プロ野球満足度、“快挙”のソフトバンクが4年ぶりV 3度目原体制の巨人が大幅上昇

19年シーズン、プロ野球の各球団サービス 総合満足度ランキング (C)oricon ME inc. [拡大する]

19年シーズン、プロ野球の各球団サービス 総合満足度ランキング (C)oricon ME inc.

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開幕日が後ろ倒しとなっている今年のプロ野球。未だ楽観視はできないものの、全国での緊急事態宣言の解除次第で6月19日開幕の動きが見られたり、チームでの練習再開の知らせが届いたりと、徐々に新シーズンへ向けての熱が高まりつつある状況だ。そんななか、日本のサービス業における顧客満足、ロイヤルティの指数化などを研究している慶應義塾大学・鈴木秀男教授は5月、今年で12回目となる『プロ野球のサービスに関する(満足度)調査』結果を発表。昨シーズン、球団初の3年連続日本一に輝いた【福岡ソフトバンクホークス】が、2016年以来4年ぶり2回目の総合満足度1位を獲得し、満足度調査においても強さを見せた。

 同調査は、昨シーズン(2019年)1回以上、ホーム球場で試合観戦をしたことのあるファンに、最も応援するチームについての満足度を調査したもの。設問は5つのサービス品質(「チーム成績」、「チーム選手」、「球場」、「ファンサービス・地域貢献」、「ユニホーム・ロゴ」)からなる「総合満足度」と、「応援ロイヤルティ」、「観戦ロイヤルティ」の3つで構成されている。

◆「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」で、ファン・地域との関係性を強化

 就任5年目となる工藤公康監督のもと、昨シーズンを戦ったホークス。パ・リーグ優勝こそ逃したものの、クライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、見事4連勝で球団史上初の快挙となる3年連続日本一に輝いた。柳田悠岐選手や松田宣浩選手、今宮健太選手など、選手個々人の活躍と団結力による“チームの強さ”はもちろんだが、同球団といえば、従前のボールパークの枠にとどまらない、エンターテインメント性の高いアプローチも支持を集める理由の1つ。

 球団は、18年に創設80周年、19年に福岡移転30周年という節目を迎えるにあたり「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」を発令(※18年4月)。従前のボールパークの枠にとどまらない、非日常・革新的な次世代型の複合エンターテインメントを体感できる空間を、地域一帯となって創出しようとする取り組みで、エキサイティングな演出を実現するための球場改修を行ったり、今年はドーム敷地内にエンターテイメントビル「E・ZO FUKUOKA」が開業予定(時期未定)。

 また、女性ファン向けのイベント「タカガールデー」等の“○○デー”と銘打った取り組みや、毎年デザインされる限定ユニホームをホークス選手が着用し公式戦に臨む「鷹の祭典」の開催。近年は開幕戦も盛大に行われており、19年はゆずのオープニングアクトや平原綾香による国歌独唱、福岡出身の女優・今田美桜が登場しての始球式など、プレイボールの前から球団ファンを大いに楽しませ、また新規ファン獲得へ向けた“接点づくり”にも積極的だった。

 鈴木教授は、「(ホークスは)球場でのファンサービス、地域貢献活動の取り組みも良いとされ、その結果から、チーム・選手の魅力、ファンサービス・地域貢献などが高い評価を得ている。総合力で高水準を維持している」と分析。調査では、「そのチームには独自のスタイル(戦術、チーム方針など)を感じる」「試合時のそのチームの選手のパフォーマンス(得点時やホームランのときのパフォーマンスなど)が良い」「球場のビジョン・音響設備」「球場スタッフの対応」などの設問で特に評価が高く、前回16年調査で総合満足度1位を獲得した際のスコア平均値を上回った(72.59→73.98)。

◆右肩上がりのライオンズ、応援することで得られる「総合生活満足・幸福感スコア」はNo.1

 総合満足度2位は、【広島東洋カープ】(スコア平均値:71.98)。昨年までの3年連続1位から順位を落とす形となったが、その3年間(16年、17年、18年シーズン)は連続でリーグ優勝を果たしていた。今回の調査対象にあたる19年シーズンのカープはセ・リーグ4位という結果で、「逆に言えば、(チームの成績に左右されず)総合満足度の高水準は維持されている」と鈴木教授。「丸(佳浩)選手のFA移籍による影響が心配されたが、鈴木誠也選手、菊池涼介選手らの人気・主力選手が健在であること、球場の要素を含めたファンサービスに対する高評価が、高い満足度を維持する主要因であると考えられる」とコメントしている。サービス品質「球場」を構成する設問群では、最も多く1位を獲得。ファンを飽きさせないグッズ戦略でも知られるカープだが、「ユニホーム」「ロゴ」「グッズ」の設問でも全球団のうち、最高評価となっている。

