バイク保険(任意保険)は無駄?その必要性を解説
ここでは、バイク保険の必要性に加え、バイク保険の補償内容と、バイク保険を安く抑える方法について解説します。
バイク保険の普及率はどのくらい?
損害保険料率算出機構が発表しているデータによると、2022年3月末での二輪車と自家用普通乗用車の任意保険の普及率は下記のとおりでした。
■二輪車と自家用普通乗用車の任意保険の普及率
対人賠償保険 |
対物賠償保険 |
搭乗者傷害保険 |
人身傷害保険 |
車両保険 |
|
二輪車 |
45.9% |
46.9% |
26.6% |
16.4% |
2.1% |
自家用普通乗用車 |
83.3% |
83.2% |
29.5% |
82.3% |
63.2% |
対人賠償保険、対物賠償保険を見ると、自家用普通乗用車が80%以上の普及率となっているのに対して、二輪車は約46%です。このデータを見ても、バイクは転倒によるケガのリスクが高いにもかかわらず、「バイクに任意保険は必要ない」と考えている人は、乗用車に乗る人に比べ多いといえます。
バイク保険の必要性
バイクはケガや死亡のリスクが高い乗り物である
また、自動車とは違い、搭乗者を囲む車体やシートベルト、エアバッグがなく、バイクの運転手の身を守るのは、せいぜいヘルメットやジャケット、グローブ、ブーツくらいです。ある程度の速度で衝突・転倒すれば、そのまま体が投げ出されてしまいますから、大きなケガを負う危険が高く、場合によっては命にも関わります。
こうしたリスクに備えるには、十分な補償内容を持つバイク保険が不可欠といえるでしょう。
自賠責保険だけでは不十分な可能性がある
まず自賠責保険は、「他人に与えた人的損害」しか補償されません。ですので、事故によって自分がケガを負っても、自分の人的損害は自賠責保険の補償対象にはなりません。
さらに、物的損害の補償は適用外です。事故によって「ケガはさせなかったが、相手の車のボディをへこませてしまった」という場合は、自賠責保険の保険金は下りません。
このように、自賠責保険が補償する範囲はそこまで広くはないのです。
損害賠償金が高額になる可能性がある
■死亡・後遺障害の高額賠償額の例
賠償額 | 損害 | 被害者 |
5億2,853万円 | 死亡 | 41歳男性、眼科開業医 |
4億5,381万円 | 後遺障害 | 30歳男性、公務員 |
4億5,375万円 | 後遺障害 | 50歳男性、コンサルタント |
4億5,063万円 | 後遺障害 | 19歳男性、大学生 |
4億3,961万円 | 後遺障害 | 58歳女性、専門学校教諭 |
しかし、自賠責保険の補償額は、傷害の場合で最高120万円、死亡の場合で最高3,000万円、後遺障害の場合で最高4,000万円が限度となっています。自賠責保険だけしか加入していない状態では、例で挙げたような、高額な賠償金を請求されたとき、その差額は自分で支払う必要がありますが、多くの人にとっては、かなり難しいのではないでしょうか。
こういった事態を避けるためにも、バイク保険への加入が必要になります。
事故相手に賠償能力がない可能性がある
前述したとおり、対人賠償保険と対物賠償保険の加入率は自家用普通自動車で約83%、二輪車で約46%です。つまり、自動車のおよそ6台に1台、バイクのおよそ2台に1台が、対人賠償保険・対物賠償保険に未加入であり、賠償能力が十分でないといえるでしょう。
ですから、自衛の意味でも、バイク保険への加入は必要であるといえます。
バイク保険の補償内容
いずれのバイク保険も細かい規定が多いので、実際に契約する際にはきちんと確認することが大切です。
■バイク保険の主な補償と特約
名称 | 補償内容 |
対人賠償保険 | 他人に人的損害を与えた場合に使われる保険。運転者と同乗者には適用されない。損害を与えた相手が家族の場合も適用外。 |
対物賠償保険 | 他人のモノに損害を与えた場合に適用される保険。運転者と同乗者には適用されない。損害を与えた相手が家族の場合も適用外。 |
搭乗者傷害保険 | 運転者と同乗者の人的損害を補償する保険。ケガの部位や程度などによって、支払われる保険金が規定されている。 |
人身傷害保険 | 運転者(記名被保険者)とその家族が受けた人的損害を補償する保険。過失割合に影響されずに補償される。 |
自損事故保険 | 相手のいない自損事故による人的損害を補償する保険。傷害の部位と程度によって、支払われる保険金が規定されている。 |
無保険車傷害保険 | 事故の相手がバイク保険未加入だったりバイク保険が使えなかったりした場合、本来なら相手が支払うべき賠償金額を補償する保険。 |
車両保険 | 自分のバイクの損害を補償する保険。事故だけでなく、災害やいたずらによる損害も含まれるが、例外規定もある。 |
対物超過修理費用特約 | 相手の車の修理費が時価額を超えた場合、その超過分を補填する特約。年式の古い車や希少車などに損害を与えた場合などに有効。 |
弁護士費用等補償特約 | 事故相手との示談交渉を弁護士に依頼した場合、その関連費用を補償する特約。 |
他車運転特約 | 他人から借りたバイクで事故を起こした場合、その損害(対人・対物)を補償する特約。ただし、日常的に借りているバイクは適用外。 |
被害者救済費用補償特約 | 運転者の過失ではなく、バイクの欠陥などによって事故を起こし、他人に損害を与えた場合、被害者救済のために保険金が支払われる特約。 |
バイク保険の保険料を安く抑えるには?
