火災保険とは?住宅を守る仕組みと必要性をわかりやすく解説

火災保険とは?住宅を守る仕組みと必要性をわかりやすく解説

火災保険とは、住まいが火災に見舞われた際の損害を補償する保険です。

多くの人が火災保険に加入していますが、実際のところ、不動産会社や管理会社、金融機関にすすめられるまま、補償内容をきちんと理解せずに契約している人も多いのではないでしょうか。

この記事では、火災保険とはどのようなものなのかを説明し、補償内容や選ぶポイントを解説します。加入前に、正しい知識を身に付けましょう。
新井 智美

監修者新井 智美

トータルマネーコンサルタント。マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

mokuji目次

  1. 火災保険とは火災による損害を補償する保険のこと
    1. 火災保険の定義と基本的な役割
    2. 火災保険と他の損害保険との違い
  2. 火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つ
    1. 「建物」に含まれる範囲(門・塀・物置など)
    2. 「家財」に含まれる範囲(家具・家電・衣類など)
    3. 暮らしに合わせて選ぶ3つの加入パターン
  3. 火災保険の補償範囲|火事以外にも自然災害や盗難に使える
    1. 火災・落雷・破裂・爆発
    2. 風災・雹災・雪災および水災(自然災害)
    3. 盗難・水濡れ・破損・汚損(不測の事故)
  4. 火災保険はなぜ必要?加入率と「失火責任法」のリスクから考える
    1. 火災保険・地震保険の加入率と世帯割合
    2. 「失火責任法」により隣人の火災も自己責任になる
    3. 住宅ローンの契約条件としての必要性
  5. 火災保険選びで失敗しないための注意点とポイント
    1. 補償対象と範囲を決める
    2. 構造級別を確認する
    3. 保険料を決めて、保険期間を設定する
    4. 地震保険はどうするか検討する
    5. 保険金支払基準で選ぶ
    6. 経年劣化や故意の事故は補償されない
  6. 火災保険に関するQ&A
    1. 火災保険は何度でも使える?
    2. 火災保険で全焼・半焼とは?
    3. 空き家でも火災保険に加入できる?
    4. もしも保険会社が破綻したら火災保険はどうなるのか?
  7. 火災保険で不測の事態に備えよう
    1. 経年劣化や故意の事故は補償されない

火災保険とは火災による損害を補償する保険のこと

火災保険とは火災による損害を補償する保険のこと

火災保険とは、建物や家財などが火災に遭った際、その損害を補償する保険のことです。

契約内容によっては、水害・風害などの自然災害や盗難によって生じた損害も補償されますが、地震や噴火、津波による損害や、それを原因とする火災の場合は、通常の火災保険だけでは補償されません。

これらに備えるのであれば、別途、地震保険などへの加入が不可欠です。

火災保険は、補償内容が広い商品から基本補償を中心にした商品までさまざまですが、近年は必要な補償を特約で組み合わせて選ぶ設計が一般的です。

火災保険の定義と基本的な役割

火災保険とは、火災や自然災害などによって建物や家財に生じた損害を補償する損害保険で、生活基盤である「住まい」を守る保険です。

火災保険という名称から「火事専用の保険」と思われがちですが、火災だけでなく商品や契約内容によっては台風・落雷・水漏れなど日常生活で起こり得る幅広いリスクにも対応しています。

そのため、「災害全般に備える保険」と理解したほうが分かりやすいでしょう。

住宅において重要なのは、一度の被害で多額の修繕費や再取得費用が発生する可能性がある点です。

火災保険は、こうした大きな経済的ダメージを軽減し、生活再建を支える役割を担っています。

火災保険と他の損害保険との違い

火災保険は、自動車保険や傷害保険と同じ「損害保険」に分類されますが、対象が「建物・家財」である点が大きく異なります。

また、火災保険は「実損払い」という仕組みを採用しています。

実損払いとは、実際に発生した損害額を上限として保険金が支払われる方式です。

例えば、保険金額が2,000万円でも、損害が500万円なら支払われるのは500万円です。

逆に言えば、過大な保険金額を設定しても多く受け取れるわけではないため、適切な保険金額の設定がポイントになります。

火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つ

火災保険の補償対象は「建物」と「家財」の2つ

火災保険の重要なポイントとして、補償対象は建物家財の2つに分けられることが挙げられます。建物のみ補償するプラン、家財のみ補償するプラン、建物+家財を補償するプランについて、それぞれ解説します。

「建物」に含まれる範囲(門・塀・物置など)

