車両保険とは?必要性や補償される事故の種類をわかりやすく解説

車両保険とは?必要性や補償される事故の種類をわかりやすく解説

車両保険とは、自動車保険の中でも契約者の車に対する損害を補償する保険のことです。

事故や自然災害などで車が損傷した際に修理費を補償し、万が一のリスクに備えるための重要な保険の一つです。

しかし、すべての事故が補償されるわけではないため、補償の範囲や種類、保険料の決まり方について正しく理解することが大切です。

本記事では、車両保険の基本的な仕組みや補償内容を詳しく解説し、加入を検討すべきケースについても紹介します。

また、車両保険が10年目の中古車でも必要かどうかや、保険料の決まり方、補償金額の設定方法についても説明しますので、自分に合った車両保険を選び、安心して車を運転できるよう、ぜひ参考にしてください。
トータルマネーコンサルタント 新井 智美

監修者 トータルマネーコンサルタント 新井 智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

mokuji目次

  1. 車両保険の基本的な仕組みと補償内容
    1. 車両保険の定義と特徴
    2. 補償される事故の種類と範囲
    3. 一般型と限定型の違いと選び方
    4. 過失割合と補償の関係性
  2. 車両保険の加入を検討すべきケース
    1. 新車・高級車所有者の場合
    2. ローン返済中の場合
    3. 運転頻度が高い場合
  3. 車両保険は10年目の中古車でも必要か
  4. 車両保険の保険料の決まり方と補償金額
    1. 車両保険料を左右する要因
    2. 保険金額の設定方法と目安
    3. 免責金額の設定による保険料の調整
  5. 自分に合った車両保険選びで備えを万全に

