火災保険の免責金額とは?なぜ必要?種類や設定時のポイントを徹底解説!
この記事では、火災保険の免責金額の基本的な考え方や設定する理由、設定する際のポイントなどを詳しく解説します。免責金額の設定方法がわかると、保険料を抑えて必要な補償を確保できるので、これから火災保険に加入する方は参考にしてください。
目次
火災保険の「免責金額」とは?
そもそも火災保険とは
火災保険の補償対象は建物や家財に発生した直接的な損害に加え、消火活動費用や災害時の臨時費用、焼け跡の後片付け費用なども含まれます。ただし、地震・噴火や地震による津波を原因とする損害については、別途地震保険への加入が必要です。
火災保険の免責金額とは加入者の自己負担額のこと
例えば、免責金額を5万円に設定している場合に30万円の損害が発生したときは、損害額から免責金額を差し引いた25万円が保険金として支払われます。このケースで損害額が5万円以下のときには保険金は支払われず、契約者の全額自己負担となります。
火災保険の免責金額は会社によって内容や設定方法が違う
免責金額を高く設定すると保険料を抑えられますが、その分事故の際の自己負担が大きくなるため、慎重な検討が必要です。
保険会社や商品によっては、火災や水災のような補償内容ごとに免責金額を個別に設定できるものもあり、より細かなリスク管理が可能です。
このように免責金額は保険会社によって選択できる金額の幅や設定方法が異なるため、複数の保険商品の比較検討をおすすめします。
免責金額を設定する理由
加入者の保険料負担を軽減
免責金額を設定すると小さな損害は自己負担し、大きな損害が生じた場合のみ保険金を受け取る選択が可能になります。
近年、火災保険料の値上がりが続いていますが、免責金額の上手な活用で保険料の負担を軽減できる可能性があります。
損害調査における保険会社側の負担を軽減
免責金額を設定すると、少額の保険金請求を抑制し、保険会社側の損害調査や保険金支払い処理の負担を軽減できるのです。結果的に保険会社の業務効率化につながり、保険料の抑制も期待できます。
このように、免責金額の設定は、契約者と保険会社の双方にとって合理的な仕組みといえます。
モラルハザードを防止
免責金額を設定すると、万が一損害が発生した場合、契約者にも自己負担が発生します。そのため、契約者は損害の発生を避けようとする意識を持ち続けると考えられます。
例えば、台風が近づいている際の雨戸の点検や、火の元の確認といった、日常的な備えや予防措置への意識が高まるのです。
このように、免責金額の設定には保険本来の目的である「万が一の備え」という性質を損なわずに、契約者の適切な危機管理意識を維持する効果があります。
火災保険における免責金額の設定方法は2種類
エクセス方式とフランチャイズ方式
このうち、現在主流となっているのは、エクセス方式です。エクセス方式では、損害額からあらかじめ設定した免責金額を差し引いた額が保険金として支払われます。
例えば、損害額が100万円、免責金額が5万円の場合、保険会社から支払われる保険金は95万円で、残りの5万円は自己負担です。
一方、フランチャイズ方式では、損害額が設定された免責金額を下回る場合は全額自己負担となります。しかし、損害額が免責金額以上になると、損害額の全額が保険金として支払われる仕組みです。
フランチャイズ方式では、一般的に20万円などの比較的高額な免責金額が設定されています。
2つの方式の違いによる自己負担額・保険金の差
損害額 | エクセス方式 | フランチャイズ方式 | ||
---|---|---|---|---|
免責金額5万円 | 免責金額20万円 | |||
自己負担額 | 保険金 | 自己負担額 | 保険金 | |
1万円 | 1万円 | 0円 | 1万円 | 0円 |
3万円 | 5万円 | 0円 | 3万円 | 0円 |
15万円 | 5万円 | 10万円 | 15万円 | 0円 |
20万円 | 5万円 | 15万円 | 0円 | 20万円 |
30万円 | 5万円 | 25万円 | 0円 | 30万円 |
火災保険の免責金額を決める3つのポイントと設定例
ポイント1|対象物件で起きやすい災害を考慮して決める
そのため、それぞれの災害リスクに応じて、免責金額を個別に設定する必要があるのです。
例えば、河川や海が近く、浸水リスクが高いエリアに住んでいる場合は、水災補償の免責金額を低く設定しておくと安心です。また、豪雪地帯に住んでいる場合は、雪災による被害に備えて、雪災補償の免責金額を低めに設定しておくことをおすすめします。
自分の住んでいる地域の災害リスクを把握するためには国土交通省のハザードマップポータルサイトや、都道府県・市町村が発行しているハザードマップなどを確認しましょう。
ポイント2|家計の状況に合わせて決める
理想的な免責金額は、貯蓄からいつでも支払える金額に設定することです。貯蓄が少ない場合は、保険料が高くなっても免責金額を低くしたほうが良いでしょう。
免責金額は保険料と自己負担のバランスを考えながら、家計状況に合った設定を心がけましょう。
ポイント3|補償の対象と被害額から決める
一方で、台風による窓ガラスの破損や小規模な漏水事故といった、比較的頻繁に発生する可能性のある損害については、補償内容ごとに細かく免責金額を設定できる保険商品を選択すると便利です。
例えば、破損・汚損のような日常的なリスクに対しては、修理費用の相場を考慮して免責金額を設定すると良いでしょう。
自分の住居の特徴やライフスタイルなどを考慮し、どのような損害が発生しやすいかを予測すると、適切な免責金額を設定できます。
火災保険における免責金額の設定5例
2.水害リスクが低い立地のため、水災補償の免責金額を10万円に設定
3.貯蓄に余裕があり出費の予定もないため、期間を1年とし免責金額を20万円に設定
4.引っ越しの予定があり貯金額が減りそうなので、免責金額を1万円に設定
5.現在は家計に余裕があるが、長期契約を結ぶにあたり念のため免責金額を3万円に設定
例3と4は、家計状況に応じた設定の例です。貯蓄に余裕がある場合は免責金額を高めに設定しますが、大きな支出が予定されている場合は免責金額を抑えて、突発的な損害に備えます。
例5は長期契約での設定例です。現在は余裕があっても将来の状況はわからない場合、無理なく負担できそうな免責金額を設定して、保険料の負担と損害リスクのバランスを取ります。
このように、地域特性、家計状況、契約期間などを総合的に判断して、自分の状況に最適な免責金額を設定するようにしましょう。
免責金額と混同しがちな「免責事項」について補足
最後に、どのような場合に火災保険の保険金が支払われないかを確認しておきましょう。
故意や重大な過失により生じた損害
具体的には、以下のような事例が重大な過失とされています。
・天ぷら油を加熱したまま長時間その場を離れる
・火災の危険性を認識しながら寝たばこを繰り返す
異常危険により生じた損害
・戦争や外国の武力行使を原因とする損害
・核燃料物質または汚染物の放射能による事故
対象物件の経年劣化による損害など
そのひとつが、対象物件の経年劣化による損害です。例えば、屋根の腐食や雨漏り、壁のひび割れなどが挙げられます。これらの損害は、経年劣化による自然な消耗とみなされるため、火災保険では補償されません。
その他、以下のような損害は免責事項にあたり、保険金は支払われません。
・建物の構造上の欠陥による損害
・虫食いやねずみによる被害
・開口部からの雨漏りによる損害
火災保険の免責金額は住環境や家計を考慮した設定に
免責金額は、加入者それぞれの状況に応じて柔軟に設定する必要があります。住んでいる地域の災害リスク、建物の特性、自分の家計状況を総合的に判断して決めましょう。
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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。