バイクの自賠責保険とは?保険料や補償範囲など基礎知識を解説

バイクの自賠責保険とは?保険料や補償範囲など基礎知識を解説

バイクの自賠責保険は、乗車中の事故で他人にケガをさせたり、死亡させたりした場合の補償です。強制保険ともいわれ、バイクに乗る人は必ず自賠責保険に加入しなくてはなりません。万が一、自賠責保険に加入せずに事故を起こすと、自己負担金額は膨大になります。また、事故を起こさなくても、未加入での運転が発覚した場合には法律で罰せられるほか、道路交通法違反により即免許停止処分となるため注意が必要です。
本記事では、バイクの自賠責保険について、保険料や補償範囲、支払方法などについて解説します。

自賠責保険は加入が義務付けられた保険

自賠責保険は、法律により加入が義務付けられている保険です。車と同じく、バイクや原動機付自転車(原付)に乗る場合も必ず加入する必要があります。

自賠責保険は強制保険であるため、どの保険会社で契約しても支払う保険料に違いはありません。保険料は、バイクの排気量(125cc以下の原付バイク、125cc超〜250cc以下のバイクなど)によってあらかじめ定められており、1年単位、5年単位といった契約期間によって1年あたりの金額が異なります。

バイクの保険には、自賠責保険のほかに任意保険があります。任意保険は通称「バイク保険」と呼ばれ、自賠責保険ではまかないきれない事故の補償にあてるものです。

自賠責保険の保険料

続いて、自賠責保険の保険料について詳しく見ていきましょう。保険料はバイクの排気量によって、原付(〜125cc以下)軽二輪(125cc超250cc以下)小型二輪(250cc超)の3つに分かれます。

■車種と期間別・自賠責保険の保険料

車種/期間

12ヵ月

13ヵ月

24ヵ月

25ヵ月

36ヵ月

37ヵ月

原付
(〜125cc以下)

6,910円

-

8,560円

-

1万170円

-

軽二輪
(125cc超〜250cc以下)

7,100円

-

8,920円

-

1万710円

-

小型二輪
(251cc超)

7,010円

7,150円

8,760円

8,910円

1万490円

1万630円

※損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」
※離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用する基準料
※2023年4月1日以降に開始となる契約に適用

自賠責保険の補償内容

自賠責保険は、交通事故の被害者を救済する目的で、本来であれば加害者が負うべき負担を補填する保険です。そのため、自賠責保険でカバーできる範囲は基本的な対人補償のみで、事故相手が死傷した場合の賠償が補償されます。

支払われる保険金の限度額

自賠責保険の補償は「死亡」「後遺障害」「傷害」の場合で、それぞれ支払い限度額と範囲が決められています。なお、車や塀など物に対する損害については、基本的に保険金は支払われません。

■自賠責保険の支払限度額

対象

支払限度額
(被害者1人につき)

相手が死亡した場合(逸失利益、葬儀費、慰謝料など)

3,000万円

相手に後遺障害が残った場合(逸失利益や慰謝料など)

75万〜4,000万円

相手が傷害を負った場合
(治療関係費、ケガで仕事を休んだ分の休業損害、慰謝料など)

120万円

※国土交通省「自動車総合安全情報」
※後遺障害による損害は、障害の程度に応じて逸失利益および慰謝料等が支払われる

上記の補償額を超えた場合には自己負担、もしくは任意保険で支払うことになります。

自賠責保険の支払基準

自賠責保険は、支払対象ごとに支払基準が決められています。ここでは、その一部をご紹介します。

■支払基準の一部

支払対象

支払基準

治療費(診察料、手術料、投薬料など)

治療に際してかかった必要かつ妥当な実費

看護料(子供付き添いなど)

入院1日につき4,200円、自宅看護または通院は1日につき2,100円
※これを超える収入源が実証された場合は近親者に1万9,000円

諸雑費(入院中の雑費)

1日1,100円

通院交通費

通院をするにあたってかかった必要かつ妥当な実費

義肢、松葉杖、義眼などの費用

必要かつ妥当な実費

診断書や診療報酬明細書などの発行手数料

発行にかかった必要かつ妥当な実費

文書料(交通事故証明書、住民票などの発行手数料)

発行にかかった必要かつ妥当な実費

休業損害(事故によって減少した収入)

原則として1日6,100円
※これ以上の収入減が立証された場合、1万9,000円を限度とする実額

入院通院の慰謝料(傷害)

1日4,300円

慰謝料(後遺障害)

神経系統や精神・胸腹部臓器への著しい障害で介護を要する場合
常時介護:最高4,000万円
随時介護:最高3,000万円

上記以外の後遺障害の場合
第1級:最高3,000万円〜
第14級:最高75万円
※第1級〜第3級で被扶養者がいる場合は増額

慰謝料(死亡)

