終身保険とは?メリット・デメリットや他の保険との違いを解説

終身保険とは?メリット・デメリットや他の保険との違いを解説終身保険とは?特徴やメリットを解説

保険には色々種類があるので、どの保険に加入しようか迷う方もいらっしゃるでしょう。生涯に渡っての保障に加えて、貯蓄としての機能を求める方には、終身保険がおすすめです。

本記事では、終身保険の基本的な特徴からメリット、デメリット、さらには他の保険との違いをわかりやすく解説します。終身保険の活用事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。

mokuji目次

  1. 終身保険とは
  2. 終身保険の種類
    1. 低解約返戻金型終身保険
    2. 変額終身保険
    3. 外貨建て終身保険
    4. 終身保険のメリット
    5. 保障が一生涯続く安心感
    6. 税負担が少なくなる
    7. 解約返戻金がある
  3. 終身保険のデメリット
    1. 保険料が比較的高め
    2. インフレの影響を受けやすい
    3. 解約返戻金が払込み保険料を下回る可能性がある
  4. 終身保険と他の保険との比較
    1. 定期保険との違い
    2. 養老保険との比較
  5. 終身保険の活用事例
    1. 教育資金としての活用
    2. 老後の資金計画に組み入れる
  6. 基礎知識をおさえて、自分に合った商品選択を

終身保険とは

終身保険とは

終身保険は生命保険の一種で、加入者が一生涯にわたって死亡保障や高度障害保障を受けられる保険です。加入者全員に最終的に保険金が支払われる設計で、早期解約した場合にも解約返戻金がある点が特徴です。

終身保険の保険金は、葬儀費用や遺族の生活費用など、具体的な支出のために利用されることが多いです。また、早期解約して解約返戻金を受け取る場合は、子供の教育資金や老後資金などに活用できます。

ただし、早期解約した場合や商品の種類によっては、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性があります。そのため、早期解約する場合には、解約返戻金が払い込んだ保険料を上回るタイミングを待って解約するのをおすすめします。

保険料の支払いは、一時払いと平準払いがあります。一時払いは、保険料を一括で支払う方法で、平準払いは月払いや年払いなど保険料を分割して支払う方法です。なお、平準払いを選ぶ場合も、「60歳までに払い込む」など有期払いを選べば、それ以降は保険料を支払わなくても一生涯保障は続きます。ご自身の懐事情に合わせて支払い方法を選びましょう。

終身保険の種類

終身保険の種類

終身保険には、いくつか種類があります。ここからはそれぞれの概要とメリットデメリットを解説していきます。それぞれに特性に応じたリスクとリターンが存在するため、自分に合った種類の保険を選択しましょう。

低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険とは、保険料の払い込み期間中の解約返戻金(解約時に戻ってくるお金)が、通常の終身保険に比べて少なく設定されている保険です。ただし、保険料が安く設定されているので、その点はメリットでもあります。

保険料の払込期間が終わってから解約をすれば、払い込んだ保険料より多くのお金を受け取ることができます。また、通常の終身保険より返戻率(払い込んだ保険料に対し、解約したときにどれだけのお金が受け取れるかという割合)が高くなることもあるようです。そのため、保険を早期解約する必要がない人や少ない保険料で終身の保障を受けたい人にとって、おすすめの終身保険と言えるでしょう。

変額終身保険

変額終身保険 とは、払い込んだ保険料の運用実績によって、将来受け取れる保険金額が変わる商品です。保険の加入時点でいくら受け取れるかは決まっていませんが、万が一の際の保障は確保しながら、プロに資産運用を任せることができるのが特徴です。

運用実績が良い場合に、リターンが大きくなる(払い込んだ保険料よりたくさんのお金を受け取れる)可能性がある点がメリットです。逆に、運用が上手くいかなかった場合は、受け取れるお金が少なくなり、場合によっては元本割れの可能性があるのがデメリットです。そのため、お金を増やすことよりも、元本保証に魅力を感じる方にはおすすめできません。

