自動車保険の走行距離と保険料の関係|超過した場合や保険料を安くする方法も

自動車保険の走行距離と保険料の関係|超過した場合や保険料を安くする方法も

車の使用頻度によって、自動車保険の保険料が変わることをご存じでしょうか。保険会社は走行距離をリスク判断の重要な要素としており、年間の走行距離が少ないほど保険料を抑えられる可能性があります。

この記事では、走行距離と保険料の関係や、申告方法・確認方法、距離区分ごとの保険料の違いをわかりやすく解説。さらに、申告距離を超えた場合の補償や返金の有無など、よくある疑問にも答えます。

自分の走行距離に合った保険選びの参考にしてください。
東本隼之

監修者東本隼之

ファイナンシャルプランナー、マネーライター
独立系ファイナンシャルプランナーとして金融記事の執筆・監修を行う。税金や資産運用などに精通し、初心者にもわかりやすい解説を得意としている。

mokuji目次

  1. なぜ自動車保険の保険料は走行距離で変わるのか
  2. 自動車保険で申告する走行距離の算出・確認方法
    1. 申告方法は「過去の実績」と「未来の予測」の2種類
    2. 走行距離は「オドメーター」で確認する
  3. 走行距離の区分で保険料はどれくらい違う?
  4. 申告した自動車の走行距離に関するよくある疑問
    1. Q.申告した走行距離を超えたら補償されない?
    2. Q.実際の走行距離が申告より少なかったら返金される?
    3. Q.走行距離をわざと少なく申告したらどうなる?
  5. 自分の走行距離に合った自動車保険を選ぼう

なぜ自動車保険の保険料は走行距離で変わるのか

なぜ自動車保険の保険料は走行距離で変わるのか

自動車保険の保険料は、事故を起こすリスクの予測にもとづいて算出されています

年間走行距離が少ないということは、その分事故リスクも低いことが想定されるため、保険料が安くなるのです。反対に、年間走行距離が多いと事故リスクも高まることから、保険料が高くなるケースがあります。

電話やインターネットを通して加入するダイレクト型と呼ばれる自動車保険では、申込時に設定する走行距離に応じて、補償内容や保険料が変わる場合がほとんどです。

そのため、走行距離の設定を適切におこなうことで、保険料の無駄を抑えられる可能性があります。

自動車保険で申告する走行距離の算出・確認方法

自動車保険で申告する走行距離の算出・確認方法

自動車保険の契約時や更新時に申告が必要な走行距離ですが、保険会社によって算出方法が異なります。

走行距離の申告方法は大きく2つのパターンに分かれており、「過去1年間で実際に走行した距離を基準にする方法」と「今後1年間の予想走行距離を申告する方法」があります。どちらの方法を採用しているかは保険会社ごとに設定が異なるため、契約前に確認しておくことが重要です。

また、走行距離を正確に把握するためには、車に搭載されているオドメーターやトリップメーターの使い方を理解しておく必要があります。

それぞれの申告方法の特徴と、走行距離の確認方法について見ていきましょう。

申告方法は「過去の実績」と「未来の予測」の2種類

自動車保険の走行距離申告方法は、保険会社によって大きく2つのタイプに分かれます。

過去1年間の走行距離を基準にするタイプでは、実際に走行した距離をもとに保険料を算出します。このタイプでは、契約期間中に走行距離を超過してしまっても、翌年の契約更新時に再申告すればよく、期間中の連絡や追加保険料の支払いが不要な場合がほとんどです。

今後1年間の予想走行距離を申告するタイプでは、普段の利用状況から年間の予定走行距離を設定します。ただし、予定を超過した場合は保険会社への連絡や差額保険料の支払いが必要になることがあります。

どちらのタイプを採用しているかは保険会社ごとに異なるため、契約前の確認が重要です。

走行距離は「オドメーター」で確認する

走行距離の申告には、車に搭載されている「オドメーター(積算走行距離計)」を使用するのが一般的です。

オドメーター

オドメーター

オドメーターは車が完成した時点からの総走行距離を表示しており、リセットできない仕組みになっています。年間走行距離を正確に把握するには、1年前の保険契約時などにオドメーターの数値をメモしておき、現在の数値から差し引いて計算します。

一方、「トリップメーター」は任意でリセット可能な走行距離計ですが、給油時の燃費計算などに使われることが多く、保険申告には通常オドメーターの数値を参考にします。

トリップメーター

トリップメーター

オドメーターの数値は車検証にも記載される重要な情報のため、正確な申告が求められます。

走行距離の区分で保険料はどれくらい違う?

走行距離の区分で保険料はどれくらい違う?

多くの自動車保険会社では、年間走行距離を段階的に区分して保険料を設定しています。走行距離区分は保険会社によって細かさが異なり、自分の利用状況に適した区分を選ぶことが保険料節約のポイントになります。
A社の年間予定走行距離区分

年間走行距離

使用目的・走行距離の目安

3,000km以下

あまり使用しない

3,001〜5,000km

月に300km程度(東京〜名古屋の片道距離が目安)

5,001〜10,000km

月に700km程度(東京〜名古屋の往復距離が目安)/片道10kmの毎日の通勤

10,001〜15,000km

毎日の通勤と休日の買い物、レジャーなどに使用する/毎日の業務で使用する

15,001km以上

毎日の通勤以外に休日にはロングドライブをすることもある/毎日の業務で長距離使用する

B社の年間予定走行距離区分

年間走行距離

使用目的・走行距離の目安

3,000km以下

あまり乗らない

3,001〜5,000km

近所の買い物などがメイン(月250〜400km程度)