請求者1名で550万円、2名で650万円、3名以上で750万円
※被害者に被扶養者がいる場合、200万円加算

逸失利益(事故の影響により、将来的に発生する収入減)

事故前の収入や、事故がなかった場合の就労可能期間、被扶養者の有無などを踏まえて算出

葬儀費

100万円

自賠責保険の加入と支払方法

自賠責保険の加入と支払方法

車検の対象となるバイクの場合、車検を受けるディーラーや整備工場などで、自賠責保険の加入手続きを行います。一方、車検がない250cc以下のバイクの場合は、自分で加入手続きをする必要があります。保険期間をあらかじめ確認しておき、切れる前に忘れずに手続きをしましょう。
なお、自賠責保険には「更新」がなく、期間満了のたびに加入し直す形です。

自賠責保険が切れた状態で運転すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。加えて、違反点数が6点加算され、即座に免許停止処分となります。
また、自賠責保険証明書を持っていなかった場合でも、30万円の罰金が科せられるため、バイクを運転する際は必ず携行しなければなりません。

自賠責保険の満期年月は、バイクのナンバープレートに貼ってあるステッカー(保険標章)で確認できるほか、加入している保険会社からも満期日が近づいた段階で案内が届きます。

■保険期間の確認方法

保険期間の確認方法

原付と軽二輪の場合

原付と軽二輪の場合、バイクを購入してナンバーを取得した段階で自賠責保険に加入します。バイクの販売店は自賠責保険の代理店の役割も担っているため、購入時に加入することが可能です。また、購入した店舗に限らず、コンビニや郵便局、保険会社の店舗、インターネットで加入することもできます。
しかし、初回の期限が切れた後は自己管理・自己責任になります。自賠責保険が切れた状態で乗ることがないよう、必ず再加入の手続きをしましょう。

小型二輪の場合

250ccを超える小型二輪は、車検の際、次の車検の期間まで自賠責保険に加入することが義務付けられています。新車登録時は3年、それ以降は2年分の保険料を車検のタイミングで支払います。そのため、車検切れ、およびそれに伴う自賠責保険切れに注意しましょう。
小型二輪の場合、車検時に自賠責保険の再加入手続きを行うため、インターネットやコンビニ等での契約はできません。

自賠責保険証明書に関する手続き

中古車を購入したり、親族や友人が乗っていたバイクを譲り受けたりした場合、所有者が変わります。自賠責保険証明書の名義が変更されることになるため、すみやかに届け出ましょう。
インターネットオークションやフリマサイトなどで行われる個人間取引の場合には、売主の情報がわからないことがほとんどです。取引後に売主と連絡がつきにくくなる場合を想定して、必要書類や自賠責保険の手続き方法を確認してから購入することが大切です。
ここでは、自賠責保険証明書の名義と住所の変更手続きについてご説明します。

名義変更の手続き

自賠責保険の名義変更は、自賠責保険証明書に記載された保険会社で行います。保険会社によって、窓口で手続きする場合と郵送での対応が可能な場合があるため、事前にWebサイトなどで確認しておきましょう。

住所変更の手続き

住所変更をうっかり忘れても、交通事故の際の保険金は支払われます。ただし、自賠責保険の期限を知らせる通知が前の持ち主の住所に送付されるため、気づかないうちに期限が切れてしまう可能性があります。引越しなどで住所が変わったら、すみやかに変更手続きをしておきましょう。

住所変更についても、名義変更と同様に保険会社が窓口となるため、自賠責保険証明書に記載された保険会社を確認して手続きを進めます。手続きには自賠責保険証明書と契約者の印鑑が必要な場合が多いものの、手続き方法は保険会社によって異なります。そのため、Webサイトなどに記載されている情報を確認し、適切な対応が必要です。

自賠責保険の料金は保険会社にかかわらず一律

自賠責保険の保険料は、「原付」「軽二輪」といった車両区分ごとに定められています。法律で加入が義務付けられた強制保険であるため、契約する保険会社によって支払う金額が変動することはありません。
原付や軽二輪の場合、インターネットや一部のコンビニエンスストアでも、自賠責保険の加入手続きが可能です。時間がない場合は、インターネットを活用して加入することをおすすめします。

オリコンでは、日本最大級の規模で調査を行い、毎年バイク保険満足度ランキングを発表しています。保険料や商品内容の充実さなどさまざまな視点のランキングを確認できますので、バイク保険の契約や乗り換えを検討している人は、参考にしてください。
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

当サイトで公開されている情報(文字、写真、イラスト、画像データ等)及びこれらの配置・編集および構造などについての著作権は株式会社oricon MEに帰属しております。これらの情報を権利者の許可なく無断転載・複製などの二次利用を行うことは固く禁じております。