学資保険の代わりにおすすめする教育資金の貯め方を徹底解説!

学資保険の代わりにおすすめしたい教育資金の貯め方を徹底解説!

子どもの教育資金を貯める方法といえば「学資保険」が定番ですが、そのほかの方法で準備できることをご存じですか?
この記事では、学資保険に代わる教育資金の準備方法の特徴とメリット・デメリットをまとめました。比較・検討の参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。

mokuji目次

  1. 学資保険のメリットとデメリット
    1. 学資保険のメリット
    2. 学資保険のデメリット
  2. 学資保険に代わる教育資金の準備方法
    1. 預貯金
    2. 投資信託
  3. 教育資金に関する支援制度
    1. 児童手当
    2. 奨学金制度
    3. 高等教育の修学支援新制度
    4. 高等学校等就学支援金制度
    5. 国の教育ローン
  4. 学資保険の代わりになる生命保険
    1. 外貨建て終身保険
    2. 個人年金保険
    3. 変額保険
  5. さまざまな選択肢から教育資金を準備しよう

学資保険のメリットとデメリット

学資保険のメリットとデメリット

まずは学資保険のメリットとデメリットを解説していきます。
特徴や不足している部分を把握し、学資保険以外で教育資金を貯める方法も検討しましょう。

学資保険のメリット

「学資保険」は、契約時に設定した保険料を毎月積み立てていくことで、高校や大学などの進学・入学に必要な資金を「祝い金」や「満期学資金」で準備することができる貯蓄型保険です。

計画的な貯蓄が可能で、契約者である親が死亡、高度障害状態になった場合でも、その後は保険料を支払わなくても、満期学資金を受け取れ、子どもの教育資金を準備することができます。また、生命保険控除による節税も可能です。
■学資保険のメリット
1.計画的に教育資金が準備できる点
2.親の万一にも教育資金が確保できる点
3.税制優遇措置で節税効果が期待できる点
関連記事:学資保険とは?特徴や加入するメリットなどをわかりやすく解説

学資保険のデメリット

固定金利でマネープランが立てやすい一方、急にお金が必要になった際に取り崩しにくい難点も。現在は金利が低いので、お金を増やすことは難しいでしょう。また、途中解約した場合も、返戻金の額が少なくなり元本割れになります。インフレリスクに弱いのも難点です。

学資保険は、必要なタイミングに合わせて確実に資金を準備したいという人には人気がある一方、よりお金を増やしたい人にとっては、ほかの選択肢を検討する余地があると言えます。
■学資保険のデメリット
1.途中解約すると元本割れする可能性がある点
2.投資に比べて利回りが低い点
3.インフレリスクに弱い点
関連記事:学資保険のメリット・デメリットは?加入前に知っておきたい基礎知識

学資保険に代わる教育資金の準備方法

学資保険に代わる教育資金の準備方法

教育資金の準備には「預貯金」や「投資信託」を検討する方法もあります。特に低金利が続く昨今は、「投資信託」が高い注目を集めています。
ここからは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについてチェックしていきましょう。

預貯金

銀行などの金融機関にお金を預けることで預貯金を利用することができます。

手持ちの銀行口座で始めやすく、万が一、金融機関が破たんしても預金保険制度により、一定の金額までは保護されます。

種類としては、「普通預金」、「定期預金」、また、勤めている会社に制度があれば「財形貯蓄」の利用も考えられます。

「普通預金」はまとまった額がすぐに引き出せる点で自由度が高いですが、将来の受取額の予測がしにくく、お金を貯める方法としては不向きです。
満期を設定でき、毎月一定額を積み立てていける「定期預金」や「財形貯蓄」なら確実に貯蓄できます。
■預貯金のメリット
1.元本割れしない点
2.手持ちの口座で簡単に始められる点
3. 銀行が破たんしても一定額は保護される点
将来の元本が保証され、定期的に利子を得ることができますが、低金利が続く昨今は、得られる利子はわずかです。

預貯金は保険商品ではないので死亡保障はなく、契約者である親に万が一のことがあった場合でも、貯金を続けていくことでしか目標額を達成することはできません。
リスクが少なく確実に準備できますが、積極的にお金を増やしたい人には不向きといえます。
■預貯金のデメリット
1.低金利では大きな利息が期待できない点
2.親に万が一のことがあっても貯金をつづけなくてはいけない点