火災保険の補償対象である「建物」は、被保険者が所有している「主に住居として使用される建物」を指します。

建物本体以外には、門や塀、垣、物置、車庫、備え付けの冷房・暖房などの「家の外にあって、簡単に動かすことができないもの」が補償の対象です。

なお、建物本体については、一戸建てとマンションで補償の範囲に違いがあります。

一戸建ての場合、所有する住居であれば、門や塀などが補償されますが、マンションでは専有部分(所有している住居にのみ使用されている部分)のみが補償対象です。

マンション内の共同廊下やバルコニーは共用部分にあたるため、通常は建物の範囲に含まれません。

「家財」に含まれる範囲(家具・家電・衣類など)

火災保険の補償対象である「家財」は、被保険者が所有する物を指します。

具体的には、家具や家電製品、日用品(パソコン、カーテン、衣類など)、一定金額を超える貴金属・宝飾品、自転車などが含まれます。

ただし、火災保険では「明記物件」という考え方があり、申込書に書かないと補償されない家財もあります。

高価な腕時計や宝飾品、美術品などを持っている場合は、申込書に明記することをおすすめします。

また、家財については被保険者だけでなく、同じ家に暮らしている家族全員の所有物が家財の補償対象となります。

暮らしに合わせて選ぶ3つの加入パターン

火災保険は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」の3つのパターンから選べますが、重要なのは、自分の住まい方やリスクに応じて最適な組み合わせを選ぶことです。

「建物のみ」は、住宅そのものの損害に備えるプランで、火災や台風などで建物が損壊した場合の修理費用や再建費用をカバーします。

特に戸建て住宅では、建物の修繕費用が高額になりやすいため、最低限必要な補償といえます。

「家財のみ」は、家具や家電、衣類など生活用品の損害に備えるプランです。

賃貸住宅では建物は大家が保険に加入しているため、入居者は自分の持ち物である家財のみを補償の対象とするのが一般的です。例えば火災や水漏れで家電が故障した場合でも、家財保険に入っていれば買い替え費用の負担を軽減できます。

そして「建物+家財」は、住宅とその中の生活用品の両方をカバーする最も包括的なプランです。

持ち家の場合は、建物と家財の両方に大きな資産価値があるため、セットで加入することで万が一のリスクに備えやすくなります。

特に火災や自然災害では建物と家財の両方が同時に被害を受けるケースも多く、片方だけでは十分とはいえない場面もあります。

このように、賃貸か持ち家か、家財の量や価値はどの程度かといった視点で、自分に必要な補償範囲を見極めることが大切です。

必要以上に広い補償は保険料の負担につながる一方で、不足していると十分な備えになりません。

生活スタイルに合わせてバランスよく選ぶことが、火災保険を上手に活用するポイントといえるでしょう。

火災保険の補償範囲|火事以外にも自然災害や盗難に使える

火災保険の補償範囲|火事以外にも自然災害や盗難に使える

火災保険の補償は、火災だけではなく落雷や台風などの自然災害による被害、建物の水漏れや盗難被害なども対象となります。

このとき補償される範囲は、保険会社や保険商品によって異なりますが、補償範囲が広くなるほど保険料が高くなるので、補償内容をよく検討する必要があります。火災保険で一般的に補償対象となる損害は、次のとおりです。
火災保険で一般的に補償対象となる損害
火災:ボヤや延焼、失火などによって建物や家財が損害を受けた場合
落雷:落雷で建物や家財が損害を受けた場合
破裂・爆発:ガス漏れなどの原因で爆発が起きて建物が損壊・倒壊したり、家財が壊れたりして損害を受けた場合
風・雹・雪災:台風や竜巻、雹(ひょう)、大雪・雪崩などの自然災害によって建物や家財が損害を受けた場合
水災(自然災害):台風や豪雨による洪水、高潮、土砂崩れなどで建物や家財が一定以上の損害を受けた場合
水漏れ(設備トラブル):水道や排水管のトラブルで住宅内に水濡れが発生した場合
外部からの物体の落下・飛来・衝突:建物の外から何かがぶつかり、建物や家財が損害を受けた場合
盗難:強盗・窃盗によって建物が損害を受けたり、家財が盗難されたりした場合
騒擾(そうじょう):騒擾(集団行動に伴う暴力行為や破壊行為)によって損害を受けた場合
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など):日常生活中に起きた突発的な事故で、建物や家財が壊れてしまった場合

