火災保険を使うデメリットは?給付金の請求申請の注意点と使い方を解説

火災保険を使うデメリットは?給付金の請求申請の注意点と使い方を解説

火災保険は、予期せぬ災害や事故で発生が予測される住宅の損害に備えて加入するものです。

しかし、いざ被害に遭ったときに、保険金の請求申請をすると何らかのデメリットがあるのではないかと考えて、申請をためらう人も少なくないようです。

実際のところ、火災保険の保険金を請求申請するとデメリットがあるのでしょうか。

また、保険金の請求申請をする際に注意すべきことと、火災保険の補償を受けられない場合についても併せてご紹介しますので、参考にしてください。
金子 賢司

監修者金子 賢司

ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

mokuji目次

  1. 火災保険の請求申請にデメリットはない
    1. 火災保険は何度でも請求申請できる
    2. 何度申請しても保険料は上がらない
    3. 火災保険の保険金は使途自由
    4. 火災保険を使わないと損になるケースも
  2. 保険金の請求申請をする際の注意点
    1. 火災保険の保険金の請求申請には時効がある
    2. 1回の請求額が保険金額の80%以上になると契約終了
    3. 悪質な保険金請求代行業者に注意する
  3. 火災保険の補償対象とならない場合
    1. 免責金額より損害額が低い
    2. 申請した被害箇所を修繕せずに状態が悪化
    3. 経年劣化による損害
    4. 故意または虚偽の申請による損害
  4. 火災保険の使い方・申請の手順
  5. 火災保険の請求申請にデメリットはないが、加入条件をよく確認しよう

火災保険の請求申請にデメリットはない

火災保険の請求申請にデメリットはない

結論からいうと、火災保険の保険金を請求申請しても、加入者にデメリットはありません。

しかし、
「保険金を受け取れるのは1回だけで、今回の被害で申請して大丈夫なのか」
「一度申請してしまったら、以後の保険料が上がってしまうのではないか」

といったことを懸念し、無理に申請しなくてもいいと考える人もいるようです。

こうした懸念点について解説します。

火災保険は何度でも請求申請できる

火災保険は、保険金の請求申請回数に上限はなく、被害に遭ったら何度でも申請できます。

なぜなら、火災や自然災害は「一度起こったら二度と起こらない」というものではないからです。

特に近年は、集中豪雨など自然災害による被害が全国規模で頻発する傾向にあります。

北海道・東北・北陸を中心とした豪雪地帯では雪害、沖縄・南西諸島など台風の通過が多い地域では水害・風害が起こりやすく、建物が何かしらの被害を受けるリスクは毎年のように発生している状況です。

損害保険料率算出機構が参考純率を短期間で複数回引き上げてきた背景にも、こうした自然災害の発生状況が挙げられます。

災害は繰り返し起こるおそれがあるからこそ、被害を受けるたびに保険金を請求申請できるように制度が設計されているのです。

ただし、事故の頻度があまりにも多く、頻繁に保険金の支払いが発生した場合、損害保険会社が次年度以降の更新を見合わせることもあります。

不安であれば、申請時に損害保険会社に相談しましょう。

何度申請しても保険料は上がらない

火災保険は、保険金の請求申請をしたからといって、それ以降の保険料が上がってしまうことはありません。

これと対照的なのが、自動車保険です。自動車保険は、事故で保険金を申請するたびに保険料が増額されます。

自動車保険の場合は等級に応じた保険料が設定されていることが多く、事故の内容や回数によって等級が下がり、その分だけ保険料は上がる仕組みになっています。

火災保険は、火災や自然災害などの不可抗力による被害を補償するものなので、等級制をとっていません。

また、受け取れる保険金額も請求申請の回数に関係なく、契約時の提示額から減額されることは原則的にありません。

(1回の請求申請で支払われる保険金額が、契約終了の基準に達しない場合。詳しくは後述します)

