ペット保険の特約とは?ペット賠償責任特約について解説

ペット保険の特約とは?ペット賠償責任特約について解説

ペットには人のように公的な保険制度がないため、ケガや病気などで動物病院に連れていくと全額自己負担となり、高額の医療費を支払う可能性があります。ペット保険に加入していれば、ペットの万一のケガや病気の際に補償を受けることができ、飼い主の金銭的な負担を軽減できます。さらに、ペット保険の補償内容を充実させることができるのが特約です。

この記事では、ペット保険の特約の概要やペット賠償責任特約で補償される内容などについて解説します。ペットを飼い始めたばかりの人やペット保険の加入を考えている人は参考にしてください。

ペット保険の特約は補償内容を充実させられる

ペット保険に加入した場合、一般的に通院・入院・手術などの費用は補償されますが、保険会社によっては1回あたりの上限額や年間上限額、補償割合などがあらかじめ決められています。したがって、ケガや病気の程度や頻度によっては、医療費のすべてが補償されないというケースもあります。

そうした場合に備えて、主契約の医療費の補償に加え、補償内容をさらに充実させるために追加できるのが特約です。ペット保険の特約は、ペットのライフステージやライフスタイルに合わせ、必要な特約を選ぶことができますが、特約単体で契約することはできません必ず主契約であるペット保険とセットでの契約となります。なぜなら、ペット保険の特約は、あくまで主契約を補う役割で、単独で成立するものではないからです。

代表的なペット保険の特約は、ペット賠償責任特約ペット火葬費用特約の2つです。それぞれどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

ペット賠償責任特約

ペット賠償責任特約とは、ペットが他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりしてしまった場合に発生する損害賠償責任を補償する特約です。

ペット賠償責任特約の詳しい内容については後述します。

ペット火葬費用特約

ペット火葬費用特約は、ペットが亡くなった際に火葬費用を補償する特約です。具体的な補償内容は保険会社により異なりますが、ペットの火葬や納骨、供養に必要な費用が補償されることが多いようです。また、ペット火葬費用特約は保険会社により、葬祭保険金特約やセレモニー費用特約などとも呼ばれています。

ペットを飼育している限り、お別れはいつかやってきます。ペットをお見送りするときの費用に不安を感じている人は、ペット火葬費用特約を検討してみましょう。

ペット賠償責任特約はペットが起こした事故に備える特約

ペット賠償責任特約はペットが起こした事故に備える特約

ペットは大切な家族の一員ですが、法律的には物として扱われるため、飼い主はペットが他人にケガをさせたり他人の物を壊したりした場合、損害賠償責任を負うことになります。ペット保険の特約のひとつであるペット賠償責任特約は、万一の事故やトラブルに備えて、飼い主の経済的な負担を軽減するための特約です。

ペット賠償責任特約を契約すると、「散歩中にペットが他人に噛みついてケガをさせてしまった」「ペット同士が喧嘩をして他人のペットにケガをさせてしまった」「ペットを連れて友人の家に遊びに行った際、ペットがその家の物を壊してしまった」という場合に、損害賠償費用などを補償してもらえたり、飼い主に代わって保険会社が示談交渉に応じてくれたりします

なお、環境省が発表した「動物愛護管理行政事務提要(令和5年度版)」の「犬による咬傷事故状況」によると、2022年度の犬による咬傷事故件数は4,923件で、さらに咬傷事故を起こした咬傷犬のうち、4,892頭は飼い犬でした。このデータからも、ペットが他人に損害を与えるケースは多いことがわかります。

ご自身のペットが他人やほかのペットに突然噛みついてケガをさせたり、物を壊したりすることがないとは限りません。そのため、万一のことを考えると、ペット賠償責任特約を契約しておくと安心といえるでしょう。

ペット賠償責任特約で補償されるケース

ペット賠償責任特約の補償対象となるケースは、主に「対人賠償」「対物賠償」「対ペット賠償」の3つです。具体的にそれぞれどのようなシーンで補償されるのかご紹介します。

対人賠償

ペット賠償責任特約の対人賠償は、ペットが他人にケガを負わせてしまった場合に補償されるものです。対人賠償で補償対象となる主なケースは下記のとおりです。

<対人賠償で補償対象となる主なケース>
・犬の散歩中、通りすがりの人が犬に近づいてきて頭をなでようとしたとき、犬が反射的にその人を噛んでケガを負わせてしまった。
・宅配業者が荷物を届けに来たときに、ペットが部屋から飛び出して噛みつき、ケガを負わせてしまった。
・犬を散歩しているとき、自転車に乗っている人に向かって飛び出し、はずみで自転車が転倒してケガを負わせてしまった。

