ペット保険とは?補償内容や選ぶポイントを解説

ペット保険とは?補償内容や選ぶポイントを解説

近年、ペットの長寿化が進み、病気やケガのリスクは増しています。大切な家族であるペットを守るためにも、万が一の場合に備えておきたいのがペット保険です。

ここでは、現在ペットと暮らしている人や、これからペットを新しく迎える人に向けて、ペット保険とはどのようなものなのか、補償内容や選ぶポイントなどを解説します。保険プランを比較検討する際に、ぜひ参考にしてください。

ペット保険はペットが対象の民間の医療保険

ペット保険とは、ペットの病気やケガの際に補償を受けられる民間の医療保険です。人間の場合、公的な医療保険制度があるため、病院を受診しても1〜3割の自己負担で済みますが、犬や猫をはじめとするペットの場合はそのような制度がなく、自由診療となるため、治療費は10割自己負担になってしまいます。

しかし、ペット保険に加入しておけば、高額な医療費の請求を受けても慌てることなく、不測の事態に備えることができるのです。

ペット保険の加入条件

ペット保険の仕組みや加入条件は、人間が加入する医療保険とほとんど変わりません。原則として、「健康であること」が加入条件となり、病気やケガで治療を受けていたり、先天性の病気(生まれつき持っている病気)があったりすると加入できない場合がほとんどです。

一定の年齢を超えていると、健康診断の受診が必要な場合もあります。また、申込みの際には告知の義務があり、これまでの病歴や健康状態について、嘘偽りなく報告しなくてはなりません対象となるペットのリスクが高い(高齢で病気にかかりやすいなど)ほど保険料が高くなり、場合によっては加入できないこともあります

ペット保険の補償の内容

ペット保険の補償は、どの保険会社でも基本的に通院補償入院補償手術補償の3つです。それぞれどのようなものかご紹介します。

通院補償

ペットが病気になったりケガをしたりした際、通院での診療費(医療処置、薬の処方)を補償するのが通院補償です。この補償があることで、ペットのちょっとした体調不良やケガでも、気軽に病院で診療を受けることができ、病気の早期発見にもつながります。金銭面の心配が少なくなれば、安心してペットを動物病院へ連れていけるでしょう。

入院補償

入院補償とは、ペットが病気・ケガで入院したときの入院費用や、入院中の診療費用を補償するものです。この補償があると、高額になりがちな入院費用を抑えることができ、安心して治療を受けることができます。

保険料は高くなりますが、補償される入院日数や上限金額が多い保険を選べば、ペットの入院に対する経済的な不安が解消されるでしょう。

手術補償

手術補償とは、ペットに手術が必要となったときに、手術に関わる費用を補償するものです。ペットの手術費用は高額になることも多く、手術補償があれば負担が軽減できます。

ただし、手術補償で補償されるのは、基本的には手術のみにかかる費用であり、手術前後の入院や通院の費用は補償されません。手術前後の通院費用は、手術費ではなく通院費となるので、術後の通院治療が長期にわたる場合、手術費用より通院費用のほうが高くなることもあるので注意してください。

また、手術補償には、回数制限や1回の手術に対する上限金額が設定されていたり、手術の補償対象にならなかったりする症例もあるので、加入前にしっかり確認しましょう。

その他の補償

賠償責任(他人のペットにケガをさせた場合や、物を壊してしまった場合)や、足が不自由になったペットのための車椅子の製作費、お別れセレモニーの費用などを特約として補償しているプランもあります。

ペット保険の補償のタイプの違い

ペット保険には補償のタイプにさまざまな種類があり、それぞれ補償される範囲や内容が違います。どの補償タイプを採用しているかは、保険会社や商品によって異なるため、飼っているペットに必要な補償を考えながら検討してください。

フルカバー型と特化型

ペット保険には、フルカバー型特化型の2つのタイプがあります。フルカバー型病気やケガによる通院・入院・手術を幅広く補償するもので、特化型は入院・手術に限り補償する「入院・手術特化型」と、通院に限り補償する「通院特化型」があります

特化型は補償の範囲が限定される分、フルカバー型に比べて月々の保険料が抑えられるメリットがあります。

3つの補償方式

ペット保険には、定額補償定率補償実費補償の3つの補償方式があります。

定額補償保険金の支払い額が事前に決められており、治療費用がその金額を超えた場合でも支払い額は変わりません。ただし、保険金の支払い額が低いため、保険料が安くなることがあります。