ただし、運用実績が悪かったとしても、死亡保険金額が最低保障額を下回ることはありません。保障を確保しながら資産運用できる点は魅力的といえるでしょう。

外貨建て終身保険

外貨で保険料を支払い、外貨で保険金を受け取る、外貨建ての終身保険もあります。米ドルの終身保険が多いですが、豪ドル建てやユーロ建ての終身保険もあります。

外貨建て終身保険のメリットは、円より金利が高い通貨で運用するのでリターンが大きくなり、払い込んだ保険料より多くのお金を受け取ることができる点です。

また、為替の影響を受けるのが外貨建て終身保険の特徴です。外貨に対して円の価値が高くなる状態を円高、外貨に対して円の価値が低くなっている状態は円安といいます。保険料の支払い時より円安になると、為替差益により利益が増える可能性もあります。そのため、円安になることを予想して為替差益の恩恵を受けるために、外貨建て終身保険を選ぶ人もいます。

ただし、保険料の支払い時より円高になると、ドル建てでは受け取る金額は増えていても、日本円に換算すると払い込んだ金額より少ない額しか戻ってこない可能性もあります。為替変動を予想するのは経済の専門家でも難しいため、為替リスクについてはしっかり理解した上で加入しましょう。

終身保険のメリット

終身保険のメリット

ここからは、終身保険のメリットを説明していきます。

保障が一生涯続く安心感

終身保険は、死亡保障が生涯を通じて続き、契約者が亡くなった際には遺族に保険金を残すことができます。そのため、残された遺族の経済的負担を減らせるという意味で安心できるでしょう。また、病気やケガによって身体機能が大きく低下した場合にも、死亡した時と同等の保障を受けることができます。自分に万が一のことがあった時に、いくら遺族に残せたら安心かを考えて保険金額を設定するようにしましょう。

税負担が少なくなる

終身保険は、万が一の保障を受けられるのに加えて、税負担を軽減することができます。

・生命保険料控除が受けられる
終身保険に加入している人は、1年間に払い込んだ保険料に応じて所得税や住民税の負担が軽減される生命保険料控除が適用されます。年末調整や確定申告で手続きができます。

生命保険料控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
生命保険料控除の計算方法とそのしくみをわかりやすく解説

相続税の対策として利用できる
生命保険は、相続税対策としても有効です。生命保険金は非課税枠を活用でき、その範囲であれば相続税が課税されません。

非課税枠の計算式は下記の通りです。

【生命保険金の非課税枠=500万円×法定相続人の数】

財産が多く相続税を支払う必要がある方は、この非課税枠を活用することで、相続税の支払いを軽減できます。

ただし、保険の契約者と被保険者が同一でない場合は、相続税の対象ではなくなるため、制度を活用したい場合には注意しましょう。

解約返戻金がある

終身保険の解約返戻金とは、保険を早期解約した時に、契約者に返還されるお金です。解約返戻金は、早期解約すると払い込んだ保険料より少ない金額しか受け取ることができないケースがほとんどです。しかし、掛け捨て型の保険とは異なり、解約時にお金を受け取れる点は魅力です。また、保険料の払込期間が決まっている保険の場合、払込期間が終わると払い込んだ金額より多くの解約返戻金を受け取ることができるケースが多いです。

終身保険のデメリット

終身保険のデメリット

ここからは、終身保険のデメリットを説明していきます。

保険料が比較的高め

終身保険は長期間にわたる保障を提供することから、保険料は他の保険形態に比べて高額に設定されています。保険料が高くても保障と貯蓄の両方を兼ね揃えた保険を求める方にとっては問題ないでしょうが、保険料を安く抑えたい人にとっては定期保険など他の選択肢もあります。

インフレの影響を受けやすい

終身保険は、あらかじめ保険金が決まっているケースが多いです。しかし、固定された保険金額は時間が経つにつれて実質的な価値が減少するため、インフレの影響を受けやすいのもデメリットの一つです。例えば、保険金を1,000万円受け取れる終身保険に加入するとして、現在の1,000万円の価値に比べて、10年後の1,000万円の価値は大きく下がっている可能性もあります。契約段階では十分だと思っていても、保険金や解約返戻金を受け取る時には足りないというケースも頭に入れておきましょう。