なお、個人向けの火災保険では、保険金が支払われた後も保険金額が減額されない「保険金額自動復元方式」が一般的です。

ただし、これは基本補償についての仕組みで、特約の保険金額は契約時のものが維持されない場合があるので確認が必要です。

なお、物価上昇による修繕費の高騰や、自然災害の発生状況を反映し、更新時に保険料がアップすることは起こり得ます。

火災保険の保険金は使途自由

火災保険の保険金は、被害に対する補償として損害保険会社から支払われるので、被害箇所の復旧に使わないといけないと思われがちですが、必ずしもそうではありません。

保険金を何に使うかは加入者に一任されており、保険金を何に使ったのか、損害保険会社に領収書を提出する必要もないので、保険金を被害に遭った家財の代替物の購入のほか、貯蓄やローン返済などにあてても問題はありません。

ただし、保険金を受け取ったにもかかわらず被害のあった箇所を修繕せず、その後、損耗が拡大した場合には、当該箇所に対して再度保険金を請求申請することはできないので注意が必要です。

保険金の使途は自由とはいえ、その原則も変わりつつあります。近年の自然災害の頻発を受け、各損害保険会社が2022年10月1日以降、保険料の見直しや契約期間の短縮など複数回にわたる制度改定を実施しています。

これに伴い、損害保険会社や保険商品にもよりますが、被害箇所の復旧を義務付けている場合がありますので、契約・更新前によく確認してください。

火災保険を使わないと損になるケースも

火災保険の保険金請求にデメリットはないとはいえ、補償対象に該当する被害を受けているにもかかわらず申請をしないと、本来、保険金を受け取れるはずだった機会を逃してしまうかもしれません。

火災保険料は毎年支払うものなので、請求できるはずの権利を使わない状態では「保険料は払うが、補償は受けない」となり、結果的に損につながる場合もあるでしょう。


特に注意したいのは、被害発生から3年が近づいているケースです。保険法第95条により、保険金請求権は権利を行使できる時から3年で時効消滅すると定められています(大規模災害時には特例措置がとられることもあります)。

3年を過ぎると、原則として請求権は失効します。

また、経年劣化と区別がつきにくい被害も注意が必要です。台風や大雪による被害は、時間が経つほど経年劣化との判別がしづらくなり、申請時に却下されるリスクが高まる傾向にあります。

被害に気づいた時点で、できるだけ早く保険会社へ連絡しましょう。

「火災保険を使うと損」という考えは誤解で、補償対象の被害を申請するのは加入者の正当な権利です。

ためらって申請を見送るほうが、長期的に見れば損につながる場合もあります。

最終的に保険金給付の可否を決めるのは保険会社なので、微妙なケースでも速やかに保険会社に問い合わせてみましょう。

保険金の請求申請をする際の注意点

保険金の請求申請をする際の注意点

前述したとおり、火災保険の保険金の請求申請をすることにデメリットはありませんが、申請の際に注意すべき点はあります。

ここでは、火災保険の保険金の請求申請をする際の注意点について紹介します。

火災保険の保険金の請求申請には時効がある

火災保険は、被害に遭ってから3年以内に請求申請しないと、保険金の請求権が消滅することが保険法第95条で定められています(ただし、一部の災害では特例措置がとられることがあり、この場合は3年以上前の被害でも申請が可能です)。

また、3年以内の申請でも、被害を受けてから時間が経ってしまうと損害が経年劣化とみなされて、保険金の請求申請が却下される可能性もあります。

ですから、災害や事故に遭った後は、できるだけ早く火災保険の保険金を請求申請するようにしましょう。

もし、火災保険の保険金を請求申請する前に自費で修繕した場合には、原則どおり被害を受けてから3年以内であれば申請が可能です。

ただし、この場合は修繕前・修繕後の写真や、修理会社の見積書、罹災証明書などが必要となります。

損害保険会社によって必要書類が異なりますので、契約・更新時によく確認してください。

なお、被害の発生から3年を超えているものを3年以内と偽って請求することは、虚偽申請にあたります。

保険金詐欺の罪に問われますので、絶対にしてはいけません。

1回の請求額が保険金額の80%以上になると契約終了

火災保険の保険金は、被害を受けるたびに何度でも請求申請が可能です。

しかし、1回の申請で損害保険会社から支払われる保険金額が一定以上になると、その1回の支払い後に契約が終了となる場合があります。

具体的には、建物や家財が火災で全焼、洪水で流失、土砂崩れで全壊などにより失われてしまった場合です。

全焼・流失・全壊により火災保険の補償対象が消失したという扱いになり、契約が成立しなくなるため、契約終了となります。


また、1回の請求申請で保険金額の80%にあたる額が支払われる場合も、全焼・流失・全壊と同様に消失したとみなされるため、契約は終了となります。

悪質な保険金請求代行業者に注意する

近年、住宅修理を口実に「保険金が使える」と勧誘し、高額な手数料を要求する悪質業者とのトラブルが続いています。

国民生活センターによれば、点検を口実に来訪し「工事をしないと危険」とあおって商品やサービスの購入の契約をせまる点検商法に関する相談件数は、2022年度の8,166件から2024年度には19,215件と、2年で2倍以上に急増しました。

