火災保険の家財補償、対象はどこまで?事例や保険料の目安も解説

火災保険の家財補償、対象はどこまで?事例や保険料の目安も解説

火災保険の補償の対象は建物と家財に分かれており、家財の補償がどのようなものかわからない方も多いのではないでしょうか。家財の補償は火災以外にも自然災害や盗難などを幅広くカバーするため、いざというときに役立ちます。

この記事では家財補償がカバーする損害の種類や補償対象になる家財、補償対象になるケースやならないケース、設定する保険金額の目安などについて詳しく解説します。

火災保険に家財補償を付けるべきかお悩みの方や、必要な補償を知りたい方はぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 火災保険の家財補償とは?
    1. 火災保険の家財補償が受けられるのはどんなとき?
    2. 火災保険における家財補償の対象には何が含まれる?
  2. 家財補償の対象となる支払い事例を紹介!
    1. 隣家の火事で家具が損傷した
    2. 台風による浸水被害で家具・家電が水浸しになった
    3. 水道管の破裂で家具か濡れた
    4. 落雷の影響でパソコンが壊れた
    5. 自動車が自宅に飛び込み家具が破損した
  3. 家財補償の対象にならない?注意すべきポイント
    1. 30万円を超える貴金属や骨董品は明記が必要
    2. 建物の外に持ち出していたときの損害は対象外
    3. 災害の種類によっては地震保険が必要
    4. 免責金額以下の場合は自己負担
    5. 経年劣化または故意による損害は対象外
    6. 火災保険の申請期間は発生から3年以内
  4. 家財補償の保険金額はどう決める?
    1. 家族構成から考える
    2. 住まいの専有面積から考える
    3. 実際の買い替えをシミュレーションして考える
  5. 火災保険加入時には家財の対象をしっかり確認しよう

火災保険の家財補償とは?

火災保険の家財補償とは?

火災保険の家財補償は家具や家電、衣類といった生活用品が火災などの被害を受けた場合の補償です。家財補償は賃貸・持ち家を問わず加入でき、火災だけでなく、風水害や落雷のような自然災害による損害も補償されます。

火災保険の家財補償が受けられるのはどんなとき?

火災保険は建物の補償と家財の補償に分かれていて、必要に応じて「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」という形態で契約します。火災保険の家財補償は、「家財保険」とも呼ばれ、家財を対象とした補償です。

火災による焼失や消火活動による水ぬれはもちろん、自然災害や日常生活での不測の事故による損害も補償の対象となります。以下の表は、主な補償対象となる損害の種類と内容です。

損害の種類

内容

火災・落雷・爆発

火災による焼失、落雷による家電の故障、ガス爆発による損害

風災・雪災・雹(ひょう)災

台風などの強風、雹や霰(あられ)、豪雪の際の雪の重み、雪の落下、雪崩による損害

水災

台風や豪雨による洪水・高潮・土砂崩れなどによる損害

物体の衝突・落下・飛来

飛び石や車の飛び込みといった建物外部からの物体の衝突・落下・飛来による損害

水ぬれ

給排水設備の破損や詰まりなどによって発生した漏水や放水、溢水による損害

汚損や破損など

子どもの行為による破損のように、事前に予測できない突発的な事故による損害

盗難

家財の盗難による損害

騒じょう・集団行動などに伴う暴力行為

集団行動などに伴う暴力・破壊行為による損害

家財保険の補償内容は契約プランによって異なりますので、契約時に確認するようにしましょう。

火災保険における家財補償の対象には何が含まれる?

火災保険の家財補償では、住居内で使用する生活用の動産が補償の対象となります。ただし、すべてのものが補償されるわけではないため、対象となるものとならないものを正しく理解しておく必要があります

家財補償の対象になるもの

家財補償の対象にならないもの

・家具類(ソファ、テーブル、ベッド)
・家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)
・衣類、靴、バッグ
・食器、調理器具
・書籍、CD、DVD
・自転車、原付バイク(125cc以下)
など

・自動車、125cc超のバイク
・現金、有価証券、クレジットカード
・動植物
・データ、ソフトウェア、プログラム
・業務用設備、商品
など

自転車、原付バイク(125cc以下)は原則として保険の対象となる自宅敷地内に収容されている場合のみ、家財保険の補償対象となります。

家財補償の対象となる支払い事例を紹介!