とはいえ、安心してバイクを走らせるには、やはりバイク保険に加入しておきたいところです。ここでは、バイク保険の保険料を安く抑える方法をいくつかご紹介します。
自分に合ったバイク保険なのか確認する
ですから、検討しているバイク保険がどのような内容で、どこまで補償されるのか理解した上で、自分に必要なものかどうかを見極めましょう。
また、一度バイク保険に加入したとしても、環境や状況の変化に合わせて、定期的に内容を見直していくことも大切です。例えば、年齢条件です。バイク保険には運転者の年齢に合わせて「年齢を問わず補償」「21歳以上を補償」「26歳以上を補償」などと、バイク保険適用の年齢条件が設定されています。
契約当時が19歳であれば「年齢を問わず補償」となりますが、21歳の誕生日を迎えたなら「21歳以上を補償」に切り替えると、保険料を安くすることが可能です。そのほか、バイクの使用目的や年間の予定走行距離、免許証の区分などによって、保険料を安く抑えられます。
このように、バイク保険はその内容が自分にマッチしているか、常にチェックしておくことが大切です。
ダイレクト型のバイク保険にする
代理店型は、保険代理店が保険会社のあいだに入って契約するスタイルです。一方のダイレクト型は、通販型とも呼ばれ、保険会社のWebサイト上で保険契約を行います。
代理店型のバイク保険は、自分にはどのようなバイク保険が合っているのか、対面で保険のプロである担当者に直接相談することが可能です。
一方のダイレクト型は、代理店を通さないため中間コストを圧縮でき、その分保険料が割安になる傾向があります。契約にあたっては、バイク保険についてある程度の知識が必要になりますが、そこをクリアできれば、保険料を安く抑えることが可能です。電話相談など直接問い合わせ可能な保険会社もあるので、そうしたサービスを活用するのもいいでしょう。
複数の保険会社から見積もりを取る
それぞれの保険会社から個別に見積もりを取れば、詳しい条件を設定することができ、一括で複数の保険会社の見積もりを取れる比較サイトなどを活用すれば、比較的手軽に情報を集めることが可能です。
キャンペーンや割引特典を活用する
特にダイレクト型のバイク保険は、「ネット割」などの名称で保険料の割引を行う保険会社もあるのでチェックしてみましょう。
等級アップを意識した安全運転を行う
つまり、事故を起こさず、バイク保険を使うことがなければ、毎年等級が上がって保険料が安くなっていくのです。
すぐに保険料を安くできるわけではありませんが、事故は起こさないに越したことはありません。安全運転を心掛けていれば事故を避けられるだけでなく、保険料を安く抑えることもできるのです。
バイクに乗らない期間はバイク保険を中断する
前述のとおり、バイク保険は使わずにいると年々等級が上がり、保険料が安くなります。ですが、途中で解約してしまうと、せっかく上がった等級が無駄になってしまいます。そのため、「一時的にバイクを降りるけれども、何年かしたらまた乗りたい」という人のために、バイク保険には「中断」という制度が設けられているのです。
バイク保険を中断したい場合、保険会社に申請を行います。一定の条件を満たしていれば保険会社は中断証明書を発行します。この証明書があれば最長10年まで、それ以前の等級を引き継ぐことが可能です。
原付の場合はファミリーバイク特約を利用する
ファミリーバイク特約は、自動車保険に付帯できる特約で、125cc以下のバイクに、対人補償保険、対物補償保険、人身傷害保険をつけることができるというものです。2台以上の125ccバイクを所有している場合でも、すべてが補償対象になりますから、お得であるといえます。自動車と原付バイクの両方を所有している人にはおすすめの方法です。
バイク保険は無駄なく効率的に選ぼう
とはいえ、バイク保険にもさまざまな補償内容がありますから、闇雲に付帯すればいいというものでもありません。大切なのは、保険会社各社のバイク保険をじっくり見比べて、自分に必要な保険を効率的に組み合わせることです。
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