死亡保険の受取人になれるのは誰?契約形態によって変わる税金に注意!

死亡保険の受取人になれるのは誰?契約形態によって変わる税金に注意!

生命保険の契約で重要な役割を果たす「受取人」。契約者が死亡した際に支払われる死亡保険金は、誰を受取人に指定するかで大きく異なるのをご存じでしょうか?

これは受取人の立場の違いによって適用される税制が変わり、結果的に手元に残る実質的な保険金額が変わってくるからです。

本記事では、生命保険の契約者・被保険者・受取人の基本的な仕組みから、死亡保険金にかかる税金の種類、さらには受取人を選ぶ際のポイントや注意点について解説します。

家族の未来を守るために、契約内容を見直す重要性についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

mokuji目次

  1. 生命保険の契約者・被保険者・受取人とは?
  2. 死亡保険金受け取りにかかる税金
    1. 【所得税】契約者と受取人が同じ
    2. 【相続税】契約者と被保険者が同じ
    3. 【贈与税】契約者・被保険者・受取人がすべて異なる
  3. 死亡保険金が「非課税枠」に適用されるケース
  4. 死亡保険金の受取人に指定できる人の条件
    1. 基本的には2親等以内の血族
    2. 第三者を指定できるケースもある
    3. 受取人は複数名指定できる
  5. 死亡保険の受取人がすでに亡くなっていたら?
    1. 法定相続人が受け取る
    2. 国庫に帰属する
  6. 死亡保険の受取人を見直すべきタイミング
    1. 死亡保険の受取人が亡くなった
    2. ライフステージが変わった
    3. 定期保険の更新時
  7. 死亡保険の受取人を見直して、大切な人への備えを万全に

生命保険の契約者・被保険者・受取人とは?

生命保険の契約者・被保険者・受取人とは?

死亡保険には「契約者」「被保険者」「受取人」という3つの立場が存在します。より適切な保険契約を結ぶために、それぞれの役割を理解しておきましょう。

契約者は保険会社と契約を結ぶ人のことです。契約内容の変更などの権利や保険料の支払い義務を持っています。被保険者は保険の対象となる人のことです。死亡保険の場合は、被保険者が亡くなることで死亡保険金が支払われます。

受取人は、被保険者が亡くなった際に保険会社から死亡保険金を受け取る人のことです。契約者が被保険者の同意を得たうえで、受取人を指定します。

契約者と被保険者が同一人物になることは可能ですが、被保険者と受取人が同一人物になることはできないという点に注意が必要です

よくあるケースとして、夫が契約者と被保険者となり、妻を受取人に指定することがあります。この場合は夫が保険料を支払い、夫に万が一のことがあった際には妻が死亡保険金を受け取ることができます。

死亡保険金受け取りにかかる税金

死亡保険金受け取りにかかる税金

死亡保険金を受け取る際にかかる税金は、契約者・被保険者・受取人の関係によって3つのパターンに分かれます。それぞれの関係性を理解した上で、適切な契約形態を選びましょう。

【所得税】契約者と受取人が同じ

万が一の時に、契約者自身が保険金を受け取る場合、所得税の課税対象となります。例えば、夫が契約者かつ受取人となり、妻を被保険者とする場合が該当します。

この場合、死亡保険金は一時所得として課税され、計算式は以下となります。
(死亡保険金額+配当金−払込保険料の総額−特別控除50万円)×1/2
なお、年金として受け取る場合は雑所得として扱われ、「その年中に受領した年金額−その金額に対応する払込保険料」が課税対象額となります。

【相続税】契約者と被保険者が同じ

夫が契約者と被保険者を兼ね、妻を受取人とするような一般的な契約の場合、相続税の対象となります。相続人が死亡保険金を受け取る時は、「500万円×法定相続人数」を非課税限度額として控除できます。

さらに相続税の基礎控除として以下が適用されます。
3,000万円+(600万円×法定相続人数)
配偶者が受取人の場合は、相続税の配偶者軽減制度により、1.6億円までの相続財産、または法定相続分に相当する金額のいずれか大きい額まで非課税となります。

【贈与税】契約者・被保険者・受取人がすべて異なる

契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合、贈与税が課されます。具体的には夫が契約者、妻が被保険者、子どもが受取人となるケースなどが該当します。

