「グレーゾーン金利」って何? カードローン誕生の歴史も紹介

 銀行や金融機関の発行するカードを利用し、決められた貸出枠まで借入ができるカードローン。今回は、どのようにしてその仕組みが作られたのか、カードローン誕生の歴史を紹介します。
  • 【画像】カードローン,貸金業,サラ金

 お金の借入を行う「貸金業」という職業は、歴史上において古くから存在していました。私たちがイメージする「消費者金融」が生まれたといわれているのは、1960年頃。「モノを担保にしてお金を借りる」というシステムは、物が溢れる大量消費の時代に崩壊し、「勤め人信用貸し」や「団地金融」といわれる無担保・無保証の貸金業が登場したといわれています。

 そして1970年代のオイルショックでは、サラリーマンを中心にお金を借りる人が急増。サラリーマンのための金融、いわゆる「サラ金」と呼ばれるようになったのです。同時に、年率100%を超える超高金利や暴力・脅迫による取り立てが急増し、当時はサラ金を厳しく取り締まる法律がなかったため、大きな社会問題となっていました。そして「消費者金融」といえば「サラ金」、“悪徳業者によるブラックでネガティブなもの”というイメージが定着してしまったのです。

 このように悪徳業者による貸し出しが蔓延してしまった理由は、当時の法律に大きな抜け穴があったためだと言われています。
 その抜け穴というのが「グレーゾーン金利」と呼ばれるものです。法律には、経済的弱者にあたる債務者を保護するため、不当な高利を取り締まる「利息制限法」があります。この「利息制限法」が定める金利は、金額に応じて15〜20%と定められていました。

 それに対して、貸金業者の金利を規制するもうひとつの法律「出資法」では、金利の上限を29.2%に定めていたのです。本来であれば、消費者金融各社は「利息制限法」に定められた範囲内で貸し出さなければなりません。だが、「出資法」で罰則を定めている金利が29.2%を超えるものであったことから、そこに差が生まれてしまいました。「利息制限法」を順守している業者であれば20%、「出資法」を上限としている業者の場合は29.2%の金利が付きます。こうして高い金利が付いてしまうために、債務者は毎月の返済に追われ、新たに別の業者からキャッシング、さらにまた…という負のスパイラルに陥ってしまい、最終的には自己破産を余儀なくされ、最悪の場合は自殺にまで追い込まれる事例も増えてしまったのです。

 「出資法」で定められた上限金利が20%まで引き下げられたのは、2006年の末でした。その後、その法律が施行されたのは2010年。つまり、この10年の間でようやく「グレーゾーン金利」が撤廃されたのです。
 グレーゾーン金利が廃止されたことで、金融業者は大きな転換期を迎えます。旧「出資法」の金利を基準に営業計画を立てていた企業は、そもそもの利益が還元できなくなり、大手とされていた金融業者も過払い金の要求に応じるために、経営難に陥ってしまうケースが発生しました。

 こうしたなかで生き残った金融業者の多くは、銀行と提携を行ったり、事業を銀行に譲渡するなどして、カードローン事業を立ち上げたのです。そのため、ほとんどのカードローン会社は「利息制限法」や「出資法」ではなく、「銀行法」に基づいた適正な利率が定められていますグレーゾーン金利とは関わりないということから、安心して利用できるというわけです。

 また、多くのカードローンは担保や保証人を必要としないため、比較的早く申し込みや審査を完了できます。その一方で、審査が厳格なケースもありますが、パートやアルバイトなどでも一定の収入があるとみなされれば、学生や主婦でも借りることが可能。さらに、無人で借入や返却を行えるATMの機械も街なかに多く設置され、一般的なローンの手段として定着していったのです。
  • 【画像】カードローン,返済,無担保,落とし穴

 カードローン最大の特徴は、限度額内であれば自由に何度でも現金を借りられること。キャッシングと似ている点もありますが、キャッシングと異なるのはその返済方法です。一括返済が一般的なキャッシングとは異なり、カードローンはリボルビング払いがほとんど。言い換えれば、カードローンは一括返済が難しい金額でも無担保で借りることができるというわけです。

 また、カードローンは返済が滞ると直ちに新規貸出が停止されてしまいますが、返済を怠らずに続けていればずっと借り続けることができます。返済日の翌日には、返済した金額以上を借りるということもできてしまいます。

 そのため、だんだんと感覚が麻痺してしまい、気がついたときには返済が追いつかない状態に陥りやすくなるので、注意が必要。さらに、返済が長期間にわたるとその分利息も付いてくるため、一括払いより利息分の金額が多くなることもあります。カードローンを利用する際は、毎月支払える金額であり、かつ利息があまり増えないペースで返済ができるよう、綿密な計画を立てましょう。
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