生命保険の見直しのポイントは?タイミングや注意点もわかりやすく解説

生命保険の見直しのポイントは?タイミングや注意点もわかりやすく解説

生命保険の見直しとは、現在の家族構成やライフステージなどをもとに考えた必要な保障内容と、加入している保険の保障内容とのにあいだに過不足がないかを確認することです。

生命保険は一度加入したら終わりではなく、ライフステージが変化したときは、必要に応じて保障内容を見直していくことが大切です。

この記事では、生命保険を見直す必要性とメリット、具体的な見直しのタイミングと方法、注意点を解説します。

mokuji目次

  1. 生命保険を見直す必要性とメリット
    1. 生命保険を見直す理由
    2. 生命保険を見直すメリット
  2. 生命保険を見直すタイミング
    1. 結婚したとき
    2. 家を購入したとき
    3. 子どもが生まれたとき
    4. 子どもが独立したとき
    5. 定年退職をしたとき
  3. 生命保険見直しのポイント
    1. 必要性の高い保障を考える
    2. 過不足のない保障金額に設定する
    3. 保険期間を適切に設定する
    4. 保険料を見直す
    5. 必要に応じて受取人を見直す
  4. 生命保険見直しの具体的な方法と注意点
    1. 増額・特約の付加・新規加入
    2. 減額・主契約や特約の解約
    3. 払済保険・延長(定期)保険への変更
    4. 契約転換制度の活用
  5. ポイントをおさえ、適切なタイミングで保険の見直しを

生命保険を見直す必要性とメリット

まず、生命保険を見直す必要性とメリットをみていきましょう。

生命保険を見直す理由

人生では、結婚、出産、マイホームの購入、子どもの独立、定年退職など、さまざまなライフイベントが起こる可能性があります。家族構成や働き方、住む場所、家計の収支が変化すると、万が一のときに必要とする保障の内容や金額なども変わります。

そのため、生命保険に加入した後も、状況の変化に応じて契約内容を見直し、経済的なリスクに対する備えを適切なものにするのが望ましいのです。

また、社会保障制度や税制の変更、医療技術の進歩などに対応するために、生命保険の見直しが必要になることもあります。

生命保険を見直すメリット

生命保険の見直しをすることで、自分自身や家族のライフステージに合わせた保障となります。保険金額や保障の範囲、保険期間(保障を受けられる期間)を過不足のない状態にすることで、万が一のときに保障が足りず、経済的に苦しくなる事態を避けやすくなるでしょう。

また、見直しにより過剰な保障を削減すると、余分な保険料の支払いが抑えられ、毎月の支出を減らすことが可能です。浮いたお金は、将来のために貯蓄や投資に回したり、趣味や子どもの習い事などの費用に充てたりできます。

生命保険を見直すタイミング

生命保険を見直すタイミング

生命保険を見直す代表的なタイミングは、ライフイベントが訪れたときです。ここでは、見直しをすることの多いライフイベントと、見直し方のポイントをみていきましょう。

結婚したとき

結婚をしたあとも夫婦が共働きであるのなら、死亡保障よりも病気やケガの保障を検討するとよいでしょう。病気やケガで治療が必要になったときや、就業が制限されて働けなくなったとき、生活が苦しくなる可能性があるのなら、民間医療保険や就業不能保険などに加入して備えておくのも方法です。

また、配偶者が仕事を辞めて専業主婦(夫)となった場合や、パート勤務になって世帯収入が減った場合は、一家の大黒柱である人の死亡保障を手厚くした方がよいこともあります。

家を購入したとき

マイホームを購入する人の多くは、住宅ローンを組みます。住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(以下、団信)に加入するのが一般的です。

団信とは、住宅ローンを返済している人が亡くなったときにローン残債が保障される保険です。団信に加入していれば、借り手に万が一のことがあった後、残された家族は住宅ローンを返済することなく、引き続き家に住み続けることができます。

これまで賃貸住宅に住んでおり、万が一のときの住居費用も考慮して死亡保障額を設定している場合、マイホームを購入し団信に加入すると、保障を減額して保険料負担を軽減できることがあります。

子どもが生まれたとき

妻が妊娠・出産をしたときは、一般的に死亡保障の必要性がもっとも高まるときです。子どもが生まれた後、食費や日用品代、衣服代などさまざまな支出が増える他、教育費もかかるようになります。
家計を支える人に万が一のことがあったとき、残された配偶者や子どもが生活や進学などに困ることのないよう、死亡保険の新規加入や保険金の増額を検討することが大切です。

また、子どもが高校や大学などに進学するときに資金を計画的に準備することも重要となります。教育資金の積み立てに特化した「学資保険」を用いて、将来に向けた資金準備を始めるのも一案です。