火災・落雷・破裂・爆発

火災保険の基本となるのが、火災・落雷・爆発などによる損害です。

自宅から出火した場合はもちろん、隣家からの延焼(もらい火)による被害も補償されます。

日本では火元に重大な過失がない限り損害賠償を請求できないため、この補償は重要な役割を果たします。

また、落雷によってテレビやエアコンなどの家電が故障した場合や、ガス漏れによる爆発事故なども対象です。

このような場合、修理費用や買い替え費用が補償対象になります。

さらに、消火活動による放水で室内が水濡れした場合も補償される点は、見落とされがちなポイントですので覚えておきましょう。

風災・雹災・雪災および水災(自然災害)

火災保険では、自然災害による損害もカバーできます。

例えば、台風による屋根の破損や飛来物による窓ガラスの破損、雹による外壁の傷、大雪による雨樋やカーポートの損壊などが該当します。

一方で、水災(洪水・高潮・土砂崩れなど)については、床上浸水や一定以上の損害割合といった支払い条件が設けられている場合が多く、すべてのケースで補償されるわけではない点に注意しておきましょう。

近年は台風の大型化や集中豪雨といった異常気象の増加などで自然災害リスクが高まっているため、地域のハザードマップを確認しながら補償の必要性を判断することが大切です。

盗難・水濡れ・破損・汚損(不測の事故)

火災保険は、災害だけでなく日常生活の中で起こるトラブルにも対応しています。

例えば、空き巣によって窓ガラスが割られたり、家財が盗まれたりした場合は「盗難補償」の対象になります。

そのため、防犯対策だけでは防ぎきれないリスクに備えられます。

また、上階からの水漏れや、給排水管の故障によって室内が水浸しになる「水濡れ」も補償されます。

ただ、ここで注意したいのは、水濡れはあくまで設備トラブルなどによる事故であり、洪水などによる「水災」とは別扱いになる点です。補償の有無も異なるため、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

さらに、「不測かつ突発的な事故」として、日常生活の中で起こる思わぬトラブルにも対応できる場合があります。

例えば、「子どもがテレビを倒して壊してしまった」、「家具の移動中に床や壁を傷つけてしまった」といったケースです。

ただし、これらの補償はすべての契約に自動的に含まれているわけではなく、特約としての追加が必要なケースもあります。

補償範囲を広げるほど安心感は高まりますが、その分保険料も上がるため、補償の必要性と保険料のバランスを見極めることが大切です。

火災保険はなぜ必要?加入率と「失火責任法」のリスクから考える

火災保険はなぜ必要?加入率と「失火責任法」のリスクから考える

火災は発生確率こそ約0.03%と高くありませんが、ひとたび起きれば住宅の再建費用や家財の買い替えなど、生活を維持できなくなるほどの大きな経済的負担が生じます。

こうした「低確率・高損失」のリスクに備える手段として、火災保険の重要性は非常に高いといえます。
参考:総務省消防庁|火災予防

さらに日本では「失火責任法」という法律があり、隣家からのもらい火であっても、相手に重大な過失がない限り損害賠償を請求できません。

つまり、自分に落ち度がなくても住宅を失えば、その再建費用は自己負担となる可能性があるのです。

この点は、火災保険が必要とされる大きな理由の一つです。

火災保険・地震保険の加入率と世帯割合

内閣府の調査(2015年)によると、持ち家世帯の火災保険(火災補償)の加入率は約82%と、多くの世帯が加入しています。

一方で、水災補償は約66%、地震保険は約49%にとどまっており、すべてのリスクに十分備えられているとはいえない状況です。
持ち家世帯の保険・共済の加入件数・割合(建物のみ)

火災補償あり

水災補償あり

地震補償あり

2,880万件(82%)

2,307万件(66%)

1,732万件(49%)

※損害保険料率算出機構の最新調査(2024年度)では、水災補償付帯率は61.8%、地震保険付帯率は70.4%
このデータから分かるのは、「火災保険には入っているが、補償内容までは十分に検討できていない」ケースが多いという点で、水害リスクが高い地域で水災補償を付けていない場合、いざというときに十分な補償が受けられない可能性があるという現実です。

加入率だけに安心せず、ハザードマップなどを活用して自分の住んでいる地域のリスクを確認し、必要な補償を選ぶことを考えましょう。

「失火責任法」により隣人の火災も自己責任になる

日本には「失火責任法」という法律があり、火元に重大な過失がない限り、損害賠償を請求できない仕組みになっています。

つまり、隣家の火災によって自宅が延焼し全焼した場合でも、相手に重大な過失が認められなければ、自分で再建費用を負担しなければなりません。

これは一見理不尽にも感じられますが、日本では木造住宅が密集している地域も多く、過失がない火災まで責任を負わせると社会的影響が大きすぎるため、このような制度が採用されているのです。

