カラオケ店人気ランキング! “プチ贅沢”が高評価
全国カラオケ事業者協会によると、カラオケ市場は1996年をピークに緩やかに減少を始めたが、近年は微増かほぼ横ばいが続いている。ソーシャルメディアやスマートフォン(以下、スマホ)の普及で、若者のカラオケ離れも指摘されている。その結果、新宿などのカラオケ激戦区では低価格化が進み、価格競争でカラオケ事業者の収益が低下、閉店する店も増えている状況だ。
料金よりも施設や飲食を重視する傾向
評価項目の得点は利用者ニーズに基づく重要度(ニーズ)を掛け合わせて算出している。
第2位のコート・ダジュールは「プランの充実度」がトップとなったほか「施設の清潔さ・雰囲気」「施設の充実度」などが高い評価を受けている。
第1位のカラオケ パセラと第2位のコート・ダジュールを比較したものである。
ランキング上位のカラオケボックスは低料金を売りにしてはおらず、むしろ高級志向だ。一方、低料金のカラオケボックスはランキング上位には入っていない。コストパフォーマンスの評価が決して「安ければいい」のではなく、多少高くても施設、飲食、スタッフの対応など中身を重視していることの現われだろう。
カラオケ本来のアミューズメント志向が強まる
パセラはまさに“アミューズメント性の追求”の先頭を走っている。パセラを運営するニュートンは、ウエディング、レストラン、ホテル、パーティーなどの複合化を進める「マルチプレックス・アミューズメント構想」の下、連動性のある事業を目指している。同社によれば「先回りしてかゆいところに手が届くような『お客様の神様になる!』ことをモットーにしている」という。
インドネシア・バリ島の直輸入の素材を用いた「モダンアジアンリゾート」をコンセプトとした店作り、レストラン経営のノウハウを活用した本格的な食事、接客に力を入れている。注目すべきは「お味保証制度」である。ユーザーが「まずい」と思えば、「お客様ご意見カード」に記入してもらい、指摘されたメニューの代金は後日返金するというものだ。また、独自のカラオケシステムを構築し、全13機種150万曲という世界最強の楽曲を楽しめる。
特定の年代層をターゲットとしているわけではないが、ママのためにキッズスペースを設置し、ママたちだけでカラオケを楽しめるように工夫を凝らしている。また、女子会向けに店舗限定スイーツや低糖質のケーキ、ティラミスなどを提供する「LOCABO(ロカボ;低糖質)女子会コース」にも力を入れている。
カラオケを盛り上げる仕掛けが豊富であるか
本格的な料理、豊富なドリンク、パーティーコースに注力し、室料込みのランチセットやディナーセットなど多彩なプランを設けている。また、特徴的なのが様々なタイプのルームだろう。子ども用遊具などもあるファミリールームをはじめ、パーティールーム、ちょっとゴージャスなグレースルーム、ライブ感溢れるLIVEルーム、舞台に立った気分になれるステージルームから女子会向けのルーム、カップル向けルームなど実に多彩だ。
顧客満足度調査では、回答者のフリーアンサーも収集しているが、パセラで目立つのはこんな回答だ。
「曲数が多い。メニューも多くて味がいい」
「トイレがきれい」
「清潔で、スタッフの対応もよく、フードやドリンクがおいしいくて、パセラでしか食べられない特別感がある」
「他の店にはない華やかな雰囲気がよかった」
きれい、清潔、特別感、おいしい、スタッフ対応、そして曲数の豊富さを支持する声が多い。
コート・ダジュールについては「小さな子どもがいるのでファミリールームがあるし、おいしくて種類がたくさんあるドリンクバーがよかった」「清潔でほどよい広さの部屋がよかった」「ドリンクや料理が豊富。女性にはおすすめ」「店員さんの言葉づかいなど対応が丁寧でよかった」など、ルーム、食事、ドリンクバー、スタッフ対応を褒める声が多い。
女性に好かれる店づくりにできるかがカギ
「他の部屋の内容が聞こえる」
「トイレが近くて、部屋が臭い」
「足下にごみが散乱し、部屋が汚すぎる」
「部屋がたばこ臭い」
次いで、「店員の態度が悪い」「店員が全員茶髪で不潔だ」「店員の表情が明るくない」。3番目が料金で、他より高いことを指摘する声もあるが、料金システムのわかりにくさ、料金プランの不充分さなどが不満の元になっている。その次にトイレの汚さ、臭さ、暗さに関するコメントが多かった。
ポジティブとネガティブのコメントの違いを見れば明らかであり、料金が安くても不潔、不親切、不備な店は支持されない。それより料金がやや高めであっても、ユーザーは“プチ贅沢”を求めている。そして、ポジティブもネガティブも、これらのコメントは女性の視点によるものが多いことは見逃せない。今後、カラオケボックスは女性に好かれる店作りがさらに必要なようだ。また、カラオケボックスという既成概念にとらわれない新たなサービスによる生き残り競争が激しくなるだろう。
(執筆:四つ葉経済記者会 ジャーナリスト 吉村克己)