自動車保険料の平均・相場はいくら? 年代・等級・走行距離別で比較

自動車保険料の平均・相場はいくら?保険料を決めるリスク要因を解説

自動車保険の見直しをする際に、保険料の平均や相場が気になる人は多いのではないでしょうか。この記事では、オリコン顧客満足度の調査データから年代別や等級別などの保険料の相場を紹介します。さらに、保険料が決まる仕組みから、節約のコツ解説しますので、自動車保険検討時の参考にお役立てください。
酒井富士子

監修者 酒井富士子

ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役

自動車保険の保険料相場【全体、年代別、等級別、走行距離別】

自動車保険は契約の条件によって保険会社に支払う保険料が異なります。そのため自動車保険の保険料は千差万別。でも、ほかの人が大体どのくらい支払っているのかは、どうしても気になるものですよね。

そこで、オリコン顧客満足度(R)の自動車保険の調査※1から、回答者(自動車保険適用者)の年間保険料のデータをご紹介します。前述したように、契約者1人ひとりの状況や条件、求める補償内容によって保険料は三者三様なので、あくまでおおよその相場を知る目安としてお役立てください。
※1 過去2年以内に自分が運転していて自動車保険の補償を受けたことがあり、かつ自動車保険へ加入する際に選定に関与した18〜79歳のサービス利用者が対象。ここでは、年間保険料の設問に対して回答のあった計4,050人(「答えたくない」「わからない」と回答した人は除く)のデータを掲載。なお、調査期間は2022/08/16〜2022/08/29。

【全体】保険料(年間)の相場、6万円未満が約半数を占める

まず、最新の調査対象者全体で見ると、自動車保険の年間支払い額が【6万円未満】のユーザーが43.5%と比較的高い割合を占めています。年間保険料の支払い額のボリュームゾーンは【3万円〜4万円未満】で11.6%。次いで、僅差で5万円〜6万円未満】【10万円〜15万円未満】(同率で11.2%)が続く結果となりました。

■自動車保険適用者の年間保険料の分布(n=4,488人)

【グラフ】自動車保険適用者の年間保険料の割合グラフ(n=4,488)

自動車保険適用者の年間保険料の割合グラフ(n=4,488)※「答えたくない・わからない」は掲載を省略しています。

年間保険料

割合

2万円未満

3.7%

2万円〜3万円未満

6.8%

3万円〜4万円未満

11.6%

4万円〜5万円未満

10.2%

5万円〜6万円未満

11.2%

6万円〜7万円未満

9.8%

7万円〜8万円未満

6.9%

8万円〜9万円未満

5.7%

9万円〜10万円未満

4.4%

10万円〜15万円未満

11.2%

15万円以上

3.6%

※「答えたくない・わからない」は掲載を省略しています。

年代別でみる保険料(年間)の相場

年齢別で見ると、「30代」「50代」「60代以上」の世代において、4万円〜6万円未満がボリュームゾーンに。また、「20代」2万円未満の割合が他の年代と比較して最も多く、総じて保険料が抑えられているのが特徴的です。
全体的に見ると、各年代で2万円未満から6万円未満の範囲に保険料が集中しており、特に3万円未満から4万円未満の範囲が相対的に高い傾向を持っています。また、15万円以上は全体的に5%未満と低い割合で分布していますが、年代が上がるにつれて割合が増加していくことが分かります。

年間保険料

20代
(n=229人)

30代
(n=338人)

40代
(n=909人)

50代
(n=1,429人)

60代
(n=1,580人)

