格安スマホ、「買い」を探すならココを比べよ 顧客満足度首位のあのブランドは何が違う?
オリコン日本顧客満足度ランキングが先日発表したMVNO利用実態調査によると、今後ますます成長が予想されるこの市場で、面白い「兆候」が見られた。1年前に参入したばかりのニフティが、先行組を押しのけ、利用者の満足度で首位となったのだ。
新規参入業者がいきなり首位に躍り出たのには、いったいどんな理由があったのだろうか。以下、調査を詳しく分析していきたい。
利用者が重視する項目として挙げている「料金プラン」「コストパフォーマンス」「加入手続き」「通信速度・安定性」の4項目で、NifMoはいずれも首位を獲得。先行組を驚かせることとなった。
しかし、競合MVNOもほぼ同じ端末を扱っているうえ、実際の速度面ではビッグローブが勝っているというコメントも寄せられている。それにもかかわらず、なぜここまで圧倒的な差がついたのだろう。その背景には、MVNO市場が抱える「問題」と「可能性」の両方が見え隠れする。
NifMoは昨年11月、ほかの主要MVNOと同様にNTTドコモの回線を借りて始まったサービス。2ギガバイトまでのデータ制限なら月額900円(税別)、富士通の最新モデル「arrows M02」が一括払いで3万3334年(24回払いは月1389円)だ。実際、料金プランは他社と大差がない。
ただ、独自サービスの「NifMoバリュープログラム」に加入するとこれが変わってくる。購入時にインストールされているアプリを使い、NifMoと提携するサイト・店で買い物したり、食事したり、さらにアプリをダウンロードすることでポイントが貯まり、月額料金から割り引かれるのだ。
たとえば、提携レストランで1万円の食事をして20%のポイント(店により付与率は異なる)がもらえる場合、16ギガバイトのスマホの月額料金2980円から2000円が割り引かれ、わずか980円の支払いで済む。ポイントが月額料金以上貯まると、当月が無料になり、残りは翌月の割り引きに繰り越される仕組みになっている。
「通信速度・安定度」でNifMoがダントツの首位だったのも、独自サービスの公衆無線LAN「NifMoコネクト」が勝因になっているだろう。これは全国で無料の公衆無線LANを使うことができるほか、アンドロイドスマホ向けには無料のコネクト専用アプリを用意しており、自宅のWi−Fiと公衆無線LAN、モバイル回線を自動的に切り替えてくれる。
ただ公衆無線LANという点ににおいては、2位だったBIGLOBE?LTE・3GはLANの接続ポイントが7万7000カ所とMVNOで最多を誇っている。これでは一見、首位のNifMoと10ポイント近い差がついた理由がわかりにくいのだが、実は「契約数の違い」に注目すると納得がいく。
投資を抑えたいMVNO業者にとって、これがいちばんの悩みの種。安値競争で顧客獲得は可能だが、利用者が増えれば増えるほど、今度は通信速度に不満を抱いた利用者が逃げてしまいかねないのだ。
しかしニフティにもいずれ、ビッグローブと同じ状況がやってくると予測できる。今後は利用者の増加に応じて周波数幅を積極的に増やしていけるかどうかが、顧客満足度を維持・向上するためのカギになるだろう。
総務省は携帯電話料金引き下げを検討する一方、MVNOの普及・競争促進の方針も示しており、携帯電話市場に占めるシェアは今後2割程度にまで膨らむと予想している(総合通信基盤局)。
しかし、現行キャリアの携帯電話に低料金プランが導入されれば、低価格だけを武器にしている業者は淘汰されることが予測できる。利用者の満足度を高める独自サービスで一挙にメインプレーヤーになれる可能性を秘めつつも、過不足のないインフラ投資を継続できるかどうかが、優勝劣敗の分かれ道となりそうだ。