消費者庁も2024年6月、火災保険金を使った修理工事契約に関する事業者について、「火災保険を使って実質的に無料で修理ができる」など、事実と異なる説明(不実告知)が確認されたとして、新たな注意喚起を公表しています。

日本損害保険協会・国民生活センターからも、複数回にわたって被害事例の注意喚起が出されてきました。

正規の保険金請求は、加入者自身が契約している保険会社や代理店へ連絡すれば無料で進められます。

手数料も一切かかりません

怪しい業者から勧誘を受けた場合は、すぐに契約せず、まず加入している保険会社か代理店に相談しましょう。

不安があれば、消費者ホットライン「188(いやや)」や、日本損害保険協会の保険金に関する災害便乗商法 相談ダイヤル「0120-309-444(さあ連絡しよう)」を活用してください。

火災保険の補償対象とならない場合

火災保険の補償対象とならない場合

一見、火災保険の補償対象の範囲内にありそうな事例でも、保険金を受け取れないことがあります。

ここでは、どのような場合に火災保険の補償対象とならないのかを解説します。

免責金額より損害額が低い

火災保険を契約した際に、「免責金額」を設定している人も多いでしょう。免責金額とは、災害や事故で受けた被害を修繕するときに、加入者が負担する金額のことです。

免責金額を設定している場合、損害保険会社から支払われる保険金は、損害額(修繕費)から免責金額を差し引いた額になります。

免責金額を設定して火災保険に加入すると、支払う保険料は安くなります。免責金額には段階があり、商品によって0円から10万円程度の範囲で選択できる場合が一般的です。

しかし、実際に災害や事故で損害が発生し、その損害額が免責金額よりも下回る場合、火災保険の補償を受けることはできません。

例えば損害額が2万円で、免責金額を3万円に設定していた場合は保険金を受け取ることができないということです。

自分の居住地が災害に遭いやすい地域かどうかをよく確認するなどして、慎重に免責金額を設定する必要があります。

なお、免責金額をあえて0円に設定するのも、ひとつの手です。

免責金額を安く設定すればそれだけ保険料は高くなりますが、保険商品によってはそれほど保険料が変わらないこともあります。

免責金額を0円に設定すれば、「突風で窓ガラスが1枚割れた」といった軽微な損害にも対応できる場合があります。

申請した被害箇所を修繕せずに状態が悪化

前述したように、受け取った保険金の使い道は自由ですが、商品によっては被害箇所の復旧が義務付けられている場合もあります。

いずれにしても、火災保険で申請した被害箇所の修繕をせず、さらに状態が悪化した場合、同じ箇所に対する補償を受けることはできません。

当該箇所に対して再度保険金を請求すると、同じ被害箇所に対する重複申請とみなされるため却下されます。

被害が出た箇所は脆弱になっている可能性が高いです。

再びの災害で被害が大きくなるおそれがあるので、可能な限り修繕しておくに越したことはありません。

経年劣化による損害

火災保険は、あくまで火事や自然災害による損害を補償するための保険です。そのため、経年劣化で起こった損耗は、火災保険の補償対象ではありません。

また、経年劣化していた箇所が災害で損傷した場合のように、原因が経年劣化か災害かを正確に判別するのは困難なケースもあります。仮に経年劣化による損耗を災害による被害として申請してしまうと、不正請求とみなされる可能性があるほか、同じ災害で生じた他の正当な被害についても補償を受けられなくなるおそれがあります。

