マンションの地震保険は必要?補償内容や相場・加入の判断基準
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この記事では、専有部分・共用部分の補償範囲や保険料の目安、割引制度、損害認定の仕組みなどをわかりやすく解説します。加入すべきか迷っている方は、判断基準としてお役立てください。
監修者ファイナンシャルプランナー 金子賢司
東証一部上場企業で10年間勤務後、業務中の交通事故を機に福利厚生や社会保障に関心を持ち、学びを深める。
現在はファイナンシャルプランナーとして、個人・法人の相談対応やテレビ番組のコメンテーター、セミナー講師(年約100件)として活動。健康とお金を軸に豊かなライフスタイルを発信している。
目次
マンションに地震保険は必要か?加入すべき理由と役割
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しかし、過去の大規模地震では、倒壊を免れたマンションでも壁や天井のひび割れ、室内の家具・家電の転倒や破損など、生活に支障をきたす被害が発生しています。
とくに高層階では、建物の構造上、地震の揺れが増幅されやすい傾向があり、家具や家電の転倒・破損リスクが高まることがあります。
また、耐震性能が高いマンションであっても、地震を原因とする火災や損壊は火災保険の補償対象外です。地震による損害に備えるためには、火災保険に加えて地震保険への加入を検討しましょう。
賃貸と分譲(持ち家)で異なる必要性と加入対象
一方、賃貸マンションに住んでいる場合は、建物に対する地震保険は大家(建物の所有者)が加入するため、入居者が加入する必要はありません。ただし、自分の家具や家電といった「家財」については入居者自身が保険で備えなければなりません。
マンションの地震保険の補償内容と適用範囲
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地震保険が補償の対象とするのは、地震・噴火・津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害です。火災保険では地震を原因とする火災や延焼による被害は補償されないため、これらのリスクには地震保険で備える必要があります。
「専有部分」と「共用部分」の違いと加入者
専有部分(室内の天井、床、壁、キッチンやトイレなどの設備)は区分所有者(個人)が個々に加入し、共用部分(エントランス、外壁、廊下、エレベーター、バルコニーなど)はマンション管理組合が一括して加入するのが一般的です。
区分 | 主な範囲・具体例 | 加入者(契約者) |
専有部分 | 室内の天井、床、壁(内側)、キッチンやトイレなどの設備 | 区分所有者(個人) |
共用部分 | エントランス、外壁、廊下、エレベーター、バルコニー、玄関ドアの外側など | マンション管理組合 |
また、共用部分の地震保険への加入は義務ではないため、管理組合が加入していない場合もあります。加入状況を管理組合に確認しておくことをおすすめします。
建物だけでなく「家財」への備えも重要
家財の地震保険で補償される対象と対象外のものは以下のとおりです。
区分 | 具体例 |
補償の対象 | ・家具(タンス、ソファ、机など) |
補償の対象外 | ・通貨(現金)、有価証券(小切手、株券など) |
火災保険とセットでの契約が原則
すでに火災保険に加入している場合でも、契約期間の途中から地震保険を追加(中途付帯)できます。火災保険の契約内容を見直す際に、あわせて地震保険の付帯を検討すると手続きまでスムーズに進められます。
マンションの地震保険料の相場と割引制度
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保険料は主に「建物の所在地(都道府県)」と「建物の構造」によって決まります。マンションの多くが該当する鉄骨・コンクリート造(イ構造)は、木造(ロ構造)に比べて保険料が低く設定されています。
また、保険期間を最長5年の長期契約にして一括払いにすることで、1年ごとに更新するよりもトータルの保険料負担を抑えられる仕組みです。
都道府県と建物の構造で決まる保険料の目安
都道府県 | イ構造 | ロ構造 |
北海道 | 7,300 | 11,200 |
青森県 | 7,300 | 11,200 |
岩手県 | 7,300 | 11,200 |
宮城県 | 11,600 | 19,500 |
秋田県 | 7,300 | 11,200 |
山形県 | 7,300 | 11,200 |
福島県 | 11,600 | 19,500 |
茨城県 | 23,000 | 41,100 |
栃木県 | 7,300 | 11,200 |
群馬県 | 7,300 | 11,200 |
埼玉県 | 26,500 | 41,100 |
千葉県 | 27,500 | 41,100 |
東京都 | 27,500 | 41,100 |
神奈川県 | 27,500 | 41,100 |
新潟県 | 7,300 | 11,200 |
富山県 | 7,300 | 11,200 |
石川県 | 7,300 | 11,200 |
福井県 | 7,300 | 11,200 |
山梨県 | 11,600 | 19,500 |
長野県 | 7,300 | 11,200 |
岐阜県 | 7,300 | 11,200 |
静岡県 | 27,500 | 41,100 |
愛知県 | 11,600 | 19,500 |
三重県 | 11,600 | 19,500 |
滋賀県 | 7,300 | 11,200 |
京都府 | 7,300 | 11,200 |
大阪府 | 11,600 | 19,500 |
兵庫県 | 7,300 | 11,200 |
奈良県 | 7,300 | 11,200 |
和歌山県 | 11,600 | 19,500 |
鳥取県 | 7,300 | 11,200 |
島根県 | 7,300 | 11,200 |
