免責金額とは?車両保険での設定方法やいくらにすべきかを解説

免責金額とは?車両保険での設定方法やいくらにすべきかを解説

車両保険を検討する際に必ず目にする「免責金額」。この金額をどう設定するかで、保険料と事故時の自己負担額が大きく変わります。

免責金額とは、事故で車両保険を使う際に自己負担する金額のことで、高く設定すれば保険料は安くなりますが、万が一の際の負担は増えます。

この記事では、免責金額の基本的な仕組みから、「増額方式」と「定額方式」の違い、そして自己負担がなくなる特定のケースまでを解説します。ご自身に最適な免責金額の設定方法を見つける参考にしてください。
東本隼之

監修者東本隼之

ファイナンシャルプランナー、マネーライター
独立系ファイナンシャルプランナーとして金融記事の執筆・監修を行う。税金や資産運用などに精通し、初心者にもわかりやすい解説を得意としている。

mokuji目次

  1. 車両保険の「免責金額」とは?保険における意味をわかりやすく解説
  2. 車両保険の免責金額はいくらに設定する?保険料と自己負担のバランスが重要
  3. 免責金額の設定方法|「増額方式」と「定額方式」の違い
  4. 免責金額を設定しても事故の状況次第で自己負担がなくなるケースとは
    1. 車が「全損」と判断された場合
    2. 相手がいる事故で賠償金が免責金額を上回る場合
  5. 【車対車免ゼロ特約】特定の事故で負担がなくなる設定
  6. 車両保険の免責金額は、保険料と万一の自己負担を天秤にかけて設定しよう

車両保険の「免責金額」とは?保険における意味をわかりやすく解説

車両保険の「免責金額」とは?保険における意味をわかりやすく解説

車両保険における免責金額とは、事故が発生した際に契約者が自己負担する金額のことです。たとえば、修理費が100万円かかった場合、免責金額を10万円に設定していれば、10万円は自己負担となり、残りの90万円が保険金として支払われます。

そもそも「免責」という言葉は、責任を免れることを意味しています。保険においては、保険会社が保険金の支払い義務を負わない金額を指すため、車両保険の免責金額は「保険金が支払われない=自己負担額」という意味になります。

なお、損害額が設定した免責金額を下回る場合は、保険金は一切支払われません。すべての修理費用が契約者の自己負担となるため、免責金額の設定は慎重に検討する必要があります。

免責金額

車両保険の免責金額はいくらに設定する?保険料と自己負担のバランスが重要

車両保険の免責金額はいくらに設定する?保険料と自己負担のバランスが重要

車両保険の免責金額設定において最も重要なのは、保険料と自己負担額のバランスを適切に判断することです。免責金額を高く設定するほど月々の保険料を抑えられますが、事故時の自己負担が増えるというトレードオフの関係があります。

実際に事故で保険を使うと、ノンフリート等級が下がり、それに伴って割引率が下がることで翌年度の保険料が上がる仕組みになっています。 そのため、少額の修理であれば保険を使わずに自費で対応し、等級ダウンを避けるという考え方も有効でしょう。

適切な免責金額を決めるには、修理代の自己負担額をどこまで許容できるかという経済的な余力を慎重に検討することが大切です。

家計の状況と保険料の上昇幅を総合的に考慮して、最適な設定を選択することをおすすめします。

免責金額の設定方法|「増額方式」と「定額方式」の違い

免責金額の設定方法|「増額方式」と「定額方式」の違い

車両保険の免責金額は、「1回目の事故」と「2回目以降の事故」の組み合わせで設定するのが一般的です。この設定方法には次の2つの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
増額方式
増額方式は、1回目の事故より2回目以降の自己負担額が増える仕組みで、「5〜10万円」のように表記されます。運転に自信がなく1回目の自己負担を抑えたい方に適している設定といえるでしょう。

定額方式
定額方式では、事故回数にかかわらず自己負担額が一定となり、「10〜10万円」のように設定されます。保険料を抑えたい方や、少額の修理は自費で対応すると考える方に向いています。

免責金額を設定しても事故の状況次第で自己負担がなくなるケースとは

免責金額を設定しても事故の状況次第で自己負担がなくなるケースとは

車両保険で免責金額を設定していても、事故の内容によっては免責金額が適用されず、全額が保険金で補償される場合があります。主に「全損」と判断された場合と、相手がいる事故で賠償金が免責金額を上回る場合の2つのケースが該当します。

車が「全損」と判断された場合

車が全損と判断された場合は、免責金額が適用されずに契約した車両保険金額の全額が支払われます。全損に該当するケースには次の3つがあります。
物理的に修理不可能なほどの損傷
修理費が車両保険金額を上回る場合
車が盗難され発見されなかった場合
事故によって車が激しく損傷し修理が不可能な場合や、修理費用が車両保険金額を超える場合、さらに盗難により車が見つからなかった場合も全損として扱われます。

ただし、保険金額を上回る修理費をかけて修理する際には、結果的に自己負担が発生することもある点に注意が必要でしょう。

相手がいる事故で賠償金が免責金額を上回る場合

相手がいる事故では、相手からの賠償金がまず自身の免責金額の補填に充てられるというルールがあります。相手から受け取る賠償金の額が設定した免責金額を上回った場合、自己負担は発生しません

たとえば、修理費50万円、過失割合50:50、免責金額10万円の事故を考えてみましょう。

この場合、相手からの賠償金は25万円となり、この金額が免責金額の10万円を上回るため、自己負担なく修理が可能になります。残りの損害については、自身が契約した車両保険から25万円が支払われることになります。

【車対車免ゼロ特約】特定の事故で負担がなくなる設定

【車対車免ゼロ特約】特定の事故で負担がなくなる設定

保険会社によっては「車対車免ゼロ特約」という名称の特約が用意されています。この特約を付帯すると、契約期間中の最初の事故が相手を確認できる車同士の衝突・接触事故である場合に限り、免責金額が0円になります。

通常であれば自己負担となる免責金額分も含めて、自己負担なく保険金を受け取ることが可能になるため、車対車事故での経済的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

ただし、この特約を付帯した場合は一般的に保険料が少し高くなることも知っておく必要があります。

月々の保険料と事故時の自己負担軽減効果を比較検討して、特約の付帯を判断することが大切です。

車両保険の免責金額は、保険料と万一の自己負担を天秤にかけて設定しよう

車両保険の免責金額は事故の際の自己負担額であり、設定金額によって保険料と自己負担額が変動するため、慎重な検討が必要です。免責金額を高く設定すると保険料は安くなりますが、事故時の負担は重くなります。

免責金額の設定に正解はなく、保険料の安さだけで判断するのは適切ではありません。自分の運転頻度や家計の経済状況、万一の際にどれくらいの自己負担なら許容できるかを総合的に考えることが重要といえるでしょう。

各保険会社が提供する免責金額のパターンや保険料を比較検討し、保険料と自己負担額のバランスを十分に検討したうえで、自分にとって最適なプランを選ぶことが大切です。

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東本隼之

監修者東本隼之

ファイナンシャルプランナー、マネーライター
独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP®(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)

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