学資保険の代わりにおすすめする教育資金の貯め方を徹底解説!
この記事では、学資保険に代わる教育資金の準備方法の特徴とメリット・デメリットをまとめました。比較・検討の参考にしてください。
監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
目次
学資保険のメリットとデメリット
特徴や不足している部分を把握し、学資保険以外で教育資金を貯める方法も検討しましょう。
学資保険のメリット
計画的な貯蓄が可能で、契約者である親が死亡、高度障害状態になった場合でも、その後は保険料を支払わなくても、満期学資金を受け取れ、子どもの教育資金を準備することができます。また、生命保険控除による節税も可能です。
1.計画的に教育資金が準備できる点
2.親の万一にも教育資金が確保できる点
3.税制優遇措置で節税効果が期待できる点
学資保険のデメリット
学資保険は、必要なタイミングに合わせて確実に資金を準備したいという人には人気がある一方、よりお金を増やしたい人にとっては、ほかの選択肢を検討する余地があると言えます。
1.途中解約すると元本割れする可能性がある点
2.投資に比べて利回りが低い点
3.インフレリスクに弱い点
学資保険に代わる教育資金の準備方法
ここからは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについてチェックしていきましょう。
預貯金
手持ちの銀行口座で始めやすく、万が一、金融機関が破たんしても預金保険制度により、一定の金額までは保護されます。
種類としては、「普通預金」、「定期預金」、また、勤めている会社に制度があれば「財形貯蓄」の利用も考えられます。
「普通預金」はまとまった額がすぐに引き出せる点で自由度が高いですが、将来の受取額の予測がしにくく、お金を貯める方法としては不向きです。
満期を設定でき、毎月一定額を積み立てていける「定期預金」や「財形貯蓄」なら確実に貯蓄できます。
1.元本割れしない点
2.手持ちの口座で簡単に始められる点
3. 銀行が破たんしても一定額は保護される点
預貯金は保険商品ではないので死亡保障はなく、契約者である親に万が一のことがあった場合でも、貯金を続けていくことでしか目標額を達成することはできません。
リスクが少なく確実に準備できますが、積極的にお金を増やしたい人には不向きといえます。
1.低金利では大きな利息が期待できない点
2.親に万が一のことがあっても貯金をつづけなくてはいけない点
投資信託
運用益が上がれば、投資家に利益を分配することができます。
教育資金の準備には、「NISA」で投資信託積み立てをするのがおすすめです。
NISAとは、運用で得られた利益に対して税金が優遇される制度で、2024年からは年間投資枠と非課税保有限度額が拡充された「新NISA」としてスタートしました。
新NISAには、定期的に積み立てる「つみたて投資枠」と高成長を期待した投資に適している「成長投資枠」の2つがあり、年間投資額は最大360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)、トータルで1,800万円が非課税になります。
参照:金融庁 NISAを知る
「つみたて投資枠」は、金融庁が厳選した投資信託約300本から選んで、積み立てができる制度。少額からスタートでき、運用期間の制限がなく、家計の状況に応じて投資金額の増減が可能。任意のタイミングで現金化できるのもメリットです。
1.運用益が非課税になる点
2.毎月の投資額が変更できる点
3. 現金化のタイミングを自分で決められる点
より多くの教育資金を期待できる可能性のある新NISAを利用して、投資信託積み立てを始めてみてはいかがでしょう。元本保証がないため、教育資金すべてを投資信託で準備するという考え方はやや危険です。
1.元本保証がない点
2.自分で投資商品を選ぶ必要がある点
3.積立額に対する所得控除の優遇がない点
関連記事:NISAはデメリットが多い?利用する際の注意点やポイントを解説
教育資金に関する支援制度
もらえるお金を取りこぼすことがないよう、しっかりチェックしましょう。
児童手当
子どもの年齢や人数、所得によって支給額が異なりますが、所得制限のない世帯なら月額1万円〜1万5,000円が支給されます※2。
児童手当を全額貯めるとおおよそ200万円になり、国公立大学の在学期間にかかる費用※3の約3分の2の金額を補うことが可能です。運用すればさらに増やせる可能性もあります。
令和6年12月からは子どもの年齢が高校卒業(18歳の年度末)まで拡充され、所得制限も廃止されるので、より多くの教育資金を貯めることが可能です。