定率補償は、治療費用の一部を補償する割合が事前に決められており、治療費用が高くなるほど、保険金の支払い額も増えますが、その分保険料が高くなる傾向にあります

また、実費補償実際にかかった治療費用を全額補償するタイプで、保険料が高くなる場合が多いです

免責金額の有無

免責金額とは、治療を受けた際に自己負担する金額のことです。例えば、免責金額が1万円に設定されているとき、補償対象となる診療費が1万円以下の場合は自己負担になります。

免責金額が設定されている保険は保険料が安くなる傾向がありますが、診療費が免責金額より安ければ保険金が支払われません。ただし、高額になりがちな手術補償があるプランに免責金額が設定されていることが多く、一概に免責金額があるから良くないとは言い切れませんので、よく検討してください

ペット保険の対象

ペット保険の対象

ペット保険は、基本的には犬と猫を対象としており、それ以外のペットが加入できる保険は多くありません。鳥や爬虫類、ハムスター、小鳥、うさぎ、フェレットなどを飼っていて、ペット保険に加入したい場合は、まず加入できる保険を探す必要があるでしょう。

注意したいのは、一般的にペット保険では、予防目的の行為や健康体に施す処置が対象外となることです。ワクチンを接種していれば防げる病気や予防を目的とした医療行為(ワクチンや健康診断)、去勢・避妊手術、飼い主の過失や故意で生じた病気やケガなどは補償の対象になりません。

一般的に下記のようなものにかかった費用は、補償対象外となるため注意してください。
<ペット保険の補償対処外となるもの>
・既往症や先天性異常
・ワクチンなどで予防できる病気
・保険会社が定める特定の病気
・ワクチン接種など予防に関する費用
・去勢・避妊手術、爪切りなど健康体に施す処置
・飼い主の過失や故意による病気や疾患
・健康食品や医薬部外品の購入、移送費など治療費以外の費用
・自然災害

ただし、対象とする病気やケガは保険会社によって違い、上記に該当しても条件付きで加入できる場合があります。

ペット保険の保険金は?

ペット保険には、補償割合が設定されており、補償割合とは加入者が受け取れる保険金の割合を示すもので、主に50%、70%、90%、100%の4種類です。

ペット保険の補償割合は、多くの場合50%か70%に設定されています50%の場合は、月々の保険料が安く抑えられて続けやすいというメリットがありますが、その分自己負担額が大きくなるデメリットも。

一方、70%の場合、月々の保険料が高額になりますが、高額な治療が必要になっても安心して受けさせられます。

50%のプランに加入して、後に70%のプランに切り替えることもできますが、その場合は再審査が必要になります。反対に、70%のプランに加入して、後に50%のプランに切り替える際は、再審査が不要な場合がほとんどなので、どちらか迷ったら70%のプランを選択しておき、必要に応じて50%のプランに切り替えるといいかもしれません

また、補償限度額が決まっているケースが多く、手術1回あたりの上限額が決められていることもあります。

なお、補償割合が90%と100%に設定されている保険は多くなく、入院・手術に特化したプランか、がんに特化したプランで採用されているケースがある程度です。

ペット保険はいつから加入する?

保険会社やプランによって異なりますが、多くの場合、生後45日から加入できます。中には、生後0日や0歳からといったプランも。一方で、ペットの健康状態によっては加入できないケースもあり、新規で加入できる年齢には上限が設けられていたり、更新できる上限年齢が決まっていたりすることもあるので注意が必要です

年齢条件の例としては、「生後45日以上満7歳以下」「生後120日以上満9歳未満」といった年齢の幅が決まっているタイプや、「満7歳11か月まで」「満13歳まで」といった年齢制限で定められているタイプがあります。事前によく確認しましょう。

ペット保険の加入の必要性

ペット保険の加入の必要性

日本人の生命保険の加入率は80%を超えていますが、ペット保険の加入率は16%程度です。現時点ではペット保険に加入している人は多くありませんが、ペットの平均寿命は年々延びています。

人間と同じように、ペットも高齢になると、病院にお世話になる機会が増えるでしょう。手術や入院が必要になった場合、数十万円の支払いが必要になることもあります。ペット保険に入っておけば、この治療費の50〜70%が補償されるため、安心して十分な治療を受けさせられます。いざ加入しようとしたときに年齢制限にかかってしまう場合もあるため、ペットが若くて元気なうちから準備しておくと安心です。

ペット保険を選ぶ際のポイント

ペット保険を選ぶ際、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、ペット保険を選ぶポイントをご紹介します。

補償開始日を確認する

まず確認しておきたいのが、実際に補償が始まる補償開始日です。人間の医療保険と同様に、ペット保険にも不正受給を防止するために待機期間(契約開始日から補償開始日までの期間)が設定されていることがあり、多くの場合、30〜60日が待機期間となります。

この待機期間中に発生した病気やケガは補償の対象外となりますので、注意してください。なお、待機期間のない保険商品や、待機期間付帯特約がつけられる保険商品もあります。

