火災保険を使うとデメリットがある?請求申請の注意点などを解説
実際のところ、火災保険の保険金を請求申請するとデメリットがあるのでしょうか。また、保険金の請求申請をする際に注意すべきことと、火災保険の補償を受けられない場合についても併せてご紹介しますので、参考にしてください。
火災保険の請求申請にデメリットはない
しかし、「保険金を受け取れるのは1回だけで、今回の被害で申請して大丈夫なのか」「一度申請してしまったら、以後の保険料が上がってしまうのではないか」といったことを懸念し、無理に申請しなくてもいいと考える人もいるようです。ここでは、こうした懸念点について解説します。
火災保険は何度でも請求申請できる
特に自然災害の場合、北海道・東北・北陸を中心とした豪雪地帯では雪害、沖縄・南西諸島といった台風が通りやすい地域では水害・風害が頻発し、建物が何かしらの被害を受けるリスクは毎年のように発生します。こうした災害は繰り返し起こるおそれがあるので、被害を受けるたびに保険金を請求申請できるように制度が設計されているのです。
ただし、事故の頻度があまりにも多く、頻繁に保険金の支払いが発生した場合、損害保険会社が次年度以降の更新を断ることもあります。故意に何度も破損させるといった不正をしない限り起こりえない事例ですが、不安であれば申請時に損害保険会社に相談しましょう。
何度申請しても保険料は上がらない
火災保険は、火災や自然災害などの不可抗力による被害を補償するものなので、等級制をとっていません。また、受け取れる保険金額も請求申請の回数に関係なく、契約時の提示額から減額されることは原則的にありません(1回の請求申請で損害保険会社が支払う金額が保険金額の80%以下の場合。詳しくは後述します)。
なお、個人向けの火災保険では、一般的に2回目以降の保険金の支払いでも減額されることはない「保険金額自動復元方式」という仕組みを採用しています。ただし、これは基本補償についての仕組みで、特約の保険金額は契約時のものが維持されない場合があるので確認が必要です。
火災保険の保険金は使途自由
ただし、保険金を受け取ったにもかかわらず被害のあった箇所を修繕せず、その後、損耗が拡大した場合には、当該箇所に対して再度保険金を請求申請することはできないので注意が必要です。
保険金の使途は自由とはいえ、その原則も変わりつつあります。近年の自然災害の頻発を受け、各損害保険会社が2022年10月、保険料の値上げや契約期間の短縮など大規模な制度改定を実施しました。
これに伴い、損害保険会社や保険商品にもよりますが、2022年10月1日以降に契約・更新した火災保険では被害箇所の復旧を義務付けている場合がありますので、契約・更新前によく確認してください。
保険金の請求申請をする際の注意点
ここでは、火災保険の保険金の請求申請をする際の注意点について紹介します。
火災保険の保険金の請求申請には時効がある
もし、火災保険の保険金を請求申請する前に自費で修繕した場合には、原則どおり被害を受けてから3年以内であれば申請が可能です。ただし、この場合は修繕前・修繕後の写真や、修理会社の見積書、罹災証明書などが必要となります。損害保険会社によって必要書類が異なりますので、契約・更新時によく確認してください。
なお、被害の発生から3年を超えているものを3年以内と偽って請求することは、虚偽申請にあたります。保険金詐欺の罪に問われますので、絶対にしてはいけません。
1回の請求額が保険金額の80%以上になると契約終了
具体的には、建物や家財が火災で全焼、洪水で流失、土砂崩れで全壊などにより失われてしまった場合です。全焼・流失・全壊により火災保険の補償対象が消失したという扱いになり、契約が成立しなくなるため、契約終了となります。
また、1回の請求申請で保険金額の80%にあたる額が支払われる場合も、全焼・流失・全壊と同様に消失したとみなされるため、契約は終了となります。火災保険に付帯した特約や地震保険も同様です。
火災保険の補償対象とならない場合
免責金額より損害額が低い
免責金額を設定して火災保険に加入すると、支払う保険料は安くなります。免責金額には段階があり、1万〜5万円程度の免責金額を設定している人が多いようです。
しかし、実際に災害や事故で損害が発生し、その損害額が免責金額よりも下回る場合、火災保険の補償を受けることはできません。例えば損害額が2万円で、免責金額を3万円に設定していた場合は保険金を受け取ることができないということです。自分の居住地が災害に遭いやすい地域かどうかをよく確認するなどして、慎重に免責金額を設定する必要があります。
なお、免責金額をあえて0円に設定するのも、ひとつの手です。免責金額を安く設定すればそれだけ保険料は高くなりますが、保険商品によってはそれほど保険料が変わらないこともあります。免責金額を0円に設定すれば、「突風で窓ガラスが1枚割れた」といった軽微な損害にも対応できます。
申請した被害箇所を修繕せずに状態が悪化
受け取った保険金は必ず修繕にあてなければならないわけではありませんが、被害が出た箇所は脆弱になっている可能性が高いです。再びの災害で被害が大きくなるおそれがあるので、可能な限り修繕しておくに越したことはありません。
経年劣化による損害
しかし、原因は経年劣化だったものの、損耗を発見したのが災害後だった場合には、損耗が経年劣化によるものか災害によるものかを正確に判別するのは困難です。本当は経年劣化による損耗だったにもかかわらず、災害による被害として保険金を申請すると不正請求とされる可能性があり、本来は補償対象となるはずだった損害に対しても補償を受けられなくなるおそれがあります。
災害によって起こった被害なのか、経年劣化によるものなのか明らかな違いがわからない場合は、修繕費の見積もりと併せて修理業者などに原因を調査してもらいましょう。
火災保険の請求申請にデメリットはないが、加入条件をよく確認しよう
ただし、火災保険の請求申請には時効があるほか、1回の請求で保険金額の80%を超える額となった場合は、契約が終了となる点には注意が必要です。
なお、火災保険に加入する際には、「とにかく保険料は安いほうがいい」と1つの視点にとらわれるのではなく、被害を受けた場合の補償についても把握した上で選ぶようにしましょう。損害保険会社の担当者によるサービスや保険金の支払いに対する対応など、加入者でなければわからない情報も火災保険を選ぶ際のポイントになります。
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