学資保険の多くには「保険料払込免除特約(特則)」が付いており、契約者である親が万一のときは、保険料の払い込みが免除され、満期保険金やお祝い金は予定通り受け取れます。

学資保険については、以下の記事も参考にしてください。
学資保険とは?特徴や加入するメリットなどをわかりやすく解説

子どもが独立したとき

子どもが全員独立した後は、基本的に大きな死亡保障は不要となります。手厚い死亡保障に加入していたのであれば、保険金を減額して保険料を削減することが可能です。

一方、自分自身の健康リスクが高まる時期でもあるため、医療保険やがん保険、介護保険などに加入し、医療保障や介護保障を充実させるのも1つの方法です。また、老後に向けた資金づくりを本格的に始めるために、個人年金保険や変額個人年金保険などに加入することも検討するとよいでしょう。

定年退職をしたとき

定年退職を迎え、勤務先から退職金を受け取ったのであれば、生命保険で運用をするのも1つの方法です。例えば、退職金の一部で一時払いの終身保険に加入するという方法もあります。

終身保険は、一生涯の死亡保障が得られるため、葬儀費用や遺品の整理費用などを準備できます。また、契約から一定期間を過ぎると、一時払保険料を上回る解約返戻金を受け取れることがあるため、老後の生活資金や医療費・介護費用を支払うための資金などを準備することも可能です。

さらに、死亡保険金の受取人が配偶者や子どもである場合、相続税の非課税枠により「500万円×法定相続人の数」まで相続税が非課税となります。自分自身が亡くなったとき、遺族の相続税負担が重くなる可能性がある場合は、終身保険を始めとした生命保険で相続対策をしておくのも1つの方法です。

生命保険見直しのポイント

生命保険見直しのポイント

ここからは、生命保険見直しのポイントを解説します。

必要性の高い保障を考える

生命保険には、死亡保険や医療保険、がん保険などの種類があり、それぞれ保障内容が異なります。家族構成やライフステージなどをもとに、自分自身にとって必要性の高い保障を考えたうえで、加入する保険商品を選ぶことが大切です。

例えば、社会人になったばかりであり、独身で貯蓄もあまりないのであれば、病気やケガに対する保障の必要性が比較的高くなります。一方、結婚をして子どもが生まれたのであれば、死亡保障の必要性の方が高いと考えられます。

過不足のない保障金額に設定する

生命保険の保険金額を高くすればするほど、万が一に手厚く備えられる一方で、保険料負担が重くなっていきます。

生命保険に加入する際は、家族構成や保有資産、家計の収支などをもとに必要な保障額を考え、過不足のない保険金額に設定することが大切です。

例えば、子どもが生まれたばかりのときは死亡保障額を高くしておき、子どもが独立したことで大きな死亡保障が要らなくなったときは減額をする方法が考えられます。

保険期間を適切に設定する

生命保険には、「10年間」や「60歳まで」など、保険期間が一定であるタイプもあれば、途中で解約をしない限り一生涯にわたって保障が得られるタイプもあります。また、保険期間が一定である生命保険は、満期を迎えたときに更新をすると、さらに一定期間の保障を得られることもあります。

生命保険に加入する目的をもとに、保障が必要な期間を考えたうえで、商品や保険期間を選ぶことが大切です。

例えば「子どもが独立するまで死亡保障を手厚くしておきたい」のであれば、保険期間が一定である定期保険や収入保障保険が主な選択肢となるでしょう。保険期間は、子どもの独立までに残された年数を目安に設定します。

保険料を見直す

いくら手厚い保障に加入していたとしても、保険料負担が家計を圧迫し、生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。生命保険を見直す際は、毎月の保険料負担が過大となっていないかを考えることが重要となります。

生命保険の契約内容は、公的医療保険や公的年金など社会保障制度をもとに決めるとよいでしょう。例えば、死亡保障額は万が一のときに支給される「遺族年金」の額を踏まえて検討します。

遺族年金は、国民年金や厚生年金の加入者が亡くなったとき、その人に養われていた所定の条件を満たす遺族がいる場合に支給される年金です。

社会保障制度の給付のみではカバーできない部分を考えたうえで、生命保険の契約内容を決めることで、余分な保険料の支払いを防ぎやすくなります。

必要に応じて受取人を見直す

生命保険の見直しをする際は、保険金受取人の変更が必要かどうかもよく検討しましょう。例えば、結婚をしたにもかかわらず、加入している死亡保険の保険金受取人が親になっている場合、特段の理由がある場合を除いて、配偶者に変更した方がよいといえます。