車両保険の基本的な仕組みと補償内容

車両保険の基本的な仕組みと補償内容

自動車保険の補償内容のひとつである車両保険は、自分の車が事故や災害によって被った損害を補償する保険です。

対人賠償保険や対物賠償保険が他者への損害を補償するのに対し、車両保険は契約者自身の車両の損害をカバーします。

損害保険料率算出機構の統計によると、2023年3月末時点での車両保険の普及率は46.6%と、約半数の方が加入しています。

事故や災害によって車両修理が必要になった場合の経済的な負担を軽減できるため、車の状態や使用状況によっては重要な補償となります。

参考:損害保険料率算出機構|2023年度(2022年度統計)自動車保険の概況

車両保険の定義と特徴

車両保険とは、自動車保険の補償内容の一つで、契約車両自体に生じた損害を補償する保険です。

事故や災害などで自分の車が損傷した場合、その修理費用や、場合によっては買い替え費用を保険金として受け取ることができることが大きな特徴です。

対人・対物賠償保険が他者への補償であるのに対し、車両保険は「自分の車への補償」という点がポイントになります。

なお、車両保険は自動車保険の一部であるため、単独で契約することはできません。

補償される事故の種類と範囲

車両保険では、さまざまな事故や災害による損害が補償されます。

事故の種類

補償の有無

具体例

交通事故

他車との衝突など

自然災害

台風、洪水など

盗難

車両の盗難

いたずら

車体への傷つけなど

地震・噴火・津波

×

-

車両保険は幅広い事故や災害をカバーしますが、地震・噴火・津波による損害は補償対象外となる点に注意が必要です。

また、補償範囲は契約するタイプによって異なるため、加入時には補償内容を確認しましょう。

修理費用が車の時価額を超える場合は「全損」とみなされ、買い替え費用として保険金を充てることも可能です。

一般型と限定型の違いと選び方

車両保険には、補償範囲の広さによって「一般型」「限定型」の2種類があります。

限定型はエコノミー型と呼ばれることもあります。

補償内容

一般型

限定型

車との衝突

単独事故

×

あて逃げ

×

保険料の特徴

高め

安め

一般型幅広い事故をカバーしますが、保険料は高くなります。

たとえば電柱への衝突などの単独事故や、犯人不明のあて逃げ被害も補償されます。

一方、限定型は他車との衝突や自然災害など一部の事故に補償が限定されますが、その分保険料は安くなります。

選ぶ際は、運転環境や経済的な負担を考慮して判断するとよいでしょう。

過失割合と補償の関係性

交通事故では当事者間の「過失割合」に応じて賠償責任が決まります。

たとえば、あなたに30%の過失がある事故で車が損傷した場合、相手の保険からは70%分の修理費しか支払われません。

残りの30%は自己負担となりますが、車両保険に加入していれば、この自己負担分も補償されます。

つまり、車両保険は自分に過失がある場合でも修理費を確保できる点が大きなメリットです。

相手が無保険やあて逃げの場合も、車両保険があれば安心といえるでしょう。

車両保険の加入を検討すべきケース

車両保険の加入を検討すべきケース

車両保険への加入が特に重要となるのは、いくつかの特定の状況があります。

自分の車の修理費を補償する車両保険は、すべての人に必要というわけではありませんが、以下のようなケースでは加入を積極的に検討すべきでしょう。
これらの状況では、事故や災害によって車両が損傷した際のリスクや経済的負担が大きくなる可能性があります。

新車・高級車所有者の場合

新車や高級車を所有している場合、車両保険への加入を強く検討すべきです。

新車は時価額が高いため、万が一の事故や災害で大きな損害を被った場合、修理費や買い替え費用の負担が非常に大きくなります。

特に高級車は部品代や修理技術費も高額になりがちで、ちょっとした接触事故でも数十万円の修理費がかかることもあります。

また、新車は車両保険の保険金額(契約時の時価額相当)が高く設定されるため、事故や災害による損害をしっかりとカバーできます。

盗難のリスクも考慮すると、新車や高級車には車両保険を付帯するメリットが大きいといえるでしょう。

ローン返済中の場合

自動車ローンで車を購入し、まだ返済が残っている場合は、車両保険への加入が特に重要になります。

もし事故で車が大きく損傷したり全損になったりした場合でも、ローンの返済義務は続きます。

車両保険がない場合、ローンの返済と修理費用または新たな車の購入費用という二重の負担を強いられることになります。

車両保険に加入していれば、事故や災害で車が損傷した際に修理費用や全損の場合は車の時価額相当の保険金を受け取ることができます。

この保険金をローン返済に充てることで、経済的な負担を軽減できます。

家計の安定のためにも、ローン返済中の車には車両保険を付けることをおすすめします。

運転頻度が高い場合

毎日の通勤や長距離運転など、運転頻度が高い方は車両保険に加入することを検討するとよいでしょう。

運転頻度が多いほど事故に遭遇するリスクも高まります。日常的に車を使用する方にとって、車は生活に欠かせない道具です。

事故や災害で車が使えなくなった場合、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

また、慣れない道路や混雑した都市部の運転、長時間運転でも事故リスクは高まります。

車両保険に加入していれば、万が一の事故の際も迅速に修理や買い替えができ、生活への影響を最小限に抑えられます。

車が日常の足として欠かせない方にとって、車両保険は安心のための重要な備えとなるでしょう。

車両保険は10年目の中古車でも必要か

車両保険は10年目の中古車でも必要か

購入から10年以上経過した中古車の場合、車両保険の必要性は状況によって異なります。

車の時価額は年数とともに大きく下がるため、10年目の中古車では保険金額(時価額相当)が低く設定されます。

そのため、事故で損害を受けた場合、支払われる保険金が実際の修理費をカバーできないことがあります。

たとえば、10年落ちの車が50万円の修理費を要する事故に遭っても、車の時価額が30万円なら保険金は最大でも30万円までとなり、車両保険に加入する経済的メリットは薄れます。