解約返戻金が払込み保険料を下回る可能性がある

終身保険は、早期解約しても解約返戻金を受け取れるのがメリットと上述しましたが、保険契約を早期に解約する場合、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性が高くなります。特に、低解約返戻金型終身保険は、払込期間中に解約すると、払込金額を大きく下回るので注意しましょう。

終身保険と他の保険との比較

終身保険と他の保険との比較

ここからは、終身保険と他の保険を比較し、違いを解説していきます。

定期保険との違い

終身保険と定期保険との違いは、保険期間と解約返戻金の有無です。終身保険は保障が一生涯続き、途中で解約した場合には解約返戻金を受け取ることができます。一方で、定期保険は保険期間が限定されており、期間終了後は保障が消失します。また、基本的に保険料は掛け捨てであり、解約返戻金はないかごくわずかです。ただし、保険期間が短くなる分、保険料を抑えることができるので、保険期間は期間限定で問題ない方にとっては定期保険が合うかもしれません。

養老保険との比較

終身保険と養老保険の違いは、保険期間と満期保険金の有無です。終身保険は一生涯に渡り保障が続き、満期保険金はありません。一方、養老保険は保険期間が定められており、満期時には保険金が受け取れますが、その後は保障が消失します。加入期間中は、万が一の際の保障を受けることができますし、ライフプランに合わせて満期保険金を使えるのが魅力と言えるでしょう。例えば、定年を迎える歳に満期を設定して住宅ローンの返済に使ったり、満期を65歳に設定して老後資金に充てたりなどできます。

終身保険の活用事例

終身保険の活用事例

ここからは、終身保険がどのようにして個々のライフステージや特定のニーズに合わせて利用されるかを紹介していきます。

教育資金としての活用

子どもが大学進学すると、数百万円かかるので、教育資金に学資保険を用意する人もいるでしょう。学資保険は、積み立てた保険料をもとにした学資金(祝金)を高校や大学進学時に受け取れるのと、契約者に万が一のことがあれば保険料の払い込みが免除になるのが魅力です。

教育資金を作るために、学資保険の代わりに終身保険を活用することもできます。具体的には、子どもが進学するタイミングで保険を早期解約して、解約返戻金を学費に充てます。子どもの教育資金の準備だけでなく、契約者の死亡保障も充実させたい人に向いているといえるでしょう。

学資保険の代わりに終身保険を活用する方法について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
学資保険の代わりにおすすめする教育資金の貯め方を徹底解説!

老後の資金計画に組み入れる

終身保険を自分の好きなタイミングで早期解約して、解約返戻金を老後の生活資金に充てる方法も一つです。終身保険は、保険料の払い込みの時期に解約すると、解約控除と呼ばれる早期解約のペナルティのようなものにより、払い込んだ保険料の額より解約返戻金は少なくなります。しかし、解約返戻金が払い込んだ保険料を上回る時期を老後資金が必要となる時期に設定しておけば、自分の必要なタイミングでまとまった資金を受け取ることができます。

例えば、リタイヤして年金生活が始まるタイミングに解約返戻金が払い込み保険料を上回る保険に加入して、老後資金として受け取るのも良いですね。また、住宅ローンが残っている人は、ローンの繰り上げ返済に解約返戻金を充てて借金を減らせると、精神的負担を軽減できるでしょう。

基礎知識をおさえて、自分に合った商品選択を

基礎知識をおさえて、自分に合った商品選択を

終身保険は、生涯を通して保障を受けながら、貯蓄もできるのが魅力です。また、掛け捨て型の保険とは異なり、解約返戻金を受け取ることができるのもメリットです。解約返戻金を子供の教育資金にしたり、老後資金にしたりできますよ。

終身保険にも様々な種類がありますので、自分に合った保障を受けられる商品を選んでくださいね。

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ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。

リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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