請求方法を確認する

ペット保険の請求方法には、窓口精算後日精算の2種類があります。保険会社によってどちらか決まっており、動物病院選びや保険金の請求手続きのしやすさに関係するため、事前に確認しておきましょう。
窓口精算
窓口精算とは、人間が病院に通うときと同様に、自己負担額だけを動物病院の窓口で支払う方法です。保険会社から発行されたペット保険証を窓口で掲示すると、会計時に補償額が控除されます。煩雑な手続きが不要なので手軽ですが、窓口精算ができるのは保険会社と提携している動物病院のみのため、注意が必要です。

後日精算
後日精算とは、動物病院の窓口でいったん治療費を全額支払い、後日保険会社に申請して、保険会社から保険金を指定口座に振り込んでもらう方法です。保険の対象疾患であれば、どの動物病院でも対応できます。明細書を保管しておかなければならず、手続きの手間がかかること、申請期限があること、場合によっては診断書を提出しなければならないことなどがデメリットといえるでしょう。

なお、専用サイトやLINEなどで手続きを完結できる保険会社もあります。

加入条件や補償内容を確認する

ペット保険を選ぶ上で最も大切なのが、加入条件や補償内容です。我が家のペットが加入できる保険か、契約や更新の条件についてもチェックしてください。具体的には、下記の2つを確認しておきましょう。
・年齢が条件に合っているか
犬や猫の場合、新規加入の上限を7〜12歳程度としていたり、更新上限を8〜12歳程度としていたりすることもあります。必ず年齢の条件を確認しましょう。

・特定疾病に該当しないか
ペット保険には、一度その病気にかかったり、治療歴があったりすると保険を契約できなくなる特定疾病が定められています。特定疾病の範囲は保険会社によって異なり、告知義務(該当する病気にかかった場合、保険会社に告知する義務)が発生する通知期間も異なるのです。参考までに、あるペット保険会社2社が定める特定疾病をご紹介します。
■特定疾病・通知期間の例

保険会社

特定疾病

通知期間

ペット保険会社A社

・悪性腫瘍(摘出住でも病歴の診断があった時点で不可)
・慢性腎蔵病
・糖尿病
・肝硬変(肝線維症)
・副腎皮質機能低下症(アジソン病)
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
・甲状腺疾患
・免疫介在性血小板減少症
・免疫介在性溶血性貧血
・巨大結腸症
・巨大食道症
・食道拡張症
・膵外分泌不全
・猫伝染性腹膜炎(FIP)
・猫白血病ウイルス感染症
・バベシア症
・ヘモプラズマ症(ヘモバルトネラ症)

過去6ヵ月以内

ペット保険会社B社

・脳・神経系疾患
・ホルネル症候群
・心疾患
・肝胆疾患
・腎疾患
・副腎疾患
・甲状腺疾患
・悪性腫瘍
・フィラリア感染症
・糖尿病
・バベシア症
・ヘモプラズマ症
・猫伝染性腹膜炎(FIP)
・猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・猫エイズ)
・猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

過去3ヵ月以内

※2023年10月現在
上記のように、A社では心疾患が特定疾病に含まれないのに対して、B社では含まれるなど、同じペット保険会社でも対応が異なります。通知期間も、A社では過去6ヵ月以内のところ、B社では過去3ヵ月以内です。ペットに既往症がある場合は、加入の前に保険会社ごとの特定疾病や通知期間を確認するといいでしょう

なお、上記以外の病気でも、告知の内容によっては引き受けができない可能性があります。

補償内容は適切か確認する

通院をメインに考えるのか、入院・手術に備えるのかなど、求める補償が受けられるかどうかもペット保険選びの大切なポイントです。つけられる特約の内容も保険会社によって異なるため、チェックしてください。

保険料をシミュレーションする

加入時だけでなく、高齢になった際の保険料についても調べておきましょう保険会社やプランによって異なりますが、例えば0歳と8歳では、保険料が倍近く異なることもあります

将来的な状況もシミュレーションして、無理なく続けられる金額を設定してください。

いざというときのためにペット保険の加入を検討しよう

今回は、ペット保険とはどのようなものなのかを解説し、選ぶポイントについて紹介しました。多くの飼い主が「うちの子にいつまでも健康で元気にいてほしい」「できる限り長生きしてほしい」と願うものです。いざというときも、経済的な不安がなく安心して動物病院にかかれるよう、ペット保険への加入をおすすめします。

保険会社によってさまざまなプランが用意されているので、保険料や補償内容、請求方法などを調べつつ比較検討し、家庭の経済状況やペットに合った保険を見つけましょう。

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