2013年11月26日 11時00分

<『みんなの家庭の医学』おさらいニュース>痛みの専門医“ペインクリニック”とは?

 全身のあらゆる痛みと向き合い、専門的に治療していく「ペインクリニック」という診療科がある。ORICON STYLEと朝日放送『たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』(毎週火曜午後8時放送)のコラボ企画“おさらいニュース”では、この診療科にスポットを当て、長引く痛みから解放された1人の患者の姿を紹介する。

■抱えた悩みが、目には見えない痛みの原因に!?

 食品メーカーに勤めるYさん(51歳・女性)は、ある日、通勤中に突然、左目の奥に強い痛みを感じる。そこで眼科、歯科、耳鼻咽喉科を巡ったが原因は不明。ひとまず鎮痛薬を処方された。鎮痛薬の服用により痛みは多少改善されたが、それもつかの間。今度は顔の左半分全体に激痛が走った。結局、Yさんは東京慈恵会医科大学附属病院に救急搬送され、そこで脳の腫瘍による神経の圧迫や、脳動脈瘤の可能性なども疑いMRIやCTなど徹底した検査を実施したが、異常がみられなかった。

 そこで、Yさんは同附属病院のペインクリニック 北原雅樹先生(東京慈恵会医科大学附属病院 麻酔科 ペインクリニック 診療部長)の診察を受けることに。北原先生は痛みを軽減する対症療法だけでなく、痛みの原因も見つけ出そうとする一歩進んだ診療に取り組む医師で、「患者さんの“人生の裏側”にこそ痛みの原因がある」をポリシーに掲げている。これまで、20ページに及ぶ問診票などを駆使し、痛みの真の原因を探りあててきた。

 北原先生の診察の特徴は、最初に「痛いところはどこですか?」といった症状を尋ねる前に、「何がお困りですか?」と話しかけること。患者が本当に困っていることを聞きだすことで、目には見えない痛みの原因が見つかるかもしれないという先生独自の診察法だという。

 そして先生は過去の診察記録の全てに目を通し、痛みの原因を推理。丹念な診察の結果、神経に何らかの異常があるかも知れないと推測した。次に、問診票をチェック。ここで北原先生が目を留めたのは家族の構成欄だった。Yさんの家庭は子どもがすでに独立し、旦那と姑の平穏な3人暮らし。しかし、先生は「ご主人は、どういう方ですか?」「ご主人には兄弟はいらっしゃるんですか?」と質問を続け、次第にYさん口から家庭の悩みを引きだした。

■50代以降での帯状疱疹の原因は、主にストレス

 北原先生が注目したのは「顔の神経に異常があること」「家庭生活に悩みがあること」の2つ。そして「Yさんの体には、2、3日後に発疹ができる」と、予言した。2日後、Yさんは予言通りに皮膚に発疹が出現。北原先生は、顔の片側だけに激痛を引き起こした病を「帯状疱疹」と診断した。

 帯状疱疹とは、お腹や胸、顔などの皮膚に帯状の発疹を引き起こす病で、50代から急激に発症率が高くなると言われている。体内の神経節に隠れ潜んでいたヘルペスウイルスが、何らかの原因で活性化し、末梢神経に刺激を与えて激しい痛みを引き起こす。

 Yさんの場合は、顔の三叉神経に眠っていたヘルペスウイルスが活性化し、顔の左半分に激痛が起きた。通常は発疹を伴うが、Yさんのように痛みが先行し、発疹が遅れて出る場合もあるという。50代以上の帯状疱疹の主な原因の1つはストレス。ストレスによって体の免疫機能が低下すると、眠りについていたウイルスが活性化し、激痛を引き起こすのだという。

 なぜ北原先生は顔の激痛を「帯状疱疹」と見抜いたのか? 糸口は問診票の中にあったという。家族構成の記入欄に「本人」と書くべきところを、Yさんは「嫁」と書いていた。この1文字から、北原先生はYさんのこれまでの家庭での苦労を推し量り、激痛の原因が「帯状疱疹=ストレス」だと推測した。

 痛みは体が発するSOSだが、その因果関係が容易に判明する場合もあれば、なかなか分からない時もある。しかし、思わぬところに原因が隠れていることも。頭痛、腰痛、胃痛など、どれも“いつものこと”と放っておかずに、長引く原因不明の痛みがある場合には身近にある「ペインクリニック」を利用するのも手かもしれない。

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