将来に備えて知っておきたい「相続税」のすべて

 「高い」「面倒くさい」といったイメージが先行して、その実態はよく知らない人が多い「相続税」。自分には関係がないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、誰しも思いがけず遺産を相続する可能性がないとはいえません。相続税とはどういう税金で、どのようなしくみなのか、何に気を付けるべきなのかを分かりやすくご紹介します。
 そもそも「相続税」とは、どのような税金なのでしょうか。誰かが亡くなったとき、その人が所有していた財産を配偶者や子どもなどが引き継ぐことを「相続」といいます。相続税は、相続した財産額が基礎控除額を超えた場合、その超えた部分に対して課税される税金のことです。「ただ財産を相続しただけなのに、なぜ税金を納めなければならないの?」と思うかもしれません。相続税を納める理由は、主に以下の2つです。

■不労所得であるため

 不労所得とは、労働をせずに得られる所得のことです。当然ながら、相続した遺産は労働の対価ではありませんから、株式配当や不動産の賃料収入、アフィリエイトなどと同じように不労所得と見なされ、税金がかかります。

■特定の人に財産が集中するのを避けるため

 相続税を課すことによって、「富の再分配」をし、特定の人に財産が集中するのを避けるという理由もあります。
 相続税は、「相続」のほか「遺贈(いぞう)」「生前贈与」「死因贈与」などでも支払いの義務が生じます。以下でそれぞれ詳しくご紹介します。

■相続

 被相続人(亡くなった人)が、死亡する前に財産の配分を決めていなかった場合、法律で定められた順位に従って、相続する順序と財産額が決まります。

■遺贈

 被相続人が、生きているうちに「誰に財産をどのくらい遺すか」を決めて、遺言書などに記していた場合は遺贈となります。この場合、財産を相続する側は、遺言書を見るまで自分が財産を相続することを知らないことになります。

■生前贈与

 被相続人が、亡くなる前に財産を譲り渡す方法です。贈与する相手は配偶者や子ども(相続人)以外でも構いません。

■死因贈与

 被相続人が、生きているうちに「誰に財産をどのくらい遺すか」を決めていて、相続する側もそのことを知っているケースです。遺贈との差は、相続する側が知っているか知らないかという違いになります。
 相続税は、相続が発生してから納税までが10ヶ月間と決められています。「相続人、または遺産の受取人になるのは初めてだ」という人が多いと思いますが、スピーディーな対応が求められます。
 全体の流れを整理しておきましょう。

■相続の発生

 被相続人が亡くなった時点から相続はスタートします。まずは、市区町村長に死亡届を提出しましょう。

■遺言書の確認

 遺言書があるかどうかを確認します。遺言書には自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の3種類があり、自筆証書遺言書と秘密証書遺言書は家庭裁判所で開封し、内容の確認をしなければなりません。遺言書がなければ、法律によって配分が決まります。

■相続人の確定

 遺言書があれば、遺言に基づいて相続人を確定させます。遺言書がない場合は、法律に基づいて相続人が決まります。法律では、被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は次の順序で配偶者とともに相続人になります。

第1順位 被相続人の子ども
第2順位 被相続人の直系尊属である父母や祖父母
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
※上位の相続人がいない場合には、順に下位の人が相続人となります。

■財産の調査・遺産分割協議

 相続額を決めるには、不動産や預貯金、株など、被相続人の財産を調査、評価する必要があります。預貯金はカードや通帳、保険は保険証書などをリストアップし、資産総額を算出します。また、遺産総額は借入金や未払金などを差し引いて残った額のことをいいます。

 資産総額が見えたところで、相続の権利者が集まり、その配分について協議します。これが遺産分割会議です。協議の結果を遺産分割協議書として残します。

■相続税がかかる財産の算出方法

 遺産のうち、どの程度相続税がかかるのかは、次のような方法で求められます。

3000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除額
遺産総額−基礎控除額=相続税がかかる分
※2017年10月現在

 遺産が基礎控除額以下であれば、相続税を納める必要はありません。

■相続税の申告と納付

 相続が発生してから10ヶ月以内に、相続税の申告と納付を行います。相続税を納付しなければならないにもかかわらず、無申告だった場合は、相続税とは別に「無申告加算税」がかかる可能性があります。すぐに支払えない場合は「延納」という方法もありますので、相談してみるとよいでしょう。
 相続税について何よりも理解しておくべき点は、相続税を申告する必要があるかどうかです。相続はケースバイケースですので、自分の相続税額を知りたいという方は、税理士に相談するのもよいかと思います。また、相続税額計算については、毎年少しずつ法改正が行われています。「知らないうちに申告漏れしていた」ということにならないように注意が必要です。
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