火災保険には入るべきか?必要性と未加入時のリスクを解説

火災保険には入るべきか?必要性と未加入時のリスクを解説

 建物や家財に対する損害リスクを回避する火災保険。しかし、「オール電化だし、火事の可能性は低いからわざわざ加入しなくてもいいのでは?」「加入したところで、メリットがあるの?」という意見を耳にすることもあります。

 この記事では、火災保険の必要性や補償内容のほか、注意点などについて解説します。

火災保険とは火災などによる損害を補償するもの

 火災に限らず、風水害をはじめとする自然災害、盗難などによる損害を補償する保険のことを「火災保険」と呼び、各保険会社からさまざまな商品が提供されています。

 保険の内容に応じて対象区分が定められており、大きく分けると次の3パターンになります。
<保険の対象区分>
・建物本体のほか、門、塀、車庫、物置、設置済みのアンテナといった「建物のみを補償」するもの
・建物内の家具、家電、衣服、貴金属、貨幣など「家財のみを補償」するもの
・「建物と家財の両方を補償」するもの
 原則的に建物と家財の補償は別で、商品によって建物・家財の対象範囲は異なるため、契約には注意が必要です。

火災保険は本当に必要?

 総務省消防庁が発表した「令和3年(1〜12月)における火災の状況(確定値)」によると、1年間に発生した住宅火災は全国で1万936件。前年比では3.5%増で、わずかながら増加傾向です。

 火災で家が燃え、建て直しが必要になると、想定以上に費用がかかり、家財の保有状況、被害内容によっては、その被害額はさらに上昇します。しかも、個人財産である住宅は自力再編が基本ですから、公的支援は限られてしまうのです。

 次章では、火災保険に入らなかった場合、戸建て住宅、マンション、賃貸物件それぞれでどのようなリスクがあるのか、詳しく見ていきます。

戸建て住宅の場合

 戸建て住宅が木造であることが多い日本では、延焼リスクが高いといえます。また、都市部では密集地帯に住宅を建てるケースも多く、持ち家であれば、ローンだけが残ってしまう可能性もあります。

 もしもに備えて火災保険に加入すれば、リスクを減らせるでしょう。

 戸建て向けの火災保険については、下記の記事をご覧ください。
 <戸建てにおすすめの火災保険 オリコン顧客満足度ランキング・比較>

マンションの場合

 マンションの場合、建築基準法における「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」にあたることがほとんどなので、戸建て住宅と比較すれば延焼リスクは少ないといえます。

 ただし、隣家とは壁一枚で区切られているだけなので、周辺火災の二次災害を受けるリスクは戸建てよりも高まります。火災保険に加入することで、リスクを軽減しておきましょう。

 マンション向けの火災保険については、下記の記事をご覧ください。
 <マンションにおすすめの火災保険 オリコン顧客満足度ランキング・比較>

賃貸物件の場合

 賃貸住宅の場合、建物自体は大家さん(貸主)が所有し、火災保険も貸主が加入しています。しかし、入居者(借主)は、貸主に対して原状回復をする義務を負っているため、火事を出してしまった場合、入居者の責任で元通りにする必要があります

 賃貸住宅入居者が加入する火災保険に関しては、家財の補償に「借家人賠償責任補償」をつけたものが一般的です。

火災保険は、どんなことを補償してくれるの?

 火災が起きた際、建物や家財を補償する火災保険ですが、火事だけが補償対象ではありません。火災以外にどのようなケースが想定されているのかを解説します。

火災

 保険商品の条件にもよりますが、「火災を起こしてしまった場合」や「隣家の火災によって損害を受けた場合」など、失火でも延焼でも補償を受けることができます。

落雷

 「雷が自宅に直接落ちて屋根が破損したり、建物が燃えたりしてしまった場合」や「近くの電柱などに雷が落ち、家電製品が壊れてしまった場合」など、落雷による損害を受けたときに補償を受けることができます。

破裂・爆発

 「ガス漏れなどが原因で爆発が起き、建物が燃えてしまった場合」や「カセットコンロのボンベが爆発し、家財が一部破損してしまった場合」に、補償を受けることができます。

風・雹・雪災

 「台風によって屋根瓦が飛んでしまった」「大雪によって建物の一部がつぶれてしまった」「雹(ひょう)が降り、窓ガラスが割れてしまった」など、台風や竜巻、雹、大雪や雪崩による被害に対しても、補償を受けることができます。

水災

 「豪雨によって河川が氾濫し、床上浸水したり、家財が水浸しになったりしてしまった」「雨の影響で土砂崩れが発生し、建物が巻き込まれてしまった」など、水災による被害も補償の対象です。

 ただし、「地盤面から◯◯cmを超える浸水」など、商品によっては条件が異なるため注意が必要です。

水漏れ

 「配管設備の故障によってトイレが詰まり、家が水浸しになった」「マンションの上階で水漏れが発生し、天井や壁の張り替えが必要になった」など、水回りのトラブルが発生した際、補償を受けることができます。