2万円未満

8.7%

5.3%

4.5%

4.2%

1.8%

2万円〜3万円未満

10.5%

5.3%

8.5%

6.1%

6.2%

3万円〜4万円未満

14.4%

8.0%

11.9%

11.6%

11.8%

4万円〜5万円未満

9.6%

10.4%

9.5%

10.7%

10.3%

5万円〜6万円未満

4.8%

14.8%

11.8%

10.8%

11.4%

6万円〜7万円未満

7.4%

8.6%

11.9%

9.3%

9.6%

7万円〜8万円未満

4.8%

8.3%

6.5%

7.3%

6.8%

8万円〜9万円未満

3.9%

5.3%

6.2%

5.7%

5.9%

9万円〜10万円未満

5.2%

6.5%

3.9%

4.0%

4.4%

10万円〜15万円未満

9.2%

8.9%

9.5%

10.3%

13.7%

等級別でみる保険料(年間)の相場

自動車保険は、契約者を事故リスクによって20区分に設定した「等級(ノンフリート等級制度)」によって保険料の割増引率が設定されています。

自動車保険を初めて契約する場合、6等級からスタートすることとなります。6等級の保険料(年間)相場を見てみると、【5万円〜6万円未満(19.8%)】及び【6万円〜7万円未満(17.0%)】がボリュームゾーンとなっています。一方で、等級別でみると最も事故リスクが少ないとされる20等級では、ボリュームゾーンは【3万円~4万円未満(17.9%)】となっています。さらに、6万円未満の割合でみると、6等級が46.3%であるのに対して、20等級では60.9%であり保険料が安く抑えられているといえます。

■6等級と20等級の保険料(年間)の相場

年間保険料(割合)

6等級の分布
(n=106人)

20等級の分布
(n=1,784人)

2万円未満

1.9%

5.8%

2万円〜3万円未満

5.7%

11.3%

3万円〜4万円未満

10.4%

17.9%

4万円〜5万円未満

8.5%

13.3%

5万円〜6万円未満

19.8%

12.6%

6万円〜7万円未満

17.0%

9.2%

7万円〜8万円未満

4.7%

6.8%

8万円〜9万円未満

5.7%

4.0%

9万円〜10万円未満

6.6%

2.4%

10万円〜15万円未満

14.2%

6.7%

15万円以上

1.9%

2.7%

等級と保険料の割増引率に関しては、こちらにまとめています
自動車保険のノンフリート等級とは?割引率や調べ方などを解説

走行距離別でみる年間保険料の相場

年間の走行距離も保険料算定の要因となります。走行距離別の年間保険料のボリュームゾーンを見ると、全体的に保険料が低いのは年間走行距離が3,000km以下の層であり、走行距離が増加するに従って保険料が増える傾向であることがわかります。特に、3,000km未満のグループでは他の走行距離区分と比べて2万円未満の割合が最も多く、逆に15,001km以上のグループでは150,000円以上の保険料が高い割合となっています。

■【走行距離別】自動車保険適用者の年間保険料

【走行距離別】自動車保険適用者の年間保険料

年間走行距離

3,000km以下

3,001km〜5,000km

5,001km〜7,000km

7,001km〜10,000km

10,001km〜12,000km

12,001km〜15,000km

12,001km〜15,001km

使用のイメージ

あまり乗らない人
(1日に4km程度)

近所の買い物や週末のレジャー用
(1日に10km程度)

通勤・通学で使用
(1日に17km程度)

週1回は長距離で使用
(1日に23km程度)

週1回は長距離+たまに旅行や帰省で使用
(1日に30km程度)

週1回は長距離+月に1回は旅行や帰省で使用
(1日に37km程度)

