自動車保険は、契約者の事故実態に応じてリスクを等級別に区分し、等級(ノンフリート等級)によって保険料の割増や割引率が変化します。事故などで自動車保険を使わなかった期間が長いほど等級は上がり、保険料の割引率も上がります。等級は保険会社を変更しても引き継がれますので、自分に合った保険会社を選ぶことができます。
さて、この等級の引き継ぎですが、契約者本人だけでなく契約者の家族間でも引き継ぎができるのです。もちろん一定の条件をクリアする必要がありますが、年齢割引のない若い人が等級の高い親の自動車保険を引き継いだ場合などは、かなり保険料を抑えることができます。
この制度を活用し、家族全体で支払う自動車保険料の総額を抑える仕組みを紹介します。
等級の引き継ぎとは?
自動車保険における等級の引き継ぎは、事故を起こす可能性が低いと思われる人の保険料を割引きし、逆にリスクが高い人の保険料を割増しすることで、保険加入者全体の保険料負担を公平にしようという考え方に基づいています。
自動車保険に加入してから保険を使用していない年数が長くなるほど割引率が大きくなるよう、「1年間無事故だと翌年度から1等級上がり、事故を起こすと翌年度から3等級下がる」などの等級の調整が行われます(事故の内容などにより、下がる等級の数は異なる場合があります)。
このため、長年無事故で高い等級だった人が保険会社を切り替えた際にリセットされたのでは不利になります。結果として、ほかの保険会社に変えにくくなりますから、保険会社間で平等な競争ができません。このため、保険会社を変更しても、元の等級が引き継げるルールにすることで、契約者の不利益にならず、保険会社を自由に選択することができるのです。ただし、一部の共済保険では等級の引き継ぎ判定が異なりますからご注意ください。
等級の引き継ぎは家族間でもOK!
等級の引き継ぎは保険会社間だけでなく、家族間でも可能になっています。この場合、「家族」と認められるのは一般に下記の範囲です。
・記名被保険者(※)の配偶者(事実関係が証明できれば内縁関係も可)
・記名被保険者の同居親族
・配偶者の同居親族
※記名被保険者…契約の車をおもに使用する、補償の対象の中心となる人
配偶者を除いては、基本「同居」が前提ですが、本人か配偶者の親族であれば親等などの定めは特にありませんので、子どもだけでなく、いとこ・甥・姪・孫・ひ孫なども家族と認められます。詳しい条件については、自動車保険の約款をご確認ください。
等級を引き継ぐための、そのほかの条件
上記の「家族」と認められる人が自動車保険の等級を引き継ぐための条件は、保険の満期日(解約日)から7日以内という条件が定められています。保険の切り替えに合わせて同時に引き継ぎの手続きをしましょう。また、車を買い替える場合は、各保険会社が定める「車両入替」の対象となる車でなくてはなりません。
家族間で等級を引き継ぐことのメリット
上記のように、一定の条件を満たせば家族間で保険の等級を引き継げることがわかりました。しかし、実際にこのような引き継ぎを行うことに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
例えば、自動車保険の最上の等級である20等級で、60歳の父親と20歳の子どものケースを見てみましょう。基本的に、新規で自動車保険に加入した人は6等級からスタートします。また、自動車保険は若い人ほど保険料が高くなる傾向があります。このため、同じ6等級でも20歳と60歳では保険料にかなりの差が生じます。
そこで、自動車保険料の世帯負担総額で考えてみると、
60歳20等級の保険料+20歳6等級の保険料 < 60歳6等級の保険料+20歳20等級の保険料
という図式が成り立ちます。
保険会社によって年齢条件が異なるため具体的な数値は計算できませんが、一般的なケースでは年間におよそ5〜10万円程度の保険料の減額が期待できます。
保険料をいくら安くできるかシミュレーションしてみよう
具体的にいくら保険料を安くできるのかは、現在の保険とこれから切り替えを検討している保険を比較した上で、シミュレーションしてみなくてはわかりません。契約者の年齢や事故歴などの状況によって、安くできる金額はかなり幅があるものと思われます。
このため、自動車保険の切り替えを検討している際は、候補対象の保険について「自分の条件で、家族間で等級を引き継ぐことができるか」「引き継いだ場合、具体的にいくらぐらい安くなるのか」を個別に比較してみたほうがいいでしょう。
今回ご紹介した、家族間で自動車保険の等級を引き継ぐことによる世帯保険料を安くするテクニックは、ルールの抜け道的なものではありません。あまり知られていませんが、保険会社のホームページなどでも紹介されている正当な制度です。車を購入予定で、就職や結婚で独立を控えている子どもがいる場合は、早めに検討しましょう。