【質問】解約返戻金と満期保険金の違いは何ですか?
それで勉強しているうちにわからなくなってしまったのですが、「解約返戻金」と「満期保険金」の違いとは何でしょうか? 「途中で解約したら解約返戻金が戻ってきて、契約期間を満了したら満期保険金がもらえる」ということはわかりますが、このふたつの考え方の違いや、金額設定の根拠がわからないので解説をお願いします。
生命保険は「貯蓄性」と「保障性」
最初に、このふたつの言葉の意味について確認しておきましょう。
「解約返戻金」とは、保険契約に対し、契約期間中に契約者が解約または保険会社から契約を解除された場合、それまでに払った保険料の一部が払い戻されるものを指します。
これに対し、「満期保険金」とは保険契約が満期を迎えることにより受け取れる保険金です。ですから終身保険のように契約期間が定められていない保険には満期保険金はありません。
このふたつの違いを考えるにあたって、「生命保険」という保険の性格について学んでおく必要があります。
生命保険には「貯蓄性」と「保障性」というふたつの性質があります。貯蓄性だけに注目すれば生命保険よりも利回りのいい金融商品はほかにもあります。しかし、いざという時の保障のことを考えると生命保険に加入しておきたい、というのが一般的な感覚ではないでしょうか。
生命保険には貯蓄性に重点を置いたものと保障性に重点を置いたもの、両方のバランスを調整したものなどいろんな商品があります。
生命保険を選ぶ時は「いざという時の保障性も大切だが、しっかり貯蓄(資産形成)できるものがいい」とか「貯蓄は別に考えるから、生命保険は掛け捨てでもいいのでできるだけ保険料の安いものがいい」など、人それぞれの価値観や事情によって選別されるものでしょう。
解約返戻金と満期保険金の考え方の違い
満期保険金は「保険契約が満了するまで何事もなければ返してもらえるお金」です。すでに払込期間も終了しており、一定の年齢の達した時にまとまったお金を受け取ることができるというのは大きな魅力でしょう。老後の人生設計の一部に満期保険金の存在を組み込んでいらっしゃる方も多いと思います。
まとまった額の満期保険金を期待できるのは、一般的には貯蓄型の保険でしょう。保険会社は契約期間中に払い続けた保険料を運用し、支払い保険料に見合うか、それ以上の満期保険金が期待できるでしょう。
保険会社は受け取った保険料の運用分を計算して満期保険金の金額を設定しています。払い込んだ保険料の総額より満期保険金が少ない場合は、その分を保障の手厚さに振り分けた保険だと考えることができます。
■契約返戻金
これに対し、契約返戻金とは何らかの事情によって契約が満了できなかった場合に返戻されるお金です。
保険会社も予定していた資金運用ができなかったわけですから、戻ってくるお金は満期保険金に比べて割安になるのは仕方ないことでしょう。特に契約してからの期間が短い場合は、保険契約にかかる経費の償却という意味もあって契約返戻金は少額になりがちです。
ただし終身保険など契約期間が生涯続くものについては、一定の期間が経過した後は払込保険料に対して有利な契約返戻金額が期待できます。こういう保険商品は、ある時期を過ぎると解約返戻金が逓減していくしくみになっていくものが多いので「解約返戻金が多いうちに解約し、返戻金を老後の生活資金に充当しよう」という考え方もあっていいと思われます。