 続く総合満足度3位には、17年調査(16年シーズン対象)以降、右肩上がりで順位・スコア平均値を伸ばしている(17年:10位/57.55 → 18年:7位/63.39 → 19年:3位/70.95)【埼玉西武ライオンズ】(スコア平均値:71.38)がランクインした。17年シーズンに3年連続のBクラスを脱し、18年、19年シリーズと2年連続でパ・リーグ優勝。ファンの期待に応える反面、2年連続で日本シリーズ進出を逃すなど、ドラマチックな展開を見せているライオンズ。鈴木教授は、決定打に欠ける部分があと一歩「総合満足度が伸びない要因と考えられる」と考察する。

 一方で現在、自然豊かな周辺環境と半ドームという特性を活かした同球団ならではのボールパーク化を目指し、メットライフドーム周辺の大規模改修を展開中(18年6月〜21年3月予定)で、それらが「ファンサービスの高評価につながっている」と鈴木教授。改修はまだ継続中であり、「今後のさらなるファンサービスの向上が期待される」(鈴木教授)と話している。たとえば、「場内の温度」の設問では今回の調査で最下位となっているが、改修によって、そういった部分も改善されるかもしれない。なお、近年さまざまな点で変化・進化するライオンズは、チームの応援を通じたファンの生活満足度・幸福感の度合いの観点から調査すると、全球団のうち最も高い総合生活満足度・幸福感スコア(70.61)を記録している。

◆5年ぶりリーグ優勝を果たした巨人が急上昇、SNS戦略でファンとの新たな接点を創出

 昨年9位から5位へと急上昇したのは、【読売ジャイアンツ】。総合満足度スコア平均値は、56.57から66.19と10ポイント近くアップした。19年のジャイアンツは、原辰徳氏が15年以来3度目(通算13年目)の監督に就任して1年目のシーズン。原体制のもと、主将の坂本勇人選手を筆頭とした粒ぞろいの選手陣らの活躍、古巣に指導者として帰ってきた宮本和知氏、元木大介氏らコーチ陣のサポートによって良質なチームワークが作られ、ジャイアンツは見事5年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。

 回答者からは、「スター選手が常にいて応援のしがいがあるし、試合もレベルが高く面白い」(東京都・男性/45〜49歳)、「チームの成績が上がってきている」(岡山県・男性/35〜39歳)、「面白い試合を見せてくれる」(群馬県・男性/〜19歳)といったコメントが散見され、特に「チームの成績」や「チーム・選手」に対しての満足度が上昇している様子がうかがえる。

 加えて、独自の企画イベントやシートの豊富さなど「ファンサービスが良い」(千葉県・女性/45〜49歳)、「昔に比べて選手を身近に感じるファンサービスが増えた」(東京都・男性/55〜59歳)という点で満足しているという声も。

 ジャイアンツでは、チームや選手により親近感を持ってもらうことを目的に16年3月、公式YouTubeチャンネルを開設。しばらくは模索しながらの運営が続いていたようだが、昨年12月にSNS戦略を担う専門部署として「ブランドコミュニケーション部」を新設したことが契機となり、YouTubeのチャンネル登録者数はプロ野球球団最多の20.2万人。また、Twitterでも46.4万人、Instagramでも35.5万人という数のフォロワーを有している(※20年5月21日現在)。選手やコーチ陣の素顔も垣間見ることができる練習風景や、選手が1対1で顔を突き合わせるトーク企画など、シンプルながら球団の魅力を感じることができる投稿内容で、マスメディアと棲み分けした独自の発信を強化したことが、ファンと球団・選手との距離感を縮めているようだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、プロ野球界では、春季キャンプ等でのファンサービス自粛や練習試合の中止など、従来のようなファンとのコミュニケーションが取りづらい状況に陥っている。そんななか、各球団ではジャイアンツを筆頭にオンラインを介したコミュニケーションを促進したり、交流イベントを企画したりと、新たな手法で関係値を深めている。そういった取り組みが、今後の各球団の満足度、延いては球界全体にどのように反映されていくのか、来年の結果にも注目だ。

【調査概要】
調査テーマ:プロ野球のサービスに関する(満足度)調査
研究者:慶應義塾大学 理工学部 鈴木秀男教授
調査実施日:2020年1月下旬
回答者数:1432名
調査対象:プロ野球球団を応援し、2019年度シーズン中に、1回以上応援するチームのホーム球場で試合観戦をしている方/回答者は、最も応援しているチームのみに対して回答
調査方法:インターネット調査

CS編集部 Facebook オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について