対物賠償

ペット賠償責任特約の対物賠償は、ペットが他人の所有物を破損したときに補償されるものです。対物賠償で補償対象となる主なケースは下記のとおりです。

<対物賠償で補償対象となる主なケース>
・ペットが庭から飛び出して、隣の家の窓ガラスを割ってしまった。
・ペットが他人の車に飛び乗って、車のシートを傷つけてしまった。
・ペットが来客に飛びつき、服を破いてしまった。

対ペット賠償

ペット賠償責任特約の対ペット賠償は、ペットが他人のペットにケガをさせてしまった場合に補償されるものです。対ペット賠償で補償対象となる主なケースは下記のとおりです。

<対ペット賠償で補償対象となる主なケース>
・ペットの散歩中に、自分のペットが他人のペットと喧嘩をしてケガを負わせてしまった。
・ペットが来客のペットと喧嘩をしてケガを負わせてしまった。

ペット賠償責任特約で補償されない可能性があるケース

ペット賠償責任特約で補償されない可能性があるケース

ペット賠償責任特約は、ペットが他人にケガをさせたり他人の物を壊したりした場合の損害賠償責任を補償する特約ですが、必ずしもすべての事故やトラブルが補償されるわけではありません。

ここでは、ペット賠償責任特約で補償されない可能性がある主なケースについてご紹介します。

ドッグランでの犬同士の衝突

ドッグランは、利用者同士で責任を共有して利用する場所であり、ペット同士のトラブルは利用者間で解決することが求められます。そのため、ドッグランでの犬同士の衝突などはペット賠償責任特約では補償されないことが多いようです

ペットをほかの人に預けているときに起きた事故

ペットをほかの人に預けているときなど、飼い主以外の人に管理されている状況の中で起きた事故については損害賠償責任が発生せず、ペット損害賠償責任特約では補償されない場合があります。

ほかに、同居中の親族にペットがケガを負わせてしまった場合は、飼い主と同居する親族は他人とみなされず、補償対象外になります。また、他人から預かっている物をペットが壊してしまった場合も補償対象外です。

ペット保険のペット賠償責任特約を選ぶ際のポイント

ペット保険のペット賠償責任特約は、主契約に含まれないさまざまなリスクを補償してくれる便利なオプションです。しかし、ペット保険のペット賠償責任特約を選ぶ際には、いくつかのポイントに注意する必要があります。主な3つのポイントについて見ていきましょう。

ペット賠償責任特約の補償範囲を確認する

ペット保険のペット賠償責任特約を選ぶ際のポイントとして、特約の補償範囲を確認することが挙げられます。支払われる保険金の額や免責金額の有無、補償対象となるペットの種類や年齢、補償期間など、特約の補償範囲をしっかり確認しましょう。

ペット賠償責任特約が適用されないケースを確認する

特約が適用されないケースを確認することも、ペット保険のペット賠償責任特約を選ぶ際のポイントのひとつです。ペット保険のペット賠償責任特約では、前述したように「ドッグランで犬同士が衝突してケガをした」「ペットをほかの人に預けているときに事故が起きた」「同居中の親族にペットがケガを負わせた」場合など、特約が適用されないケースがあります。

飼っているペットに頻繁に起こりうるケースに特約が適用されない場合は、加入するメリットはあまりないと考えられます。

自動車保険や火災保険の特約との重複がないか確認する

自動車保険や火災保険、クレジットカードの特約にある個人賠償責任特約や日常賠償責任特約と、ペット保険のペット賠償責任特約の内容が重複することがあるため、事前に確認が必要です。特約の内容が重複している場合、ペット保険の特約を契約する必要はありません。自動車保険や火災保険に加入している場合は、特約の内容を確認しておきましょう。

なお、重複して特約を契約しても、二重三重に保険金を受け取れるわけではなく、実際の損害額までしか受け取ることができません。

ペット保険の特約は保険料と補償のバランスが重要

ペット保険の特約は、ペットの医療費の補償に加え、補償内容をより充実させるために追加することができます。ペット保険の特約を契約しておくと、万一ペットが事故やトラブルを起こしたときに賠償金額が全額自己負担とならずに済みますが、補償対象外となるケースもあります。また、すでに加入している保険の特約との重複契約にも注意が必要です。

ペット保険の特約を契約することで、大切なペットのさまざまなリスクに備えることができますが、保険料は高くなります。保険料が高額と感じる場合は、「本当に必要な特約のみを選ぶ」「補償内容を必要最低限に抑える」「免責金額を高く設定する」ことが大切です。特約の保険料と実際に補償を受けるときに得られる保険金額を比較し、バランスを考慮して自分に合った特約を選びましょう。

オリコンでは、日本最大級の規模で実際の利用者による満足度調査を行い、毎年「ペット保険 オリコン顧客満足度ランキング」を発表しています。保険料はもちろん、ペットの種類別や適用内容別など、さまざまな視点でのランキングをご確認いただけますので、ぜひ保険会社選びの参考にしてください。

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