外部からの物体の落下・飛来・衝突

 「外で遊ぶ子供のボールが飛び込み、窓ガラスや室内の家電製品が壊れてしまった」「他人の車が家の門扉にぶつかり、壊してしまった」など、建物外からの飛来によって建物や家財が損傷した場合、補償を受けることができます。

盗難

 「空き巣がドアを壊して室内に侵入し、貴金属や預金通帳が盗まれ、現金も引き出されてしまった」「窃盗自体は防げたが、空き巣未遂によって窓ガラスを壊されてしまった」など、強盗や窃盗によって建物が損害を受けたり、家財が盗難されたりした場合、補償を受けることができます。補償額には、上限が定められているケースが大半です。

騒擾

 騒擾(そうじょう)とは、集団行動などに伴う暴力行為のことです。「デモによる投石が自宅にまでおよび、窓ガラスが割れてしまった」など、集団による暴力行為や破壊行為によって損害を受けた場合も、補償の対象となります。

不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)

 「配置換えをしているときに誤って落下させ、家電製品が壊れてしまった」など、故意ではなく、突発的な事故によって建物や家財が損害を受けた場合、補償を受けることができます。

地震による火災は、火災保険では補償されない

 さまざまな自然災害によって建物や家財が損傷した場合は補償を受けられると説明してきましたが、地震だけは別で、火災保険と同時に「地震保険」に加入しなければ補償を受けることができません。

 津波などの二次災害を含め、地震災害リスクの高い日本に住む以上、地震保険にも同時加入を検討したほうがいいでしょう。

保険以外で火災や災害のリスクに備えるには?

 火災などによって建物に損害が発生した場合、賃貸であれば原状回復させる必要があります。さらに、火災をみずから起こしてしまった場合に重大な過失が認められれば、隣家の損害に対しても補償を行う必要が出てきます。いずれも高額が想定されるため、火災保険に加入することで経済的なリスクの回避につながります。

 自然災害や人為的な損害による経済的な損害は、公的機関の制度を活用できるケースもあります。

公的機関の制度を利用する

 大規模な自然災害によって建物が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯は、国や自治体からの災害見舞金のほか、「被災者生活再建支援制度」という公的支援制度により被災者生活再建支援金が受け取れます。

 ただし、受け取れる被災者生活再建支援金額は、被害状況や再建方法によって異なりますが、最大で300万円までのため、これだけでは十分な支援にならないというのが現状です。

 条件も限られるため、やはり火災保険には加入しておくのが安心といえるでしょう。

火災保険を選ぶ際のポイント

 火災保険は建物の評価額によって保険料が変わり、どこまで補償範囲を設けるかの幅もあるため、費用面とのバランスを考えたいものです。ここでは、火災保険を選ぶ際のポイントについて解説します。

保険料の安さだけで選ばない

 火災保険の保険料をできるだけ抑えたいという気持ちから、補償範囲を狭めるケースが見られますが、安さありきで選択すると、万が一の場面で十分な補償を受けられないリスクが発生します。

 補償内容と保険料とのバランスを加味し、商品を決めるようにしてください。

確定申告や年末調整の対象にはならない

 税法の改正によって、2007年1月以降、火災保険の保険料は年末調整や確定申告で控除を受けることができなくなりました。ただし、火災保険とセットで加入する地震保険に関しては、保険料に応じて控除を受けることができます。

もらい火で自宅が火災に遭った場合は補償されない

 仮に隣人の火災に巻き込まれた場合、みずから加入した火災保険は適用されますが、隣人に重大な過失が認められなかった場合には、賠償請求を行うことはできません。

 つまり、自身の火災保険ですべてまかなわなければならないため、加入にあたってはこの点を考慮しておく必要があります。

火災保険は途中解約できる

 一度火災保険に加入しても、引越しをすることになったり、居住地の災害リスクに補償内容が対応できていなかったりすれば、契約途中でも保険を見直すことができます。

 途中解約した場合、未経過料率にもとづいて解約返戻金が返ってくるケースが大半ですので、覚えておくといいでしょう。

火災保険への加入は、どのタイミングがおすすめ?

火災保険への加入は、どのタイミングがおすすめ?

 火災保険の補償を開始させる時期については、住宅の引渡し日(入居日)とするのが一般的です。書類提出や審査を伴うケースもあるため、ある程度の余裕を持ち、引渡し日から逆算して申込み手続きを行う必要があります。

 またその前段階では、各社の見積もりを取るなどし、比較検討を行うことをおすすめします。なお、住宅ローンを組む際には、火災保険の加入を必須とする金融機関がほとんどです。

火災保険でさまざまな災害リスクを回避できる

 火災保険は、購入住宅であっても賃貸住宅であっても、火災を含めたさまざまな災害リスクを回避する上で欠かすことができません。現在、持ち家世帯の加入率は約8割といわれていますが、補償内容や補償範囲を理解した上で、いざというときに備えて加入を検討してみてください。

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