贈与税の計算式は以下となります。
死亡保険金額−110万円(基礎控除)=課税対象額
この基礎控除は1年間の贈与財産の合計額から控除するため、他の贈与を受けている場合は合算して計算する必要があります。

なお、贈与税は10%から55%の税率が適用される累進課税となっています。

死亡保険金が「非課税枠」に適用されるケース

死亡保険金が「非課税枠」に適用されるケース

死亡保険金を相続人が受け取る場合には、非課税限度額が設けられています。これは死亡保険金が遺族の生活保障という重要な役割を持つことから、税制面での優遇措置として設けられた制度です。

具体的な計算方法は以下となります。
死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
例えば3人の法定相続人がいる場合、1,500万円までの死亡保険金が非課税です。この金額を超える部分については相続税の課税対象となりますが、同時に相続税の基礎控除額「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」も適用可能です。

そのため、大きな資産を持っていない場合は、結果的に死亡保険金が非課税となる可能性があります。ただし、生命保険金の受取人が相続人以外の場合は、この非課税枠の対象外なので注意が必要です

配偶者が保険金を受け取る場合には、税額軽減の制度が適用されます。相続した財産が法定相続分以内の範囲内か、1.6億円までであれば非課税です。

死亡保険金の受取人に指定できる人の条件

死亡保険金の受取人に指定できる人の条件

死亡保険は大切な人の生活を守るための制度であり、遺族の生活保障という目的に沿って、保険会社ごとに指定できる受取人の範囲が定められています。

一般的には配偶者や近親者が指定されることが多いですが、具体的にどのような人が受取人になれるのか、その条件を見ていきましょう。

基本的には2親等以内の血族

死亡保険金の受取人は、原則として戸籍上の配偶者または被保険者の2親等以内の血族に限定されています

具体的には、1親等にあたる親または子、2親等にあたる祖父母、兄弟姉妹、孫が該当します。保険の本来の目的である遺族の生活保障を実現するため、近親者に受取人が限定されているのです。

第三者を指定できるケースもある

近年、家族の形が多様化する中で、事実婚のパートナーや同性パートナーを受取人にできる保険会社も増えています。ただし、配偶者以外の第三者を指定する場合は、その人を受取人に指定する明確な理由が必要です

保険会社では保険金の不正取得を目的とした道徳的危険(モラルリスク)を防ぐため、契約内容登録制度を実施して保険金の適正な支払いを確保しています。

受取人は複数名指定できる

死亡保険金の受取人は2人以上でも設定できるので、親が2〜3人の子を受取人に指定するケースは珍しくありません。複数の受取人を指定する場合は、保険金の受取割合を決める必要があります。

例えば50%ずつの均等配分や、70%と30%といった異なる割合での配分も可能です。また、法定相続人全員を受取人として指定することもできます。

死亡保険の受取人がすでに亡くなっていたら?

死亡保険の受取人がすでに亡くなっていたら?

死亡保険の受取人が被保険者よりも先に亡くなる場合があります。このような状況で受取人の変更手続きを行わないまま被保険者が亡くなると、保険金は一定のルールに従って支払われることになります。

法定相続人が受け取る

受取人が先に亡くなった場合、法定相続人が新たな受取人となります。法定相続人になる人は被相続人の配偶者と被相続人の血族で、配偶者は常に相続人となります。

血族については優先順位が定められています。第1順位が子(死亡している場合は孫などの直系卑属)、第2順位が父母(死亡している場合は祖父母などの直系尊属)、第3順位が兄弟姉妹(死亡している場合は甥・姪)です。複数の法定相続人がいる場合は、死亡保険金は均等に分配されます。

国庫に帰属する

もし受取人となるべき法定相続人が誰もいない場合は、死亡保険金は最終的に国庫に帰属します

例えば、配偶者を亡くした後に一人暮らしをしている高齢者で、他に身寄りがないような場合です。裁判所が選定した相続財産管理人が、財産を整理した後、国庫へ帰属する手続きが行われます。

死亡保険の受取人を見直すべきタイミング

死亡保険の受取人を見直すべきタイミング

生命保険は長期にわたる契約であり、その間にさまざまな環境の変化が起こりえます。受取人の設定を見直すべき重要なタイミングには以下の3つがあります。

死亡保険の受取人が亡くなった
ライフステージが変わった
定期保険の更新時

定期的に受取人の設定を見直さないと、本来保険金を遺したい人に遺せなくなる可能性があるので、機会を見て見直しを検討しましょう。

死亡保険の受取人が亡くなった

死亡保険の受取人の見直すべきタイミングの1つ目は、死亡保険の受取人が亡くなったときです。受取人が亡くなった後、新たな受取人を指定しないまま放置しておくと、想定外の人に保険金が支払われる可能性があります

