知らずに損? FX取引、確定申告での3つの注意点

 FX取引を始めたら、忘れてはいけないのが税金の支払いだ。前年分の利益について、確定申告により納税するのだが、トータルで損失となった場合にも申告は必要となる。その処理方法など、知らないままで損をしていた! ということにならないよう、ポイントをしっかり抑えておこう。

面倒な申告手続き…合算可能なものは?

 FXの取引で利益が出たら、税金を支払わなくてはならない。もちろん、会社員のように給与から天引きというわけにはいかず、自分自身で確定申告による納税が必要となる。

 FXでの利益について申告、納税が必要となるのは、(1)給与所得がある方で、20万円を超える利益が出た場合(2)給与所得がない方(主婦や年金所得者など)で、38万円以上の利益が出た場合。以上の2つケースとなる(※)。

 申告の際に、FX取引での利益は、ほかの所得と分けて「先物取引に係る雑所得等」として申告する(申告分離課税)。数社でFX取引を行っている場合は、すべてを合算できる。また、FX以外に、商品先物取引(金や穀物など)や株価指数先物取引(TOPIX先物など)といった取引をしている場合は、これらも合算可能なので覚えておこう。
 FX取引での利益は、ほかの所得と分けて「先物取引に係る雑所得等」として申告する(申告分離課税)。数社でFX取引を行っている場合は、すべてを合算できる。また、FX以外に、商品先物取引(金や穀物など)や株価指数先物取引(TOPIX先物など)といった取引をしている場合は、これらも合算可能だ。

 税率は所得税15%+地方税5%で合計20%。ただし平成25(2013)年から平成49(2037)年までは、所得税と復興特別所得税をあわせて納付する必要があるため、税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)+住民税5%)となる。

※確定申告の対象者について詳しくは「国税庁のホームページ」(外部リンク)を参照のこと。

FXを勉強する教材費やセミナー参加費なども“必要経費”に

 「雑所得等」として課税対象となるのは、前年1月1日のマーケットオープンから12月31日のマーケットクローズまでに確定した「為替差益」「スワップポイントの利益」の2つだ。未決済のポジション(購入後保持している取引)における含み益、またそのポジションにおけるスワップポイントの含み益は課税対象とならない。

 なお、FXについて勉強するために購入した書籍代やセミナーの参加費、FXをするために購入したパソコンやモニターなどが必要経費として認められる可能性もある。念のため、そうした経費の領収書は保管しておくようにしよう。ただし、税務署によって解釈が違うことがあるので、必ず所管の税務署に相談してほしい。

損失繰越控除の適用を! “トータルで損失”の場合も確定申告を

 利益と損失とを通算したら、損失のほうが多かった場合、つまりトータルで赤字だった場合も、確定申告しておくことをおすすめする。これは、翌年以後3年にわたって損失を繰り越し、雑所得から控除できる「損失繰越控除」の適用を受けられるからだ。

 たとえば、昨年100万円の損失があった場合、今年、損失を申告しておくと、来年以降3年間にわたって、その年の利益から損失分を控除することが可能となる(図参照)。

【1年目・利益30万円
繰り越した損失と相殺され、課税額は0円。残り70万円の損失が2年目に繰り越し。

【2年目・利益40万円
繰り越した損失と相殺され、課税額は0円。残り30万円の損失が3年目に繰り越し。

【3年目・利益25万円
繰り越した損失と相殺され、課税額は0円。5万円残るが繰り越しは終了。
 繰り返しになるが、この控除適用を受けるには、損失の出た年に確定申告をしておく必要があり、その後も毎年申告が必須。利益が出ていないからといって何もしないと、翌年以降の控除が受けられなくなってしまう。「来年は絶対に利益が出るはずだ!」と思いたくなる気持ちもわかるが、手続きだけはきちんとしておこう。

 当然のことだが、万一申告し忘れて納税しなかったら、脱税ということになる。サラリーマンは確定申告に慣れていないのでついうっかり……ということがあるかもしれない。そのうえ税制はなかなか複雑でわかりにくい面もあるので、疑問点がある場合は決して素人判断せず、税理士などの専門家に相談してほしい。

※平成26年分の確定申告は、平成27年2月16日(月)から3月16日(月)まで。忘れず早めに、申告・納税を済ませよう。
制作協力/株式会社マイト(外部リンク)

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