2012年06月05日 12時06分
<『みんなの家庭の医学』おさらいニュース>老け顔の人は早死にする危険性が高い!?
シミ、口元のたるみ……老化現象の原因には食材にもあった?!
目尻のしわ、ほうれい線、口元のたるみ…。そんな老化現象に、糖とたんぱく質で生成される物質“AGE(エージーイー)”が深く関わっていることが近年の研究で明らかになった。AGEは体内で生成されるだけでなく、身近な食材や調理法によって増加するという。今回の“おさらいニュース”は、「老化」がテーマ。今日から実践できる老化を早める物質「AGE」を溜めない方法を紹介する。
■“老け顔”の人は体の中まで老けている?
「全身の老化を早めるのは、体の中に老化物質AGEと呼ばれるものが溜まっているからだと思われます」と説明するのは老化研究の第一人者である久留米大学医学部・山岸昌一教授。「人間の体には細胞と細胞をつなぐ重要なたんぱく質・コラーゲンが存在します。しかし、食事の摂りすぎや運動不足などで血液中の糖分が余ってしまうと、糖分がコラーゲンにくっついて、AGEに変化してしまうのです」。
コラーゲンなどがAGE化すると、しわやシミ、たるみなどができ、老化が加速。コラーゲンは皮膚だけでなく、骨や内臓など全身にあるため、顔が老けている人は全身が老けている可能性があるのだ。特に恐ろしいのは血管にAGEができる場合。コラーゲンで覆われている血管の内壁がAGEになると、血管壁が硬くなり(=動脈硬化)、脳梗塞や心筋梗塞を発症しやすくなる。
■身近な食材にAGEが… 調理法によって増加する可能性も
AGEは体内で生成されるだけでなく、私たちの身近な食材にも初めから含まれている。AGEが比較的少ないのは牛乳や野菜類。多いのはバターやチーズなど脂肪分が豊富に含まれている食べ物だという。食品に含まれる量はさほど多くないので神経質になる必要はないが、注意すべきは調理法。AGEが少ない食材でも、調理法によって増加させてしまうケースが報告されている。
AGEが多くなりやすいのは、「揚げる」「焼く」といった調理法。“高い温度で調理する”“油を使用する”“油の量が多い”のほか“調理時間が長い”ことが原因として考えられる。AGEをなるべく増やさない調理法は、「ゆでる」や「蒸す」。ただ、油で揚げたり長時間しっかり焼いたりする調理法にも食欲増進や食中毒予防などのメリットがあるので、あくまでバランスのよい調理法を心がけることが大切だ。
■血糖値を上げないライフスタイルを意識して
糖は人間が生きていく上で必要不可欠な栄養素。そのため、全く摂取しないわけにはいかない。しかし日頃の心がけ次第で糖はコントロールできる。「1日1食はAGEが低い調理法を選ぶこと。あとは、食事は野菜から先に食べる、食後すぐに10分ほど体を動かすことも有効な方法です。そうすることで食後の血液中の糖分の急上昇を防ぎ、結果“AGE化”も防げるでしょう。」と山岸教授。
AGEは体内年齢も見た目の年齢も左右する重要なポイント。いつまでも若々しく元気で過ごすためにも、AGEを溜め込まない食生活やライフスタイルを意識してみよう。