バイクの任意保険の加入率は?未加入のリスクや保険料の抑え方を解説

バイクの任意保険の加入率は?未加入のリスクや保険料の抑え方を解説

 バイクの任意保険への加入は義務ではないため、加入を迷っている人もいるのではないでしょうか。加入しなかった場合、どのようなリスクがあるのか、気になっている人もいるかもしれません。

 今回は、バイクの任意保険の加入率やバイクの任意保険に加入しない場合のリスク、任意保険と自賠責保険の違いのほか、保険料を抑える方法について解説します。  

バイクの任意保険の加入率

 バイクを運転する人が加入する保険には、「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」があります。このうち、一般的に「バイク保険」と呼ばれているのが任意保険です。自賠責保険はバイクを運転する人が必ず加入するよう義務付けられているのに対して、任意保険への加入は義務ではありません。

 では、実際にどのくらいの人が任意保険に加入しているのでしょうか。任意保険の補償対象は、主に対人賠償・対物賠償・搭乗者傷害・人身傷害・車両が対象となっており、加入率は下記のとおりです。

■バイクの任意保険の加入率

補償内容

加入率

対人賠償

45.90%

対物賠償

46.90%

搭乗者傷害

26.60%

人身傷害

16.40%

車両

2.10%

※損害保険料率算出機構「2022年度(2021年度統計)自動車保険の概況」

 バイクを運転する人の、およそ半数が任意保険に加入していません。しかし、事故を起こしたり事故に巻き込まれたりした際の損害の程度によっては、多額の賠償金や治療費などを支払わなければならないこともあります。任意保険の重要性を理解した上で、できるだけ加入を検討することが大切です。

バイクの任意保険に加入しない場合のリスク

 前述の通り、バイクの任意保険の加入率は高くないのが現状ですが、任意保険に加入しないとリスクがあります。ここからは、具体的にどのようなリスクがあるのかを解説します。

多額の治療費や賠償金を支払わなければならない

 任意保険に加入しなければ、多額の治療費や賠償金を支払わなければならないリスクがあります。自賠責保険の補償範囲は限られており、自賠責保険だけでは補償が十分とはいえない場合があるのです。

 例えば、事故を起こして他人を死傷させてしまったり、建物や施設、設備などを壊してしまったりしても、自賠責保険はあくまでも最低限の範囲・金額を補償する保険のため、多額の治療費や賠償金をカバーできません。下記の表のとおり、事故による損害額は億単位に上ることもあります。
■人身事故での判決例

総損害額

判決年月日

被害者の年齢・性別・職業

態様

5億2,853万円

2011年11月1日

41歳・男性・眼科開業医

死亡

4億5,381万円

2016年3月30日

30歳・男性・公務員

後遺障害

4億5,375万円

2017年7月18日

50歳・男性・コンサルタント

後遺障害

4億5,063万円

2021年8月26日

19歳・男性・大学生

後遺障害

■物件事故での判決例

総損害額

判決年月日

被害物件

2億6,135万円

1994年7月19日

積荷(呉服・洋服・毛皮)

1億3,450万円

1996年7月17日

店舗(パチンコ店)

1億2,036万円

1980年7月18日

電車・線路・家屋

1億1,798万円

2011年12月7日

トレーラー

※損害保険料率算出機構「2022年度(2021年度統計)自動車保険の概況」

 事故を起こさないよう細心の注意を払ってバイクを運転していても、事故のリスクはゼロにはなりません。誰もが高額な賠償金を支払うことになる可能性があります。

 警視庁が発表した「二輪車の交通死亡事故統計(2022年中)」によると、2022年に東京都内で発生した交通事故のうち、バイク乗車中の交通事故死亡者は全体の30.3%を占めています。バイクを運転する以上は事故のリスクがあることを想定し、万が一の事態に備えて任意保険に加入しておいたほうがいいでしょう。

自身のケガやバイクへの補償がない

 任意保険に加入しなければ、自身のケガやバイクへの補償がないというリスクもあります自賠責保険は、事故の被害者を救済することを目的としている保険です。バイクを運転している人がケガをした場合の治療費や、バイクの修理費用などは補償の対象に含まれていません

 一方、任意保険には人身傷害や車両への補償が用意されています。運転中のケガや死亡への補償、事故で壊れてしまったバイクの修理費用などが対象です。事故が起きた際の自分自身のケガや所有するバイクの修理費用などを補償するには、任意保険に加入する必要があります。 

自賠責保険とバイクの任意保険の違い

 自賠責保険とバイクの任意保険は、加入義務があるかどうかという違いのほかに、補償内容にも違いがあります。ここでは、自賠責保険と任意保険について、それぞれの補償内容を詳しく見ていきましょう。

自賠責保険の補償内容

 自賠責保険の補償は対人賠償のみとなっており、対物賠償や自分のケガ、所有するバイクの補償は対象外です。また、支払限度額も事故によっては十分だとはいえず、あらゆる事故に対応できるとは限りません。自賠責保険の補償内容は下記のとおりです。
■自賠責保険の補償内容

損害の種類

損害の範囲

支払限度額(被害者1名あたり)

傷害による損害

・治療関係費
・文書料
・休業損害
・慰謝料

120万円

後遺障害による損害

・逸失利益
・慰謝料等

・常時介護のとき:最高4,000万円
・随時介護のとき:最高3,000万円
・後遺障害の程度により最高75万円(第14級)〜最高3,000万円(第1級)

死亡による損害

・葬儀費
・逸失利益
・慰謝料(本人・遺族)