家財補償の対象となる支払い事例を紹介!

これまでの内容を踏まえ、家財補償の支払い対象となる以下のような具体的な事例を紹介します。

隣家の火事で家具が損傷した
台風による浸水被害で家具・家電が水浸しになった
水道管の破裂で家具か濡れた
落雷の影響でパソコンが壊れた
自動車が自宅に飛び込み家具が破損した

隣家の火事で家具が損傷した

隣家で火事が発生し、その延焼(もらい火)による家財の損害は、家財補償に加入していれば補償の対象になります。具体的には、以下のような損害が補償されます。
・延焼による家具や家電の焼失
・消火活動による水ぬれで使用不能になった家財
失火責任法により、火元である隣家に重大な過失がない限り損害賠償請求はできません。そのため、火災保険に加入していない場合、全額自費で復旧しなければならない点に注意しましょう。

また、損害が家財に及んだ場合、家財補償に加入していなければ補償を受けられません。

台風による浸水被害で家具・家電が水浸しになった

台風による浸水被害で家具・家電が水浸しになった場合、火災保険の補償を受けられる可能性があります。ただし、家財保険の補償に水災が含まれている契約に限ります。一般的な水災補償の対象となる条件は、以下のとおりです。
・家財の損害額が保険価額の30%以上の場合
・床上浸水が発生した場合
・地盤面から45cmを超える浸水があった場合

水道管の破裂で家具か濡れた

水道管の破裂による家財の水ぬれ被害は家財保険に「水ぬれ補償」が含まれている場合、補償の対象となります。水ぬれで使用できなくなった家具の他に、以下のような家財が補償の対象となります。
・故障した家電製品(テレビ、冷蔵庫など)
・濡れて使えなくなった衣類や寝具
・水に浸かった書籍
ただし、対象となるのは突発的な事故である場合であり、蛇口の閉め忘れのような過失や水道管の経年劣化による破損は基本的に補償されません。

落雷の影響でパソコンが壊れた

落雷によるパソコン(テレビ、ゲーム機、電話機なども)の損害は、家財保険に加入していれば補償の対象となります。ただし、補償されるのはハードウェアであり、データやソフトウェアといった無形物は対象外です。

ほとんどの保険会社でノートパソコンやタブレット、スマートフォンは補償対象外となる点に注意が必要です。

自動車が自宅に飛び込み家具が破損した

自動車の飛び込み事故による家財の損害は、まず事故を起こしたドライバーへの損害賠償請求で対応するのが基本です

しかし、加害者が特定できない場合や、無保険車による事故、あるいは加害者に賠償能力がない場合には、家財保険での対応が可能です。

家財保険で補償を受けるためには、契約内容に「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突」の補償が含まれている必要があります。この場合、自動車の衝突で破損した家具や家電製品、窓ガラスの破片で傷ついた家財などの損害が補償対象となります。

家財補償の対象にならない?注意すべきポイント

家財補償の対象にならない?注意すべきポイント

火災保険の家財補償は、家財が火災や風水害、盗難のような被害にあった際に役立つ保険ですが、すべての家財が補償対象となるわけではありません。以下のようなケースには、注意が必要です

30万円を超える貴金属や骨董品は明記が必要
建物の外に持ち出していたときの損害は対象外
災害の種類によっては地震保険が必要
免責金額以下の場合は自己負担
経年劣化または故意による損害は対象外
火災保険の申請期間は発生から3年まで

30万円を超える貴金属や骨董品は明記が必要

1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、美術品、骨董品などは、通常の家財補償の対象外となります。これらの高額品を補償対象とするためには、保険契約時に「明記物件」として保険証券に記載する必要があります。

