先天性疾患はペット保険で補償される?補償対象外のケースなどを解説

先天性疾患はペット保険で補償される?補償対象外のケースなどを解説

先天性疾患とは、生まれつき持っている病気や体の不具合のことです。ペットに先天性疾患があると、ペット保険に入れなかったり条件付きでの加入になったりする場合があるほか、医療費がかさんでしまう可能性もあります。

この記事では、先天性疾患がペット保険の補償対象になるのかどうか、ケース別に解説します。ペット保険の加入を考えている人は参考にしてください。

ペットの先天性疾患とは?

先天性疾患は、生まれつき持っている病気体の不具合を指す言葉で、遺伝子が原因で発症する先天性疾患は、先天性遺伝子疾患や遺伝子疾患と呼ばれることもあります。また、遺伝子疾患は、体の設計図である遺伝子そのものが原因で起こるため、残念ながら完治させることは困難だといえるでしょう。

なお、先天性疾患には、骨格系の病気から内臓系の病気までさまざまな種類があります。ペットの種類によって起こりやすい遺伝性疾患は異なるため、先天性疾患の種類やリスクを知っておくことが大切です。

まずは、ペットの骨格系の先天性疾患と、内臓系の先天性疾患について詳しくご紹介します。

骨格系の先天性疾患

骨格系の先天性疾患は、ペットの動きを妨げたりするほか、痛みが出たりすることがあります。手術などで治療できる場合もありますが、病気の種類や症状などによっては、ペットの生涯わたって付き合っていかなければならない可能性があります。

・股関節形成不全
股関節形成不全は、股関節がうまく噛み合わずに、異常な状態になる病気です。正常に歩いたり走ったりできなくなります。犬の場合は大型の犬種に起こりやすく、猫でも発症することがあります。

・膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は「パテラ」とも呼ばれており、小型犬に多い病気です。ひざの皿が脱臼をしてしまうことで、歩行がしにくくなります。なお、後天的な要因で起こることもあります。

内臓系の先天性疾患

内臓系の先天性疾患は、ペットの元気がなかったりぐったりしていたりすることがあるため、体の様子や行動に異変がないかを確認する必要があります。また、内臓系の先天性疾患には多種多様な病気があり、一例としては、下記のような病気が挙げられます。

・大動脈狭窄症
大動脈狭窄症は、大動脈の入り口が狭くなり、うまく血液の循環ができなくなる心臓の病気です。疲れやすいといった症状が出るほか、突然死を招くこともあります。

・肺動脈狭窄症
肺動脈狭窄症は、肺動脈の一部が狭くなり、心臓から肺への血液の循環がうまくできなくなる病気です。軽度であれば普通の生活ができますが、重症になると心不全の原因になることもあります。

・動脈菅開存症
動脈管開存症は、通常生まれる際に閉じる動脈管が開いたままになってしまう病気です。肺動脈から大動脈に本来流れるべきではない血液が流れることで、臓器に負担がかかります。なお、咳や呼吸困難など、肺や心臓に関連する症状を引き起こします。

・心室中隔欠損症
心室中隔欠損症は、心臓の一部に穴ができてしまう病気です。心臓に負担がかかり、息苦しくなるといった症状が出ます。

そのほかの先天性疾患としては、腎不全や水頭症、臓器の形成不全などがあります。

先天性疾患はペット保険の補償対象になる?

先天性疾患はペット保険の補償対象になる?

先天性疾患は通常、ペット保険の補償対象になりません。ペット保険では、ペットの治療にかかった費用の一部または全部が補償されます。しかし、免責事由に該当するケガや病気の治療費などは支払いの対象外とされています。免責事由に該当するのは、主に下記のようなケースです。
<ペット保険の免責事由に該当するもの>
・先天性疾患
・既往症
・ワクチンで予防できる病気
・治療以外の費用
・災害による病気やケガ
・重大な過失によるケガ
なお、ペット保険に加入する際は、ペットの年齢や健康状態などに関する自己申告が必要で、申込み時点で判明している先天性疾患を隠して加入することはできません。

虚偽の申告をしてペット保険に加入した場合は告知義務違反に該当するため、保険金が支払われなかったり解約しなければならなくなったりする可能性があります。

ペット保険加入後に先天性疾患が発見された場合の補償内容

先天性疾患は、基本的にペット保険の補償対象外ですが、ペットに先天性疾患があることを知らないまま加入した場合、一部の補償を受けることができる可能性があります。ペット保険加入後に先天性疾患が発見された際の補償内容について、詳しく見ていきましょう。