毎日のように長距離で使用

2万円未満

7.6%

4.0%

4.0%

2.5%

4.5%

1.5%

3.1%

2万円〜3万円未満

11.3%

10.5%

6.7%

6.4%

4.8%

6.1%

2.9%

3万円〜4万円未満

14.6%

14.2%

13.5%

10.9%

10.2%

7.9%

8.3%

4万円〜5万円未満

11.6%

12.0%

11.0%

9.8%

9.5%

7.0%

6.4%

5万円〜6万円未満

12.6%

11.3%

13.3%

9.7%

9.4%

9.1%

10.1%

6万円〜7万円未満

7.8%

8.8%

10.0%

12.7%

7.5%

11.2%

9.3%

7万円〜8万円未満

5.1%

6.6%

5.9%

8.3%

7.3%

9.4%

6.2%

8万円〜9万円未満

4.0%

5.1%

5.1%

6.2%

7.9%

7.0%

7.0%

9万円〜10万円未満

1.7%

3.9%

3.8%

4.7%

5.4%

6.7%

4.5%

10万円〜15万円未満

6.8%

9.1%

8.5%

10.3%

14.6%

14.8%

17.8%

15万円以上

2.1%

2.6%

2.5%

3.4%

4.3%

4.5%

7.0%

走行距離と保険料の関係性については、こちらにまとめています
自動車保険と走行距離の関係とは?保険料を安く抑えるポイントも解説

自動車保険の「保険料」が決まる仕組み

自動車保険の保険料は様々な条件や要因が組み合わさって決定します。保険料が決まる仕組みを知ることは、保険料を安く抑えるコツを知ることでもあります。

自動車保険の基本的な補償(種類)

自動車保険には、「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があります。任意保険の保険料は契約者(ドライバー)ごとに保険料は異なります。そのベースとなる基本的な補償には、「相手への賠償を補償するもの」と「自分などを補償するもの」の大きく2つに分けられます。

補償の対象

ヒト

モノ

相手(他人)

対人賠償責任保険

対物賠償責任保険

自分

自損事故保険
人身傷害保険
搭乗者傷害保険
無保険車障害保険

車両保険

相手への賠償を補償するものは、「対人賠償責任保険」「対物賠償責任保険」、自分などを補償するものには、「自損事故保険」「無保険車障害保険」「搭乗者傷害保険」「人身傷害保険」「車両保険」があります。これらの保険を組み合わせることで補償内容は構成され、それぞれの保険料を足した合計金額が契約者(自分)の支払う保険料となります。

自動車保険の主な保険

内容

対人賠償責任保険

自動車事故で他人を死傷させ、賠償責任を負った場合に支払われる保険

対物賠償責任保険

自動車事故で他人の自動車や物を壊し、賠償責任を負った場合に支払われる保険

人身傷害保険

自動車事故で自分や同乗者が死傷した際、過失割合に関わらず、治療費など実際にかかった費用や損害額が支払われる保険

搭乗者傷害保険

自動車事故で自分や同乗者が死傷した際、あらかじめ定められた金額が支払われる保険

自損事故保険

ガードレールや電柱に衝突したり、崖から転落したなど、自損事故によって自分や同乗者が死傷した場合に支払われる保険

無保険車障害保険

対人賠償責任保険を付けていないなど、補償資力が十分でない自動車との事故(無保険事故)によって死亡または後遺障害を負った場合に支払われる保険

車両保険

衝突・接触・墜落等の偶然な事故によって契約者の自動車に損害が生じた場合に支払われる保険

リスク要因ごとに「料率区分」が設けられている

自動車一台あたりの保険料を算出するには、「保険料率」が用いられています。保険料率は、自動車の種類やドライバーの年齢、過去の事故歴など、個々のリスクの差異に応じたものとなるよう、おのおのに料率区分が設けられています。それぞれ、過去の統計などから事故を起こすリスクがどのくらいかが算出されており、一般的に事故を起こすリスクが高いほど保険料は高く、事故を起こすリスクが低いほど保険料は安く設定されています。

なお保険料率は、事故が発生した時に保険金の支払い原資となる「純保険料」と、保険会社が保険事業を行うために必要な経費に充てられる「付加保険料」で構成されています。

自動車保険の保険料率の構成

純保険料は、損害保険料率算出機構などの料率算出団体が算出・提供する「純保険料率(参考純率)」を参考にするなどして、保険会社ごとに金額を設定。また、付加保険料は、保険会社が独自に算出しています。ダイレクト型の自動車保険が比較的安い理由は、代理店を通さずに直接保険会社とやり取りができることで、付加保険料が抑えられることが理由です。

保険料を左右する「リスク要因」

では、保険料を左右するリスクには、具体的にはどんなものがあるのでしょうか?上記の各保険料を算出するにあたり、反映されるのが、保険業法施行規則第12条第3項に定められた9つのリスク要因です。保険会社によって、実際に保険料に反映している項目は異なります。一般的によく用いられているリスクと、リスクに応じた割増・割引の傾向は以下の通りです。

ドライバーの年齢(年齢条件)