岡山県 | 7,300 | 11,200 |
広島県 | 7,300 | 11,200 |
山口県 | 7,300 | 11,200 |
徳島県 | 23,000 | 41,100 |
香川県 | 11,600 | 19,500 |
愛媛県 | 11,600 | 19,500 |
高知県 | 23,000 | 41,100 |
福岡県 | 7,300 | 11,200 |
佐賀県 | 7,300 | 11,200 |
長崎県 | 7,300 | 11,200 |
熊本県 | 7,300 | 11,200 |
大分県 | 7,300 | 11,200 |
宮崎県 | 11,600 | 19,500 |
鹿児島県 | 7,300 | 11,200 |
沖縄県 | 11,600 | 19,500 |
建物の構造区分を比較すると、イ構造はロ構造よりも保険料が低く設定されているため、マンションは戸建ての木造住宅に比べて保険料を抑えられます。
保険料の目安を確認したい場合は、日本損害保険協会が提供しているシミュレーションツールなどで概算を試算することも可能です。
耐震等級などが影響する4つの割引制度
割引制度 | 割引率 | 適用条件の概要 |
免震建築物割引 | 50% | 「免震建築物」の基準に適合する建物であること |
耐震等級割引 | 10%〜50% | 耐震等級に応じて割引率が変動します。 |
耐震診断割引 | 10% | 耐震診断または改修の結果、改正建築基準法(1981年6月施行)の耐震基準を満たすことが確認された建物 |
建築年割引 | 10% | 1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物であること |
たとえば、1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物であれば「建築年割引」の対象となり、10%の割引が受けられます。多くの築浅マンションがこの条件に該当するため、割引の適用可否を確認しておくとよいでしょう。
地震保険料控除による税制メリット
この控除を受けるには、年末調整または確定申告の際に、保険会社から届く「地震保険料控除証明書」を添付して申告する必要があります。
地震保険料控除を活用することで、実質的な保険料負担を軽減できるため、加入を検討する際にはこの税制メリットもあわせて考慮しておきましょう。
参考:一般社団法人 日本損害保険協会|B保険料と税金の関係
損害認定の基準と支払われる保険金額
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被災者の生活再建を速やかに支援するため、損害認定はパターン化された基準で迅速に行われる仕組みとなっています。
「全損」から「一部損」までの4つの区分
被害状況 | 基準 |
全損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上となった場合 |
大半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の40%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の50%以上70%未満となった場合 |
小半損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の20%以上40%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上50%未満となった場合 |
一部損 | 地震等により損害を受け、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害額が、時価額の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmをこえる浸水を受け、建物の損害が全損・大半損・小半損・一部損に至らない場合 |
被害状況 | 基準 |
全損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合 |
大半損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の60%以上80%未満となった場合 |
小半損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の30%以上60%未満となった場合 |
一部損 | 地震等により損害を受け、損害額が保険の対象である家財全体の時価額の10%以上30%未満となった場合 |
損害が「一部損」の基準に満たない場合は、保険金は支払われない点に注意が必要です。
保険金額の上限と支払われる割合
地震保険の保険金額は、セットで加入する火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で設定する仕組みとなっており、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限額となっています。
なお、支払われる保険金は建物や家財の時価額が限度です。契約金額が時価額を上回っている場合は、時価額を基準に保険金が算出されます。
参考:財務省|地震保険制度の概要
共用部分の被害状況が専有部分に影響する
たとえば、建物全体(共用部分)が「大半損」と認定された場合、専有部分の被害が軽微であっても「大半損」として扱われ、保険金が支払われるケースがあります。
反対に、専有部分の被害のほうが建物全体の認定よりも大きい場合には、専有部分について個別に損害認定を受けられます。加入先の保険会社に連絡し、個別に認定を依頼しましょう。
マンションにおける地震保険への加入率
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令和7年5月23日に財務省が公表した「地震保険の加入促進について」の資料によれば、2023年度のマンション専有部分の地震保険加入率は74.4%、共用部分は52.0%となっています。