災害によって起こった被害なのか、経年劣化によるものなのか明らかな違いがわからない場合は、修繕費の見積もりと併せて修理業者などに原因を調査してもらいましょう。

経年劣化している箇所を事前に把握しているときは、あらかじめ保険会社に伝えて補償対象外としたうえで契約をすると、事故が起きたときのトラブルを回避できます。

故意または虚偽の申請による損害

故意に建物を破損させたり、経年劣化を自然災害による被害と偽って申請したりする行為は、火災保険の補償対象外となります。

それだけではなく、刑法第246条の詐欺罪に問われる可能性があります。詐欺罪は10年以下の拘禁刑(刑事施設に身柄を拘束される刑罰)が科される犯罪です。

虚偽申請が発覚すると、当該申請が却下されるだけでなく、保険会社から重大事由による契約解除を受ける可能性もあります。

その場合、他の正当な被害についても補償を受けられなくなるリスクが生じる点に注意が必要です。

特に注意すべきは、悪質な業者から虚偽申請を持ちかけられるケースです。

「経年劣化の損傷を災害と偽れば保険金がもらえる」「屋根を一部壊して被害を装えば申請できる」といった勧誘を受けて応じた場合、契約者本人も詐欺罪の共犯に問われる可能性があります。

判別が困難なケースでは、自己判断で「災害扱い」として申請するのではなく、修理業者に原因調査を依頼し、結果に基づいてありのままを申告してください。

経年劣化と判明した場合は申請せず、自費修繕に切り替えるのが正しい対応です。

火災保険の使い方・申請の手順

火災保険の使い方・申請の手順

保険会社によって若干異なりますが、火災保険の請求は主に次の5つのステップで進みます。
【保険金請求の流れ】
1.被害の発生(火災や自然災害、事故により建物・家財の損傷を確認する)
2.保険会社・代理店への連絡(契約している保険会社または代理店に状況を伝える)
3.保険金請求書類の受け取り(保険会社から請求書類一式が送付される)
4.必要書類の作成・提出(保険金請求書、被害写真、修理見積書を準備し提出する)
5.支払金額の確定・受け取り(保険会社の損害査定後、保険金が振り込まれる)

【申請に必要な書類】
申請時に必要となる主な書類は次のとおりです。
保険金請求書(保険会社から送付)
被害状況がわかる写真(複数アングルで撮影)
修理見積書(修理業者または工務店に依頼して作成)
罹災証明書(自治体発行、地震・火災・風水害など被害に応じて)
印鑑、振込先口座情報
必要書類も損害保険会社や保険商品により異なります。契約している保険会社のWebサイトや、ご契約のしおりで詳細をご確認ください。

スムーズに保険金を受け取るには、いくつかのポイントがあります。

まず、被害に気づいたらできるだけ早く保険会社へ連絡しましょう。時間が経つほど経年劣化との判別が難しくなるためです。

次に、被害箇所の写真を複数のアングルから撮影し、全体像と拡大写真の両方を残しておきます。屋根の上など、写真を撮る際に危険を伴うときは、無理をせずに保険会社の判断を仰いでください。

また、修理業者の選定は慎重に行うことが大切です。

保険会社によっては提携先を紹介してくれる場合があるため、まずは相談するとよいでしょう。また、申請代行業者を介さず契約者本人が保険会社へ直接連絡することも、トラブル回避につながります。

申請手続きについてさらに詳しく知りたい場合は、関連記事もあわせてご確認ください。

火災保険の請求申請にデメリットはないが、加入条件をよく確認しよう

火災保険の保険金は、被害を受けたら何度でも申請が可能です。

また、何度申請しても保険料が上がることはありませんし、受け取れる保険金額が減少することはありませんので、加入者にとっては申請のデメリットはないといえます。

ただし、火災保険の請求申請には時効があるほか、保険金額の全部が支払われた場合、あるいは1回の請求で保険金額の一定割合(80%相当以上など)となった場合は、契約が終了となる点には注意が必要です。

なお、火災保険に加入する際には、「とにかく保険料は安いほうがいい」と1つの視点にとらわれるのではなく、被害を受けた場合の補償についても把握した上で選ぶようにしましょう。

損害保険会社の担当者によるサービスや保険金の支払いに対する対応など、加入者でなければわからない情報も火災保険を選ぶ際のポイントになります。

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火災保険加入者からの口コミ情報のほか、保険料や商品内容、加入手続き、サービス体制など、さまざまな視点でのランキングを確認できますので、保険会社選びの参考にしてください。
金子 賢司

監修者金子 賢司

東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP(R)資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事

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