過去の事故の統計から、運転に慣れていない10代・20代、身体能力が徐々に衰えていく60代以降が「事故率」が高いことが明らかになっています。そのため、それらの層はリスクに応じて、保険料が高くなりがちです。一方で、統計により事故率が低いとされる「40代」「50代」は保険料が比較的安く抑えられる傾向にあります。

運転歴(過去の事故歴)

契約者は事故を起こしたか否かによって1〜20の「等級(ノンフリート等級制度)」に分けられ、等級によって保険料の割増引率が変わります。新規で自動車保険に加入した人は、基本的に6等級または7等級からスタート。1年間無事故であれば、次年度に1等級アップし、等級が高いほど割引率は大きく、等級が低いほど割増になります。

具体的な割増・割引率は各保険会社によって異なりますが、損害保険料率算出機構などの料率算出団体が算出し、保険会社に提供している「参考純率」では、新規契約時点の6等級は13%の割増、1年間無事故で7等級になると無事故であれば27%割引されます。さらに14年間無事故で最上位の20等級になれば、割引率は63%にまで拡大します(参考純率は、2023年8月時点のもの)。

なお、事故を起こして保険を使うと、起こした事故内容により翌年度3等級ダウン、もしくは1等級ダウンとなります(保険を使っても等級が下がらないケース(ノーカウント事故)もあります)。

運転免許証の色

免許証には、取得3年未満の「グリーン免許」、グリーン免許から初めての更新手続きをしたときに交付される「ブルー免許」、過去5年間無事故・無違反者に交付される「ゴールド免許」がありますが、免許証の色に応じて保険料が異なる保険会社も多くあります。主に、「ゴールド免許」保有者の場合、事故リスクが低いという評価から保険料が割引となる傾向があります。

地域

交通量や交通事情、気候条件などにより、地域によって事故に遭うリスクが異なることから、自動車を使用する地域によって保険料に差を持たせる「地域別料率」を設けている保険会社もあります。

たとえば、政府統計総合窓口による令和4年の都道府県別交通事故発生状況では、1位東京、2位大阪、3位愛知となっていますが、上位の地域は事故に遭う確率が高いことから保険料が高くなる傾向に。また、北海道や東北地方など、雪の多い地域は道路の凍結によるスリップ事故などが多いことから、温暖な地域より事故リスクが高いと判定され、保険料が高くなる傾向があります。

使用目的

車の使用目的には主に以下の3つがあります。

1. 通勤・通学
車を通勤や通学に使用する場合、通勤経路の交通量や道路事情、通勤距離などが保険料に影響を与えます。通勤時間帯は事故リスクが高まることから、保険料が上昇することがあります。

2. レジャー・娯楽
週末や休日に趣味やレジャーで車を使用する場合、通勤よりも低いリスクが想定されることがあり、保険料が比較的低く設定されることがあります。

3. 業務
一般的に、仕事で使用するほうが運転時間や走行距離が長くなり、複数の運転手が1台の車を利用することも多いなど、事故に遭う可能性が高くなることから、営業用のほうが保険料は割高になっています。加えて、車を業務目的で使用する場合、走行距離や運転の頻度、事業の性質などが保険料に影響を与えます。

車種(自動車の種類)

車種は、構造・大きさの分類で、「3」ナンバーや「5」ナンバーといった分類番号に準じる形で定められています。主な用途・車種として、自家用には自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用小型貨物車、自家用軽四輪貨物車、自家用普通貨物車、特種用途自動車(キャンピング車)など、営業用には営業用乗用車、営業用貨物車などがあります。

年間走行距離

年間の走行距離が長い人ほど車を運転している時間が長いことから、事故に遭う可能性が高いと考えられ、保険料が高くなる傾向にあります。

自動車の型式

「自家用普通乗用車」「自家用小型乗用車」「自家用軽四輪乗用車」には、「型式別料率クラス」が適用され、契約する車の型式によって保険料が変わります。

これは、損害保険料率算出機構が車の型式ごとに事故実績を踏まえて算出したもので、「対人」「対物」「傷害」「車両」の各保険において、過去1年間の支払い実績が少ない型式ほど保険料は安くなっています。1年に1回見直されていますが、一般的にコンパクトカーは安く、高級車やスポーツカーは保険料が高くなる傾向があります。高額な車は修理費が高くなりますが、その分、保険料も高額になることを覚えておきましょう。
型式別料率クラスについては、こちらにまとめています
料率クラスとは?自動車保険の保険料との関係や決め方を解説

