車両保険の設定金額の目安はいくら?自動車保険の金額の決め方を解説

車両保険の設定金額の目安はいくら?自動車保険の金額の決め方を解説

車両保険は、万が一の事故や災害による損害を補償する重要な保険ですが、保険金額の設定に悩む人も多いでしょう。

適切な金額を設定しないと、十分な補償を受けられなかったり、保険料が高額になってしまったりする可能性があります。

本記事では、車両保険の基本的な仕組みや補償範囲の違いを解説したうえで、新車・中古車・高級車などのケース別に適切な保険金額の目安を紹介します。

さらに、保険料を抑えるためのポイントや、車両保険を利用する際の等級への影響についても詳しく解説するので、自分に合った保険金額の設定に役立ててください。
トータルマネーコンサルタント 新井 智美

監修者 トータルマネーコンサルタント 新井 智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

mokuji目次

  1. 車両保険の基本的な仕組みと特徴
    1. 車両保険で補償される損害の範囲
    2. 一般型とエコノミー型の違いと選び方
    3. 車両保険が特に必要なケース
  2. 車両保険金額の設定方法と目安
    1. 新車の場合の適切な保険金額
    2. 中古車の場合の適切な保険金額
    3. 経過年数による保険金額の変動について
    4. 軽自動車の保険金額の特徴
    5. 高級車・輸入車の保険金額の特徴
  3. 保険料を抑えるための車両保険選びの考え方
    1. 免責金額の設定による保険料の違い
    2. 補償範囲の限定による保険料の節約効果
    3. 車両保険を使用する際の等級への影響
  4. 車両保険は自分に合った金額を設定しよう

車両保険の基本的な仕組みと特徴

車両保険の基本的な仕組みと特徴

車両保険は、自分の車にかける保険であり、契約対象となる車の事故や災害による損害を補償する重要な保険です。

対人賠償保険や対物賠償保険が他者への賠償に対応するのに対し、車両保険は自身の車両の損害に対する補償となります。

ここでは、保険金額の設定方法や、車種別の目安、保険料を抑えるポイントなどを解説します。

車両保険で補償される損害の範囲

車両保険では、さまざまな事故や災害による損害が補償されますが、補償範囲は選択するタイプによって異なります。

以下の表で、一般型エコノミー型それぞれの補償範囲を示します。

車両保険の補償範囲一覧

事故・損害の種類

一般型

エコノミー型(車対車+限定A)

補償の条件・備考

他の自動車との衝突・接触

エコノミー型は相手車両が確認できる場合のみ補償

バイクとの衝突・接触

エコノミー型は相手が確認できる場合のみ補償

自転車との衝突・接触

×

電柱・建物などとの衝突(単独事故)

×

あて逃げ

×

転覆・墜落

×

火災・爆発

台風・洪水・高潮

盗難

いたずら・落書き

飛び石による損害

窓ガラスの破損

地震・噴火・津波による損害

×

×

専用の特約が必要

※補償内容は保険会社によって名称や詳細が異なる場合があります。

事故の際には設定された免責金額(自己負担額)を差し引いた金額が支払われます。

特に注意が必要なのは、地震・噴火・津波による損害は通常の車両保険では補償されない点です。

これらの災害による損害に備えるには、専用の特約(地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約)への加入が必要となります。

一般型とエコノミー型の違いと選び方

車両保険には一般型エコノミー型の2つのタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。

以下の表では両者の違いを比較しています。自身に合ったタイプを選択する際の参考にしてください。
一般型とエコノミー型の比較

比較項目

一般型

エコノミー型(車対車+限定A)