ペット保険の補償開始後に見つかった先天性疾患のみ対象

ペット保険加入後に先天性疾患が発見された場合は、補償開始後に見つかった先天性疾患のみ補償の対象となります。

なお、ペット保険は、契約直後から補償が始まるのではなく、一定の免責期間(待機期間)を設けている場合があり、免責期間中の治療については補償を受けることができません。また、免責期間中のケガや病気の治療が免責期間後も継続した場合についても補償対象外です。

先天性疾患でも同様で、仮に免責期間が30日だった場合、契約から30日が経過するまでのあいだに先天性疾患が見つかった場合、該当の先天性疾患の治療費は補償対象外になります。一方で、免責期間が経過した後で先天性疾患が見つかったのであれば、補償が受けられるペット保険も多くあります。

免責期間がないペット保険は、その分補償が手厚くなるため保険料が高くなりがちです。しかし、ペット保険に加入した後、すぐに補償を受けることができる安心感があります。

免責期間がある保険とない保険のどちらが良いかは、ペット保険に加入する目的や治療費と保険料に関する考え方などによって変わります。どちらが良いとは一概に言えないため、ご家庭の状況や考え方に応じて判断しましょう。

ペット保険の該当契約期間中のみ補償

免責期間終了後にペットの先天性疾患が見つかり、補償の対象になったとしても、該当の契約期間が終了すると翌年度からは補償対象外になることがあるので注意が必要です。

多くのペット保険は、1年ごとに契約更新を行います。先天性疾患はペットの生涯を通して付き合っていかなければならないことも多いですが、ペット保険では先天性疾患がわかった初年度のみが対象期間となり、その後は補償の対象外となることが多いようです。

ただし、先天性疾患に対する具体的な対応は、保険会社によって異なります。加入する前に詳しい資料を取り寄せて、先天性疾患に対してどのような補償を受けることができるのか確認しておきましょう。

ペットショップで購入したペットに先天性疾患があった場合の補償内容

生体を商品として取り扱うペットショップには、「健康で先天性疾患にかかっていないペットを引き渡す」という義務があります。ペットショップで購入したペットに先天性疾患があった場合、この義務に反していることになるため一定の補償を受けることができます。

基本的には、先天性疾患の治療費についての負担が該当しますが、ペットショップごとに先天性疾患があった場合の取り決めが購入時に行われている場合があるため、注意してください。

例えば、ペットに先天性疾患があった場合に「治療費の50%を負担する」といった契約を締結していると、治療費の全額を請求することはできません。

また、「交換対応を行う」という契約の場合、先天性疾患の治療費を受け取ることはできず、交換対応せずに一度迎えたペットと暮らし続けたいのであれば治療費は自己負担になります。ペットを購入する際は、万一のことがあった場合にどのような対応をとってもらえるのか、事前に契約内容をしっかり確認しておきましょう。

なお、先天性疾患以外の理由であっても、ケガや病気でペットの治療費がかさむ可能性は十分あります。ペット保険で万一に備えつつ、補償を十分に受けられない可能性が高い先天性疾患への対応方法についても考えておくことが大切です。

ペット保険が補償する医療費

ペット保険が補償する医療費

ペット保険は、ペットの病気やケガの治療費を補償してもらうために加入する保険です。ペットには、人間の健康保険制度に当たるものがなく、基本的に治療費は全額自費で負担することになります。

また、治療はすべて自由診療で治療費は動物病院によって異なるため、治療費や治療方針に応じて病院を変えることが可能です。しかし、近隣の動物病院の数が少なかったり治療内容には満足していたりして、治療費が高額な動物病院にかかり続けることも考えられます。

お金の問題でペットの治療をあきらめたり、ケガや病気に対して前向きに治療できなかったりすると、ペットの生活の質が低下してしまいます。安心してペットに治療を受けさせるために、十分な備えをしておきましょう。

特に、入院や手術を伴うケガや病気は、治療費が高額になりがちです。そのため、高額な治療費を負担できるか不安な場合は、ペット保険を活用することがおすすめです。

ただし、保険契約前から患っている既往症や先天性疾患のように、ペット保険の補償対象外になる病気もあります。先天性疾患は、ペットの生涯にわたって治療が必要で治療費が高額になるものも多いため、事前にペット保険の規約を確認し、納得した上で加入を検討しなければいけません。

ペット保険に加入する際は、先天性疾患の補償について確認しておこう

ペットに先天性疾患があると、ペット保険に加入できなかったり十分な補償を受けられなかったりする可能性があります。また、治療費が高額になることも珍しくありません。そのため、ペットを迎えるにあたっては、先天性疾患の有無やリスクについてしっかり知識を身に付けておきましょう。

ペット保険の中には、補償開始後に先天性疾患がわかった場合、補償を受けることができるものもあります。なお、ペット保険はペットが幼いほど保険料が低く設定されているため、なるべく早いうちに加入を検討することがおすすめです。

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