2011年12月21日 10時12分

作家7名がスキャン代行業社を提訴〜東野圭吾氏は“盗む行為”と猛烈批判

スキャン代行の横行と電子書籍の拡大とは別物と語る東野圭吾氏 (C)ORICON DD.inc [拡大する]

スキャン代行の横行と電子書籍の拡大とは別物と語る東野圭吾氏 (C)ORICON DD.inc

 著名作家7名が20日、書籍のスキャン代行業者2社を相手取り、作品複製差し止めを求め訴訟を起こした。同日、都内で行われた会見に登場したのは浅田次郎氏、大沢在昌氏、林真理子氏、東野圭吾氏、弘兼憲史氏、武論尊氏の6名。体調不良で欠席した永井豪氏からもコメントが届き、それぞれが訴訟へ至った心境を真摯に語った。

 書籍データを“自ら”スキャンし、それをデータとして“吸い”上げ個人のスマートフォンやタブレットなどで閲覧する行為は『自炊』と呼ばれ増えている。スキャンするには本の背表紙などの裁断に始まり特別な機材も必要なため、昨年あたりからこの自炊行為を代行するサービス業者が増加。しかし、代行業者は著者の許諾を受けずに作品を複製しており、著作権を侵害しているというのが今回の作家たちの主張となる。

 会見場の隅には実際に裁断された状態の本が積まれ、「作品は血を分けた子供と同然。自分が作りだした本が見ず知らず人の手によっていいようにされ、あずかり知らぬところで利益にされる。裁断された本は正視にたえない」と、静かな口調で憤りを語るのは浅田氏。また林氏も「このような本の無残な姿を見るとは…。本というものの尊厳をこんなに傷つけられる世の中になるなんて」と、苦い思いを明かした。

 会見の後半に取材陣から「そもそも、電子書籍がもっと普及していればこのような事態は起こらなかったのでは?」という声が出ると、電子書籍に積極的な姿勢を持つ大沢氏が回答。電子と紙媒体の健全な発展を目指し「電子書籍事業が出版業界全体にとってプラスに働くために絶対に海賊版の普及を食い止めなければならない。その最も大きなきっかけとなりかねないのがスキャン事業であり、だからこそ重要だ」と明言する。

 この記者の意見に激しい怒りを露わにしたのは、それまで一番口数の少なかった東野氏だ。「このスキャンの問題に関して、個人的には電子書籍と全然関係がないと考えています」とキッパリ。「『電子書籍を出さないから、このような行為が起こるんだ』という言い分があるなら、私はこう言います」と、数秒の沈黙を経て「“売ってないから盗むんだ”こんな言い分は通らない!」と断言し、「電子書籍については、全く別のところで議論すべきだと思っています。また、電子書籍が普及しても、この違法スキャン業者は無くならないと思います」と、猛烈に批判した。

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