基本的な特徴

補償範囲が広く、さまざまな事故・損害に対応

補償範囲を限定することで保険料を抑えた商品

保険料の特徴

比較的高め

一般型より安価

向いているユーザー層

・事故リスクを幅広く補償したい方
・新車所有者
・自動車ローン利用者
・運転に自信がない方

・保険料を抑えたい方
・運転に自信がある方
・主に他車との事故のみ補償したい方

補償される主な事故例

・他の自動車との衝突
・電柱などへの衝突
・自転車との接触
・あて逃げ
・転覆・墜落
・火災・台風
・盗難・いたずら

・他の自動車やバイクとの衝突(相手確認可能な場合)
・火災・台風
・盗難・いたずら

補償されない主な事故例

・地震・噴火・津波による損害 ・単独事故

・あて逃げ
・自転車との接触
・地震・噴火・津波による損害

※保険料は運転者の年齢や保険の等級などによって変動します。

エコノミー型は補償範囲が限定される代わりに保険料が抑えられますが、他車との事故など重要な補償は確保されています。

選択の際は、自身の運転状況や予算に合わせて検討することが重要です。

車両保険が特に必要なケース

自動車ローンを利用している場合は、車両保険への加入が特に推奨されます。

なぜなら事故で車が損傷した際、ローンの返済と修理費用の二重負担を避けるためです。

新車所有者も車両保険を検討すべきです。

新車は購入価格が高額であり、事故や災害による損害も大きくなります。

特に購入から1年未満の場合、購入時の価格に基づいて手厚い補償を受けられます。

また、以下のような状況でも車両保険が推奨されます。
  • 車の使用頻度が高く、事故リスクが相対的に高い場合
  • 自然災害の多い地域にお住まいの方
  • 運転に不安がある方
  • 高額な付属品やオプションを装着している場合
車両保険の必要性は、車の価値や使用状況、経済的な状況など、総合的に判断することが大切です。