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、専門家が運営する金融商品のことです。
運用益が上がれば、投資家に利益を分配することができます。

教育資金の準備には、「NISA」で投資信託積み立てをするのがおすすめです。
NISAとは、運用で得られた利益に対して税金が優遇される制度で、2024年からは年間投資枠と非課税保有限度額が拡充された「新NISA」としてスタートしました。

新NISAには、定期的に積み立てる「つみたて投資枠」と高成長を期待した投資に適している「成長投資枠」の2つがあり、年間投資額は最大360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)、トータルで1,800万円が非課税になります。
参照:金融庁 NISAを知る

「つみたて投資枠」は、金融庁が厳選した投資信託約300本から選んで、積み立てができる制度。少額からスタートでき、運用期間の制限がなく、家計の状況に応じて投資金額の増減が可能。任意のタイミングで現金化できるのもメリットです。
■メリット(新NISAの場合)
1.運用益が非課税になる点
2.毎月の投資額が変更できる点
3. 現金化のタイミングを自分で決められる点
デメリットは元本保証がないこと。自分で投資商品を選ぶ必要があること、投資した金額に対して所得控除ができるといった優遇はない点です。

より多くの教育資金を期待できる可能性のある新NISAを利用して、投資信託積み立てを始めてみてはいかがでしょう。元本保証がないため、教育資金すべてを投資信託で準備するという考え方はやや危険です。
■デメリット(新NISAの場合)
1.元本保証がない点
2.自分で投資商品を選ぶ必要がある点
3.積立額に対する所得控除の優遇がない点
関連記事:学資保険の代わりにNISAの利用はあり?メリット・デメリットを解説
関連記事:NISAはデメリットが多い?利用する際の注意点やポイントを解説

教育資金に関する支援制度

教育資金に関する支援制度

奨学金や国の支援制度を活用して、経済的な負担を軽減することもできます。
もらえるお金を取りこぼすことがないよう、しっかりチェックしましょう。

児童手当

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで※1)の子どもがいる世帯に、国から支給される手当です。
子どもの年齢や人数、所得によって支給額が異なりますが、所得制限のない世帯なら月額1万円〜1万5,000円が支給されます※2

児童手当を全額貯めるとおおよそ200万円になり、国公立大学の在学期間にかかる費用※3の約3分の2の金額を補うことが可能です。運用すればさらに増やせる可能性もあります。

令和6年12月からは子どもの年齢が高校卒業(18歳の年度末)まで拡充され、所得制限も廃止されるので、より多くの教育資金を貯めることが可能です。

※1参照:内閣府 子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」
※2 施設費、実習費、諸会費等を徴収される場合あり
※3参照:文部科学省 国立・公立大学「令和3年度国立私立大学の授業料の推移」

奨学金制度

進学に必要なお金を貸してもらえる制度で「日本学生支援機構(JASSO)」を始め、地方公共団体や企業、民間育英団体、大学独自の団体などが提供しています。

返済義務がある「貸与型(利子あり・利子なし)」と返済の必要がない「給付型」などの種類があり支給額はさまざまです。
なお、進学先や専攻科目、居住地域などによっては利用できない場合もあります。
参照:日本学生支援機構(JASSO)

高等教育の修学支援新制度

大学等の高等教育機関に進学する学生への国の支援制度。

住民税非課税世帯やそれに準じる世帯であれば、「返済不要の給付型の奨学金と入学金」と「授業料の免除または減額」の2つをセットで利用できます。

私立大学の場合、「返済不要の給付型の奨学金と入学金」は、「年額約96万円」を上限額として減免。給付型奨学金は自宅外生で「年額約91万円」が支給されます。
参照:文部科学省 高等教育の修学支援新制度

高等学校等就学支援金制度

高校の学費軽減を図るための国が支援する制度。
世帯年収910万円未満であれば国公私立を問わず39万円の支援金が支給され、国公立高校に通う場合は授業料の負担が実質0円になるため通称「高校授業無償化」と呼ばれています。
本来払うべきだった授業料を貯めて、大学資金に充てるのも一つの方法です。
参照:文部科学省 高校生等への修学支援

