ペット保険は医療費控除の対象になる?ペットの税金について解説

ペット保険は医療費控除の対象になる?ペットの税金について解説

 医療費控除は、医療費が一定額を超えたときに所得税や住民税の控除が受けられる制度です。本人だけでなく、生計を一にする家族の医療費も合算できるため、医療費の負担が多い家庭は確定申告することで還付金を受け取ることができます。ペットの治療費は自由診療で高額になりがちなため、同じように「医療費控除を利用できたらいいのに」と考える飼い主もいるでしょう。

 しかしながら、ペットの医療費やペット保険に関するルールは、人間の医療費や保険に関するルールとは大きく異なります。ペットの医療費やペット保険の保険料、税金との関係などについて知っておきましょう。
目次
■ペットの医療費は医療費控除の対象にならない
■ペットの医療費には消費税がかかる
■ペット保険は保険料控除の対象にならない
■ペットに税金がかかる国がある
■ペット保険の選び方
1. 補償割合
2. 補償制限
3. 免責金額
■ペット保険の保険料は無理のない範囲で設定しよう

ペットの医療費は医療費控除の対象にならない

 残念ながら、ペットの医療費は医療費控除の対象にはなりません。医療費控除は、自分または自分と生計を一にする配偶者やその他の家族(6親等内の血族と3親等内の姻族)の年間の医療費が10万円を超えた場合に、超えた金額を所得から控除できる制度です。課税所得金額を減らせるため、所得税と住民税の節税につながります。

 なお、医療費控除には、ドラッグストアなどで指定の医薬品を購入したときに利用できる「セルフメディケーション税制」という特例もあります。

 ペットも家族の一員ですし、ペットの生活費は当然人間が負担しますから、生計を一にしているといえるでしょう。しかし、ペットは親族には含まれないため、動物病院での治療費や薬代を医療費控除やセルフメディケーション税制の対象にすることはできません。

ペットの医療費には消費税がかかる

 人間が保険診療を受けた場合、その費用には消費税がかかりません。健康保険を利用した社会保険診療については、「国民に必要な医療を提供する高度の公共性を有している」とされているからです。

 一方、ペットは大切な家族の一員ですが、法律上は「物」の扱いです。「国民」には該当しませんから、医療費には消費税がかかります。動物病院に支払う金額には消費税が上乗せされますし、将来消費税が上がれば支払額も上がることになります。

 ただし、ペット保険は「消費」ではないため、ペット保険の保険料は非課税です。

ペット保険は保険料控除の対象にならない

ペット保険は保険料控除の対象にならない

 ペット保険の保険料は、保険料控除の対象外です。保険料控除は一定の要件を満たす保険に加入して、保険料を支払ったときに利用できる控除制度ですが、ペット保険は要件を満たす対象の保険には該当しません。

 保険料控除には「社会保険料控除」と「生命保険料控除」「地震保険料控除」の3種類があります。社会保険料控除は、公的な健康保険料や年金保険料などの社会保険を支払ったときに、全額が所得から控除される制度です。

 一方、生命保険料控除は、民間の生命保険や医療保険の保険料を支払ったときに、支払った保険料の一定額を控除できる制度です。地震保険料控除も生命保険料控除と同様に、民間の地震保険料を支払ったときに、保険料の一定額を控除できます。

ペットに税金がかかる国がある

 世界の中には、ペットを飼育することに対して税金をかけている国があります。例えば、ペット先進国として知られるドイツでは、州ごとに飼育頭数に応じて犬税が設定されており、犬のフンの対策費用など犬に関することに使われています。

 このようなペットの飼育税は、かつて日本にも存在していました。「生類憐みの令」で知られる徳川綱吉は、犬を保護する費用をまかなうために税金を徴収しました。その後も、1982年までは、市区町村によって犬税の徴収が行われています。

 犬税が課税されるかどうかや税額、課税方法は、市区町村によって異なっていました。多くの場合、税額は飼育している犬の頭数に応じていましたが、中にはペットを飼う目的や犬種などによって税率などを変えていた市区町村もあります。国税庁のWebサイトによると、京都と群馬では「猟犬」と「狆」をその他の犬種と分けて高い税率をかけていたそうです。

 なお、近年でも2014年頃に犬税の導入を検討する市区町村がありましたが、税金を徴収する経費がかさむことなどを理由に断念されています。

 日本では犬を飼っている飼い主に、狂犬病の予防接種が義務付けられています。予防接種費用は税金ではありませんが、犬を飼っていることで負担を義務付けられる費用という点は似ているといえるでしょう。

ペット保険の選び方

ペット保険の選び方

 ペットの医療費やペット保険の保険料は、所得控除の対象になりません。反対に、ペットを飼っていることで支払わなければならない税金に、医療費やペットフードなどにかかる消費税が挙げられます。

 ペットの飼育には多くの費用負担が生じるため、家族として迎える前に問題なく支払っていけるかどうか考えておく必要があるでしょう。

 特に医療費については、イレギュラーに発生するものですし、人間のように健康保険が使えるわけでもありません。いざというときに費用を理由に治療をためらうことがないよう備えておいてください。

 ペット保険に加入すると、健康保険のないペットの医療費をカバーできます。ペット保険には多くの種類があるため、目的や家庭の資金状況などに応じて選択しましょう。ここでは、ペット保険を選ぶときの3つのポイントをご紹介します。

1. 補償割合

 補償割合とは、ペットの医療費のうちどの程度を保険でカバーするかという割合で、50%または70%のペット保険が多くなっています。補償割合が高いほど多くをカバーできますが、保険料は高額になります。

2. 補償制限

 ペット保険では、多くの場合利用に上限を定めています。通院は1日あたり、入院は1日または1入院あたり、手術は1回あたりの利用限度額を確認しておきましょう。限度額の設定がないペット保険もありますが、その場合も年間の最大補償額は決まっている場合が多いです。

3. 免責金額

 免責金額とは、治療費のうち自己負担になる金額のことです。例えば、免責金額が5,000円のペット保険では、治療費から5,000円を差し引いた金額に、補償割合に応じた保険金が支払われます。免責金額がない保険もありますが、その分保険料は高くなります。

 ペット保険の選び方については、下記の記事をご覧ください。

 ●関連記事:ペット保険の選び方が知りたい!比較検討のポイント紹介

ペット保険の保険料は無理のない範囲で設定しよう

 ペット保険の保険料は、保険料控除の対象になりません。ペットの医療費は高額になりがちですから、ペット保険に加入しておくことで治療費や薬代の一部をカバーできて安心です。

 ペットに病気などが見つかったとき、費用を理由に十分な治療を受けさせられないと、ペットを苦しめたり、寿命を縮めたりする原因になるかもしれません。そのようなことにならないためにも、万一に備えておくことが大切です。

 ペットの治療費に不安がある場合は、ペット保険への加入を検討しましょう。オリコンでは、日本最大級の規模で実際の利用者による満足度調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や精算方法別など、さまざまな視点でのランキングをご覧いただけますので、ぜひペット保険会社選びの参考にしてください。

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