新車か新車以外か

新車は事故を起こすリスクが低いという統計データに基づき、「新車割引」が適用される場合があります。新車の基準や割引率、適用期間は各保険会社によって異なります。

保険の契約途中で新車に買い替えた場合は、車検に通すのと同タイミングで保険の移行手続きを行う際、新車割引を行っている保険会社であれば、適用されます。最近は、電気自動車やハイブリッドカーなど、エコカーに対する「エコカー割引」を設定する保険会社も増えています。

自動車の安全装置の有無

「自動運転」「サポカー」「スマートアシスト」などの呼び名で知られている、ドライバーの安全運転を支援するシステムを搭載した「ASV(Advanced Safety Vehicle)=先進安全自動車」は、事故の発生リスクを抑えることから、割引が適用される場合があります。

適用されるのは、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)を搭載した自家用軽四輪乗用車または発売後約3年以内の自家用普通自動車、自家用小型乗用車で、保険料が9%割引となります。3年経過後のAEBを搭載した自家用普通自動車と自家用小型乗用車は、先の「型式別料率クラス」によって、その事故リスク軽減が保険料に反映されます。
ASV割引について、詳しくはこちらにまとめています
自動車保険のASV割引とは?適用の条件や期間について

自動車保険を付けている車の台数

1つの名義で所有している車の台数が1〜9台の場合を「ノンフリート契約」、10台以上の場合を「フリート契約」といい、それぞれ別の料率制度が設けられています。

個人の場合、2台目以降は条件を満たせばセカンドカー割引の対象となります。契約者と運転者が同一でなくても、運転者が契約者の配偶者または同居の親族であればOKなので、同居する子どもが免許を取得した場合や、夫婦それぞれ車が必要になったときなど、一家で2台以上の車を所有する際には活用するといいでしょう。2台目以降は、通常6等級からスタートするノンフリート等級が7等級からとなったり、複数台まとめて契約することでさらなる割引特典を設けている保険会社もあります。

ただし、法人の場合は、9台以下のノンフリート契約であっても、2台目以降の割引は適用されません。これは仕事で使用する車の場合、1日の運転時間が長かったり、複数の運転手が1台の車を利用したりするなど、事故を起こすリスクが高いという実態に基づくものです。

運転する(補償する)人の範囲

自動車の任意保険では、補償する運転者の範囲を指定できます。範囲には大きく分けて「誰が」と「年齢」の2つがあり、それぞれ補償範囲を限定すればするほど、事故のリスクが下がるため保険料は安くなります。

「誰が」には、「契約した本人のみ」「契約者と配偶者のみ」「契約者と同居の親族」「限定なし」などがあります。「年齢」には、一般的に「21歳以上」「26歳以上」「30歳以上」「35歳以上」「年齢問わず」などがあります。「限定なし」「年齢問わず」は誰でも運転できることから、事故リスクが最も高いと判断され、保険料も最も高額に。

反対に、「本人のみ」「35歳以上」は最も安くなります。子どもが運転するようになったら「21歳以上」に変えたり、友人や知人に運転を代わってもらう機会が増えたから「限定なし」にしたりなど、ライフスタイルに合わせて選ぶことができます。

保険料を安く抑えるポイント

ここまで自動車保険の保険料が決まる仕組みについて紹介してきました。年齢などやむをえない条件があるにせよ、自動車保険は車を所有している限り毎年継続して支払わなければならないだけに、できれば少しでも安く抑えたいもの。自動車保険には節約につながるポイントがありますので、いくつかご紹介しましょう。

複数社から見積もりをとる

自動車保険は、提供する保険会社ごとに補償内容も保険料も異なるので、自分に合った保険を見つけるためには、複数社から見積もりをとって比較してみることが大切です。とくに初めて自動車保険に加入する場合は6等級からのスタートに加え、10〜20代なら事故リスクが高いと捉えられるなど、保険料が高くなる傾向にあるので、さまざまな会社に試算してもらうといいでしょう。今はネットからでも簡単に見積もりをとることができます。

