2016年04月04日 07時00分
投資信託(14)「毎月分配型」のメリットは?
投資信託で人気の“毎月分配型”とは? 利用前におさえておこう
投資信託を保有していると、運用の成果として分配金が支払われることがある。前回、分配金を積極的に支払う投信、控える投信があること、また受け取り方も選択できるケースがあることを紹介した(関連記事を参照)。今回は、人気の“毎月分配型”について考えてみたい。
■毎月分配型とは
投信には「毎月分配型」と呼ばれるタイプがある。文字どおり、毎月、分配金が支払われる投信だ。
有名なものでは、『グロソブ』(グローバル・ソブリン・オープン)があるが、グロソブは毎月分配型人気の火付け役といえる。先進国の格付けが高い債券に投資し、得られた利子収入(インカム)を主な原資として分配金を支払うもので、定期的にインカムが入る投信の性質を活かした設計ともいえる。
そのほか、REITに投資する投信や高配当株に投資する投信などもコンスタントにある程度の収益が見込めるため、毎月分配型に向く。
分配金を支払うために複雑な運用をする投信も増えている。スワップという手法で為替取引をする「通貨選択型」など、利益がどこから生まれたのか、どんなリスクがあるかが分かりにくい投信もある。仕組みが複雑だと、売り時の判断もできないので注意したい。
■福利効果が得にくい
金融機関のなかには、公的年金を補完するような位置づけで毎月分配型の保有を勧める金融機関もあり、投資家でも「安定して分配金が受け取れる」という印象を持つ人が多い。だが、投資には値動きがつきものであり、毎月分配型の運用においても、毎月、同じだけでの収益が得られるわけではない。
そこで毎月分配型では、得られたインカムなどをすべて分配金にするのではなく、一部を支払い、残りを現金などでキープすることがある。ある程度の額をキープすることで、安定的な分配を実現しているのである。
安定的な分配が受けられるならいいと思いがちだが、デメリットもある。収益が再投資されなければ新たに利益が生じる機会が失われ、運用効率が下がる可能性がある。つまり、福利効果が得にくくなる、というわけである。
■普通分配金と特別分配金
もう一つ、注意したいのは、分配金が必ずしも収益の分配とは限らないということである。
分配金には、普通分配金と特別分配金がある。普通分配金は収益の分配なのに対し、特別分配金は投資した元本を取り崩して支払われた分配金である。特別分配金には税金がかからないが、元本が減ってしまうため、お金を増やすために投資したのにお金が増えない、ということになりかねない。
支払われた分配金が普通分配金か特別分配金かは、取引報告書を見れば分かるので、確認しておこう。
定期的にお金が必要な世代には毎月、分配金が受け取れることには一定の魅力があるが、お金が必要なら「必要なときに、必要な分だけ解約する」という方法もある。
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