2016年04月11日 08時10分

【住宅ローン】専門家が「繰上返済を勧めない」本当のワケ

専門家目線から「繰上返済」のデメリットを紹介。利用前に確認しておこう [拡大する]

専門家目線から「繰上返済」のデメリットを紹介。利用前に確認しておこう

 住宅ローンは、早いうちに繰上返済をして元金を少しでも減らしたいと考える人がほとんどだろう。もちろん、繰上返済をすれば借入額が減り、精神的負担も軽くなる。総返済額からみても決して間違っているというわけではない。

 ただし、専門家が繰上返済を勧めない理由があるすれば何だろうか。今回は、繰上返済のデメリットについて考えていく。

■過剰な繰上返済で手元に資金がなくなるリスク
 マネー相談で繰上返済を頑張っている人によく見られるのが、貯蓄が貯まると、どんどん繰上返済にあてていき、手元に資金がほとんどないというケース。

 もし、「病気やケガで大きな出費が必要になった」、「収入が減ってしまった」、「子どもの教育費が想定以上にかかり教育費が足りない」という時、手元に資金がないとなると大変だ。このような想定外の事態に備えておくことはとても大切。一度、繰上返済にあてたお金は二度と戻ってこないので注意が必要といえる。

■万が一の場合、残された家族のために
 住宅ローンを借入れる際に団体信用生命保険に加入していれば、契約者が死亡、または高度障害になった場合にはローン残高は保険金で完済される。つまり、契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンは完済されるので、残された家族はローンの返済に対する不安は残らない。したがって、ある意味“生命保険”という側面を持つ住宅ローンを無理して繰上返済する必要はないという考え方もできる。できれば、残された家族に少しでも多くの資金を遺してあげたいものだ。

 さらに、住宅ローン控除を受けている人は、繰上返済をすることで期間が短縮されてしまい控除の対象外になる可能性もあるので気をつけたい。

 繰上返済によって利息を節約するメリットだけに着目するのではなく、繰上返済をすると生じるいくつかのデメリットも考えるようにしたい。特に資金に余裕がない家計には繰上返済はあえて勧めたくはない。特に小さな子どもがいる場合は、子どもの成長に伴い、中学、高校、大学と進学するにあたって教育費が膨む。繰上返済をし過ぎてしまい、肝心の教育費が準備できず、大学等の学費などを教育ローンや奨学金で工面してしまっては、本末転倒なのでくれぐれも避けたいものだ。

【文/今関倫子】
ファイナンシャル・プランナー。外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナーを目指し、資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性のお客様から年間のべ200件以上の個人マネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。FP Cafe登録FP。

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