等級を引き継ぐ

保険料の割増引率が変わる等級は、夫婦や同居家族などから引き継ぐことができます。たとえば、同居の子どもが免許を取って車を買い、新規で自動車保険に加入する際、記名被保険者である父親が20等級であれば、その等級を引き継ぐことができ、通常なら6等級からのスタートが20等級となり、保険料をかなり安くすることができます。ただし、記名被保険者が保険を解約または満了した後など等級を引き継げない場合もあるので、注意が必要です。
等級を引き継ぐ方法と注意点について、こちらにまとめています
等級の引き継ぎ方は?他社乗り換えや家族間での引き継ぎなどを解説

ダイレクト型の保険を検討する

インターネットを使い慣れている人なら、ネットを介して申し込むダイレクト型の保険を選んでみてもいいでしょう。代理店など人の手を極力省くことで、そのぶん保険料は安くなっており、さらに割引や商品券プレゼントなどの特典を用意している会社もあります。カスタマーサポートや事故時の緊急対応などは、代理店型とあまり遜色はありません。ただし、ネット上で記入ミスがあった場合、そのまま反映されてしまうなど注意点もあるので、代理店型とダイレクト型の特徴を把握したうえで選択するようにしましょう。

積極的に情報を拾いに行く

自動車保険にはさまざまな割引制度があります。たとえば、ダイレクト型では「ネット割」や「早割」などがあり、会社ごとに割引率が異なります。保険料を節約するためには、初めて自動車保険に入る際も、契約更新する際も、積極的に情報を収集し、その時々の自分の状況に適した割引制度を見つけることがカギとなるでしょう。

今はインターネットを活用し、情報収集するのも手。同年代の友人や口コミなど、第三者の声も参考情報として活用できるでしょう。オリコン顧客満足度(R)では、自動車保険の利用者を対象に行った調査結果をもとに満足度ランキングを発表しているほか、各社の口コミ情報も掲載しています。

契約更新日をスケジュール管理しておく

契約更新のタイミングで、契約している保険が自分にとって適切かどうかを再度検討することも、保険料を抑えるためには必要です。一度、保険に入ってしまうと、日々の忙しさに流されたまま自動更新を続け、放ったらかしにしてしまいがちです。しかし、自身のそのときの状況によって、補償内容を変えたほうがお得な場合や、別にもっと自分に合う割引率のいい保険があるかもしれません。契約更新日をスケジューリングしておくことは、自身の状況(ライフステージ)を振り返り、情報収集を計画的に行うきっかけになります。

何より事故を起こさない

冒頭、ケース別で紹介した20等級の人の保険料のボリュームゾーンが低めだったことにも表れているように、保険料を抑えるには、とにかく事故を起こさないこと。当たり前ではありますが、安全運転を心がけましょう。

【まとめ】保険を見直すことが保険料の節約につながる

保険会社を決めるとき、保険料や補償内容はもちろんのこと、契約時のわかりやすさ、事故時の対応など、さまざまな要素が選択の基準となりますが、どうしても保険料に目がいきがちです。ですが、保険料が安いから満足と思って加入したものの、事故を起こしてから初めて足りない補償内容を知り、不満が出るケースも少なくないよう。ですから「安さ」だけでなく、「質」を重視することも大切です。

まずは、自動車保険の仕組みを理解したうえで自分の目安相場を知るとともに、“万が一”に備えて、自分がどのような保険を求め、何を重要視するかを考えましょう。

さらに、加入後も保険の見直しは必要です。一度入ったらそれっきり自動継続している人も多いですが、年齢や生活状況によって、車との付き合い方が変わることは多いはず。任意の自動車保険は1年か3年ごとに契約更新となりますので、更新のタイミングで自分のライフスタイルを振り返り、その時々に合うよう保険を見直すことで、自分に合った保険選びと保険料の節約につながるでしょう。
酒井富士子

監修者 酒井富士子

ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト。金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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