このリスクをカバーする手段が火災保険です。

自分の家を守るためには、他人に頼るのではなく、自分で備える必要があるという考え方が前提になっています。

住宅ローンの契約条件としての必要性

火災保険は、住宅ローンを組む際に加入を求められるケースが一般的です。

これは、万が一住宅が損壊した場合でも、金融機関と借入者の双方が大きな損失を被らないようにするためです。

仮に火災で住宅が失われた場合でも、住宅ローンの返済は続きます。

その状態で新たに住まいを確保するには、「ローン返済+再建費用」という二重の負担が発生してしまいます。

しかし、火災保険に加入していれば、この負担を大きく軽減できます。

また、賃貸住宅においても火災保険への加入は重要です。

入居者には退去時に部屋を元の状態に戻す「原状回復義務」があり、火災や水漏れなどで部屋に損害を与えた場合、その修繕費用を負担しなければなりません。

こうしたリスクに備える意味でも、火災保険は実質的に必須の保険といえるでしょう。

火災保険選びで失敗しないための注意点とポイント

火災保険選びで失敗しないための注意点とポイント

続いて、火災保険を選ぶ際のポイントについて具体的に見ていきましょう。

火災保険は、契約する保険会社やプランによって保険料や補償内容、請求方法が異なります。それらの情報を調べつつ、複数社を比較検討することをおすすめします。

補償対象と範囲を決める

まずは、何を対象に火災保険を契約するのか、どんな補償が必要なのかを検討します。

建物だけにするのか、家財だけにするのか、それとも両方を対象にするのかによって、保険料も変わります。

また、火災保険は、保険のベースとなる「基本補償」と、プラスで加入できる「オプション補償(特約)」によって構成されます。

基本補償とは、火災保険の基本的な部分で、火災をはじめとする災害や事故、盗難などさまざまなリスクを幅広く補償します。

オプション補償とは、先述の「特約」のことで、基本補償に加えてさらに具体的なリスクをカバーするための補償です。

どこまでを基本補償にして、どんなオプションを付けるのか、よく検討しましょう。
おすすめの火災保険(戸建て) オリコン顧客満足度ランキング|口コミ比較
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構造級別を確認する

 建物は構造によって、燃えにくさに差があります。そのため、火災保険の保険料は、建物の構造によって異なります。その基準となるのが、補償の対象となる住まいの「構造級別」です。

 構造級別は、建物の構造(柱・はり・外壁など)を示す区分を指し、下記の3つに分類されます。
住宅物件の構造級別の種類
・共同住宅で、かつコンクリートなどで建築された「M構造(マンション構造)」
・一戸建てなど独立した建物で、コンクリートやレンガなどで建築された「T構造(耐火構造)」
・M構造、T構造に該当しない、木造などの「H構造(非耐火構造)」

一般的に、耐火性が高いほど火災リスクが低いため保険料は安くなり、木造住宅などは保険料が高くなる傾向があります。自分の建物がどの区分に該当するかを事前に確認しておきましょう。

保険料を決めて、保険期間を設定する

火災保険の保険期間は、通常1年契約から最長5年契約まで可能で、保険期間が長いほど保険料は割安になるケースがあります。

例えば、最長の5年契約の一括払いでは、1年契約よりも1割前後安くなるようです。

保険料については、保険会社やプランによって設定が異なり、建物の評価や所在地、構造区分、築年数、大きさ、購入価格などによっても大きく変わるので、保険会社のサイトでシミュレーションするのがおすすめです。
おすすめの火災保険(保険料) オリコン顧客満足度ランキング|クチコミ比較

地震保険はどうするか検討する

火災保険は、火災をはじめとする災害や事故、盗難などさまざまなリスクを幅広く補償しますが、地震による直接の損害や、地震を原因とした火災・津波による損害は補償されません。

地震が頻発する日本においては、地震保険でこれらのリスクに備えることをおすすめします。

また、地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、地震保険単独では加入できません。

そのため、火災保険の加入時には、地震への備えが必要かどうかも併せて検討するようにしましょう。

保険金支払基準で選ぶ

火災保険では、保険金額の設定によって受け取れる保険金が変わることがあります。

保険金額が対象の価値より少ないと「一部保険」、多いと「超過保険」です。

一部保険では、損害が出ても保険金が十分に支払われないおそれがあります。

例えば、2,000万円の価値がある建物に1,000万円の保険金額を設定していると、1,000万円の損害が出ても、契約内容によっては半分程度しか受け取れない場合があります。