3,000万円

死亡するまでの傷害による損害

・治療関係費
・文書料
・休業損害
・慰謝料

120万円

※国土交通省「自賠責保険ポータルサイト」より作成

 バイクの自賠責保険については、以下の記事をご覧ください。
 ●関連記事:バイクの自賠責保険とは?保険料や補償範囲など基礎知識を解説

バイクの任意保険の補償内容

 バイクの任意保険に加入すれば、自賠責保険ではカバーできない範囲を補償できます。さらに、カバーしておきたい補償の範囲に応じて、特約をつけることも可能です。事故のリスクに備えるには、自賠責保険だけでなく任意保険にも加入しておくことをおすすめします。任意保険と特約の補償内容は下記のとおりです。
■任意保険の補償内容

任意保険の種類

補償内容

対人賠償責任保険

相手方のケガや死亡に対する補償

対物賠償責任保険

相手方の車や物に生じた損害に対する補償

人身傷害保険

バイク搭乗中のケガや死亡の補償

搭乗者傷害保険

バイク搭乗中のケガや死亡の補償(人身傷害保険とは別に支払われる)

自損事故保険

単独事故や相手に過失のない事故により死傷した場合の補償

無保険車傷害保険

相手の車が不明・無保険の場合など、相手から十分な補償が得られない場合の補償

車両保険

自分が所有する車両本体の損害に対する補償

■特約の補償内容

特約の種類

補償内容

対物超過修理費用補償特約

相手の車両に時価額を超える修理費用が発生した場合の補償

弁護士費用特約

弁護士に示談や訴訟の対応を依頼する場合の費用を補償

他車運転危険特約

他人のバイクを運転した際に起きた事故に対する補償(対人賠償・対物賠償)

ファミリーバイク特約

記名被保険者またはその同居親族(別居の未婚の子供を含む)がバイクを運転して起きた事故に対する補償

 バイク保険の種類については、以下の記事をご覧ください。
 ●関連記事:バイク保険の種類とは?自賠責保険との違いや補償内容などを解説

バイクの任意保険の保険料を抑える方法

バイクの任意保険の保険料を抑える方法

 事故のリスクに備えるためには、バイクの任意保険に加入する必要がありますが、できるだけ保険料を抑えたいと考える人も多いでしょう。任意保険の保険料を抑える方法について解説します。

補償内容の見直し

 バイクの任意保険の保険料を抑えるには、補償内容を見直すことが大切です。任意保険は、基本的に補償範囲が狭くなるほど保険料を抑えられる傾向があります。必要な補償内容に絞ったり、条件設定を変更したりすることで、保険料を抑えられます。

 例えば、運転者の年齢条件を「全年齢補償」にするよりも、「30歳以上補償」などに設定した場合のほうが保険料を抑えることが可能です。ただし、設定した年齢の範囲に含まれない人がバイクを運転して起こした事故については、補償の対象外となる点に注意してください。

 また、特約を取捨選択することでも保険料を抑えられます。特約が増えればその分だけ保険料が高くなるため、本当に必要な特約に絞って加入するのがおすすめです。家族はバイクを使わないのであればファミリーバイク特約は付加しないようにしたり、友人などのバイクを借りて運転することがない場合は他車運転危険特約を付加しないようにしたりする方法が考えられます。

保険会社を乗り換える

 バイクの任意保険の保険会社を乗り換えるのも、保険料を抑える方法のひとつです。例えば、代理店型保険の任意保険よりも、インターネットや電話で加入手続きが可能なダイレクト型保険のほうが保険料は安くなる傾向にあります。保険会社によってはWebサイトで保険料のシミュレーションができるので、複数の保険会社で保険料を比較してみましょう。

 また、年間走行距離が短いほど保険料は安くなりますが、保険会社によって年間走行距離区分が異なる場合もあります。例えば、昨年1年間の年間走行距離が3,600kmだった場合、「3,000km超5,000km未満」という区分しか選べない保険会社の任意保険よりも、「3,000km以上4,000km未満」という区分が選べる保険会社の任意保険のほうが、保険料を抑えられる可能性があるのです

ファミリーバイク特約を検討する

 バイクの任意保険の保険料を抑えるには、ファミリーバイク特約を検討してみてもいいでしょう。ファミリーバイク特約とは、同居親族または別居している未婚の子供がバイクに乗る場合、主契約の補償が適用される特約のことです。すでに自家用車を所有しており、原動機付自転車にも乗る場合には、自家用車の保険にファミリーバイク特約を付加できることもあります。

 自家用車とバイクで別の保険を契約するよりも割安で加入できる場合もあるため、ファミリーバイク特約も検討してみてください。

等級アップを目指す

 無事故の期間を長く維持して等級アップを目指すことが、結果として保険料の節約につながります。バイクの任意保険は、1年間無事故であれば翌年度の等級が上がり、保険料の割引率が高くなるからです。

 反対に、事故を起こして任意保険を使うと、翌年度の等級が下がって保険料が高くなってしまいます。人身傷害保険や搭乗者傷害保険など、保険を使っても等級が下がらない補償も一部あるものの、基本的には事故を起こして保険を使えば等級が下がります。
 
 日頃から安全運転を心掛け、事故を起こさないようにすることが何よりも重要です。

自賠責保険でカバーできないリスクに備えバイクの任意保険に加入しよう

 バイクの任意保険の加入率は決して高いとはいえないものの、自賠責保険でカバーできない補償を得るにはやはり加入しておくことが大切です。事故を起こしてしまったら、相手への補償が必要になるだけでなく、自分のケガやバイクへの補償も必要になることもあります。

 このようなリスクに備えて、任意保険に加入しておくと安心です。加入する際には、任意保険の特徴や保険料を安く抑えるポイントを踏まえ、保険を比較・検討するようにしましょう。

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 ●関連記事:バイクの自賠責保険とは?保険料や補償範囲など基礎知識を解説
オリコン日本顧客満足度ランキングの調査方法について

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