車両保険金額の設定方法と目安

車両保険金額の設定方法と目安

車両保険金額は車の価値に基づいて設定される重要な要素です。

新車か中古車か、また購入してからの経過年数によって適切な保険金額は変動します。

以降では、車種や状況別の具体的な設定方法と金額の目安を解説していきます。

新車の場合の適切な保険金額

購入から1年未満の新車では、購入時に支払った金額が保険金額の基準となります。

この金額には、車両本体価格に加えて、カーナビゲーションシステムやETC車載器、フロアマットなどの付属品の価格、そして消費税が含まれます。

ただし、自動車税や自動車取得税、自動車重量税などの税金、自賠責保険料や付属品の設置手数料は含まれません。

例えば、車両本体価格200万円、カーナビ15万円、その他付属品5万円、消費税22万円の場合、車両保険金額の対象となるのは合計242万円です。

中古車の場合の適切な保険金額

中古車の保険金額は、同じ車種・型式・年式で同程度の消耗度の車両の一般の自動車販売店での販売価格をもとに設定されます。

この価格を市場販売価格相当額といいます。

実際の購入価格と設定できる保険金額に大きな差がある場合は、売買契約書などで価格を確認したうえで、保険会社との話し合いで最終的な保険金額を決定します。

例えば、市場相場が150万円程度の車種を180万円で購入した場合、この差額について保険会社と協議を行います。

経過年数による保険金額の変動について

車両の価値は時間の経過とともに減少していくため、保険金額も定期的に見直しが必要です。

一般的に年間約1割程度の減価が目安となります。

保険会社からは満期が近づくと更新案内が送られ、翌年の車両保険金額の見積額が提示されます。

例えば、新車で240万円だった保険金額は、1年後には約216万円2年後には約194万円というように段階的に減額されていきます。

この金額をベースに、次年度の保険契約を検討します。

軽自動車の保険金額の特徴

軽自動車の車両保険金額も、普通車と同様に市場販売価格相当額をベースに設定されます。

近年は性能が向上し、装備も充実している軽自動車が増えているため、場合によっては200万円を超える保険金額の設定も可能です。

時価の低下も普通車と同様のペースで進みますが、一般的に購入価格自体が普通車より低いため、年間の保険料負担は比較的軽くなります。

例えば、一般的な軽自動車では、車両保険付きでも年間保険料を2万円程度に抑えることも可能です。

高級車・輸入車の保険金額の特徴

高級車や輸入車の場合も、基本的な保険金額の設定方法は国産車と同じですが、車両価格が高額なため、設定できる保険金額の範囲も広くなります。

時価の算定には、同型車の中古市場での取引価格が参考になります。

付属品やオプションも高額になりやすい特徴があるため、これらが保険金額に与える影響も大きくなります。

保険料も車両保険金額に応じて高額になる傾向がありますが、免責金額(自己負担額)を引き上げることで、保険料の負担を適切なレベルに保つことが可能です。

保険料を抑えるための車両保険選びの考え方

保険料を抑えるための車両保険選びの考え方

車両保険は大切な補償ですが、保険料負担を少しでも抑えたいと考えるのは当然です。

免責金額の設定や補償範囲の選択、事故時の影響など、賢い選び方を知ることで、必要な補償を維持しながら保険料を適切に抑えることが可能です。

免責金額の設定による保険料の違い

免責金額とは、車両保険を使用する際の自己負担額のことです。

この金額を高めに設定することで、月々の保険料を抑えることができます。

例えば、修理費用が30万円かかる事故の場合、免責金額を5万円に設定していれば、保険金として25万円が支払われ、5万円が自己負担となります。

保険料を抑えたい場合は、「少額の修理なら自己負担でも構わない」という考え方で、免責金額を高めに設定するのも一つの方法です。

ただし、事故時の自己負担額が増えることになるため、手持ち資金との兼ね合いを考慮して決める必要があります。

補償範囲の限定による保険料の節約効果

車両保険の範囲を限定型(エコノミー型)にすることで、保険料を抑えられます。

限定型は、単独事故やあて逃げなどの補償が対象外となる代わりに、一般型と比べて保険料が安く設定されています。

補償範囲が限定されても問題ない場合は、保険料を節約できます。

ただし、事故の際の補償範囲が狭まることを十分理解したうえで、自身の運転状況や必要な補償を考慮して最終的に判断することが重要です。

車両保険を使用する際の等級への影響

車両保険を使用すると、翌年の保険等級に影響が出ます。

事故の内容によって、「3等級ダウン事故」や「1等級ダウン事故」に分類され、翌年以降の保険料が増加します。

例えば、火災や水害、飛び石による損害などの場合は1等級のダウンです。

等級が下がると、元の等級に戻るまでに時間がかかります。

3等級ダウンの場合、無事故であれば1年で1等級アップするため、元の等級に戻るまでに3年かかることになります。

そのため、修理費用が少額の場合は、車両保険を使用せずに自己負担とすることで、翌年以降の保険料アップを避けることも検討してみましょう。

車両保険は自分に合った金額を設定しよう

車両保険の保険金額設定は、車の価値や使用状況、経済的な状況など、さまざまな要素を総合的に判断して決める必要があります。

新車の場合は購入価格を基準に、中古車の場合は市場販売価格相当額をベースに設定することで、適切な補償を受けることができます。

保険料を抑えたい場合は、エコノミー型の選択や免責金額の設定を検討することで、必要な補償を維持しながら保険料負担を軽減することも可能です。

ただし、補償内容を必要以上に抑えすぎると、事故の際に十分な補償が受けられない可能性もあるため、慎重に検討することが大切です。

自動車保険の選択で迷った場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。

オリコンでは実際に自動車保険を利用した方々の評価に基づいた「自動車保険 オリコン顧客満足度ランキング」を公開しています。補償内容や保険料、事故対応など、さまざまな観点からの評価を参考にすることで、より自分に合った保険選びができるでしょう。
トータルマネーコンサルタント 新井 智美

監修者 トータルマネーコンサルタント 新井 智美

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。
現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

(保有資格)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP?
・DC(確定拠出年金)プランナー
・住宅ローンアドバイザー
・証券外務員

公式サイト:https://marron-financial.com/

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