一方で、修理費が時価額を超えない小さな事故や自然災害リスクが高い地域では、中古車でも車両保険を検討する価値があるでしょう。

最終的には保険料と保険金のバランス、車の使用状況、経済的余裕などを総合的に判断して決めることが大切です。

車両保険の保険料の決まり方と補償金額

車両保険の保険料の決まり方と補償金額

車両保険の保険料や補償金額は、複数の要素を組み合わせて決定されます。

車の価値や特性、契約者の属性など、さまざまな要因によって金額が変わるため、自分の状況に合った設定を選ぶことが重要です。

以下では、保険料を左右する要因や保険金額の設定方法、免責金額による調整について解説します。

車両保険料を左右する要因

車両保険の保険料は、いくつかの重要な要素によって決まります。最も大きな影響を与えるのは車種です。

自家用普通乗用車、軽四輪車、特殊用途車など、車種によってリスク評価が異なるため保険料も変わります。

また同じ車種でも型式によって保険料が異なり、これは「型式別料率クラス」として数値化されています。

この料率クラスは、自家用(普通・小型)乗用車の場合は1〜17まで、自家用軽四輪乗用車は1〜7までの数字で表され、数字が大きいほど保険料も高くなります。

損害保険料率算出機構が過去の事故データを分析し、車種ごとの事故率や修理費などを考慮して毎年見直されるため、同じ車でも年によって料率クラスが変動することがあります。

事故率の高い型式は高いクラスに分類され、保険料も高くなる傾向があります。

年式も重要な要素の一つです。新車は時価額が高いため保険料も高めになりますが、経年とともに価値が下がるため保険料も減少していきます。

また、記名被保険者や運転者の年齢条件によっても保険料は大きく変わり、若年層は事故率が高いため保険料も高く設定されています。

使用目的(日常・レジャー、通勤・通学、業務)年間走行距離などの使用状況も保険料算出の重要な要素です。

走行距離が長いほど事故リスクも高まるため、一般的に保険料も高くなります。

保険金額の設定方法と目安

車両保険の保険金額(車両保険金額)は、基本的に契約時の車の市場販売価格相当額をもとに設定されます。

市場販売価格相当額とは、同じ車種・車名・型式・仕様・年式で同程度の損耗度の車を自動車販売店等で購入する場合の価格のことです。

言い換えれば、事故で車が全損した場合に同等の車を購入できる金額が目安となります。

この市場販売価格相当額は、車の使用年数が経過するにつれて低下していきます。

一般的な目安として、新車から1年経過すると価値は約20%減少し、3年で40%程度、5年で60%程度減少すると言われています。

これに伴い、保険金額も年々下がっていくのが一般的です。

保険金額の設定は通常、保険会社が提示する金額に基づいて行われますが、実際の車の状態や装備によっても調整される場合があります。

適切な保険金額を設定することで、事故時に十分な補償を受けられるとともに、過剰な保険料負担を避けることができるでしょう。

免責金額の設定による保険料の調整

車両保険では「免責金額」を設定することで保険料を調整できます。

免責金額とは、事故時に自己負担となる金額のことです。

たとえば、免責金額5万円と設定した場合、修理費が20万円かかれば、15万円が保険金として支払われ、5万円は自己負担となります。

免責金額は一般的に「1回目の事故:〇万円、2回目以降の事故:〇万円」という形で設定します。

代表的な設定パターンとしては「0-10万円」「5-10万円」「10-10万円」などがあり、この数字が大きいほど保険料は安くなります。

たとえば、免責金額を「0-10万円」から「5-10万円」に変更すると、保険料は5%程度安くなるケースが多いです。

小さな修理なら自己負担できるという方は、免責金額を高めに設定することで保険料を効果的に抑えられます。

ただし、免責金額を高く設定しすぎると、小〜中規模の事故でも自己負担が大きくなりますので、自分の経済状況や運転環境を考慮して適切な金額を選びましょう。

自分に合った車両保険選びで備えを万全に

車両保険は、契約車両の修理費や再調達費用を補償する自動車保険の重要な要素です。

事故や災害といった予期せぬトラブルから愛車を守るため、自分のライフスタイルに合った車両保険を選ぶことが大切です。

運転頻度や車の価値、保険料の負担能力を考慮しながら、必要な補償内容を見極めましょう。

新車購入直後は車両価値が高いため手厚い補償が有効ですが、経年による価値減少に応じて見直すことも検討すべきでしょう。また、単独事故や自然災害による損害も考慮し、自分に最適な補償範囲を選択することが賢明です。

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トータルマネーコンサルタント 新井 智美

監修者 トータルマネーコンサルタント 新井 智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP?
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員

公式サイト:https://marron-financial.com/

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