火災保険更新の手続きを解説!損しないための見直しポイントもチェック
しかし更新案内の情報があれば、他社に見積もりを依頼できるため、満期は自身が加入している火災保険を見直すチャンスでもあります。
この記事では火災保険の更新で見直すべきポイントや、乗り換えの流れについて解説しています。
目次
火災保険とは
火災保険は大きく、保険の対象である建物や家財などが損害を受けたとき、その損害に対して支払われる「損害保険金」と、焼け残った建物や家財の片付けなど、事故に伴って生じるさまざまな費用をサポートする「費用保険金」に分かれます。
損害保険金の具体的な補償内容は保険会社によって異なりますが、主に以下の通りです。保険会社によっては、一部の補償を取り除くこともできます。
【主な補償内容と具体例】
建物 | 家財 | |
火災 | ・建物が火災で損傷した | ・家具や家電製品などが火災で損傷した |
落雷 | ・落雷で建物が損傷した | ・分電盤に雷が落ちて家電製品が壊れた |
破裂・爆発 | ・ガス漏れにより爆発が起こり、建物が損傷した | ・カセットボンベの破裂で家具が壊れた |
風災・雹(ひょう)災・雪災 | ・風で屋根の瓦が飛ばされた | ・風でガラスが割れて家電製品が壊れた |
建物外部からの飛来・落下・衝突 | ・車が自宅の建物に突っ込んで外壁が破損した | ・建物の外部から野球のボールが飛んできて、部屋の中の家電製品が壊れた |
水濡れ | ・給排水設備からの水漏れにより、床や壁が損傷した | ・水漏れにより家具が損傷した |
盗難・盗難に伴う破損・汚損 | ・空き巣が侵入した際に、ガラスが壊された | ・空き巣に家電製品を盗まれた |
不測かつ突発的な事故 | ・子どもが室内でものを投げて壁に穴をあけた | ・部屋の模様替えの際、家具を倒して破損させた |
火災保険を更新しないとどうなる?
火災保険を更新しないと無保険状態になり、火災や自然災害で建物や家財に損害があっても補償が受けられません。つまり自己負担で修理をする必要があります。
損害保険料率算出機構「2023年度(2022年度統計)火災保険・地震保険の概況」によると、年度別の火災で支払われた保険金額・支払件数・1件あたりの支払件数は以下の通りです。
ひとたび火災が発生すると、平均で約400〜500万円の火災保険金が支払われています。仮に火災保険に加入していなければ、これを自己負担しなければなりません。
【火災保険】
年度 | 火災で支払われた 保険金額(億円) | 支払件数(件) | 1件当たりの 支払保険金額 |
---|---|---|---|
2017 | 317 | 6,972 | 約454.6万円 |
2018 | 335 | 6,828 | 約490.6万円 |
2019 | 343 | 6,724 | 約510.1万円 |
2020 | 352 | 7,417 | 約474.5万円 |
2021 | 368 | 7,621 | 約482.8万円 |
【自然災害】
年度 | 火災で支払われた 保険金額(億円) | 支払件数(件) | 1件当たりの 支払保険金額 |
---|---|---|---|
2017 | 317 | 6,972 | 約454.6万円 |
2018 | 335 | 6,828 | 約490.6万円 |
2019 | 343 | 6,724 | 約510.1万円 |
2020 | 352 | 7,417 | 約474.5万円 |
2021 | 368 | 7,621 | 約482.8万円 |
火災保険の更新に必要な手続き
保険会社から更新案内が届く時期は、他社との比較のチャンスです。十分比較検討するために、時間に余裕を持って手続きをするよう心がけましょう。
積み立てタイプの火災保険に加入していて満期返戻金があるときは、確定申告が必要になる場合があります。満期返戻金を受け取ったら終わりではないため、注意してください。
まずは補償内容を確認しよう
まずは更新後の補償内容が自身の希望に合っているか、確認をしましょう。
一般的に更新案内には、複数プランが提示されているため、自身に合ったものを選びます。
更新の手続きは余裕を持とう
現在の保険会社で更新する場合、更新案内に記載されているプランのうち、どのプランで更新をするか保険会社に連絡すれば手続きは完了です。
インターネット型火災保険に加入している場合は、インターネット上で更新手続きができます。保険代理店などで加入している場合は、補償内容によって電話で意思を伝えれば良いケースと、署名や捺印が必要なケースに分かれます。
比較をする際は、なるべく多くの保険会社と比較をしたほうが、より自身にあった火災保険が見つかりやすいでしょう。
ただし多くの保険会社を比較するためには、ある程度時間が必要です。火災保険の見直しをするときは、満期ギリギリではなく、余裕を持って行うよう心がけてください。
なお火災保険更新の連絡を保険会社にしていないと、自動的に更新される特約が付いていることもあります。更新忘れを防ぐには有効な特約ですが、他社に乗り換えるときは更新しないことを伝えておかないと、二重に火災保険に加入してしまう可能性があるため要注意です。
確定申告も忘れずに!