5,001〜7,000km

毎日のように使用し、月に1回程度は長距離ドライブなどで使用する(月450〜550km程度)

7,001〜10,000km

毎日のように使用し、週に1回程度は長距離ドライブなどで使用する(月600〜800km程度)

10,001〜12,000km

毎日のように使用し、週に1回程度は長距離ドライブ、たまに旅行・帰省などにも使用する(月850〜1,000km程度)

12,001〜15,000km

毎日のように使用し、週に1回程度は長距離ドライブ、月に1回程度は旅行・帰省などにも使用する(月1,000〜1,250km程度)

例えば、年間予定走行距離が6,000kmの場合、A社の走行距離区分では5,001〜10,000kmに含まれますが、B社であれば5,001〜7,000kmの区分で契約が可能です。B社のように、区分がより細かく区切られていることで保険料を抑えられる可能性があります。

反対に、年間予定走行距離が7,000kmを超えることも想定される場合、A社の走行距離区分5,001〜10,000kmのように、走行距離区分に幅があるほうが安心でしょう。

このように、複数の保険会社で見積もりを取り、自分の走行パターンに合った走行距離区分を選ぶのがポイントです。また、年間走行距離に応じた保険料の変動は、下記のような例が挙げられます。
C社の年間走行距離に応じた保険料の例

年間走行距離

保険料

3,000km以下

4万3,770円

5,000km以下

4万6,860円

7,000km以下

4万9,990円

9,000km以下

5万4,460円

11,000km以下

5万7,500円

16,000km以下

6万7,940円

無制限

7万2,650円

本人と21歳以上の家族に限定/車両保険なし/標準プランの場合
掲載している情報は202310月時点のものです

上記の例では、3,000km以下と無制限の区分で年間約2万9,000円の差が生じています。

走行距離区分は保険会社によって細かさが異なるため、自分の年間の走行距離に合った区分を設定している保険会社を選ぶことが、保険料を抑えるポイントになります。

申告した自動車の走行距離に関するよくある疑問

申告した自動車の走行距離に関するよくある疑問

自動車保険の走行距離申告について、多くのドライバーが抱く疑問があります。

契約時に申告した走行距離を実際に超えてしまった場合の補償への影響や、逆に申告より走行距離が少なかった場合の保険料の取り扱い、さらには保険料を安くしたいがために実際より少ない走行距離を申告することのリスクなど、走行距離申告に関する不安や疑問はさまざまです。

これらの疑問を解決することで、適切な走行距離申告ができ、万が一の事故の際にも安心して保険を利用できます。ここでは、走行距離申告に関してよく寄せられる3つの疑問について、それぞれ解説していきます。

Q.申告した走行距離を超えたら補償されない?

申告した走行距離区分を超えて運転した場合でも、通常は自動車保険の補償を受けることができます。ただし、保険会社によって対応が異なります。

過去1年間の走行距離」を基準とするタイプでは、契約期間中に走行距離を超過しても翌年の更新時に修正申告すれば原則として問題ありません

一方、「今後1年間の予想走行距離」を申告するタイプでは、予定走行距離を超過した時点で保険会社への連絡が必要になる場合があります。

事故の際に申告した予定走行距離と実際の走行距離が大きく食い違っていると、保険金が支払われないリスクもあるため、予定を超えそうな時点で早めに保険会社に相談することが重要です。

Q.実際の走行距離が申告より少なかったら返金される?

申告した走行距離区分より実際の走行距離が短かった場合でも、一般的に保険料の返金は行われません。しかし、翌年の契約更新時には実際の走行距離実績に基づいて、より安い走行距離区分で契約できるため、翌年度の保険料が安くなる可能性があります。

一部の保険会社では、契約距離区分の上限キロ数より1,000km以上少なかった場合に、その差額保険料に相当する金額を翌年継続する保険料から割り引く制度を設けています。

また、保険期間中でも走行距離が少なくなる場合は、契約距離区分の変更により保険料の返金が可能な場合もあります

Q.走行距離をわざと少なく申告したらどうなる?

保険料を安くするために実際の走行距離より意図的に少なく申告する行為は、虚偽の報告にあたり絶対に避けるべきです。

走行距離の虚偽申告は「告知義務違反」とみなされ、万が一の事故の際に保険金が支払われなかったり、契約自体を解除されたりする重大なリスクがあります。

事故が起きた際には、保険会社の調査員によってオドメーターの数値などがチェックされるため、虚偽申告は発覚する可能性が高いのが実情です。万一の事故の際にきちんと補償を受けるためにも、走行距離は必ず事実に即して正確に申告することが大切です。

自分の走行距離に合った自動車保険を選ぼう

走行距離はダイレクト型自動車保険の保険料を決める重要な要素ですので、自身の運転パターンを正確に把握することが欠かせません。年間走行距離を正しく申告し、それに適した走行距離区分を設定している保険会社を選ぶことで、無駄な保険料の支払いを避けることができます。

近所での買い物程度にしか車を使わず走行距離が短い方は、より細かい区分設定がある保険会社を選ぶことで保険料を抑えられる可能性があります。

一方、毎年の走行距離が変動しやすい方は、過去の実績で保険料が決まるタイプを選ぶことで、期間中の連絡や追加料金の心配なく運転できるでしょう。

自動車保険の契約や乗り換えを検討している方は、オリコン顧客満足度(R)ランキングで口コミを調べてみてはいかがでしょうか。ユーザーの満足度や口コミを参考にすることで、自分に合った自動車保険を選ぶヒントを得られるかもしれません。
東本隼之

監修者東本隼之

ファイナンシャルプランナー、マネーライター
独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

・2級ファイナンシャル・プランニング技能士
・AFP®(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)

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