明記物件とは、通常の家財とは別枠で取り扱われる特別な保険の対象物のことです。具体的には、以下のようなものが該当します。
・貴金属、宝玉、宝石
・書画、骨董品、彫刻物
・高級時計
・楽器(アンティーク品)
これらの品物は契約時に品名、数量、価額を申告し、保険証券に明記して初めて補償の対象となります。ただし、保険会社や商品によっては明記しなくても補償の対象とする場合もあります。

例えば、1個または1組の損害額が30万円を超える場合はその損害額を30万円とみなす、1回の事故あたりの限度額(100万円など)があるといったパターンです。

高額品を持っている方は、加入する家財保険の明記物件の扱いがどのようになっているかを必ず確認するようにしましょう。

建物の外に持ち出していたときの損害は対象外

火災保険の家財補償は、原則として保険証券に記載された建物内に保管されている家財のみが対象となります。そのため、以下のような建物の外に持ち出した際の損害は補償されません
・駅の駐輪場での自転車の盗難
・外出先でのバッグのひったくり被害
・旅行中のカメラの破損
・スポーツジムでの置き引き被害
・レストランでの食事中の衣服の汚損
ただし、保険会社によっては「携行品特約」のように、建物の外に持ち出した家財を補償の対象とする特約を付帯できる場合があります。なお、特約の具体的な補償内容や保険金額は保険会社によって異なるため、契約時に詳細を確認しましょう。

災害の種類によっては地震保険が必要

家財保険は火災や風水害といった多くの自然災害による損害を補償しますが、地震・噴火・津波による損害は対象外です。地震による損害に備えるためには、別途地震保険への加入が必要です。

例えば、以下のようなケースは通常の家財補償ではカバーできません。
・地震による家具の倒壊や破損
・地震が原因の火災による家財の焼失
・地震による津波で家財が流出
・火山の噴火による家財の損壊や埋没
・地震による土砂崩れでの家財の損害
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内で設定します。ただし、家財の地震保険は1,000万円が上限です。

また、地震保険では損害の程度によって「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に分かれており、それぞれの区分に応じて保険金が支払われます。損害が「一部損」の基準に満たない場合は、保険金が支払われない点にも注意が必要です。

免責金額以下の場合は自己負担

家財保険の免責金額とは、保険金支払いの際に契約者が負担する自己負担額のことです。損害額が免責金額以下の場合は全額自己負担となり、免責金額を超える場合は、損害額から免責金額を差し引いた金額が保険金として支払われます。

例えば、免責金額3万円の契約で7万円の損害が発生した場合、実際に受け取れる保険金は4万円(7万円−3万円)です。一方、損害額が2万円の場合は、免責金額以下となるため保険金は支払われません。

免責金額は高く設定するほど保険料を抑えられますが、現実的には5万円から10万円程度が目安となります。保険料を抑えるために免責金額を高く設定しすぎると、いざというときの自己負担が大きくなり、生活に支障をきたす可能性があるためです。

免責金額の設定は保険会社や商品によって異なり、0円から10万円程度までの範囲で選択できるのが一般的です。自身の経済状況を考慮して適切な免責金額を設定しましょう。

経年劣化または故意による損害は対象外

家財保険では時間の経過による自然な劣化(経年劣化)や、故意による損害は補償の対象外となります。損害保険の基本的な考え方である「偶然の事故」に該当しないためです。

例えば、長年の使用による家具の変形や、意図的に家電製品を落下させた場合などは、家財補償の対象外です。

なお、経年劣化が原因で起きた事故による二次的な損害(老朽化した配管からの水漏れで家具が濡れた場合など)については、保険会社や契約内容によって判断が異なる場合があります。

火災保険の申請期間は発生から3年以内

火災保険の保険金請求権には時効があり、保険法第95条により被害発生から3年以内と定められています。この期間を過ぎると、保険金請求の権利が消滅してしまいます。

ただし、すでに修理を完了している場合でも、以下の条件を満たせば保険金請求が可能です。
・被害発生から3年以内である
・修理前の被害状況を示す写真が残っている
・修理の見積書や請求書が保管されている
被害を発見したら、できるだけ早く保険会社に連絡し、被害状況の写真や修理見積書といった必要な証拠を残しておくようにしましょう。

家財補償の保険金額はどう決める?

