【2025年】円安はいつまで続く?今後の見通しと取り入れたい対策
この記事では、2025年にかけての為替の見通しや為替動向のチェック方法、円安対策になる資産運用を紹介します。円安時に効果的な資産運用を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修者 CFP(R)/DCアドバイザー/証券外務員2種 松田聡子
明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。
目次
そもそも円安になる原因は?
現在の円安の主な要因は、日米間の金利差の拡大です。
アメリカでは2022年からインフレ対策として大幅な利上げを実施し、長期金利が4%台で推移しています。一方、日本は低金利政策を継続し、2024年3月にゼロ金利政策が解除されるまでは、長期金利は1%未満に抑えられていました。
この結果、日米の金利差は拡大し、為替相場ではドルを買って円を売る動きが加速して、円安が進行しているのです。
円安には、メリットとデメリットの両方があります。輸出企業にとって製品の価格競争力が高まり、海外での売上増加が見込める点は円安メリットです。また、海外からの旅行者の増加により、観光産業の活性化も期待できます。
しかし、輸入品の価格が上昇し、家計や企業の負担が増加するおそれもあります。特に、原油や食料など輸入に頼っているものが多い日本では、円安による物価上昇の影響を受けやすいといえるでしょう。
円安はいつまで続く?
一般的に為替相場は金利差以外に政治や経済、紛争や自然災害といった世界情勢に影響されるため、短期的な予想も難しいとされています。ここでは、円安が収束する条件や、2025年の為替相場の見通しを解説します。
円安が収束する条件
第一の条件は、アメリカの金融政策の転換です。物価上昇が落ち着き、FRBが利下げに踏み切ると、日米の金利差が縮小に向かう展開が期待されます。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は2024年11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、4.50〜4.75%とすると決定しました。今後もFRBは、段階的な利下げを継続すると見られています。
第二の条件には、日本の金融政策の正常化が挙げられます。日銀による追加利上げの実施が円高方向への転換点となるでしょう。ただし、急激な政策変更は経済に大きな影響を与える可能性もあるため、慎重に進める必要があります。
第三に、日本の貿易収支の改善も期待されます。エネルギー価格の安定や輸出の増加などにより、貿易収支が改善すれば、円需要が高まり、円高につながる可能性があります。
円安の収束には、日本経済の活性化も重要です。構造改革やイノベーションを通じた経済成長、エネルギーの安定供給に向けた取り組みが求められます。
今後も円安が続く可能性は高い
アメリカの景気はリセッション(景気後退)に向かうとの見方もあり、そうなればドル安が進み、円高に転じる可能性も考えられます。
しかし、日銀も大幅な利上げはしないと見られ、日米の金利差がすぐに縮小するとは考えにくい状況です。ストラテジストの予測にもばらつきがあり、2025年の為替相場を正確に見通す難しさが浮かび上がります。
円安・円高を予測するには?
政治をチェック
2024年11月の米大統領選挙ではトランプ氏が勝利しました。トランプ政権下では、財政拡張路線や減税政策の実施が予定されており、これらは円安ドル高の要因となる見通しです。
特に法人税率の引き下げや包括的な追加関税の導入は、為替相場に大きな影響を与える可能性が高いとされています。
また、政治的安定性は為替変動の重要な要素です。政治的に安定した国の通貨は強くなる傾向があり、政情不安のある国の通貨は売られやすくなります。
ニュースや新聞などで政治の動きをチェックし、経済政策や外交問題のような情報を収集すると、為替相場の動向をより正確に予測できるようになるでしょう。
経済状況をチェック
例えば、アメリカで好景気が続いていると判断されると、投資家はアメリカの経済成長に期待してドルを買い、円安ドル高が進みます。
一方、雇用統計が低水準であるなど、アメリカ経済が不景気だと判断されると、ドルが売られて円が買われる傾向があります。
経済指標は相互に関連しており、総合的に判断することが重要です。重要な指標は政府機関や経済団体などから定期的に発表されているので、それらの情報を参考にすると良いでしょう。
投資家たちの心理をチェック
例えば、アメリカの雇用統計が予想を大きく上回った場合、投資家の期待感からドル買いが加速し、それがさらなる円安を引き起こす場合があります。
市場心理を理解することは、為替相場の予測において重要な要素となります。経済指標やニュースなどの情報を常に収集し、市場の動向から市場心理を推測していきましょう。
長引く円安を乗り越える資産運用方法
日本の株に投資する
また、円安によって日本への旅行者が増えたため、観光や小売などのインバウンド関連企業の売上増も見逃せません。これらの企業の株式に投資すると、投資家も円安の恩恵を享受できるでしょう。
投資信託を買う
円安対策として投資信託を活用する場合、外国債券や米国株式を含む商品、または国内の輸出関連企業に投資するファンドがおすすめです。
投資信託は長期投資に向いた運用商品であるため、円安によるインフレが長期化した場合に特に役立つと考えられます。NISAのつみたて投資枠などを利用して投資信託を長期で積み立てていくと、インフレによる価値の目減りから資産を守る効果を期待できます。
外国為替証拠金取引をする
FXの大きな特徴は、円安でも円高でも利益を得られる点です。例えば、円安になると予想する場合は外貨を「買い」、円高になると予想する場合は外貨を「売る」という取引が可能です。具体的には、1米ドル=150円で米ドルを購入し、155円になったときに売れば差額の5円が利益となります。反対に、150円で売って145円で買い戻せば、その差額の5円が利益となる仕組みです。
外国為替証拠金取引は、投資を始める前に取引の仕組みやリスク管理の方法について、十分に理解しておく必要があります。
外貨建てMMFを買う
外貨建てMMFの大きな特徴は、為替差益と分配金収益の両方を期待できる点です。円安が進行した場合は為替差益が得られ、さらに毎月末には分配金が自動的に再投資される仕組みにより、複利効果も期待できます。
特に円安が予想される状況で株式や債券への投資を見送っている人には、有効な選択肢となるでしょう。
外貨預金をする
現在の円安局面では、外貨預金による資産防衛が有効な選択肢となっています。例えば、1米ドル100円で1万米ドル(100万円)を預け入れ、1米ドル120円になった時点で円に戻すと、120万円となり20万円の為替差益を得られます。
ただし、為替レートは日々変動するため、円高に転じた場合は為替差損となるリスクがあります。為替リスクの軽減には、積立投資などがおすすめです。
また、外貨預金は通貨を分散して保有すると、円の価値が下がった場合でも資産全体への影響を抑えられます。特に現在のような円安局面では、インフレから資産を守る手段として注目されています。
円安のタイミングで資産運用する際の注意点
値動きの異なる商品に分散投資する
例えば、株式、債券、REITのような、値動きの特性が異なる資産に分散投資をすると、ある資産が下落しても他の資産で補える可能性が高まります。
特に円安局面では、外貨建て資産と円建て資産をバランスよく保有すると、為替変動リスクを軽減できます。
短期的な利益を狙うのは禁物
円安局面での投資は長期的な資産形成の一環として捉え、定期的な積立投資や分散投資を心がけましょう。急激な相場変動に一喜一憂せず、自身の投資方針に沿って冷静に判断すると、安定した運用につながります。
円安を乗り越える資産運用を検討しよう
円安時の投資には、外貨建て資産への投資や、円安の恩恵を受ける企業への投資といった、複数の選択肢があります。市場の動きを冷静に見極めながら積立投資や分散投資を活用し、自分に合った投資方法を実践していきましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。

監修者 CFP(R)/DCアドバイザー/証券外務員2種 松田聡子
明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。