2012年10月13日 10時00分

「ICDAS」導入でむし歯診断が変化〜その内容とは?

87年以降、若い世代の穴があいた状態のむし歯保有率は減少傾向に。穴があく前の初期段階からしっかりケアしよう [拡大する]

87年以降、若い世代の穴があいた状態のむし歯保有率は減少傾向に。穴があく前の初期段階からしっかりケアしよう

 欧米ではすでに導入が進んでいるむし歯の診断基準「ICDAS」(アイシーダス)。現在の日本では歯に穴があいてからむし歯と認識する人が多いが、同基準では穴があく前の初期段階で異常を認識。苦痛を伴う“削る治療”の前に処置を行うこともできるという。日本への導入を目指し今後、積極的に啓発活動を行うとしている同基準について、日本クラフトフーズ主催のセミナーで日本ヘルスケア歯科学会代表の杉山精一氏が語った。

■「ICDAS」とは?

 「ICDAS」とは、むし歯診断の新しい世界基準。元となる「ICDAS 1」が考案された02年から研究を重ね、現在の形になった。特長は、歯の状態でむし歯の進行度を区分するシステム。健全な歯はコード0、目視できる程度にエナメル質が変化している歯はコード1、歯の主体である象牙質が大きく見えてしまっている歯はコード6とし、それぞれに合った治療を行っていく。

■従来の診断との違い

 そもそもむし歯の始まりは、歯からミネラル(リン酸カルシウム)が溶け出し、「ホワイトスポット」という白く濁った病変が表面に確認されたときだが、従来の診断でむし歯とされるのは穴があいた状態になってから。進行度を区分する「ICDAS」を導入すれば、穴があく前の初期段階からむし歯と診断されるようになる。

■穴のあいていないむし歯への対処法

 穴があく前のむし歯に対して、「歯科医による治療のほか自身でのケアも重要」と語るのは、東京医科歯科大学大学院教授の田上順次氏。まずは朝晩2回の歯磨きやデンタルフロスで口内環境を整えることが大切だという。また、フッ素入りの歯磨き粉やCPP-ACPなどの再石灰化成分が配合されたシュガーレスのガムなどで唾液の質を高め、食べ物をよく噛んで唾液の量を増やすことも効果的だとか。セルフケアと「ICDAS」により、歯は削らずに回復させるという治療法が浸透する日も近いかもしれない。

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