また、死亡保険の保険金受取人を決める際は、課税される税金の種類も踏まえることが大切です。生命保険の死亡保険金は、契約者(保険料負担者)、被保険者、保険金受取人が、それぞれ誰であるのかによって、保険金に課せられる税金が変わります。

例えば、契約者(保険料負担者)が夫である場合、死亡保険金に課税される税金の種類は、以下の通りです。

契約者
(保険料負担者)

被保険者

受取人

税金の種類

相続税

所得税

贈与税

保険金の受取額が同じでも、契約形態によっては税金の負担が大きくなり、手元に残る金額が少なくなる可能性があります。生命保険を見直す際は、保険会社の担当者やファイナンシャルプランナーなどにも相談のうえ、保険金に課税される税金の種類も踏まえて保険金受取人を決めるとよいでしょう。

生命保険見直しの具体的な方法と注意点

生命保険見直しの具体的な方法と注意点

それでは、生命保険見直しの具体的な方法をみていきましょう。

増額・特約の付加・新規加入

保障を手厚くする方法としては「保険金・給付金の増額」「特約の付加」「生命保険の新規加入」という3つの方法があります。

例えば、死亡保障額を1,000万円から4,000万円に増やすことを検討しているとしましょう。この場合「契約中の生命保険の保険金額を3,000万円増額する」「死亡保険金額が3,000万円の生命保険に新規加入する」といった方法が考えられます。

保障を手厚くするときは、基本的には被保険者の健康状態や過去の傷病歴、職業などを生命保険会社に告知しなければなりません。健康状態によっては、増額や特約の付加、新規加入ができないこともあります。

また、保障を手厚くすると保険料は高くなるため、家計に負担とならないかをよく確認することも重要となります。

減額・主契約や特約の解約

不要な保障がある場合は、保険金の減額や主契約・特約の解約をすることで、保険料負担を軽減できます。また、生命保険を解約したときや保険金を減額したときは、商品によっては解約返戻金を受け取れることがあります。

ただし、解約・減額するタイミングによっては、解約返戻金の受取額が保険料の支払総額を下回ることがある点には注意が必要です。加えて、将来的に増額や新規加入などで再び保障を増やそうとしても、健康状態によっては保険会社から契約を断られることがあるため、保障を削減すべきかどうかは慎重に検討することが大切です。

払済保険・延長(定期)保険への変更

払済保険とは、保険料の払い込みを中止し、解約返戻金をもとに保険期間はそのままに保障額の少ない保険に変更する制度です。延長(定期)保険は、以後の保険料払い込みを中止し、そのときの解約返戻金をもとにして、保険金額を変えずに保険期間を短縮した保険に変更する制度を指します。

払済保険

延長(定期)保険

保険金額

減る

そのまま

保険期間

そのまま

短くなる

払済保険や延長定期保険であれば、保障額または保障期間は減りますが、以後の保険料を支払うことなく保障を続けられます。保険料負担を抑えながら、一定の保障を残したいときは、払済保険や延長(定期)保険への変更も検討するとよいでしょう。

ただし、払済保険や延長(定期)保険に変更すると、一部を除いて特約は消滅します。また、一定期間内であれば「復旧」という手続きをすると契約を元に戻せることがありますが、生命保険会社への告知や、払済保険と延長(定期保険)への切り替えによって不足した積立金の払い込みが必要です。生命保険会社によっては利息の払込が必要となることもあります。

契約転換制度の活用

契約転換制度とは、契約中の生命保険を活用して、同じ保険会社で新たな保険を契約することです。加入している生命保険の積立金を、新しく加入する保険の保険料に充てることで、保険料負担を軽くすることができます。車を買い替える際の「下取り」をイメージするとわかりやすいでしょう。

契約転換制度であれば、まったく新しく生命保険を契約するときよりも軽い保険料負担で、より手厚い保障を得ることが可能です。例えば「保険金額を増やしたいけれども、毎月の保険料はあまり増やしたくない」というときは、契約転換制度を利用するのも1つの方法です。

ただし、同じ保険会社が取り扱う保険商品にしか転換できません。また、新たに加入する生命保険の保険料は転換時の年齢で計算されるため、毎月の支払額が増えることもあります。

ポイントをおさえ、適切なタイミングで保険の見直しを

生命保険に加入した後も、定期的に見直しをすることが大切です。特に、結婚、出産、住宅購入、定年退職などのライフイベントが発生したときは、保険の見直しを検討することをおすすめします。

保険の見直しをする際は、現在の家族構成やライフステージをもとに、必要性の高い保障や保障金額、保険期間などを考えるとよいでしょう。また、保険料の支払いが家計に与える影響や、保険金受取人が適切であるかを確認することも大切です。

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