2016年02月26日 08時10分

【住宅ローン】FPが解説! 「繰り上げ返済」のメリット&デメリット(1)

【図表】繰り上げ返済「期間短縮型」と「返済額軽減型」の例 [拡大する]

【図表】繰り上げ返済「期間短縮型」と「返済額軽減型」の例

 日銀の金融政策決定会合が先月末、“マイナス金利”を打ち出した。その後、預金金利がさらに下がったと報道があり、住宅ローンの変動金利も下がり始めた。「借り入れを見直そうか」「借り換えをしようか」、はたまた「家を買うか」といった検討を始めている人もいるだろう。

 すでに借りている住宅ローンを見直す場合、主な方法として「繰り上げ返済」と「ローンの借り換え」の2種類がある。今回は、まず繰り上げ返済のメリットを確認していこう。

 繰り上げ返済のメリットは、ズバリ「本来支払うべき利息を減らせること」だ。例えば、3000万円を金利3%、期間35年、ボーナス返済なしで借りると、毎月の返済額は11万5455円。利息の総額は1849万1100円にのぼる。この利息を減らせるのが、繰り上げ返済の特長だ。

▼繰り上げ返済「期間短縮型」のメリット

 繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがある。よく利用されるのは「期間短縮型」で、毎月の返済額を変えずに返済完了を前倒しする仕組みだ。

 この場合、繰り上げ返済するのは元金部分となる。返済額のうち、利息は毎月の元金の残高に対して計算されるので、元金をまとめて減らせば、その後の利息も減る。毎月の返済額において元金の占める部分が増え、当初の約束よりも早く返済が終わるのだ。

 ここで、3000万円を金利3%、期間35年、ボーナス返済なしの借入に対して、200万円の繰り上げ返済を行うとしよう。借入をしてから3年目で行うと、返済期間が3年6ヶ月短縮し、利息総額は約290万円減少。借入後10年目でも返済期間は2年11ヶ月短縮し、利息総額は約200万円減少する。

 いずれも繰り上げ返済額と同額以上の利息減額ができ、返済完了も前倒しになる。ちなみに、金利が高いほど効果は大きく現れる。また、少しでも早く行った方が効果は大きい。

▼繰り上げ返済「返済額軽減型」のメリット

 返済額軽減型を利用して繰り上げ返済をした場合、借入残存期間は変わらないが、毎月の返済額は少なくなる。

 例えば、3000万円、金利3%、期間35年、ボーナス返済なしの借入に対して、200万円の繰り上げ返済を3年目で行うと、毎月の返済額は8121円少なくなり、利息総額は約110万円減少。10年目で行うと、毎月返済額は9506円減り、利息総額は約80万円減少する。期間短縮型と違って返済期間は変わらないため、支払い利息総額の減少幅は小さいが、毎月の支払いが負担になっている場合などには効果がある。

 毎月の支払いにボーナス払いを併用している場合、返済額軽減型の効果的な使い方として、ボーナス払いの返済分を減らすという方法もある。先行きは不透明感を増しており、ボーナスそのものに不安のある人も多いだろう。そうでなくとも、ボーナスからのローン返済額が減り、手取り資金が増えて毎月の収支の凸凹を埋めてくれることで、家計が安定するケースも少なくないのではないだろうか。

 次回は、繰り上げ返済のデメリットについて解説する。

<記事/山根裕子(マイアドバイザー登録FP)>
CFP。会計事務所系FP会社で中小企業のオーナーや個人の顧客のお金に関する問題解決の実行支援を展開中。「お金のかかりつけ医」として家族ぐるみの相談相手になることも多い。

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