※1参照:内閣府 子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」
※2 施設費、実習費、諸会費等を徴収される場合あり
※3参照:文部科学省 国立・公立大学「令和3年度国立私立大学の授業料の推移」
奨学金制度
返済義務がある「貸与型(利子あり・利子なし)」と返済の必要がない「給付型」などの種類があり支給額はさまざまです。
なお、進学先や専攻科目、居住地域などによっては利用できない場合もあります。
参照:日本学生支援機構(JASSO)
高等教育の修学支援新制度
住民税非課税世帯やそれに準じる世帯であれば、「返済不要の給付型の奨学金と入学金」と「授業料の免除または減額」の2つをセットで利用できます。
私立大学の場合、「返済不要の給付型の奨学金と入学金」は、「年額約96万円」を上限額として減免。給付型奨学金は自宅外生で「年額約91万円」が支給されます。
参照:文部科学省 高等教育の修学支援新制度
高等学校等就学支援金制度
世帯年収910万円未満であれば国公私立を問わず39万円の支援金が支給され、国公立高校に通う場合は授業料の負担が実質0円になるため通称「高校授業無償化」と呼ばれています。
本来払うべきだった授業料を貯めて、大学資金に充てるのも一つの方法です。
参照:文部科学省 高校生等への修学支援
国の教育ローン
固定金利は年2.4%(2024年5月時点)と安く、返済期間は最長18年、子ども1人あたり上限350万円まで借り入れることができます(一定の要件に該当する場合は450円まで)。
さらに、家庭の経済状況に応じて金利の低減などの優遇措置も設けられています。
参照:日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
学資保険の代わりになる生命保険
「外貨建て終身保険」「個人年金保険」「変額保険」の特徴について見ていきましょう。
外貨建て終身保険
親に万が一のことがあっても「死亡保障」の備えが得られます。
円に比べて金利が高い場合は、保険料が安くなり利益が発生しますが、逆の場合は、保険料の支払額が増え受け取れる額が減ります。そのため、学費が必要なタイミングで、解約返戻金が低くなるリスクも。
商品の仕組みが分かりにくいため、契約前に内容をしっかり理解しておく必要があります。
1. 高い利回りが期待できる点
2. 親の万が一に死亡保障で備えられる点
3.保険料が安くなる場合がある点
1.将来の受取額が読めない点
2.解約のタイミングが難しい点
3.仕組みがわかりにくい点
個人年金保険
長期で運用するため、加入期間が少ないと返戻率が低くなります。
個人年金保険は、被保険者が生きている限りお金を受け取り続けることができる「終身年金」と、受取期間が決まっている「確定年金」、「有期年金」があります。
終身年金と有期年金は年金受取開始時の被保険者の生存が支給の条件になります。
確定年金は、被保険者の生死に関係なく遺族は年金を受け取れるため、子どもを被保険者に設定して、年金を教育資金に充てることも可能です。
個人年金保険控除の対象になり節税が期待できますが、受け取った年金は課税されます。インフレに弱く、年金額が保険料の総額を下回るリスクも。
1.将来受け取れる金額が決まっている点
2.死亡保障が確保できる点
3.税制優遇措置で節税効果が期待できる点
1.途中解約すると元本割れする可能性がある点
2.インフレリスクに弱い点
3.受け取った年金は課税対象になる点
変額保険
運用実績によって保険料や解約返戻金の額が変動します。死亡保険金は最低保障されるので、万が一に備えながら教育資金を準備できるのがメリットです。
インフレには強いですが、保障と運用のそれぞれに手数料がかかるため純粋な投資商品に比べて割高です。
運用方法や商品の仕組みがわかりにくいため、契約時にしっかり理解しておく必要があります。一定の条件を満たせば、所得控除を受けることができます。
1.運用次第で高い利回りが期待できる点
2.親に万一のことがあっても教育資金が確保できる点
3.インフレリスクに強い点
1.元本割れの可能性がある点
2.手数料がやや高い点
3.運用方法や商品の仕組みがわかりにくい点
さまざまな選択肢から教育資金を準備しよう
メリット・デメリットをしっかり理解したうえで家庭に合ったものを選び、子どもの将来に備えましょう。
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こちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。