手数料でここまで違う! FXと外貨預金を徹底比較

 FX取引を始める際に、抑えておきたいのが「外貨預金」との違いがある。外貨を取引するという点では、どちらも似たようなもの、という印象を持つ方も多いだろう。しかし、FXは手元の資金を証拠金として外貨を取引するもので、預金とは大きく異なる。今回は、実際の取り引き時におけるポイントを比較しながら、2つの特徴と違いについてみていこう。

外貨預金とは? FXとの違いを知っておこう

その1:外貨預金とは? 今さら聞けない“円高・円安”とは

 外貨預金とは、円を他国の通貨に替えて預金する「外国通貨建て預金」のこと。いまや実質“ゼロ金利”と呼ばれる日本円で預金するよりも、海外通貨の高い金利で預金できるという利点から、人気を集めている財テクの一つだ。円預金と同様、普通預金や定期預金がある。

 外貨を円貨で引き出す際、為替相場の変動によって預入時よりも円安になっていれば為替差益(※為替レートの変動により生じる利益のこと)も期待できる一方、円高に推移すれば元本割れになる可能性もあるというリスクを有した金融商品である。

その2:為替変動により得られる利益の違い

 前述したように、外貨預金は「円を売って外貨を買う」取引であり、預入時よりも円安になっていたときのみ為替差益が得られるが、もし円高になったときに払い出せば元本割れになる可能性もある。そのため、外貨預金を始めるのは、今後為替相場が円安方向へ推移していくと予想されるときなのが普通だ。

 一方、FXは「円を売って外貨を買う」取引だけでなく、「外貨を売って円を買う」取引から始められる。これにより、円高に向かっているときでも利益を得るチャンスがあるのだ。

 たとえば、米ドルを1ドル=100円で買い、1ドル=110円(円安)になったときに売れば、1ドルあたり10円の為替差益が得られる。一方、1ドル=100円のときにドルを売って円を買い、1ドル=90円(円高)になったときに円を売ってドルを買い戻すことで、同じく1ドルあたり10円の為替差益が得られる。

その3:FX取引と外貨預金の大きな違いは「レバレッジ」の有無

 「レバレッジ」とは、証拠金を担保にその何倍もの外貨取引が可能となる仕組みのことを指し、手元資金を最大25倍(個人の場合)の外貨取引が可能となる、FX取引の大きな魅力の1つ。

>>例
 1米ドル=100円の場合外貨預金で1万米ドルの購入に必要な資金は100万円だが、FXではレバレッジを25倍にすれば、4万円で購入できる計算となる。

 手元資金の範囲内での取引となる外貨預金に対し、このレバレッジを用いたFX取引は、少額の資金でも大きな利益を生むケースもあり、株の信用取引と似ていると言われている。もちろん、レバレッジを大きくかければかけるほどリスクも高くなるのでそう簡単にはいかないが、FX取引の特徴の1つとして必ず覚えておこう。

外貨預金と比較した場合、FXのメリットとは?

ポイント1:取引、解約などタイミングは自由

 たとえば外貨定期預金の場合、一般的な円の定期預金と同様、一度預け入れれば原則として満期日になるまでは解約できないが、FXは、基本的に日本時間の月曜朝7:00から土曜朝7:00までの間、24時間いつでも取引が可能だ(実際の取引可能時間はFX会社による)。

ポイント2:スワップポイントの有無&差益の受け取りタイミング

 外貨定期預金は預入時の金利で固定しており、満期にならないと金利を受け取れないが、FXではスワップポイントを毎日受け取れる。日本円は超低金利のため多くの外貨が日本円より金利が高い。そうした外貨を買うことで生じるその金利差益が、スワップポイントだ。

 ただし、通貨ペアを構成する通貨のうち、相対的に高金利の通貨を売った場合、または相対的に低金利の通貨を買った場合には、その取引数量相当のスワップポイント(通貨ペアを構成する両通貨の金利差の調整額)の支払い額が日々蓄積され、時間の経過に比例して損失額が大きくなるので注意が必要となる。また、現時点でスワップポイントを受け取れるポジションであっても、将来にわたって通貨ペアを構成する両通貨の金利差が縮小、または逆転した場合には、その受け取り金額が縮小したり、支払いへ転ずる可能性もある。

ポイント3:自由度が高い

 たとえば、金利が0.1%の日本円を売って、金利が2.5%の豪ドルを買った場合、2.5%−0.1%=2.4%が金利差。1豪ドル=80円で1万豪ドルを買い、これを1年間保有したときのスワップポイントは80万円×2.4%=19,200円で、1日あたり約52円となる。
 このように、外貨預金よりも自由度が高いのもFXが有利な点の一つといえるだろう。

手数料の違いに注目! 大手都市銀、ネットバンク、FXでココまで違う

 銀行にしてもFX会社にしても、その主な収益は取引の際に利用者が支払う「手数料収入」にあることは同じ。しかし、その手数料の金額にはかなりの差があり、最終的な手取り額に大きく影響してくる。

 外貨預金では「為替手数料」、FXでは「スプレッド」(売値と買値の為替レートの差額)がそれぞれ手数料となる。一般的に、大手都市銀行の為替手数料が高く、FXのスプレッドは安い。為替手数料は預入時と払出時の両方(往復)にかかり、スプレッドは売りと買いの両方にかかる。これらを比較してみよう。

▼1万米ドルを取引したときの手数料(簡略化して計算)
外貨預金(大手都市銀行)/片道為替手数料1円
1万米ドル×1円=1万円×2(往復)=2万円

外貨預金(ネット銀行)/片道為替手数料0.09円(9銭)

1万米ドル×0.09円=900円×2(往復)=1,800円

FX/片道スプレッド0.003円(0.3銭)
1万米ドル×0.003円=30円×2(往復)=60円
 取引額が増えれば増えるほど、この手数料の違いが効いてくることは一目瞭然といえる。なお、手数料が高い大手都市銀行の外貨預金では、短期取引で為替レートがほとんど変わらない場合、手数料分が損益となってしまう可能性もあるので注意が必要だ。

 外貨預金とFXとを比べてみると、とくに手数料とリスクの面で、FXのほうに軍配があがることがおわかりいただけたのではないだろうか。もちろん、FXもリスクがゼロというわけではないが、無理なく上手に取り組めば、外貨預金よりも効率のよい資産運用が可能となるので、ぜひ参考にしてほしい。

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