例えば、受取人であった妻が亡くなり、夫婦に子どもがいない場合、妻の法定相続人である妻の両親や兄弟姉妹が新たな受取人となります。

本来、自分の両親や兄弟姉妹に遺したかった保険金が、配偶者の親族に渡ってしまう事態を避けるためにも、受取人が亡くなった場合は速やかに変更手続きをすることが大切です。

ライフステージが変わった

死亡保険の受取人の見直すべきタイミングの2つ目は、ライフステージが変わったときです。

結婚や出産、子どもの独立など、ライフステージの変化に伴い、保険金を遺したい相手も変化します。特に独身時代に加入した保険で、両親を受取人にしている場合は、結婚後に配偶者への変更を検討する必要があります

離婚した場合も要注意です。元配偶者を受取人にしたままにしておくと、被保険者が亡くなった際に元配偶者が保険金を受け取ることになります。

子どもに遺したい場合は、離婚時に受取人を子どもに変更しておくことで、子どものための財産であることが明確になり、税負担も軽減できます。

定期保険の更新時

死亡保険の受取人の見直すべきタイミングの3つ目は、定期保険を更新したときです。

定期保険は10年、20年など保障期間に区切りがあり、満期を迎えると更新の手続きが必要です。この期間中に家族構成が変化している可能性が高いため、更新時には受取人が現在の状況に適しているか確認しましょう

同じ保険会社で更新する場合でも、生活環境の変化に応じて受取人の見直しを検討することが望ましいです。

死亡保険の受取人を見直して、大切な人への備えを万全に

死亡保険金は受取人の関係性によって課税される税金が異なり、受取人を誰にするかで手元に残る金額が大きく変わってきます。また、結婚や離婚、出産など、ライフステージの変化に応じて保険金を遺したい相手も変化するものです。

そのため定期的に受取人の設定を見直し、現在の状況に合わせて変更することが大切です。特に受取人が亡くなった場合は、すみやかに新しい受取人への変更手続きを行うことで、本来遺したい人に確実に保険金を届けることができます。

大切な人への思いを実現するためにも、受取人の設定は慎重に検討しましょう。

オリコン顧客満足度ランキングでは、生命保険の加入者へのアンケート調査をもとに算出した「生命保険 顧客満足度ランキング」を発表しています。生命保険への加入を検討される際はこちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
※本記事では一般的な例をもとに情報をまとめています。各社の商品やプランによっては当てはまらないケースもあります。また、情報は公開日現在のものです。各種状況や法令情報等につきましては、公的機関等で最新情報をご確認ください。

生命保険オリコン顧客満足度ランキング

  • 1位

    72.0

    ライフネット生命

  • 2位

    71.5

    ソニー生命

    ※公式サイトへ遷移します。

  • 3位

    70.9

    アフラック

  • 3位

    70.9

    プルデンシャル生命

  • 5位

    69.8

    三井住友海上あいおい生命

  • 6位

    69.6

    チューリッヒ生命

  • 7位

    69.5

    メットライフ生命

  • 8位

    69.4

    アクサ生命

  • 9位

    69.3

    大樹生命

  • 9位

    69.3

    東京海上日動あんしん生命

  • 11位

    69.2

    ジブラルタ生命

  • 11位

    69.2

    はなさく生命

  • 13位

    69.1

    FWD生命

  • 13位

    69.1

    太陽生命

  • 15位

    68.7

    マニュライフ生命

  • 16位

    68.6

    日本生命

  • 16位

    68.6

    メディケア生命

  • 18位

    68.5

    オリックス生命

  • 18位

    68.5

    かんぽ生命

  • 18位

    68.5

    住友生命

  • 18位

    68.5

    SOMPOひまわり生命

  • 22位

    68.3

    明治安田

  • 23位

    68.1

    富国生命

  • 24位

    68.0

    ネオファースト生命

  • 25位

    67.9

    第一生命

  • 26位

    67.7

    SBI生命

  • 27位

    66.0

    朝日生命

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