプロである担当者に直接相談できますから、自分にマッチした保険を組み立てられるというメリットがあります。一方のダイレクト型は、代理店を介さないためにコストを圧縮できるので、その分保険料が安い傾向があることがメリットです。

補償内容は保険会社によって違いがありますが、代理店型かダイレクト型かで変わるということはありません。じっくり相談して決めたいなら代理店型、出費を少しでも抑えたいならダイレクト型のバイク保険がおすすめです。

複数の保険会社から見積もりを取る

保険会社はどこでも同じではありません。補償の内容や保険金の支払い条件、サービスの内容など、細かな部分にさまざまな違いがあります。ですから、バイク保険に加入するときに重要なのは、自分に必要な補償内容を決めておき、複数の保険会社から見積もりを取ることです。そうすれば、保険会社それぞれのサービス内容や保険料を比較できますし、その中から自分にマッチした保険を選ぶことができます。
それぞれの保険会社から個別に見積もりを取れば、詳しい条件を設定することができ、一括で複数の保険会社の見積もりを取れる比較サイトなどを活用すれば、比較的手軽に情報を集められます。

バイク保険で、安心のバイクライフを楽しもう

バイクの免許を取るために教習所に通ったり、バイクを買い換えようとしたりしているときには、事故を起こすことなど、考えたくないかもしれません。転倒がつきものともいわれるバイクは、ケガや死亡のリスクの高い乗り物です。だからこそ、万一への備えは十分にしておくことが重要になります。
補償の厚いバイク保険があれば、いざというときでも安心です。自分自身にマッチしたバイク保険を選び、安全で自由なバイクライフを存分に楽しみましょう。

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