課税の対象となる金額の計算式は以下のとおりです。一時所得は、他の一時所得も合算して計算をします。
火災保険の更新で見直すべき5つポイント
・災害リスク
・家族構成
・建物の変化
・補償の重複
・契約期間
それぞれ詳しく解説します。
災害リスク
例えば大きな河川が近くにあるにもかかわらず、火災保険の水災補償がついていないと、豪雨による河川の氾濫で自宅が損傷した場合、補償が受けられなくなってしまいます。
逆に鉄筋コンクリートマンションの高層階に住んでいる場合、洪水が起きても浸水する可能性が低いため、水災補償は必要ないかもしれません。
自身が住んでいる地域はどのような災害リスクがあるか考えるときは、ハザードマップの活用が有効です。ハザードマップとは、火山の噴火や洪水、津波、土砂災害といった自然災害が発生したときに、被害が予想される地域を地図上に示した表のことです。
家族構成
逆に子どもが独立したなどの理由で家族が減ると、家具や家電製品の量が減る傾向があるため、火災保険金額を減らします。
多くの保険会社では、家族構成別に家財の火災保険金額の目安を提示しているため、参考にするとよいでしょう。
建物の変化
増築をすれば火災保険金額の増額、減額をすれば火災保険金額の減額が必要になる可能性があるため、保険会社に申告が必要です。
補償の重複
特に注意が必要なのは「個人賠償責任保険」です。個人賠償責任保険は火災保険だけでなく、自動車保険や傷害保険、自転車保険などに付帯できるため補償の重複が生じる可能性があります。
損害保険は複数の保険に加入していたとしても、受け取れる保険金額は実際に負担した費用が上限です。補償の重複は、保険料の無駄になるため注意しましょう。
契約期間
火災保険は長期間契約をすると保険料の割引が適用されるため、更新時に現在の住居に5年以上住むことが明らかなときは、長期契約に切り替えたほうが保険料が安く済む可能性があります。
また保険期間が5年の火災保険契約の場合、5年間毎月支払い続ける「長期月払い」、5年間毎年支払う「長期年払い」、5年分の保険料を一括で支払う「長期一括払い」があり、保険料は「長期一括払い」が一番安く、次に「長期年払い」「長期月払い」の順で5年間の支払総額が多くなります。
火災保険満期後は乗り換えも視野に入れよう
火災保険の乗り換えの手順を紹介します。
複数の会社から見積もりを取る
比較対象が1社だけでは良し悪しがわかりにくいため、複数社から見積もりを取って比較することが大切です。自分に合った火災保険を選ぶときのポイントは以下の通りです。
・いま住んでいる地域の災害リスクに合った補償内容にできるか
・保険料と補償内容のバランスは適切か
・自身に合った支払方法を選べるか
自身で火災保険料の決めているときは、保険料と補償内容のバランスも考えましょう。
また割引が適用されるとはいえ、1年分や5年分などまとまった保険料を負担するのが難しい方は、月払いなど自身にあった保険料の支払方法ができる保険会社を選びましょう。
乗り換え先の火災保険を契約する
火災保険を乗り換えるときは、乗り換え前の火災保険契約の満期日と、乗り換え後の保険開始日を同日にするのが基本です。空白期間中に火事や自然災害が発生すると、補償が受けられない場合があるため注意してください。
また建物の状態などによっては、乗り換えようとしても契約を断られる場合があります。火災保険を乗り換えるときは、乗り換え先の火災保険契約を締結してから、これまでの火災保険を解約しましょう。
契約中の火災保険を解約する
火災保険をはじめとした損害保険は、重複して加入しても、万が一のときに損害額以上の保険金が支払われることはありません。
火災保険の更新は内容を確認して早めの手続きを!
現在加入している火災保険よりも自身にあった商品があれば、乗り換えを検討しましょう。複数社から見積もりを取り寄せて慎重に比較できるよう、見直しは早めに取りかかることが大切です。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。