国の教育ローン

世帯年収が一定額を下回る世帯を対象に、進学にかかる「教育関係経費」を対象にローンを受けることができます。

固定金利は年2.4%(2024年5月時点)と安く、返済期間は最長18年、子ども1人あたり上限350万円まで借り入れることができます(一定の要件に該当する場合は450円まで)。

さらに、家庭の経済状況に応じて金利の低減などの優遇措置も設けられています。
参照:日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)

学資保険の代わりになる生命保険

学資保険の代わりになる生命保険

教育資金の準備に使えるのは「貯蓄型」の生命保険です。
外貨建て終身保険」「個人年金保険」「変額保険」の特徴について見ていきましょう。

外貨建て終身保険

「外貨建て終身保険」とは、保険料の支払いや保険金・解約返戻金などの受取を外貨で行う終身保険のことです。
親に万が一のことがあっても「死亡保障」の備えが得られます。

円に比べて金利が高い場合は、保険料が安くなり利益が発生しますが、逆の場合は、保険料の支払額が増え受け取れる額が減ります。そのため、学費が必要なタイミングで、解約返戻金が低くなるリスクも。

商品の仕組みが分かりにくいため、契約前に内容をしっかり理解しておく必要があります。
■外貨建て終身保険のメリット
1. 高い利回りが期待できる点
2. 親の万が一に死亡保障で備えられる点
3.保険料が安くなる場合がある点
■外貨建て終身保険のデメリット
1.将来の受取額が読めない点
2.解約のタイミングが難しい点
3.仕組みがわかりにくい点
関連記事:終身保険とは?メリットデメリットや他の保険との違いを解説

個人年金保険

「個人年金保険」は保険料を積み立て、契約時に決めた年齢から毎年一定額の年金が受け取れる、老後資金を目的とした貯蓄型の保険です。
長期で運用するため、加入期間が少ないと返戻率が低くなります。

個人年金保険は、被保険者が生きている限りお金を受け取り続けることができる「終身年金」と、受取期間が決まっている「確定年金」、「有期年金」があります。

終身年金と有期年金は年金受取開始時の被保険者の生存が支給の条件になります。
確定年金は、被保険者の生死に関係なく遺族は年金を受け取れるため、子どもを被保険者に設定して、年金を教育資金に充てることも可能です。

個人年金保険控除の対象になり節税が期待できますが、受け取った年金は課税されます。インフレに弱く、年金額が保険料の総額を下回るリスクも。
■個人年金保険のメリット
1.将来受け取れる金額が決まっている点
2.死亡保障が確保できる点
3.税制優遇措置で節税効果が期待できる点
■個人年金保険のデメリット
1.途中解約すると元本割れする可能性がある点
2.インフレリスクに弱い点
3.受け取った年金は課税対象になる点

変額保険

「変額保険」とは投資信託と死亡保障がセットになった保険商品です。
運用実績によって保険料や解約返戻金の額が変動します。死亡保険金は最低保障されるので、万が一に備えながら教育資金を準備できるのがメリットです。

インフレには強いですが、保障と運用のそれぞれに手数料がかかるため純粋な投資商品に比べて割高です。
運用方法や商品の仕組みがわかりにくいため、契約時にしっかり理解しておく必要があります。一定の条件を満たせば、所得控除を受けることができます。
■変額保険のメリット
1.運用次第で高い利回りが期待できる点
2.親に万一のことがあっても教育資金が確保できる点
3.インフレリスクに強い点
■変額保険のデメリット
1.元本割れの可能性がある点
2.手数料がやや高い点
3.運用方法や商品の仕組みがわかりにくい点

さまざまな選択肢から教育資金を準備しよう

さまざまな選択肢から教育資金を準備しよう

計画的に貯蓄したいのか、万が一に備えるのか、資金を増やしたいのか、制度を利用して不足分を補うのか、目的や家庭の事情によっても選択肢は変わってきます。

メリット・デメリットをしっかり理解したうえで家庭に合ったものを選び、子どもの将来に備えましょう。

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こちらもぜひご参考いただき、自分に合ったより良い選択肢を見つけてみてください。
ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

監修者 ファイナンシャルプランナー/経済ジャーナリスト 酒井富士子

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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