家財補償の保険金額はどう決める?

家財補償に加入する場合、保険金額は保有する家財をすべて買い替えられる金額と考えられます。ただし、家にある家財を個別にチェックして金額を見積もるのは大変な手間がかかります。

そこで、各保険会社には家族構成や住居の専有面積をもとにした簡易的な評価表が用意されているのです。ただし、簡易評価表には明記物件の額までは含まれません。あくまで参考程度と考え、世帯の実情に合った保険金額を設定しましょう

家族構成から考える

家財の保険金額は、家族構成と世帯主の年齢によって大きく変動します。以下の表は、標準的な所有家財を再購入する場合に必要となる金額の目安です。
家族構成 2名
大人のみ
3名
大人2名
子ども1名
4名
大人2名
子ども2名
5名
大人2名
子ども3名
独身世帯
世帯主の年齢 25歳前後 490万円 580万円 670万円 760万円 300万円
30歳前後 700万円 790万円 880万円 970万円
35歳前後 920万円 1,000万円 1,090万円 1,180万円
40歳前後 1,130万円 1,220万円 1,310万円 1,390万円
45歳前後 1,340万円 1,430万円 1,520万円 1,610万円
50歳以上 1,550万円 1,640万円 1,730万円 1,820万円
この表からわかるように世帯主の年齢が上がるほど、また家族の人数が増えるほど必要な保険金額は高くなります。年齢とともに家財が増えていき、家族が増えると必要な家具や電化製品、衣類なども増加するためです。

ただし、この金額はあくまで目安であり、実際の家財の所有状況に応じて適切な保険金額を設定する必要があります

住まいの専有面積から考える

専有面積に基づく家財の評価額は、持ち家と賃貸で大きく異なります。以下の表は、専有面積別の家財保険金額の目安です。

専有面積

持ち家

賃貸

33u(10坪)未満

580万円

350万円

33〜66u(10〜20坪)未満

960万円

640万円

66〜99u(20〜30坪)未満

1,210万円

900万円

99〜132u(30〜40坪)未満

1,580万円

1,150万円

132u(40坪)以上

1,930万円

1,420万円

持ち家の方が賃貸よりも保険金額が高く設定されているのは、長期の居住を前提とするため家財の蓄積が多くなる傾向があるためです。一方、賃貸住宅では引っ越しの可能性を考慮して、比較的少ない家財量を想定しています。

実際の買い替えをシミュレーションして考える

家財の補償金額は家族構成や専有面積による目安を参考にしつつ、実際の生活スタイルに合わせた設定が重要です。すべての家財を新品で買い替える必要はなく、 居住エリアや価値観によって必要な補償額は大きく異なります。

例えば、都心部と地方では家具や家電の購入価格に差があり、テレワークが中心の方は在宅時間が長いため高額な家具を所有する傾向にあります。一方、ミニマルな暮らしを心がける方は、必要最低限の家財で生活しているかもしれません。

補償金額を高く設定すれば安心感は増しますが、その分保険料も上がります。実際に被害を受けた際の買い替え方針を想定し、保険料負担とのバランスを考慮して適切な補償金額を決めるようにしましょう

火災保険加入時には家財の対象をしっかり確認しよう

火災保険の家財補償は火災や自然災害、盗難などによって家財が被害を受けた際の経済的な備えとなります。家財補償の対象は家具や家電、衣類のような生活に必要な動産が中心ですが、十分な補償を受けるためには契約時に適切な保険金額の設定が必要です。

保険会社の簡易評価表を参考にして、実際の生活スタイルに合わせて必要な補償額を決めるようにしましょう。

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※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。
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