2015年05月29日 08時00分

マテックス、調査から修復まで一貫引き受け、PARシステムで損保会社支援

マテックスの「PARシステム」は、建築現場で発生する塗料や鉄粉などの飛散による自動車汚損事故に対応。既に損保会社数社から評価を得ている(写真はイメージ) [拡大する]

マテックスの「PARシステム」は、建築現場で発生する塗料や鉄粉などの飛散による自動車汚損事故に対応。既に損保会社数社から評価を得ている(写真はイメージ)

 カークリーニングサービスなどを手掛けるマテックス(東京都中野区、沖邦夫社長)は、建築現場で発生する塗料や鉄粉などの飛散による自動車汚損事故に対応する「PAR(パー)システム」で損保会社を支援している。同システムは請負損害賠償責任の補償に関わる立会調査から契約者・被害者対応、修復作業などを一貫して引き受ける。同システムを提供する部門と自動車メーカーのOEM製品を開発する部門が連携して技術面からも損保会社を完全にサポートする。同システムの付着物除去作業の費用は板金塗装と比べると5分の1〜10分の1で、事故確認や被害者対応などは付帯サービスとして提供しているため、損保会社は同システム導入によってロス削減、損害調査担当者の負荷低減などを図ることができる。既に損保会社数社が利用しており、評価を得ている。

【コストを圧縮したベストな修復】

 同システムは損保会社からの事故報告後、まず、現地で被害車両調査と現地状況の確認を行い、立会報告書を作成するとともに、被害程度判定テストを実施する。続いて、判定結果に基づく適切な処置方法を損保会社に提案し、見積書を作成する。被害者に対しては心理状態などを配慮した上で被害状況や保険で対応できる範囲の説明などの調整を進める。また、被害者が理解し納得できるように取りまとめ調査なども行い、作業日程を決めていく。

 損保会社、被害者双方の調整が完了した段階で修復作業を開始し、作業完了後は損保会社の要望があれば、損保会社の各種書類の回収も代行する。被害者が多数存在する場合は被害者向け説明会を開くこともできる。

 被害程度判定テストは自動車への付着物に対する最適な除去剤によって同システムでの修復の可否を判断。被害の程度を把握して修復コストも算定する。修復コストについては、料金設定に明確な基準を設けており、「修理してみないと幾らかかるか分からない」といった曖昧さを排除している。サービス技術部の矢崎智部長は「適正な除去方法と価格でコストを圧縮したベストな修復を行う」と話す。同システムで修復できない場合、可能な限り修復した上で修復不能部分は同社が技術認定する提携工場で対応する。ただし、この場合は別途料金が加算される。

 被害車両の修復では特許を取得した技法で品質の高い作業を行う。工程は(1)ボディ面に付着している通常の汚れなどを専用圧水洗浄機や手洗いで洗い流す(2)同社が開発したケミカルや専用クリーナーを用いて塗装面や部品に影響を与えずに塗料や鉄粉などの汚損物を取り除く(3)塗装の美観を再生(4)ボディコーティングの施工―となる。

 この技法は付着物除去から塗装の美観再生およびコーティング施工を行うため、仕上がりも良く、被害者からの評価も高い。そのため、施工に伴うクレームもほとんどなく、トラブル事案をスムーズに円満解決できることから損保会社および契約企業からも高い支持を得ている。

【事故受付窓口を5カ所にして体制強化】

 同システムは、同社で2級技術アジャスター資格保有者2人を含む10人、提携企業などを含めて約30人体制で遂行されている。修復作業は基本的に事故が発生した現地で行う。日本全国に必要な機材とテントを運搬して事故対応している。同社の担当者が中心となって全体を調整し、提携企業が同社の技法に基づいて除去作業することが多い。同時期に5〜6件の事故に対応している。

 損保会社からの調査依頼から除去作業完了までの期間は被害車両が1台で調整などが円滑に進めば1日程度。1事故の被害車両が50〜100台で被害者向け説明会などの調整を要するケースでは付着物の除去作業に至るまでに約1週間となる。

 サービス技術部の鶴谷宗史マネージャーは「マンションの駐車場など被害車両が多台数の事故でも当社が全てを引き受けて調整する」と言う。

 2015年度中に事故受付窓口を5カ所にする予定。現在の東京、大阪に加え、札幌、仙台、福岡に窓口を設置する。各窓口に事故現場や被害車両、契約者の建設現場の状況を確認する調査員を配置し、損保会社からの事故報告後、即座に対応できる体制を強化する。また、アジャスター資格や鑑定人資格保有者の増員、あるいは提携などを図り、調査・鑑定の知識、技能などを拡充して信頼性の向上に努める。事故受付窓口には、どちらかの資格保有者を配置する。同システムを理解し、適切に付着物除去作業ができる提携企業も増やし、全国ネットワークの形成を目指す。

 同社は自動車メーカーなどとのOEMに基づいてカークリーニングのためのケミカル製品を開発するメーカーでもある。そのため、製品知識や性能判定用の分析機器を持っている。これによって、請負賠償責任保険に関わる事故で被害車両に付着した塗料が建設現場で契約者が飛散させた塗料か否かの成分を分析し、その結果を損保会社にリポートすることができる。

【自動車と被害者に最適な修理方法「特許取得済」】

 同社は、創業者の一人である阿部昭典副社長が前職での経験などを生かして独学で自動車を美しく見せるための清掃手法などを追求し、カークリーニング業者として独立後、100%自社製造のケミカルやツールを使用してカークリーニングやボディコーティングなどを手掛ける企業として1994年6月に設立された。阿部氏が開発した手法は、前職で習得した半導体製造における写真技術を応用した被膜の化学的付着・除去の技能や知識を基に自動車の塗膜に影響を与えずに付着物などを除去するもの。この技法は2003年に“車体塗装面の修理方法(第3425539号)”として特許を取得している。同社は現在、資本金3300万円、東京と大阪に拠点を構えており、社員数は50人となっている。

 阿部氏は「自動車の生産ラインで形成された塗膜は再現性がなく、自動車を再塗装すると、生産ラインで形成された塗膜とは異なるものになる。除去できるものは再塗装ではなくクリーニングすることが自動車と被害者にとって最適な修理方法である。このことを損保会社に周知したい」と話す。現在、説明会、体験会などを開き、認知度向上に向けた取り組みを推進している。これからは、損保会社の火災新種課や保険代理店などを対象に実際に鉄粉被害を受けた車両修復のデモンストレーションなどを実施していく。

(保険毎日新聞)

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