住宅購入時の「頭金」って、必要なの?
頭金の額は「物件価格の2割」が理想
新築マンションの場合で考えると、実際、販売価格には2割程度の「不動産業者のコストと利益」が含まれています。そのため、購入後すぐに売却したとしても、この2割を差し引いた8割程度の価格でしか売れません。もし、全額を住宅ローンによって購入した場合、売却して得たお金ではローンを支払いきれず、別途借金を抱えることになってしまいます。このような「担保割れ」の状況をつくらないためにも2割の頭金があると安心、というわけです。
頭金が少ないと利息の負担が大きくなる
さらに、頭金の額が多いほどローンの負担が軽減されることを覚えておきましょう。たとえば、4000万円の物件を購入する場合、頭金を500万円用意すると、住宅ローンから借りる金額は3500万円です。しかし、頭金ゼロの場合は、4000万円全額をローンで借りる必要があります。頭金500万円とゼロ、両パターンの金額を35年ローン、金利1.5%で返済する場合のシミュレーションを見てみましょう。
■4000万円の物件を35年ローン(金利1.5%)を組んで購入する場合
「少ない頭金で借りて繰り上げ返済」なら定年後の不安の解消も
実際、「住宅ローン減税」や「すまい給付金」といった住宅取得のための充実した制度に加え、超低金利水準を背景に、「買うなら今!」と自己資金をほとんど準備せず、全額ローンを組む人も増えています。貸す側、つまり銀行も、顧客獲得競争により融資の基準をゆるめ、「頭金ゼロ」でも融資を可能にしています。そのため、手元に資金がないのにマイホーム購入に踏み切る人が増えているのです。さきほどの試算のように利息によるローンの負担は重くなるものの、頭金ゼロでも購入はできるというわけです。
さらに現在は、歴史的な超低金利時代。たとえば、500万円の頭金が貯まるのを5年待つより、超低金利だからこそ頭金がゼロでも借りてしまい、5年かけて500万円を貯め繰り上げ返済をする。頭金が貯まるまで何年も購入を先送りにするより、低金利の今、早めにローンを組んでしまい、のちに繰り上げ返済する、という方法も選択肢のひとつです。ローンを組むのを先送りにすることは、年齢によっては定年後に多くの残債を抱えることになります。早めにローンを組むことで、収入が激減する定年後の残債の不安を取り除けるメリットは大きいのではないでしょうか。