2015年06月20日 09時50分
タクシーが急ブレーキで事故… 乗客の損害賠償額はいくら?
もし乗車中のタクシーが事故を起こしたら……損害賠償額はいくら?
重い荷物を持っているときや飲酒後などに役立つ「タクシー」。ドライバーは第二種運転免許を持ってはいるが、自動車である以上、危険がないとは言い切れない。では、乗車中のタクシーが事故を起こした場合、損害賠償額はいくらになるのか? 今回は、タクシーの急ブレーキにより乗客が負傷した事例を紹介する。
<事故内容>
2012年7月3日午前、大阪府大阪市内で、親子2人がタクシーの後部座席に乗車。タクシーは時速30キロ前後で走行していたが、突然急ブレーキをかけた。その反動で、親の首が前後に大きく揺れ、腕や体を運転席の後ろにぶつけた。また、子どもの方も助手席のヘッドレストに頭をぶつけた。
<判決>
親子側は、タクシーの運転手とタクシー会社を相手取り、約280万円を求める訴えを起こした。判決では「運転手は、適切にブレーキ操作を行って乗客の安全を確保する注意義務があるが、これを怠って急ブレーキをかけた過失がある」と指摘。
一方、親子側にも「シートベルトを着用していなかった」という過失があった。そのため、「もし着用していれば、ケガは軽くなった可能性があった」として、親子側に1割の過失相殺を適用、タクシー運転手らには約170万円の賠償が命じられた(2014年7月25日大阪地裁判決)。
このタクシーには、後部座席付近に“安全のためにシートベルトをおつけください”と書かれたステッカーが貼られていた。同様のものを目にしたことがある人は多くても、必ず従っているという人は少ないかもしれない。「慎重に運転する」「補償の充実している自動車保険に加入しておく」といった事故への備えも大切だが、“車の乗り方”に関してもしっかり気を配りたいところだ。
監修/新橋IT法律事務所 弁護士・谷川徹三氏
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