コンピュータで自動取引!? 話題の「システムトレード」とは

  • 画像/ファイナンシャルプランナー・大竹のり子さん

    解説:大竹のり子さん株式会社エフピーウーマン代表取締役ファイナンシャルプランナー(CFPR認定者)

 FX取引の話題でよく耳にする「システムトレード(シストレ)」という言葉。賢いプログラムに任せて自動で取引ができるという“シストレ”だが、いったいどんな仕組みなのか? そのメリット・デメリットとは? テレビやラジオでも活躍中している、ファイナンシャルプランナーで、資産運用に詳しい大竹のり子さん(写真右)に聞いてみよう。
 FXのシステムトレードとは、為替の状況や過去のデータなどから自動的に取引の判断ができるようにプログラミングし、それを利用して自動売買を行う手法のことを指します。

 最近ではこの「シストレ」を利用して自動売買ができるFX取引業者も増えており、初心者でもプロの投資家が行うような高度な判断による取引ができるとして、人気を集めているようです。

 もともとは、プロの投資家が自分の判断基準、戦略(ストラテジー)などをプログラミングして、取引に利用するものでしたが、それが商品化されて、私たちも気軽に使うことができるようになりました。FX取引で資産運用を行う際の選択肢として、検討していいと思います。各社が自動取引に対応しているかどうかは、公式ホームページなどでチェック。自分に合った売買システムを選び、さっそくシストレに挑戦してみましょう。
 シストレによる自動取引のメリットは、第一に手間がかからないことです。プログラムが自動的に判断し、売買してくれるので、投資家は常に為替の状況をチェックしたり、細かく注文を出したりする必要がないのです。時間のない人にとっては、とても便利な仕組みだといえます。

 また、もうひとつ大きいのは、取引が感情に左右されないこと。人間が取引をすると、「早く利益を確定してしまおう」、「もう少し待てば、損失が減るんじゃないか」など、どうしても心理面、感情面に引っ張られて、判断がにぶってしまうことがあります。けれど、シストレならそれをドライに判断し、利益を確定するタイミングを機械的に決定し、またマイナスになりそうなら容赦なく損切りをしてくれます。優柔不断になりがちな方にとっても、魅力的な部分だと考えられます。


 一方で、シストレを利用することにはデメリット、注意しておくべき点もあります。FX取引をするということは、お金をマーケットにさらしているということであり、これは手動でも自動でも同じなので、リスクは当然あります。つまり、投資のプロが作ったプログラムに任せておけば絶対に損をしない!と考えるのは間違いで、結局は自己責任であるということ。システムトラブルの可能性も、ゼロではありません。

 また、自動取引とはいえ、自分がお金を動かしていることを忘れてはいけません。利益が積み重なれば、自然と取引する資金のボリュームが大きくなっていきます。これは裏を返すと、損をするときの額も大きくなっていくということ。実績のあるトレードツール、プログラムだからと安心して、そのまま大きなお金を動かしていると、いつか痛い目を見てしまうかもしれません。

 注意すべきなのは、システムに任せることで資金のコントロールがおろそかになってしまうこと。シストレを利用するにしても、自分の手できちんと、「ここまでは投資に回していいお金だ」という線引をしておくことが重要です。
システムトレード(自動取引)のメリット・デメリット
【メリット】
・初心者でも、プロの投資家が行うような高度な判断で取引できる。
・手間がかからない。・感情に左右されず、ブレない取引が可能。


【デメリット】
・当然、損をすることもある(過剰な期待はNG)。
・システムトラブルが起こる可能性がある。
・資金を自分でコントロールしているという感覚を持ちづらい。
 システムトレードには個人投資家が開発している人気ソフトもあるが、ここではFX各社が導入しているツールをいくつか紹介しよう。
シストレ24(インヴァスト証券)
システムトレードの最大手「インヴァスト証券が展開しているのがシストレ24(外部リンク)」。シストレの代表的なソフト「ミラートレーダー」を開発しているトレーデンシー社提供のシステムで、最大の特徴は「数は質を生む」という理念のもと、経験を積んだトレーダーの売買手法や戦略をプログラム化した「ストラテジー」を多数提供していること。

「どの手法を選べばいいの?」と迷うことがないよう、相場に合ったものを直感的に選べるよう、アイコンなどのビジュアルも充実している。ストラテジーを選ぶだけで、自動で取引が進む手軽さも魅力だ。
アルゴトレード365(岡三オンライン証券)
 岡三オンライン証券が展開する「アルゴトレード365」の特徴は、東京金融取引所が市場を開設・運営しているFX取引「くりっく365」を専門にした自動売買ツールだということ。ちなみに、「くりっく365」は、外国為替市場で世界有数の金融機関から価格の提供を受けて、その価格の中から最も安い売り価格と、最も高い買い価格を抽出し、リアルタイムで情報を流しているため、有利な価格で取引しやすいとされている。

 そのなかで取引を行う上で、アルゴトレード365は約1000種類の売買システムを搭載。取引結果の履歴をもとに各種ランキングデータも公開されているので安心だ。
エコトレFX(ひまわり証券)
 ひまわり証券が展開する「エコトレFX(外部リンク)」も、信頼性の高い売買システムを揃えているとして評判。

 自動売買はしたいけれど、「決済は自分のタイミングで行いたい」という投資家のために「手動決済ボタン」が搭載され、また「知識はあまりないけれど、複数のシステムを組み合わせて運用したい人」というには、気軽に組み合わせを選べるように提案してくれる「おすすめポートフォリオ」機能も。初心者にもやさしい仕組みになっている。
 このほかにも、各社がシステムの精度を上げるために切磋琢磨している状況。まずはFX各社のホームページをチェックして、システムトレードに対応しているか、どんな特徴のあるツールを導入しているかをチェックしてみては?

大竹のり子(おおたけ のりこ) 
株式会社エフピーウーマン代表取締役、ファイナンシャルプランナー(CFPR認定者)。出版社の編集者を経て、2005年4月に女性による女性のためのマネーサロン「(株)エフピーウーマン」を設立。現在、『オレンジページ』での連載をはじめ、雑誌、講演、メディア出演など多方面で活躍中。『一番やさしく株がわかる』(西東社)、『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)などお金の分野での著書は40冊以上に及ぶ。新刊『スマートフォンで5万円ではじめられる! 株取引をマスターする本』が、インプレスジャパンより発売中。
ブログ:http://ameblo.jp/fpwoman-ohtake/

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