【マンション専有部・共用部における地震保険付帯率(持ち家)の推移(新規契約件数ベース)】
| 年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 専有部 | 71.9% | 73.9% | 73.0% | 73.8% | 74.2% | 74.4% | 74.9% | 74.4% | 74.4% |
| 共用部 | 38.1% | 40.1% | 42.7% | 44.8% | 45.9% | 46.4% | 49.0% | 51.3% | 52.0% |
一方で、共用部分の加入率ですが、年々増加しているものの全体の半分ほどで、専有部分に比べるとだいぶ低くなっています。
万一のとき、生活再建をスムーズにするためには、マンションの玄関ホール、廊下、外壁など共有部分にも備えが必要です。共用部分の地震保険は、マンション管理組合が加入することになります。共用部分の地震保険に加入していれば、保険金を修繕費用に充当することができます。
特に、修繕積立金に余裕がないマンションで共用部分の地震保険に未加入の場合は、加入を検討するとよいかもしれません。ご自身が住んでいるマンションの共有部分は地震保険に加入しているのか、管理組合に確認してみることをおすすめします。
マンションの地震保険に加入するメリット・デメリット
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地震保険のメリット
メリット1:もしもの時も安心
しかし、地震保険に加入していれば、保険金を現金で受け取ることができるため安心です。
例えば、マンションを購入するのに多くの人が住宅ローンを利用します。住宅ローンが残っている間に地震で建物が倒壊すると、地震前の住宅ローンと再建後の住宅ローンの二重の住宅ローンを抱えることになります。
しかし、地震保険の保険金を住宅ローンの返済に充当することで、経済的な負担を軽減することができます。
メリット2:災害時でも早く補償が受けられる
メリット3:修繕費用に充てたり、生活再建に使ったり自由に使える
被災すると、修繕費用以外にもこれまでの生活を取り戻すためにいろいろとお金がかかりますが、保険金は現金で受け取ることができるため、自身の判断で使い道を決められます。
地震保険のデメリット
デメリット1:保険料が高く感じる
そして、地震に被災すると損害は甚大なものになります。そのため、地震保険の保険料は高めに設定されていると考えられます。
デメリット2:地震保険単体では加入できない
なお、すでに火災保険に加入済であれば、保険期間の途中からでも地震保険に加入することは可能です。地震保険に加入するために、新たに火災保険に加入する必要はありません。
デメリット3:補償額では家の建て直しができるとは限らない
そのため、保険金だけで家の建て直しができるとは限りません。なお、保険会社によっては、補償を上乗せできる特約を独自に扱っているところもあります。
また、以下のような理由で保険金が支払われない場合もあるため注意が必要です。
・地震などの発生日の翌日から起算して10日経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合
地震保険が「いらない」ケースとは?加入の判断基準
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ここでは、加入を検討するうえで確認しておきたい3つの判断基準を紹介します。
居住エリアのハザードマップと地震リスク
ハザードマップは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
住所を入力するだけで、洪水・津波・土砂災害などのリスク情報を地図上に重ねて表示する「重ねるハザードマップ」と、各市区町村が公開しているハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」が利用可能です。また、お住まいの市区町村の窓口やホームページでも入手できます。
さらに、防災科学技術研究所が運営する「地震ハザードステーション(J-SHIS)」では、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率など、地震に特化したリスク情報を地図上で確認できます。
建物の耐震性や免震構造の有無
ただし、建物が倒壊しなくても、高層階では揺れが増幅されやすく、家具や家電の転倒・破損といった家財被害が発生するリスクは残ります。建物の耐震性だけでなく、家財への備えも含めて検討することが重要です。
住宅ローンの残債と資産状況
一方、住宅ローンの残債が多い場合や、貯蓄に余裕がない場合は、地震保険への加入をおすすめします。被災後も住宅ローンの返済は続くため、地震保険の保険金を返済に充当することで経済的な負担を軽減できます。
マンションでも地震に備えて保険加入を検討しよう
いつ発生するかわからない地震。被災すれば被害が甚大になる可能性があり、マンションでも耐震性があるとはいえリスクはゼロではありません。また、火災保険では地震による火災は補償されないため、リスクが低い地域でも万が一に備えて地震保険の加入を検討しましょう。
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監修者ファイナンシャルプランナー 金子賢司
東証一部上場企業(現在は東証スタンダード)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。
以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
・CFP ®資格(資格番号:90260739)
・日本FP(ファイナンシャルプランナー協会)幹事