2015年11月11日 07時20分

ペット保険市場で14社以上が商品提供、市場開拓で独自性競う、加入率はいまだ4〜5%程度

ペットの治療や入院時に役立つ”ペット保険”だが、加入率はいまだ4〜5%程度(写真はイメージ) [拡大する]

ペットの治療や入院時に役立つ”ペット保険”だが、加入率はいまだ4〜5%程度(写真はイメージ)

 ペット保険の市場が広がっている。現在、同保険を取り扱うのは損保会社4社、少額短期保険会社10社までに拡大。加入数は右肩上がりで、14年度末の保有契約件数は、業界最大のアニコム損保が54万件、アイペット損保が19万6000件、少額短期保険会社全体では22万件となった。ほとんどの会社が犬と猫を対象としているが、約2030万5000頭と推計(注)される犬猫の飼育頭数と比較すると加入率はいまだ4〜5%程度。市場開拓余地が大きいということもあり、各社が独自性を競っている。

 ペット保険は、多くの飼い主がペットを家族の一員と考えるようになってきたこと、治療や入院で思わぬ出費につながることなどから人気が高まっている。動物病院で飼い主が治療費をいったん支払い、後日保険会社に請求する流れが一般的だが、窓口で保険適応後の金額のみを支払うタイプ(アニコム損保、アイペット損保など)の人気が高い。そのほか、ペット賠償責任保険などの特約、多頭契約の割引などを設定する会社が多く、ペットの車いす費用や葬祭費用を補償するケースもある。飼育や病気・けがの相談、健康維持や予防に関する情報提供やセミナー開催などサービスの幅も拡大してきた。

 ペットの保障は共済として提供されていた時期を経て、2008年に複数の保険会社が誕生。その後も徐々に数が増えて、14年度には少額短期保険会社が2社加わった。異業種からの参入が増えているのも特徴だ。また、今年7月には、アスモ少短が飼い主の病気やけが、死亡などによりペットの飼育が困難になった場合に対応する保険を開発したことで、新たな広がりを見せている。
 
 販売チャネルの中心はインターネット経由とペットショップだが、ドアノック商品として生保会社の営業職員が取り扱う、ヤナセやトヨタといった大手自動車ディーラーが顧客に提案する、銀行窓販で話のきっかけづくりに活用するなどの手法での対面販売も広がってきた。消費者の関心が高まり、商品選びに迷う消費者が増えていることもあり、オリコンをはじめカカクコム、保険市場、保険スクエアBang!、楽天の保険などでもペット保険の満足度や加入者数のランキングを公表している。

 半面、課題も見えている。治療費の高騰による利益率の縮小をいかに改善させるかがポイントの一つで、取り扱う動物の種類や商品プランの数を減らす、前年度の利用の有無を次年度の保険料に反映させるといった施策も出てきた。また、14年10月時点の犬猫の飼育頭数は、犬が約1034万6000頭、猫が約995万9000頭。猫は微増しているが、犬は11年に1193万6000頭を記録した以降は減少傾向にあり「今後、限られたパイの奪い合いになる」との予測もある(注)。

 一方で、最もペット保険が普及しているスウェーデンでのペット保険普及率は犬で約80%・猫が約35%程度、同様にペット保険に関心の高い英国での加入率は約30%などと言われていることから、現在加入率が低いわが国での市場開拓の余地は大きい。各社の取り組みや、ペット保険市場全体の動向が今後も注目される。

(注)飼育頭数は、いずれも(一社)ペットフード協会の推計による。

(保険毎日新聞)

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