一方、超過保険は、保険金額を高く設定していても、損害額を超えて保険金が支払われるわけではありません。

多く設定した分が補償の上乗せになるわけではなく、保険料の無駄につながる可能性があります。

建物や家財の価値は変わるため、契約時だけでなく更新時にも保険金額の見直しが大切です。

経年劣化や故意の事故は補償されない

火災保険は幅広いリスクに備えられる保険ですが、すべての損害が補償されるわけではありません。

特に「時間の経過による劣化」と「故意・重大な過失による事故」は、基本的に補償対象外となる点を理解しておく必要があります。

例えば、長年の使用によって屋根や外壁が傷んできた場合や、雨どいの劣化による破損、設備の老朽化による故障などは、自然な消耗とみなされるため保険の対象にはなりません。

これらはあくまで日常的なメンテナンスで対応すべきものとされています。

また、故意に物を壊した場合はもちろん、注意義務を怠った「重大な過失」による事故も補償されない可能性があります。

例えば、蛇口の閉め忘れによる長時間の水漏れや、明らかに不適切な使い方による設備の破損などは、支払いが認められないケースがあります。

一方で、同じ水漏れでも「給排水管の突然の破損」によるものなど、予測が難しい突発的な事故であれば補償対象になる場合があります。

火災保険の補償の可否は、「予測できたかどうか」「防げたかどうか」が一つの判断基準です。

火災保険を正しく活用するためには、「どこまでが補償されるのか」だけでなく、「何が補償されないのか」も把握しておくことが大切です。

契約内容や約款を事前に確認し、誤解によるトラブルを防ぐようにしましょう。
火災保険選び方に関する記事はこちら
戸建てにおける火災保険の選び方は?補償や保険料のポイントを解説
マンションの火災保険の選び方は?補償や保険料のポイントを解説

火災保険に関するQ&A

火災保険に関するQ&A

 続いては、火災保険について保険会社によく問い合わせがある事柄をQ&A形式でご紹介します。

火災保険は何度でも使える?

火災保険は保険申請の回数に制限はなく、損害が認められれば契約期間内なら何度でも申請できます。一度申請すると保険料が上がるようなこともありません。

火災保険で全焼・半焼とは?

火災保険では、基本的に保険金額を上限として、実際の損害額に応じて保険金が支払われます。

免責金額がある契約では、その分を差し引いた額が支払われます。

そのため、火災保険は「全焼なら○割、半焼なら○割」のように、焼け方だけで一律に保険金が決まる仕組みではありません。

一方で、「全焼」「半焼」は、もともと消防庁の火災報告で使われる区分です。

火災保険の基本的な支払基準そのものを示す言葉ではないため、混同しないよう注意が必要です。

火災保険では商品によって、損害が大きい場合に全損扱いとなり、再建費用や特別費用が支払われることがあります。

こうした条件は保険会社や商品によって異なるため、正確には契約中の約款や重要事項説明書を確認するのが確実です。

空き家でも火災保険に加入できる?

一般的に、火災保険において空き家は住宅と見なされないため、加入できない場合があります。

しかし、住居として今後使う予定がある(一時的な空き家である)場合は、一般的な住宅と同様の条件で加入できることがあります。

もしも保険会社が破綻したら火災保険はどうなるのか?

国内の保険会社は、外資系も含めてすべて、生命保険会社・損害保険会社別に設立された保険契約者保護機構の会員になっています。

万が一保険会社が破綻した場合でも、「損害保険契約者保護機構」により契約は保護されます。

ただし、補償内容は原則として約90%程度に縮小される可能性があり、契約内容がそのまま維持されるとは限らない点には注意が必要です。

火災保険で不測の事態に備えよう

この記事では、火災保険とは何か、どのようなことを補償してくれるのかを中心に解説しました。

持ち家・賃貸にかかわらず、火災のリスクと火災保険の補償対象や範囲、特約についてきちんと理解し、不動産会社や管理会社、金融機関にすすめられたものだからと安易に契約するのではなく、自分の住まいや家庭環境に合った保険を選ぶようにしてください。

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新井 智美

監修者新井 智美

トータルマネーコンサルタント。マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,000本を超える。

経年劣化や故意の事故は補償されない

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